チャンスをものにして進化し続ける。若手映像デザイナーの躍動とめざす道

2025.02.28
山本 聡太
大学ではデザイン学科に在籍。当時からアイドルのライブイベントの背景演出やミュージックビデオ制作などに携わり、2023年にMIXIに新卒入社。現在、デザイン本部 動画クリエイティブ室 CGデザイングループ CG第1チームに所属。2D、3Dを問わずグラフィックを用いて、ゲーム関連の広告映像や新規映像コンテンツ、バスケットボールやサッカーの試合会場で使う映像など幅広く手がけている。

2023年に新卒入社し、デザイン本部のCGデザイングループに所属する山本 聡太。主に、ゲームやスポーツ事業にまつわる映像制作に携わっています。チームのスペシャリストたちに教わりながらスキルを磨いてきた若き映像デザイナーが、壁を乗り越えて得た学びや、飛躍のチャンスを求めて挑戦し続ける想いを語ります。自分の想定を超える動きで強みを模索する。周囲に助言を求め、さらなるスキル向上へ

ひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」(以下、モンスト)関連の映像や、3D、モーショングラフィックス(文章や画像、イラストに動きを与える技術)を使った映像などを制作するCGデザイングループ。中でも、CG第1チームの山本が関わる案件は実にさまざまだと話します。

「私はゲーム関連の広告映像や新規映像コンテンツのほか、スポーツ事業の映像を主に手がけています。たとえば、新キャラクターが発表される時のプロモーション映像や、プロバスケットボールチーム『千葉ジェッツ』、プロサッカークラブ『FC東京』の試合会場で流す映像もつくっています」

仕事は制作にとどまらず、ディレクターの役割を兼ねて事業部とのやりとりや進行管理も担うことも多いと言います。

「映像制作を依頼された時には、事業部が示す大まかなイメージに対して、映像・CGデザインの観点から最適な手法や効果的な表現を織り交ぜて内容を提案し、具体化に向けて道筋をつけていくという流れです」

職場を見渡せば、専門性の高いメンバーが多く、日々刺激を受けているという山本。

「スペシャリストがそろう中で経験の浅い自分に仕事を任せてもらうためには、他のメンバーに積極的にフィードバックをもらいにいったり、制作方法を真似てみたりする中で、自身の得意領域をつくり、それを広げていくしかないと思っています。
最初は誰かにアドバイスを求めることに少し抵抗があったのですが、上司から『さまざまな経験を経たスペシャリストたちと一緒に仕事ができる環境にいることを活かした方がいいよ』と背中を押されて。そこからは、閉じた環境で制作をしていても得られるものはないなと思って、自分の考えは持ちつつ、積極的に意見をもらいにいくようになりました。
そんな中で、新たな気づきがあったんです。学生時代にアルバイトで制作していた、ライブイベントなどで流す抽象的な映像はなんとなくかっこよければ観客も喜んでくれると思っていましたが、自分の作る映像には『メッセージ性』や『訴求』の追求が欠けていると教わりました。ストーリー性や、文字の視認性が売上に与える影響、ユーザーの興味を引く映像の構成など、伝達手段としての映像を考える上で学ぶことがたくさんあります」

さらなるスキルの向上をめざす山本は、自分の殻を破るために挑戦していることがあると明かします。

「表現を追求する上で、自分のスキルの限界や納期を気にして『この手法は無理だ、やめておこう』と諦めることはしたくないなと。現時点の自分でできることはたかが知れているので、自分の想定を少しずつ超えるような動きをしていかないと、突出したものを身につけることはできないんじゃないかと思っています」

大規模な演出でユーザーの熱狂を生み、それを間近で見られる仕事に惹かれてMIXIへ

大学時代には工学部デザイン学科に籍を置き、よりよい顧客体験を提供する仕組みをつくる「サービスデザイン」について学んでいた山本。在学中にたまたま足を運んだ音楽イベントで、その後の道を決定づける出会いを果たします。

「そのイベントで、同じ大学の先輩デザイナーがVJ(Video Jockey)として映像を使って空間を演出する姿を見て、かっこよく感じたんです。その先輩のように活動したいと思い、さっそく翌日に先輩がいる学内の映像制作サークルの門をたたきました」

その後、先輩デザイナーの手伝いや制作会社でのアルバイトで、アイドルのライブイベントの背景演出、ミュージックビデオの制作などに携わる傍ら、就職活動も始めました。

「大学で学んでいたサービスデザインと、アルバイトなどで触れていた映像デザインの2軸で就職先を探していたところ、出会ったのがMIXIでした。とくに惹かれたのが、大規模な演出で多くの人たちの熱狂を生み、そのユーザーの反応を直に見られる仕事が多いという点です。実際に働いている人たちがエネルギッシュで、楽しそうに仕事をしているのも魅力的でしたね。
人事の方と何度かお話をする中で、キャリアについて深い話ができ、自分のやりたいことを一緒に言語化してくれたその姿勢も入社の決め手になりました」

入社後はCGデザイングループに配属され、当初は小規模な案件から関わり始めた山本。

「番組の一つのトランジション(動画のカット間のつなぎを自然に見せる効果)を作るなど、部分的な業務から始めました。そこから『DREAMDAZE(※)』の、1カットを担当するなど、徐々に規模の大きい案件を任せていただけるようになっていきましたね。OJTで指導役のマネージャーから日々教わり、毎月面談していただきながら業務に慣れていった感じです」

入社から間もない時期に、あるチャンスが舞い込みました。DREAMDAZEの注目度が高いキャラクターに関して、キービジュアルのトランジション制作を任されたのです。

「上司は、日頃から積極的なチャレンジを行う私に『いろいろと挑戦させたい』と思ってくれたようです。
この案件では、上司からたくさんのフィードバックをいただく中で、ユーザーがそもそも何を楽しみにしているのかを把握し、具体化する大切さを知りました。映像が切り替わり、初めてキャラクターの絵が登場する瞬間には、皆さんの目がキャラクターに向くようにしなければなりません。さらに、スクリーンが横長だったので、真ん中に登場して横へと展開する演出がおもしろいんじゃないかとか、現地の特性を活かした演出も学びました。
完成した映像がたくさんの観客の前で公開された時には、会場が想像以上の熱狂に包まれていて感動しましたね。隣にいた同期社員と一緒に、良かった〜!と盛り上がったのを覚えています」

※ モンストをはじめとするゲーム世界を全身(からだ)で感じる未体験ライブエンターテインメントショー

新卒入社2年目で任された総合ディレクター。苦しい進行の中で多くを学ぶ

これまでの仕事でもっとも大変だったのは、新卒入社2年目にして初めて総合ディレクターを任されたモンストのキャラクターの新形態発表に伴うプロモーションビデオ制作だったと振り返ります。

「社内のメンバーに加えて、3社の協力会社に入ってもらったプロジェクトです。3カ月という制作期間の長さや予算を与えられた案件を担当するのも含め、初めての経験でした。
かなり多くの関係者が各段階でチェックするという複雑なプロセスもある中で、プロジェクト全体の業務量を甘く考え、苦しい進行になってしまったのは反省点です。基礎的な知見がないにもかかわらず3Dを多く使う構成にしてしまって、自分の『やりたいこと』と『できること』のバランスがうまくとれていませんでした。
結果的に、メンバーに連日遅くまで手伝ってもらってなんとか納期に間に合わせた形となり、全体を見通したスケジュール管理の大切さを痛感しました」

協力会社への対応に関しても、試行錯誤しながら大きな学びを得たと言います。

「協力会社の方に、『キャラクターにこういう動きをさせるようにつくってください』と伝えようとしても、思ったように伝えられないことがあったんです。めざす表現や意図を伝える難しさに直面して、困ったシーンもありました。
そこでは、他メンバーが普段コミュニケーションで意識していることを聞けたのが助けになりました。協力会社に渡す指示書により具体的に書き込んだり、イラストを描いて視覚的に説明したり、さらには参考映像を見せたりと、自分なりにメンバーからの助言を参考に、工夫を凝らして乗り越えていきました」

このプロジェクトを通じて、自らの飛躍の糧をつかんだと実感している山本。

「社内の制作側と協力会社の間に入った時には、自分が単なる意見の受け渡し役になってしまっていると気づいた場面もあって。ディレクターの役割としてプロジェクトに入っている以上は、まず自分の軸や意見をしっかりと持った上で、立場と責任をもっと明確に意識しなければならないと肝に銘じました。
また一方で、以前チームのセミナーで学んだUnreal Engine 5というゲームエンジンを取り入れ、新しい技術の活用に挑戦できたのは収穫だと思っています。いろいろな意味で、自分を大きく成長させてくれた案件でした」

目標は固定しない。技術革新のスピードを意識しながら、自分も変化し続ける

山本はMIXIの企業理念、PMWV(※)の「ユーザーサプライズファースト」という考え方を、普段の仕事の中で大事にしていると話します。

「どの案件でも、ユーザーを驚かせるポイントを盛り込むように意識しています。それは1カットの場合もあれば、全体を通した要素という場合もあります。
また、ユーザーに幸せな驚きを届けるためには、社内の事業部側や制作側も驚きや楽しさを感じながら仕事をしていきたいと思っています。こちらが楽しんでいると、そういう雰囲気はユーザーにも伝わるはずなので。
その実現に向け、自分が楽しいと思えるような体験を常に探しています。世に出回っているミュージックビデオや広告映像を見たり、使ったことのないさまざまなツールを積極的に使ってみたり。バスケットボールで言えば、経験のためにアメリカのプロリーグNBAや、国内のBリーグ試合会場の現地視察に参加させてもらい、どのような演出で盛り上げているのか学ばせていただきました」

MIXIの仲間たちについても想いをはせ、「PMWVのVALUESの中でも『夢中』を体現している人が多いと思う」と語ります。

「周囲を巻き込んで何かを実現しようとする人がたくさんいて、それが『MIXIらしさ』かなと。たとえば、デザイン本部で新たな案件にとりかかる時には『最近、あの分野に挑戦していたあの人にも声をかけてみようよ』と自由にアサインし、輪が広がっていく感じで素敵だなと思っています。
社内の各所にチャレンジする人がいて、そういう人に協力的なアクションを起こす体制が整っていると感じています」

社内には自分の知見を積極的に共有する人たちも多く、「いい循環が生まれている」という言葉を実感を持って伝えます。

「専門性の高いデザイナーたちが知見を惜しみなく共有してくれるほか、社内で新しいツールを学ぶセミナーや、外部の講師を招いた勉強会を開いてくれて、チーム全体で成長していこうという雰囲気がありますね。かつてのアルバイト先などの環境では知見を言語化して共有するような文化があまりなかったので、入社してからとくに驚きました。私も今後、学んだことは可能な限り社内に還元していきたいと思っています」

そして、自らの今後について「技術革新のスピードを意識しながら、同じ場所にとどまらず成長し続けていきたい」と話す山本。

「目標というものは、あえて固定しすぎないようにしています。自分の専門をどこに据えていくのかということや、AIの進化などの状況もあり、数年後ですらどんな仕事をしているのか予測できない部分があるので、自分自身も変化しながら柔軟に物事を考えていきたいです。
同時に、楽しんで新しいことにチャレンジする姿勢は貫いていきたいなと。まだ携わったことのないような分野や媒体での制作もそうですし、作り手側として楽しんで映像を作り、それを1ユーザーとして楽しんで、といったサイクルをもっと高いクオリティで行えるようなデザイナーになっていきたいと思います」

※ PMWV……MIXIの企業理念。PURPOSE「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」MISSION「『心もつながる』場と機会の創造。」MIXI WAY「ユーザーサプライズファースト」VALUES「発明・夢中・誠実」
※ 記載内容は2025年1月時点のものです

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