「モンスターストライク」のNo.1を決めるeスポーツ大会・モンストグランプリ。ミクシィでエンターテインメント事業を手がけるXFLAGでは、このイベントを筆頭に日本のeスポーツ市場を盛り上げるべく挑戦を続けています。eスポーツの名が浸透する前から市場に参入した背景と、XFLAGだから描けるeスポーツの未来を探ります。

 

いち早くeスポーツ事業へと参入。きっかけは、社内の“懇親会”にあった

▲ライブエンターテインメント事業部 部長の比奈本真。ミクシィのeスポーツ事業をけん引している

 

近年、国内外を問わず、一大イベント事業としてたくさんのユーザーや企業などから注目を集めている“eスポーツ”。エレクトロニック・スポーツの略で、PCゲームやモバイルゲームなどを使って行う競技です。

2018年の国内市場規模は、前年比の13倍となる48.3億円と言われ、今なお急激な成長を続けています(出典:Gzブレイン)。世間一般的に言われている「eスポーツ元年」は2017年。この頃から、eスポーツの名が一般社会にも浸透し、参入企業も増え始めました。

 

しかしミクシィのXFLAGでは、まだeスポーツという名前すらもメジャーではなかった2015年から、社を代表するスマホアプリ「モンスターストライク」(以下、モンスト)のeスポーツ大会「モンストグランプリ」を実施。

試合は4対4のチーム戦で行われ、地方予選を勝ち抜いた計16チームが決勝大会に出場できます。2018年には初のプロライセンスも一般社団法人日本eスポーツ連合より付与されました。(※2015年は64チームが決勝に進出)

他社に先駆け、いち早くeスポーツへの参入を決めた理由をライブエンターテインメント事業部部長の比奈本真はこう語ります。

 

比奈本 「主な理由のひとつとして、参入当時、モンストが有名 YouTuberに取り上げていただき、大きな注目を集めたというものがあります。モンストは、リリース当初から友だちや家族が集まって、協力プレイをワイワイ楽しむのが主流でしたが、クリアタイムを競うという新しい遊び方や楽しみ方が自然と発掘され、次第に競技性を持つようになってきたんです。

こうしたなかで、社内の懇親会などでもモンストの対戦を実施するようになりました。するとこれがとても盛り上がるんですよ。プレイしている本人はもちろんですが、周りで見ている人もすごく興奮できる。

ならばこれをそのまま大会にしてみても良いんじゃないか、それこそ、プレイする側・見る側問わず “みんなで集まってワイワイ ”盛り上がれるんじゃないかというような形で、ごくごく自然な流れで eスポーツに参入していくことになったんです」

 

ミクシィが掲げる企業ミッションは「フォー・コミュニケーション」。あらゆる事業はすべてコミュニケーションにひもづけられています。つまり、XFLAGのeスポーツ参入は、「人とひとを“驚きと喜び”をもってつなげる」というミクシィ本来のDNAを体現するための手段。決してそれそのものが目的だったわけではないのです。

 

後追いではない、XFLAGだからこそ提供できる価値を届ける

XFLAGがeスポーツに参入した当時、すでに欧米ではeスポーツが広く浸透しており、目指すべきゴールもある程度示されているような状態でした。しかしXFLAGは、あくまでも自分たち流のeスポーツ事業を展開することを大切にしました。

 

比奈本 「海外の eスポーツを画像検索すると、会場全体が青と赤に分かれている画ばかりなんですよ。明確にチームが別れ、勝敗を競うものという見方がされている。確かにスポーツである以上、試合が行われ、勝者と敗者が決まるのは当然のことです。

しかし、試合に主眼を置いたイベントでは、勝ったチームとそれを応援していたファンは楽しいイベントだったと言えるかもしれませんが、負けたチームとそれを応援していたファンはがっくりと肩を落として帰るしかないですよね。それはイベント全体として、本当に楽しいと言えるのか、すごく疑問に感じていたんです」

 

そこでXFLAGが行ったのは、イベントを通したコミュニケーションの創出でした。

 

比奈本 「たとえば物販コーナーがあって、グループでご飯も食べられて、ゲームにちなんだアトラクションや、試合以外のステージイベントなんかもある。そうした来場者がみんなで楽しめるような環境を用意することで、応援していたチームが負けてしまったとしても、『残念だったけど楽しかったね』と言ってもらえるようなイベントを目指しました」

 

XFLAGが目指すのは、その場自体が“みんなで一緒に盛り上がれる”新しい形のeスポーツ大会なのです。

 

楽しめる場を提供するだけでなく、楽しむための“方法”も伝えていく

さらにXFLAGでは、参加者がより平等に楽しめる環境づくりにも尽力してきました。そのひとつが、試合の公平性を高めること。

 

比奈本 「 eスポーツを競技の一種として考えた場合、試合の勝敗を決める要素は、競技者の技術の差によるものでなければなりません。

たとえば片方のチームが全員同じスマートフォンを使い、もう片方のチームが異なる種類のスマートフォンを組み合わせて使っていた場合、どうしても機種の差が試合に影響を及ぼしたのではないかと考えてしまいますよね。

そうなると、負けた方が納得できなかったり、勝った方も正しく評価されなかったりすることも考えられます。こうなってしまうと、競技力で評価される『プロ』の選手が生まれて来ないんです。

プロが生まれなければ、応援して楽しむ環境も生まれません。プレイする側だけでなく観る側も楽しめる文化として eスポーツを盛り上げるためには、不公平さを排除することが必要不可欠なんです」

 

次に行ったのが、「応援の仕方」をしっかり定着させることです。

 

比奈本 「過去のイベントを見て、競技そのものも好きだし心から楽しめてはいるんだけど、応援の仕方がわからず、真顔で試合を観戦している人が意外とたくさんいらっしゃるなと感じました。

運営側としては、楽しそうな表情や仕草が見られず不安になるのですが、いざ本人に話を聞いてみると、大満足していただいているんですよね。ただそれだと、どうしても選手本人には観客からの感情の熱が伝わりません。やっぱり選手も自分のプレイで観客が沸いてくれた方が嬉しいですし、より高い力を発揮してくれるものです。

なのでモンストグランプリでは、応援用のスティックバルーンを観客に配って、その膨らませ方から叩き方までを大会の始めに一緒にやるようにして、自然と応援できる環境をつくるようにしているんです。

その結果、率先して前に来て盛り上げてくれる人が出てきて、今度はそれを見た人が応援の仕方を学べて、といったような良いシナジーが生まれました」

 

ファンが積極的に盛り上がれる環境をつくることで、新しいコミュニケーションのきっかけが生まれることもあります。

 

比奈本 「以前、過去に開催したイベントで初めて知り合った人たちが、チームを組んで大会に参加してくれたことがあります。やっぱり一緒に興奮できるものが目の前にあると、自然と一体感が生まれていくんでしょうね」

 

これはまさに、ミクシィがeスポーツに参入した目的にもつながる部分でした。

 

eスポーツでしか提供できない価値を、より多くの人へ

日本のeスポーツ市場をけん引する立場を目指す上で、まだまだ課題は尽きません。

 

比奈本 「確かに eスポーツは年々盛り上がってきています。実際、これまでゲームの市場にいなかったような企業や団体がステークホルダーとして次々と市場に参入してくれていますね。

しかし一方で、地方ではそもそも大会を行うための会場がまだまだ少ないこともありますし、大会の開催地域も、東京一極集中で、盛り上がっている範囲はまだまだ限定的。 eスポーツは2018年にようやく一般に認知され始めたばかりの新しい文化ですから、丁寧に育てていかなければなりません」

 

そんな中でも、嬉しい兆しは決して少なくありません。

 

比奈本 「最近では地域振興の一環として、イベント開催の相談を受ける機会がすごく増えてきました。同時に、障がい者の方に向けた大会の打診も、 2019年に入ってから増えていますね。

リアルなスポーツの場合、世界的な大会などで活躍している選手はいるものの、なかなか気軽に挑戦することは難しいと思います。しかしモンストであれば、操作も簡単で、スマホ一台でできるわけですから、気軽に触っていただける可能性も高いのではないでしょうか。

こうした取り組みにもチャレンジした上で、コミュニケーションの大切さやその価値を、もっと世界に広げていきたいと思いますし、そこから eスポーツ全体のイメージも変えていけるような存在になれれば嬉しいですね」

 

eスポーツを通して人とひとをつなげ、新たな可能性を広げていくーーその想いを胸に、ミクシィはこれからも新しいチャレンジを続けていきます。

 

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