大規模インフラのSREから社内スタートアップへの挑戦。ベテランエンジニアのキャリアの作り方

大規模インフラのSREから社内スタートアップへの挑戦。ベテランエンジニアのキャリアの作り方

『mixi』、『モンスターストライク』を経て、『家族アルバム みてね』のSREとして活躍している清水。エンジニアの活躍の場が多岐にわたるミクシィグループで、部署異動のきっかけと異動時の心境について語ってくれました。

「こんな世界があるんだ!」Webの可能性に魅了されて
━━━━清水さんはもともと、システムの開発会社で働かれていたとか。

そうです。前職には8年くらい在籍していたのですが、システムの受託開発と、自社プロダクトの開発をいくつか担当していました。自社プロダクトについてもう少し具体的に言うと、一つはコンシューマーゲーム機への動画配信サービスですね。大手ゲームメーカーとの調整や、サービス企画などにも携わりつつ、開発や動画のチューニングなどを手掛けていたんです。

━━━━そこからなぜ転職を意識したのですか?

2009年、渋谷の商工会議所で「BRIDGE 2009」というイベントがありました。情報技術の分野で、イノベーティブな活動やコミュニティを運営するリーダーが登壇するイベントで、私はWebサービスや技術も好きだったので、このイベントに興味を持ったんです。とりあえず行ってみよう、と興味の赴くまま足を運んでみたら、すごく刺激を受けて。「こんな世界があるんだ!」と驚きました。そして徐々に、Web技術を使う会社で働きたいなという思いが出てきて、転職を意識するようになったんです。

━━━━なるほど。

しばらくして求人サイトに登録しました。面白い会社はないかなと見ていたら、色々な企業からスカウトメールが届いたんです。数社からお誘いをいただいていたのですが、一番はじめにミクシィグループの面接があり、とんとん拍子で選考が進んでいきました。もともとSNS『mixi』のヘビーユーザーで、一日何回もアクセスしていましたし、大きなサービスに関わってみたいなという気持ちもあったので、ミクシィグループへの入社は自然な流れだったと思います。

━━━━入社後はどんな仕事を?

2011年の8月に入社して、『mixi』の運用部に配属されました。そこではサービスにまつわる技術的課題解決を担う仕事を担当していました。当時、『mixi』のサーバーはものすごくたくさんあって、大量のサーバーをいかに効率よく安全に運用していくかについて注力していました。SNSの運用部には2014年3月まで所属していましたね。

そこから『モンスターストライク(以下モンスト)』を手掛ける部署から、「ぜひモンストのサーバーを見てほしい」と直々にお話があって。私はリリース初日からモンストをプレイしていましたし、ゲームの運営状況も良く分かっていました。ユーザー数が日々拡大し、急成長を遂げるゲームだからこそ、裏側を担うエンジニアが大変なのも分かっていたから、「やるしかないな」という気持ちでした。

━━━━大量のトラフィックに立ち向かうケースが多いですね。

ええ。特にモンストの限定クエストやコラボイベントは人気があるので、モンストでの仕事はいつも緊張感がありました。特に思い出深いのは、2017年の年末年始のイベント。負荷対策の準備を万全に整え、「急激な負荷にも負けないぞ」という気持ちで臨んだところ、概ね無事に乗り越えることができ、ホッと安堵しました。

━━━━やはりゲームとSNSの開発では、勝手が違いますか?

そうですね。ゲームは定期的にイベントがあって、それに合わせてサーバーの負荷が上がります。その負荷対策はSNSとは違うのに加え、扱うプログラム言語も違っていたので、技術をキャッチアップするのは苦労しました。そして大ヒットしたゲームのサーバーはとにかく大規模で高負荷です。この規模を経験できることってあんまりないので、とても貴重な経験を積むことができたと思います。大規模なインフラを扱う手法や技術が身に付いただけでなく、どんなにユーザー数やアクセス数が多くても、「やってやろう!」という気持ちの強さも身に付きました(笑)。

今のチームに留まるべきか、新たな場所に挑戦するか
━━━━そして、再び異動の話が来たわけですよね。mccではなく※。

2017年10月末に、子どもの写真・動画共有アプリ『家族アルバム みてね』の事業責任者を務める笠原さんと、エンジニアをまとめている酒井さんから、ランチに誘われたんです。そのときに、「『みてね』は海外展開を進めている最中で、これからますますサーバーの負荷もコストについても課題が増えてくる。誰か手伝ってくれる人はいないですかね…」と悩み相談があって。

※mcc:「ミクシィ・キャリア・チャレンジ制度」の略。部署毎に求人を掲載し、メンバーは、所属上長への相談や許可がなくても求人に応募でき、条件に合致すれば社内異動が実現する

━━━━それはもう、遠まわしなスカウトですよね(笑)。

そんな風に相談されたら、「手伝いましょうか?」と言わざるを得ないですよね(笑)。サーバーの負荷やコスト、開発環境面をどうするとか、最新の事情に関するノウハウが少ないので、力を貸してくれという話だったと思います。

━━━━正直、お声掛けをいただいたときはどんな気持ちでしたか?

それは嬉しかったですよ。事業部のサービス責任者と開発責任者直々にお話をいただけるなんて光栄だなと。相談された問題を解決できそうという自信もありましたし、これから大きくしていくサービスの力になりたいという気持ちもありました。それに、私自身も『みてね』のファン。自分も子供の写真をどう保存するか、どう家族間で共有するか?ということで困った経験があって。『みてね』というサービスが、世の中の家族問題を解決している点も興味があったんですね。そういう意味でも、部署異動は大きなチャンスだと思っていました。

また、少人数でしか経験できない仕事にも興味がありました。『みてね』のエンジニアたちは、モンストの開発チームに比べると少ないです。大人数だと業務が細分化されて、その他のことに手を出しづらかったりもします。少人数のチームだと、「手が足りないから手伝って!」と自分の担当範囲を超えて携わる可能性もあります。なので、今まで経験したことのない仕事にアプローチしやすく、幅を広げられるという面も魅力に感じていました。ただ、そういう仕事の仕方をモンストチームでできなかったかというと、もちろん可能性がないわけではないのですが、『みてね』のほうが自分にとって挑戦しやすい環境だと思ったんです。

━━━━では、異動のお話は快諾されたんですか?

いえ。即断はできませんでした。モンストチームの方がエンジニアが多いとはいえ、自分が抜けるのは大きな負担をかけることになるのでは…という心配はありましたし、年末年始の負荷対策も控えており、今後の方向性をどう定めていくか詳細が決まっていたわけでもなかったので、相当悩みました。しかし、チームの上長に相談したときに、「やりたいことができる環境が一番じゃないの?」と背中を押してもらい、ようやく異動に踏み切る決心がついたんです。

そして、年末年始の負荷対策も乗り越え、その後の残タスクを消化し、役割を終えた2月に異動しました。

新しい開発体制、新しい分野への挑戦。メンバーから刺激を受ける
━━━━同じ社内ではありますが、新しいチームに入った感想はどうでしょう。

XFLAG スタジオ同様、『みてね』のエンジニアは技術力もあるし、課題に対する理解も早いので、とても優秀だなと思いますね。そういえば、『みてね』に異動してから、初めて“スクラム開発”を体験したんです。スクラム開発はチームワークが求められる開発手法で最初は戸惑いましたが、新鮮な気持ちで取り組んでいます。

そして、会長である笠原さんと一緒に働くのは本当に刺激があります。正直、私にとってこれまで雲の上のような人でしたからね。毎日朝会で顔を合わせますし、普通に会話をしたり、ランチに行ったり。たまにふと我に返り、「なんでこんなすごい人と働いているんだろう」と思うときもあります(笑)。

━━━━なるほど。業務での印象的なエピソードはありますか。

5月5日の子どもの日あたりでは、『みてね』史上過去最高のアクセス数がありました。たくさんの親御さんたちが子どもの日に写真を撮ってアップするだろうと想定して事前に対策を講じておいたので、無事に何事もなく乗り越えることができ、チーム全体が盛り上がりましたね。

━━━━ちなみに、清水さんはいつもどのように技術情報をキャッチアップしているのでしょう?

入社してからずっと続けていることですが、勉強会へ参加してインプットやネットワーキングの機会の増加や、イベント登壇などで積極的な情報発信をしています。みんなに共有することで、技術的な課題で悩んでいる人たちが助かることが情報を発信する良さであると思います。悩んでいる人たちって、実は別の本質的な問題に取り組みたいんだけど、目の前の問題に捉われて困っている場合が多いんですね。そこを解決できれば、本来取り組むべき問題に取り組むことができ、一歩先を目指せるだろうと。

━━━━なるほど。

私自身も、何度となく人の記事を読んで助けられてきました。今後は、恩返ししていかないと、という気持ちです。これを発信したら、他社に出し抜かれるのではないか、と出し惜しみするのはあまりよくないと思っています。業界自体の底上げにもならないですし。情報発信をしたり勉強会でネットワーキングを増やすことで、色んな方面からお声が掛かったり、新たな情報が集まってきたりもするんです。私が仕事で一番大切にしているのは、情報発信と人のつながりですね。

━━━━確かに情報発信は大切ですよね。次なる目標もしくは実現したいことは何かありますか?

『mixi』や『モンスト』で培ってきたことを活かして、SREとしてサービスの信頼性を上げていくことはもちろん、別の部分でもサービスの価値を上げていきたいですね。最近の例でいうと、プロモーションのアイデアを出したことがありました。

━━━━プロモーションですか。

『みてね』では、YouTuberやインスタグラマーなどのインフルエンサーを活用したプロモーションを行っています。そこで、会長に直接、おすすめのYouTuberを紹介してみたんです、私の大好きなYouTuberなんですけど(笑)。そのYouTuberは恋人にプロポーズをして、結婚して、子どもが生まれ、子育てに関するグッズのレビューなど動画でアップしていて、みてねとの親和性も高いと思っていたんです。アイデアを出したらあっという間に採用されました。ちょうど子どもの日の前に、そのプロモーションを実施できたので、効果もあったと思います。プロモーションは一例ですが、今後は自分のプロフェッショナルな分野以外のところにも積極的にチャレンジしていきたいですね。

そして、海外展開を加速させることですね。システム面でも海外展開はハードルが高いです。ミクシィグループのサービスが世界で成功した例はまだ多くはないので、『みてね』を大ヒットさせたいと思っています。

部門を超えてクラフトビール好き仲間で集まることも多いという清水

 

清水 勲(写真・左)
8年間にわたり大手システム開発会社にて、受託開発や自社プロダクトの開発に取り組む。2011年8月、ミクシィグループに入社。SNS『mixi』、スマホゲームアプリ『モンスターストライク』におけるサーバーサイド開発を担当した後、2018年2月より子どもの写真・動画共有アプリ『家族アルバム みてね』のエンジニアチームに参加。これまでに「AWS Summit Tokyo」「hbstudy」「TechLION」「SRE Tech Talks」「Internet Week」など、数々のイベント登壇や雑誌記事への寄稿、Webを通じた情報発信を積極的に行っている。クラフトビールが大好き。

 

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