社長室は、100億円、1000億円の事業を 生み出すための戦略家の集まりだった。

社長室は、100億円、1000億円の事業を 生み出すための戦略家の集まりだった。

「社長室」と聞くと、秘書業務や経営企画というイメージが湧く方もいらっしゃるかと思います。ミクシィの社長室も社長のお世話をメインに…と思っていたのですが、よくよく話を聞いてみると、他社と比べると一味も二味も変わった仕事を担う部署。社長室がどんなミッションを担い、日々どんな仕事をしているのか?その実態に迫るべく、室長・石井(写真右)と金丸(写真左)に話を聞きました。

  

社長室のミッションは、“会社の戦況を変える決定的な仕事をする”。

 

━━━━まずは、どんな仕事をしている部署なのか教えてください。

金丸 ミクシィの社長室では大きく分けて、社長支援、新規事業支援、事業支援という3つの業務を手掛けています。社長支援は文字通り社長(木村)のサポートで、例えば社長が経済同友会で発表するための資料作成など、会社にチャンスを近づけていく活動が中心です。新規事業支援は、新規事業の立ち上げまでをサポート。事業が軌道に乗ると部に昇格するので、その後は事業責任者にバトンタッチしていきます。そこで事業がうまく成長しない、伸び悩んでいるなどが出てくると、社長室で巻き取っていくという業務が事業支援です。新規事業はいわゆる01フェーズ。既存支援は11010100のフェーズなのかなと思います。

石井 社長室と経営企画室は似ているようで異なりますよね。

金丸 経営企画室は、会社を正しくガバナンス化して運営・管理していくことが中心。一方で社長室は、事業を通じて会社を成長させていくことが役目。新しい価値を世に生むことで会社を支えていくことだと考えています。

石井 社長室の掲げるミッションは、“会社の戦況を変える決定的な仕事をする”。戦況を変えるというのは、会社全体の売上や利益が大きく変わる事業を作る、ということです。すでに市場規模があるところにミクシィが食い込んで、戦略的に行動した結果、成功してミクシィが次のステージに行ける、というところまでを見据えています。

例えば作ったサービスがヒットして10億円の売上を得た、というくらいだとインパクトとして弱い。12年は事業継続できるかもしれませんが、それは“会社の戦況が変わった”とは言えない。ヒットはしたけど、ゼロになる恐怖があるわけです。事業拡大のフェーズで正しくキャッシュを投下して、戦略を立て、コツコツと収益を上げながら、もう一度大きなチャレンジをするのが理想的な進め方ですよね。

金丸 ミクシィがこだわっているのは、自分たちの強みをうまく使って、優位性を活用しつつ、独自のポジションを作って勝っていく、という姿勢です。ミクシィのサービスは、“コミュニケーション”という軸があるので、私たちがそのサービスをやる意味を見いだせるかどうかを精査することも大事です。「Why mixi?」という文脈は、会社を大きくスケールさせていく上で欠かせません。単発的なヒットで終わってしまうものを生み出すことは、我々の仕事ではないと思っています。

石井 社長室が目標としているのは、ミクシィで働く全ての社員が「今後もやっていけるんだ」と安心したり、勇気づけられたり、いい人材が入社したり、株が上がったり、という良いスパイラルを生むことです。サステイナブルな事業をしていくためには、すでに市場規模のあるところに食い込んでミクシィらしい強みを生かしてリノベーションするということです。

金丸 社長室が“会社の戦況を変える決定的な仕事をする”というミッションを決めたときに、「会社を成功に導くのは自分たちの手」というみんなの行動を束ねるメッセージ性が生まれたと思います。

石井 一般的な企業では、「会社全体がこういう形になりたい」という計画があったとしても、それを直接体現する組織というのはあまり聞きません。ミクシィの社長室は、“事業を預かって変える”という形で会社の経営に貢献していくイメージ。つまり、それを体現するために、未知の領域に乗り出してトランスフォームしていかないといけない。社長の「こういうのをやりたい」「できるか判断してほしい」「いざやってくれ」という要望を受けるのが社長室の役割だと思っています。

金丸 社長からはシードの状態でボールが来たりもするので、それを事業化するためには、まずどんなプレイヤーが必要なのか?という調査から始まることが多いですね。事業を立ち上げていくためには、こういう人たちの知恵を借りないといけない、手を組まないといけない、といった渉外活動も出てきます。手探りで業務を進めていく中で、どういうポジションでどんな価値を生み出していくのか、ミクシィらしさはどう出していくか、ということを詰めていきます。

 社長室は社長直下のグループと聞くと、“カッコいいことをしている人たち”というようなイメージを持たれることが多いと思いますが、実際は“泥臭い”という言葉が良く似合う(苦笑)。「これが正しいのだろうか?」と日々悪戦苦闘しながら、それでも前に進めるしかない、という思いの中で突き進んでいる部分もあります。一番苦しいところを支援しても、それが成功して上手くいけば、そのトップに光が当たるわけですからね。

石井 ずっと黒子、縁の下の力持ち、という立場ですよね。

金丸 そうですね。新規事業であれば立ち上げ、既存事業であればグロースさせるというゴールに行きつくためには、裏方ではありながらそこにいるメンバーよりも強い意思と、高いスキルがないと、なかなか支援が成り立たないと思っています。なので、社長室のメンバーに求められるものは割と難易度が高いものになりがちだとは思うんですよ。

石井 ミクシィの社長室というのは、一般的な社長室のイメージとは全く違うかもしれませんね。

━━━━てっきり社長のスケジュール管理や庶務的な秘書をイメージしていました。

金丸 全然違いますね。余談にはなりますが、以前、子どもの保育園に就業証明書を提出したときに、保育士さんから「お父さんは秘書さんなんですね!」と言われたことがありました(笑)。

石井 そのイメージからするとかなり大きくかけ離れているかもしれませんね(笑)。

━━━━これまでに経験した中で、一番思い出深い仕事はありますか?

金丸 プロスポーツクラブやアスリートを新しい形で支援するスポーツギフティングサービス『Unlim(アンリム)』の立ち上げサポ―トでしょうか。

※『Unlim』は株式会社ミクシィと一般財団法人アスリートフラッグ財団によるプロスポーツクラブやアスリートを新しい形で支援するスポーツギフティングサービス。2020219日よりスタート。

石井 『Unlim』はスポーツ事業を始めたときに、もっとスポーツを魅力的なものにしていきたい、という熱意から生まれたサービスでしたね。スポーツの選手生命は短い。しかも長く頑張っている人ほど、第二の人生を歩むことが困難になりがちです。例えば、29歳で骨折しケガから復帰できなかったら、そこからサラリーマンに転職できる人もいるかもしれませんが、36歳以降の選手はリスタートを切るハードルが非常に高いケースもある。それはおかしくないだろうか?みたいなところからスタートさせたプロジェクトでした。ギフティングサービスを通じて、社会的な意義を見出していきました。

金丸 もともとスポーツ事業部が構想を練って、紆余曲折あって“ギフティングサービス”という形に辿り着きました。その上で、ビジネスモデルをどうミクシィらしく尖らせていくのかという戦略立案の支援という形で、私が入らせてもらいました。この案件に関しては、アイデア自体は事業部のほうにありましたが、よりサービスの独自性を生み出す支援をしました。

 ━━━━具体的には?

金丸 事業として運営していくためにやることとやらないことを、事業部にヒアリングしながら支援していきました。プロジェクトに入った初日、メンバーにヒアリングすると実現したいアイデアはたくさんあるものの、体系的にまとまっておらず、いいものも悪いものも玉石混合しているような状態でしたので。その状況を整理しサポートしました。

石井 プロジェクトの中でのコミュニケーションとしては、事業部のボスである部長と社長と日々やりとりが発生します。私たちはあくまで黒子なので裏方に徹するわけですが、事業部のリーダーにリードしてもらいながら、コミュニケーションの裏側には常にいて、うまく橋渡しできるような役目を担っていた感じでしたね。

金丸 きわめて新規性が高い事業を取り扱うことが多い中で、自分たちが成功させて事例を作っていく。これは、コンサルティングファームにいてもなかなか経験できないことだと思います。一方、事業会社の経営企画にいても、事業そのものにコミットしていくケースは少ない。ミクシィの社長室が事業に関わるときは、必ずハンズオンで事業にどっぷり入り込み、メンバーに近い形で入っていくことが多い。各部と近い距離感で関わる経験はなかなかできないでしょうね。実行もすれば、戦略も見れば、管理もする。ある種PMみたいなこともする、というハイブリッド的な仕事は他の会社では味わえない部分かと思います。

石井 確かに。トータルに関わっていくところが、ミクシィの社長室ならではですよね。

金丸 私自身は事業会社で経営企画的な部署にいたこともありますし、コンサルティングファームで戦略を作っていたこともあるのですが、これを両方経験できる場所ってあるのだろうか?と疑問に思っていました。事業側とコンサル側というのはぶつかりがちなところだから難しいのだろう…と。ですが、ミクシィの社長室の話を聞くとそのようなフィールドだったので、他の会社の選考を一切受けずにミクシィへの入社を決めました。

 

会社のトップの着想に触れることで得られる新鮮な刺激 

━━━━なるほど。事業の戦略から実行、PMに至るまでトータルに携われるからこそ、達成感も大きくなるんですね。他にも社長室ならではの面白みはありますか?

金丸 まず一つ目は、トータルな仕事に携われるからこそ、高い視座と技術的な成長が得られるところだと思います。

石井 例えば「サッカーチームを作ろう」という話になったときに、日本で、世界で、最もインパクトが出せる方法は何か?という議題に対する社長の答えは、「外国車に乗ったイケメン選手ばかりを集めたチームを作る」でした(笑)。そんなことをしたら、日本中にアンチが湧く。「そんなチャラチャラしたスポーツじゃないんだ、サッカーは!」と必ずファンが怒るはず、と反論。だけど、そういうのが興行として一番盛り上がるんじゃないか。サッカーをきっかけにみんなの感情を巻き起こしていけばいいんじゃないか、という発想そのものには驚きました。

 これは一例ですけど、もちろん「それは無理」ということも「やってみよう」というケースもありますし、「もっとこうしよう」とか、その発想を元にちょっとずつ手を入れていくんですよね。

金丸 “日本中を炎上させちゃおうぜ”なんてことは、現実的にはできないでしょうけど、その着想はできないですよね。そういうのはとても勉強になります。

社長のすごいところは、見ている視座がすごく高くて、広い視点で見ると全部が一つながりのピースでつながっている部分。石井が言った通り、一見、文脈や背景、事象のないところで突拍子もないアイデアに聞こえることもあり、一個のピースだけにフォーカスすると、合理性がないように感じるんですけど、話を聞くと全体のシナジーができるように設計されている。

石井 それは、本当に社長の才能というか、尊敬に値するところですね。

金丸 とはいえ、入口、つまりアイデアの発想が非合理なだけで、出口はロジカルでないといけない。合理的に入って合理的に出ると“普通”になってしまうんでしょうね。日本の情勢や世界経済、世の中の流れを踏まえて、ポテンシャルのある領域はどこで、その中で儲かるのはこうだ、と左脳だけで積み上げていくと、ある種、ほとんど同じ形になってしまう。だけどミクシィが出してるサービスは決してそうじゃない。何よりも大切にしてるのは、ユーザーへの期待値を超えるサプライズであって、そこが独自性の高さを生み出しているわけで。ゆえに勝てる、という流れがあるのだと思います。

 私を含め、いわゆるコンサルの人たちからすると、ロジックだけでは考えられない領域を瞬時に作ってしまうところが、社長の素晴らしいところだと思っています。

石井 ただ一方で、社長と同じ視座で物事を見れる人は基本的にいないので、社長の考えを分かりやすく言語化しつつ、図にもしつつ、みんなに伝わるような形にするというのが、社長支援というところの究極的な役回りでもあるのかなと。

しかも物理的にも社長との距離が近く、自分たちのすぐそば(具体的には、1m後ろ)に座っているのも特徴の一つかもしれませんね。面接に来た方を社長室のメンバーがいる執務スペースに案内すると、「こんな近くに社長が座ってるんですか!?」って驚かれることが多いですね(笑)。

金丸 それはありますね!私はコンサルティングファームにいたから余計にそう感じますが、室長 執行役員である石井と隣同士で座っていることも、すごいことだなと。社長だけでなく、上位レイヤーの方とも距離が近くて、お昼にランチ食べながら他愛ない話ができる。「ちょっとそこに集まって、話しましょうよ」というのが成立してしまう関係性。正社員だけでなく業務委託のパートナーも同じ。だからこそ、物事を前に進めるスピード感としては非常に速いと感じます。

 前に勤めていた会社でそれができるかといったら無理ですね。社長のスケジュールを秘書に確認すると「今週は無理です。来週の金曜日の午後の遅い時間だけです」とか言われてしまいがち。ミクシィでは社長に「立ち話でもいいですか?」と聞くと、「あいよ!」という感じで答えてくださいますし(笑)。チャットもタイムリーにパッと返してくださるので。

石井 そうですね。私はそういう相談には、すぐに反応したいと思っています。最優先されるのは「とにかく早く、前に進めていこう」。それは経営陣の共通目標になってると思いますね。

━━━━なるほど。社長室にはどんなメンバーが働いていますか?

金丸 コンサル出身者をはじめ、事業会社の企画部門出身者や、営業系の事業責任者がいます。業界や職種の偏りがなく、多種多様な方が活躍していますね。ただ過去の経験で一貫してるのは、リーダーシップを発揮して牽引してきたこと、途中で投げ出さないで貫徹してきたこと、というのがあると思います。

 プロジェクトの中に入ってハンズオンでシンクロ率を高めていくためには、メンバーとの関係値の近さが非常に大事なので、ある意味社長室のメンバーは人懐っこい人が多いかもしれません。良きパートナーとして、一緒に二人三脚で歩いていけるというところも特徴だと思います。

石井 ちなみに金丸さんは、どんなタイプの人と働きたいですか?

金丸 高い熱量がある人がいいですね。スキルがジュニアレベルであったとしても、一定期間をかければ育成することができますが、“仕事への想い”というところはなかなか育てていくことが難しいもの。何かしらの原体験を持っていて、ビジネスに対して「私はこう思う」「人生に対して私はこういう軸を持っている」というしっかりした芯を持っている人のほうが、社長室に入ってフィットするとは思いますね。

執行役員 石井 公二
大学院卒業後、IT企業に物流コンサルタントとして従事した後、インドに渡り起業。帰国後は外資企業にて多国籍プロジェクトに従事し、プロジェクトマネジャーとしての経験を積む。2010年に株式会社ミクシィへ中途入社後、上海開発拠点立上げ、M&A・PMI、中国版モンスト立上げに従事した後、XFLAG事業戦略室室長を経て、2018年4月、執行役員に就任。現在は、次世代エンタメ事業本部本部長兼社長室室長を務める。
金丸 裕佑
大学卒業後、メガバンク傘下の金融事業会社にて法務部門(訴訟代理人)・企画部門(戦略策定・新規サービス立上げ)で従事。MBAを取得したのち、大手コンサルティングファームにて経営コンサルタントとして、金融業界・通信業界を中心とした上場企業の戦略策定・新規事業立上げ支援・プロジェクトマネジメント等を担当。2019年、ミクシィへ中途入社、現在は社長室戦略グループのマネージャーを務める。

 

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