マネジメントはプログラミングに似ている?どちらも情報の“流通”が鍵〜エンジニアのマネジメントどうしてる? #08〜

マネジメントはプログラミングに似ている?どちらも情報の“流通”が鍵〜エンジニアのマネジメントどうしてる? #08〜

ひと口にマネジメントといえど、そのスタイルは様々。チームメンバーや部下、組織や技術、やり方も多彩にあります。このシリーズでは、“エンジニア”のマネジメントを担うメンバーに焦点を絞り、「エンジニアマネジメントってどうしてる?」と悩みや独自のやり方などを赤裸々に語ってもらい、メンバーの多種多様な“マネジメント観”を中心に、そのノウハウをお届けしていきます。

第8回目は、『家族アルバム みてね(以下、みてね)』の運用・開発を行うみてね事業部の開発グループを担当する酒井に話を聞きました。

酒井 篤 みてね事業部 開発グループ マネージャー
2011年4月ミクシィ入社。mixi日記・mixiボイスの各種改善を行った後、mixiモール・mixiマイ取引など新規事業を複数立ち上げ、その後、会長の笠原とともに初期メンバーとして、『みてね』を立ち上げ、開発グループ全体のマネージャーを担当。

 

理想は、流れてくる情報を拾うだけ

━━早速なのですが、マネジメントにおいて大事にされていることはありますか?

私はエンジニアなので、どうしてもプログラミングと紐付けて考えてしまうのですが、マネジメントとプログラミングって似ていると思うんです。

━━どういうことですか?

システムを構築する時と同じで、なるべくひとつのシステム・クラスが与える影響範囲は必要最低限に設定する。チームに置き換えると、「あっちのチームが終わらないから、自分のタスクに取り掛かれない」「向こうのチームの事情を知らないから決められない」といった状況に陥らないように、それぞれのチームに適切な責務を任せて、影響範囲はなるべく最低限にしておく、ということです。

━━それぞれの役割や分担を明確にするわけですね。

そうですね。50名規模のチームだと、事業にまつわる情報も粒度が様々で、色々な情報が飛び交います。その中で、“情報の流通”はとても重要になってくるんです。

━━流通?

目の前の仕事に取り掛かるための情報が欲しいのに、それ以外の情報を共有されても入ってこないし、妨げになることもあるじゃないですか。情報を精査することにエネルギーを使うのって、もったいないと思うんです。

だからこそ、必要な情報を必要なところに届けるために、“情報の流通”が大事で、これを実現するためには、スクラムよりもプロジェクト制にしてそれぞれの責務をハッキリさせることがベースとして必要なのではないかな、と思います。

 

ビジネスのスケールとともに迫られた体制移行

━━では、今の体制はいわゆるプロジェクト制なのでしょうか?

そうですね。ただ、開発体制をガラリと変えたのはほんの数ヶ月前の話で…。もともとは、2つのスクラムチームを「ラージスケールスクラム」というフレームワークを使ってまとめていたのを、課題ごとにプロジェクトチームを立て、そこにメンバーをアサインする形に変更したんです。

━━スクラムからプロジェクト制に…かなり大胆な移行ですね。

そうですね(笑)。プロジェクト制は、アサインするメンバーを決定する場面などでマネジメントコストが増えることが想定されたりとデメリットを感じることもあったのですが、得られるメリットと比較しながら慎重に挑んだ変更でした。さらに、エンジニアだけでなくデザイナーやマーケターなどの業種も含めた組織全体の変更だったので、入念に進めていく必要がありました。

━━移行に踏み切った理由は何だったのでしょうか。

『みてね』のビジネスがスケールしていき、やりたいことがどんどん増えていくなか、大きな施策だけでなく、キャンペーンやプロモーションなどの差し込みのタスクも増えてきて、様々な粒度の情報が錯綜する。そして、6年も続けているプロジェクトだと技術的負債も無視できなくなってくるんです。

その中で、従来の体制だと作業の優先順位を付けるのが複雑で難しく、メンバーからも動きにくくなっているという声を聞いていました。今は50人程度の組織ですが、これが拡大していくと体制を変えるのは難しくなっていく…。「今しかない」と移行に踏み切りました!

━━今の体制にいたるまで、どのように進めていったのでしょうか?

まずは他社の開発体制を参考にしながら、事業部内のメンバーに課題をヒアリングしていきました。それで、最もうまくいくのではないか、と思ったのが現在のプロジェクト制です。斬新な体制ではない割に、ガラッと変えることにはなるので、提案した当初は「もっと慎重に進めたほうが…」と指摘されることはありました(笑)。

━━実際に体制を変えてみて、いかがですか。

体制を変える前は、“長期的に同じメンバーと仕事を重ねる”方が効率がいいのではないかと思っていました。ですが、今となってはプロジェクト制で“数ヶ月で一緒に働くメンバーが変わる”方が、仕事に新鮮に取り組めるし、メンバー同士での交流も広がるし、と心機一転にはなったのではないでしょうか。

また、新しい体制では、プロジェクトチームにかなりの裁量があるので、プロジェクトに所属するメンバーが納得しながら仕事しやすいですし、個々人の資質も活かしやすい。“情報の流通”に関しても、以前よりそれぞれの組織に共有すべき事項が明確になりましたし、クイックに開発を進められる素地は出来つつあるのかなと思っています。体制変更後、隔週で「開発プロセスに関する振り返り」のミーティングを行い、なにか不具合は起きていないか、うまく進められそうかなどの確認をしています。幸い、その中でポジティブな意見もよくでてきているし、長期的に考えると変えてよかったなと感じます。

ただ、役割分担を行っている分、プロジェクト内のメンバーが長期的な休みなどに入った場合、タスクを再調整しないといけない、など、まだ対応しきれていない課題があることも事実。引き続き、適宜修正を行いながら、よりメンバーの皆さんが働きやすい、動きやすい環境を整えていけるといいなと思っています。

 

今回の学び

酒井にマネジメントについて聞いてみたら、こんなポイントがありました。 

 「事業のフェーズに合わせて、最適な“情報の流通”方法を模索する」

10数人で立ち上げたプロジェクトなら、プロジェクトの隅々まで各メンバーが把握することは難しく有りませんが、酒井いわく50名を境に大きな壁があるといいます。ちょうどその壁に向き合っている今、酒井が挑んだのは大きな体制の変更。適切な情報を適切な場所に“流通”させるためには、体制さえも変更する。こうしたはメンバーそれぞれの仕事のしやすさや、ひいては事業の継続性に関わってくるのではないでしょうか。

 

このシリーズでは、引き続き、ミクシィグループ内の”エンジニアのマネジメント”の実態やノウハウを紹介してまいります。

 

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