ひと口にマネジメントといえど、そのスタイルは様々。
チームメンバーや部下、組織や技術、やり方も多彩にあります。このシリーズでは、”エンジニア”のマネジメントを担うメンバーに焦点を絞り、「エンジニアマネジメントってどうしてる?」と悩みや独自のやり方などを赤裸々に語ってもらい、メンバーの多種多様な”マネジメント観”を中心に、そのノウハウをお届けしていきます。
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スキルにあった人材は、探すのではなく、育てる〜エンジニアのマネジメントどうしてる? #01〜
自由に働いてほしいからこそ、責任も意識してもらう〜エンジニアのマネジメントどうしてる?#02〜
第3回目は、開発本部インフラ室ネットワーク開発グループのマネージャーを務めている上竹に話を聞きました。
──ネットワーク開発グループは業務委託の方も含めて5名全員がエンジニアのチームだと聞いています。マネージャーとして意識していることはありますか。
組織の成果を最大化させることです。求められているパフォーマンスを発揮してもらうことに責任を持つ、と言うとわかりやすいでしょうか。
──なるほど。
それから、チームのメンバーに「いかに経験を積んでもらうか」も大事にしていて、あれこれ言わなくても、それぞれが自省して成長できる組織を目指しています。本人に改善できるポイントがあったとしても、誰かに指摘されるだけだと身に付かなくて、経験を通して自分で「そういうことか!」と気づくこと。なるべくそんなかたちで成長できるように、促してあげたいと思っています。
──自分で気づいて学ぶ方が、しっかりと身につくということですね。
そうですね。これは私が上司に育ててもらったやり方です。なるべく自分で気づいて成長してほしい、とはいえ、現場では成果を上げないといけないので、タスクを任せるときは、部下にどこまで意思決定できる余地を持たせるのかを意識していますが、その塩梅が難しいです。以前、部下にタスクを任せて見守っていたら、他部署の方から「〇〇さんは指示をもらっていないようですが、大丈夫ですか」と言われてしまったこともあります。
──外から見ると、上竹さんが何も言わずにほっといているように見えるんですね。
そうそう…。良かれと思ってやっていても、周囲を不安にさせてしまうのはダメですね。なので、自分がどういう風に部下にタスクを渡して、どう成長してもらうか、といったことは上長や周囲になるべく共有するようにしています。
──でも任せたままだと大きく方向を間違えることもありそうですよね。タスクの大枠や作業の流れを理解しているかはどうジャッジしているんですか。
そこは、普段のコミュニケーションの中で「どうやろうと思っていますか」「これどんな感じにする予定ですか」と、簡単に確認するようにしています。
──上竹さんは部下のことをかなり気にかけているんですね。
メンバーの中でも習熟度に差があるので、気にかける度合いなどはメンバーに応じて変えるようにしています。グループの人数が増えれば、マネジメントのスタイルは変わるかもしれません。
──マネジメント業務を通して、学んだことはありますか。
事業のマイルストーンによって、求められるものが全然違うことに気付かされました。多くのユーザに継続的に遊んでいただいている『モンスターストライク』と新規事業では、求められるものが大きく変わります。とにかくコストをかけてでも事業成立のスピードをあげる必要があるのか、クオリティを担保しながらいかにコストを抑えるのか、それは事業のその時々で変化します。こういった状況の変化を出来るだけ敏感に捉えて、チームやメンバーに共有するようにしています。
──その変化はどうやって捉えているんですか。
部の共有の場や上長との1on1の時間を活用して話を聞くなど、積極的に情報収集をするように心掛けています。部下にも、求められるクオリティ・スピード・コストのバランスを感じとれるようになってほしいと思っているので、あくまでも私が感じたことではありますが、今どういったバランスを求められているかは細かく伝えたいと思っています。
──求められていることの優先順位を自分で判断できるようになれば、エンジニアとしての市場価値も上がりそうですね。
そうですね。さらに言えば、中長期的な安心も担保できるようにもなってほしいです。例えば、「◯◯のやり方で実装すると時間はかかるけれど、長期的に見ればコストを削減できる」、などの方法に気付いて、提案するとか。ただ言われたものを作るだけではなく、自分で判断して動きながら経験を積むことで、より加速度的にステップアップできるのではないかなと思っています。
上竹にマネジメントについて聞いてみたら、こんなポイントがありました。
「部下が自ら気づいて動ける環境をつくることで、学びを最大化させる」
誰かに言われるよりも、自分自身で気づいて行動する方が経験になるという意図で、上竹は部下の作業に口出ししすぎずに、見守るスタイルを取っています。とは言っても、マネージャーはチームのパフォーマンスに対して、責任を持つ立場。綿密にコミュニケーションを取りながら、タスクの進行状況の把握に務めていました。
このシリーズでは、引き続き、ミクシィグループ内の”エンジニアのマネジメント”の実態やノウハウを紹介してまいります。