世代を超えて愛されるゲームへ。ビッグタイトルに携わるエンジニアの熱意と描く未来

- 後藤 慎之助
- 情報ビジネスの専門学校を卒業。「モンスト」に関わることを前提にした「モンスト選考」でミクシィ(現MIXI)の内定を受け、インターンを経て2022年に入社。モンスト事業部のクライアントチームに配属され、VFX、企画担当と連携して友情コンボ、ストライクショットなどを実装。現在はモンスト開発部 クライアント1グループ クライアント2チームのリーダーとして、難易度の高いギミックなどの開発やマネジメントに従事する。
ひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」(以下、「モンスト」)のアプリ画面表示・操作まわりを実装するモンスト開発部 クライアントグループの後藤 慎之助。チームリーダーを務める新卒3年目のエンジニアが、ビッグタイトルの可能性を広げていくやりがいや、「世代を超えて愛されるゲームに育てたい」という想いを語ります。
チームリーダーとして実装の難しい案件を担う。チャレンジングな試みもできる環境
「モンスト」においてタイトル画面やホーム画面、クエストでひっぱって弾くプレイ部分など、アプリの起動から終了までの画面を実装しているクライアントグループ。中でもインゲーム(クエスト中の画面全般)を担当するクライアント1グループ クライアント2チームの後藤が、自らの役割を話します。
「チームには私を含めて4人いて、2024年12月からリーダーを務めています。メンバーが案件を円滑に進められるようサポートするのが私の役割で、週1回の1on1で進捗を確かめたり、相談に乗ったりするほか、メンバーの日々の業務を支援していますね。メンバーの書いたコードをレビューし、必要に応じてアドバイスするのも大切な仕事です。
リーダーとしてチームをまとめるだけではなく、エンジニアとして難易度の高い案件にも数多く携わっています。具体的には、重力バリア、ダメージウォールなどクエスト全体に影響を及ぼすギミックを開発しています。また、チーム内では『新しい遊び』と呼んでいるんですが、ひっぱって弾くというモンストの基礎となる遊びの部分はそのままに、違った雰囲気で新鮮に楽しめるような案件の開発もしています。たとえば、最近リリースされたモンスト版ローグライトとも言えるゲーム内コンテンツ『夢幻レムリア』も『新しい遊び』の一つで、いま私は初めてその『新しい遊び』の新コンテンツ開発に取り組んでいます。
こういった案件は複合的な要素が絡み合うのでまずはリーダーが取り組んでみて、その後メンバーがスムーズに実装できるようにサポートするという形で進めています。現状では『新しい遊び』の開発を完遂することが私のミッションです」
チームの環境としては「チャレンジする雰囲気にあふれている」と語り、笑みを浮かべる後藤。
「自分がやってみたいことにどんどんチャレンジできる環境なんです。コラボキャラクターのストライクショットなど、各案件を担うのは挙手制で、熱量の高い人が好きなコラボキャラクターに関わることもできます。私はインゲームのグループにいますが、入社2年目の時にアウトゲーム(クエスト外の画面全般)に関わりたいと思い、インゲームとアウトゲームそれぞれのマネージャーに相談したところ、アウトゲームを担当できることになりました。
もう一つ伝えたいのは、『モンスト』は10年以上続くタイトルだから現状に満足していると思われるかもしれませんが、決してそうではなくて。ユーザーの皆さまに支えられているおかげで安定したサービス運用ができているからこそ、目先の利益にとらわれず長期的な視点でチャレンジングな試みができています。その一つが、AIを使った開発の効率化です。たとえば、開発期間が長くコードの量も膨大になっているので、AIに『この処理ってどこにある?』と尋ね、探し出してもらうような部分で活用しています。こうして効率化のような長期的に見て効いてくる改善などを進められることで、より本質的な『おもしろさ』をつくり出すことに集中でき、これまで以上により質と量の高いサービスをユーザーに届けられるようになります。
職場の雰囲気で言えば、出社推奨日の火曜日にはにぎやかになりますね。みんなでランチに行ったり、その場で新入社員や『モンスト』初心者のメンバーと一緒に難しいクエストをマルチプレイでクリアしたりと、ワイワイ楽しんでいます」
他職種と連携し、演出や仕様について建設的な提案ができる。それがモンストエンジニアの魅力
後藤は普段仕事をする上で、「エンジニアは担当する範囲が広いからこそ、ゲームをおもしろくするチャンスが多い」という考えを大事にしていると話します。
このような価値観を持ったのは、入社1年目の時の経験がきっかけになっていると振り返ります。
「あるキャラクターのストライクショットに関して、攻撃の当たり判定の範囲が見た目に対して小さいという不満がユーザーの中にありました。私は、過去の実装をそのまま踏襲していると感じたので、メンバーやマネージャー、企画担当者に『その値を踏襲して正解なんでしょうか』『見た目に合わせ、当たり判定を適切に設けた方がいいですよね』と疑問を投げかけて、それがその後の流れを変えるきっかけになったと思っています。
当時の経験から、立場にとらわれず、気づいたことは積極的に発言し、変えていくことができると実感しました。それと同時に、MIXIでは『入社何年目の誰が意見を言っているか』ではなく、理論的な説明ができれば意見の内容自体で評価してもらえるカルチャーがあると知りましたね」
「モンスト」というビッグタイトルだからこそのやりがいも、存分に感じていると話す後藤。
「とくにやりがいを感じるのは、大きな会場でリアルイベントを開き、各地から集まったユーザーの反応を直接見られることです。イベントで発表される情報はまさに自分が手がけたコラボキャラクターや、クエストを丸ごと作るようなギミック。会場の皆さんがプレイしながら盛り上がっている様子を目にすると、開発の大きなモチベーションになりますね。逆にネガティブな反応があれば、それは一人のゲーム開発者として成長するためのチャンスだと捉えています。
また、サービスが好調で長期運営ができているからこそ、『当初は気づけなかったけどもっと良くできる』部分まで気を配ったものづくりに専念でき、他職種の人たちと連携しながら、エンジニアが演出や仕様まで提案できることもこの仕事の魅力だなと。エンジニアは、デザイナーから受け取った素材を組み立てるのが主な仕事の一つで、素材の再生のタイミングや向き、大きさなどを彼らと調整します。さらに組み立て終わった演出をエンジニアの会議内で確認し、プレイのしやすさ、見やすさなどで懸念があればデザイナーに伝えて改善するなど、密にやりとりしながらよりよいものを作ろうと心がけています」
ギミックの開発で直面した想定外の困難。複雑な案件のスケジュール管理について学ぶ
印象深い出来事として後藤が真っ先に挙げるのは、実装難易度の高いギミック「ヒットチャージウォール」を開発した時のことです。
「それまでの処理では解決できない課題があって、ヒットしているように見えてヒットしていないという状態が多く起きていたんです。その状態を防ぐため、新たな仕組みを作ることになりました。開発の最後に、基本的な動作や、他のさまざまな要素との組みあわせでもちゃんと動くかをテストするQA期間があるのですが、QA最終日の午前11時ごろになって、その新しい処理の根底を覆すかのようなバグが見つかってしまって。『これはやばい』と焦りました。
重大なバグは本来、初期の段階で見つけたいもので、最終日に見つかるのはレアなケースです。今回はコーナーケース、つまり、あまり使われないストライクショットと組み合わせた場合に起きる不具合でした。そのストライクショットを搭載したキャラクターはクエストで使用する可能性がそれなりにある予定だったので、修正は必須です。
どう直すべきかをエンジニア内で話し合った上で、チームで対応しました。修正したら今度は他のところでバグが起きるという状況にも対処しながらひたすらコードを書き続けるなど、みんなで連携して進めた結果、翌朝の5時にようやく想定通りの当たり判定に直すことができました。これが一番のハードルでしたね」
想定外の困難を乗り越え、複雑な案件でのスケジュール管理について学んだと振り返ります。
「ほとんどの案件ではQAの期間が1週間と決まっているのですが、複雑な案件については2週間を確保するなど、余裕を持って開発する大切さを痛感しました。作業には他職種の人たちも絡んでいて、デザイナーはコラボの演出制作に8、9割の時間を費やしている中、さらにギミックの素材も作ってくれているんです。ギミックの素材制作については早めに締め切りを引いておくことや、エンジニア側も使用する可能性が高いキャラクターを事前に聞いておき、必要に応じてその組み合わせの挙動をある程度は見ておくなど、事前の調整が欠かせないと感じました」
MIXIに入社して3年が経ち、とくに「課題解決能力」の面で自らの成長を実感していると語る後藤。
「エンジニアってコミュニケーションがそんなに必要じゃないのでは、と思う人がいるかもしれませんが、『モンスト』のエンジニアは各所とやりとりすることが本当に多いんです。限られた時間の中で、より質の高いものを実装するために、他職種の人たちと積極的に連携しています。
そうする中で、チャットツールでの文面も変わりました。エンジニア職以外の人も理解できるように専門用語ではない言葉を選んだり、コードの内容をかみ砕いて説明したりするようになりました。文面でのやりとりが難しい場合は会議を開いて相手と認識を合わせるなど、どうすれば円滑に進められるかを常に考えて動く能力が身につきましたね」
社内に多いのは、優しくて温厚な人。一人ひとりが秘めるものづくりへの熱量
エンジニアとして「モンスト」を盛り立ててきた後藤は、企業理念 PMWV(※)の中でもVALUESの「夢中」が自身の性格を表していると感じています。
「プライベートでも『モンスト』をよくプレイしている従業員の一人として、公式TikTokに出たこともあるほどプレイにも開発にも夢中になっています。『モンスト』に関するYouTuberの配信やSNS上の情報にも日常的に触れて、改善できそうなことを見つけたり、新しい友情コンボなどの提案や実装につなげたりしています。私の場合、いい意味で仕事とプライベートの線引きがあまりなくて、遊んで楽しみ、楽しんで作っているという感じです」
まさに日々、「夢中」を体現している後藤。MIXIの好きなところについて語ります。
「社外の人たちとも交流する中で感じるのが、MIXIで働く人たちってガツガツした感じがなく、優しくて温厚な人が多いんです。仕事をする上でも変に感情的になることなく、相手のことを思い、よりよくなるためのアドバイスをするという優しさが社風として浸透しています。その一方で、一人ひとりが胸に秘めているものづくりの熱量はとても高くて、そういうところが好きなんです」
今後に目を向けて、自分がチャレンジしたいことや、「モンスト」の将来像に想いをはせます。
「将来的には、『モンスト』にまつわるさまざまな案件に携わり、みんなをバックアップできるような存在になっていきたいですね。たとえば、AIを活用して業務効率を上げる取り組みを加速させることでメンバーたちが時間的な余裕を持ち、ユーザーのためにいっそう質も量も高い実装に注力できるようサポートしていけたらと考えています。私は新卒で入社し、まずは手を動かすところからスタートしたので、AI関連のツールの知識についてはこれからどんどん吸収していく必要があると感じています。
『モンスト』に関して言えば、老若男女が楽しめるようなタイトルに育てていきたいなと。家族で遊んでいるという話をSNSで見かけたりする中で、もっともっと世代を超えて愛されるゲームにしていけたらいいなと思い描いています。あとは、コミュニケーションツールとして使ってくれたらいいなと思っていて、たとえば4月なら新しい環境や仲間とのスタートの季節ですよね。初めて会った人同士が、つながりを深めるためのきっかけとして『モンスト』を使ってくれたらすごく嬉しいです」
※PMWV……MIXIの企業理念。PURPOSE「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」MISSION「『心もつながる』場と機会の創造。」MIXI WAY「ユーザーサプライズファースト」VALUES「発明・夢中・誠実」
※記載内容は2025年3月時点のものです