2022年4月、ミクシィは新コーポレートブランドの運用を開始しました。コーポレートブランドのリニューアルとともに、これまで掲げてきた企業理念もアップデート。ミクシィの存在意義やミッション、意思決定の軸を表現した新たな企業理念が「パーパス、ミッション、ミクシィ・ウェイ」です。そして意思決定の軸である「ユーザーサプライズファースト」を体現していくために、従業員がみんなで具体的に取るべき姿勢や文化行動指針として、 = 「発明」「夢中」「誠実」という3つのバリューを新たに制定しました。今回はこのバリューに込めた想いや開発プロセスについて代表取締役社長 木村 弘毅に解説してもらいました。
━━パーパス、ミッション、ミクシィ・ウェイに加え、「バリュー」を新たに制定した理由や背景について教えてください。
2021年12月24日に全社員に向けて、そして翌1月4日にプレスリリースとして新しいコーポレートブランドと企業理念「パーパス、ミッション、ミクシィ・ウェイ」(以下PMW)を発表しました。
PMWはこれまでに大切にしてきた企業理念、そして過去の私たちの歩みを振り返り、自分たちの強み、自分たちの振る舞い方を改めて定めなおしたものです。まず私たちの存在意義・私たちが集まる理由を定めたものがパーパス『豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。』です。そのパーパスを達成するために成すべきことが、ミッションである『「心もつながる」場と機会の創造。』です。そしてそのミッションを達成するための意思決定の軸がミクシィ・ウェイ『ユーザーサプライズファースト』となります。
いわゆるメタ認識力の高い人であれば、このミクシィ・ウェイからキチンと文脈を汲み取ってミクシィらしさを自ら体現できるかもしれませんが、より解像度高く・日々のアクションや姿勢としてわかりやすいキーワードとして明示した方が理解のブレが小さくなり、共通認識化しやすくなると考えて、更に細かいバリューとして定義しました。
ガチガチのルールというよりも、文化や暗黙知として捉えてもらえる方がミクシィらしいとは思っていて、行動指針というよりもカルチャーコードっぽい感じのワーディングになっています。
━━なるほど。その3つのバリューが「発明」「夢中」「誠実」ですね。それぞれ詳しく解説してもらえますか?
まず「発明」というバリューでは「想像を超えよう。本質を追求し、新しい視点で、大胆な発想を心がけよう。 」と訴えています。
思い返せば、私たちの会社が大きく成長を果たしてきた過程において「発明」が必ずありました。例えばSNS「mixi」ではそれまでなかったインターネット上での近しい人間関係でのコミュニケーションの価値を世に提案しましたし、「モンスターストライク」では今までモバイルゲームにはなかった、集まって遊ぶ場や機会の提供という新たな楽しみ方とエンターテインメント体験を生み出してきました。「発明」に関しては、本当に世の中を変えるくらいのイノベーションを起こすことは並大抵のことではないかも知れません。ただ、人類が進歩していくためにも、常に挑み続けなければいけないものだと思いますし、私の強い意向もあってバリューに入れることにしました。
また「発明」は、新規事業やサービス開発に限った話ではなく、例えばバックオフィスの仕事の場合「どうしたらもっと働きやすくなるか?」とか「もっと効率化するには?」と新しい発想で考えることで新しいアイデアが生まれますし、業務効率が上がったり、コストを大幅にカットすることに繋がったりします。そこで生まれた価値は巡り巡ってユーザーに返ってきます。そういったものも含めて「発明」というバリューに集約しています。
「夢中」のモデルになったのは笠原さん
━━次は「夢中」について解説をお願いします。
「夢中」というバリューでは「まずは自分たちが楽しもう。主体的に物事を動かし、仲間を巻き込み、仕事を磨き抜こう。」と訴えています。
実はこのバリューについて検討していた時、私はファウンダーの笠原さんのことを思い浮かべていました。SNS「mixi」や「家族アルバム みてね」の開発において、サービスのUI・UXに徹底的こだわりぬく笠原さんの姿勢こそがまさに「夢中」の見本であり、ユーザーに驚きを提供する原動力だと思います。
━━「夢中」というワードのアイデアは、どこからきているのでしょうか?
実は、マネジメント層からヒアリングした時に「メンバーには自発的に動けるようになって欲しい」「自主性・主体性を持ってほしい」といった意見が多かったんです。つまり「自分ごと化」ですね。それをそのままバリューにするのは、ちょっとカッコ悪いかなぁ…と思っていた時に「夢中」というワードを提案され、まさにそれだ!とピンときた感じです。
例えばサービス開発であれば、自分自身が面白いと感じ、楽しめているか?、本気で便利で良いなと思えているか?という視点で、魂を込めて徹底的に考えて磨き抜くことがユーザーサプライズに繋がると思います。なにより自分の作ったサービスや仕事が好きで夢中になれることって自分にとっても幸せですよね。
信頼関係があれば意見をぶつけ合える
━━3つ目の「誠実」はいかがでしょうか。
「誠実」というバリューで訴えたいのは「正直でいよう。どんな時も、ユーザーや仲間、自分に対して、真摯に向き合おう。」ということです。
会社員として働く上で、上司や同僚に厳しいことを意見することって、それなりにしんどいじゃないですか。なるべく波風を立てず、空気を読んで、平穏で無難に振る舞う方が楽なこともありますよね。ただ、ユーザーサプライズを考えたら、「こっちの方がイケてる」と思ったらその意見をキチンと仲間にぶつけることが大切です。それにより、アイディアは磨かれていくわけですから。
━━社長に対してでも「木村さん、それは違うんじゃないですか?」と言えるカルチャーこそが、ミクシィの強みであり「ミクシィらしさ」ということですね。
そうですね。時には摩擦が生じることもあるかもしれませんが、根底に『ユーザーサプライズファースト実現のため』という共通認識があれば、「自分を信頼してくれているから、相手は厳しい意見を言ってくれているんだ。」と受け止めることができるでしょうし、信頼関係を構築した上でコミュニケーションをとり、意見をぶつけ合いながら前進していけると思います。
覚えやすく「しっくり」する3つのワードへ
━━この3つのバリューを決定するまでには、どのようなプロセスがあったのですか?
キャッチーなワンフレーズにする案もありましたし、5つ程度のキーワードに分ける案や、ミーシー(MECE)にする案など様々な論点がありました。当初は「発明」に特化して振り切った案もあったのですが、それだと抽象度が高すぎるし、逆に解像度を上げるために増やしすぎると「覚えにくいと意味がないよね」という意見もありました。
そこでバリューに関しては、じっくり時間をかけて検討しようということになり、全従業員へのアンケートを行い、さらに各本事業部長へのヒアリングをした上で体系化し、開発していきました。最終的に覚えやすくて、カルチャーコードっぽくてしっくりくる「発明」「夢中」「誠実」という3つのバリューにまとまった感じです。
━━「バリュー = 行動指針」は言い換えるなら「カルチャーコード」なんですね?
そうですね。行動指針のことを「規律」と解釈する人もいるかもしれませんが、ニュアンスとしては「カルチャーコード」の方が近いですね。
━━バリューの今後の活用方法について、どのような案がありますか?
3つのバリューは、現時点では人事評価や採用基準への連動はしていませんが、将来的にはコンピテンシーに紐づけていく可能性などが考えられますね。
━━それでは最後に、バリューを通じてどんな会社にしていきたい or なってほしいと思っていますか?
「発明」「夢中」「誠実」という3つのバリューは、実は既存のミクシィ社員にとっては特に目新しいものではなく「そうだよね」「今までもそう思ってたよ?」と受け止められるものかもしれません。特に「誠実」というワードは社員アンケートでも非常に多く寄せられた回答で、既にカルチャーとして根付いていて、今後も継承していくべき重要な行動指針になっていると思います。同様に「発明」「夢中」についても社員同士の日々の会話の中、あるいは判断基準として自然に浸透していってくれたら嬉しいですね!
そして、自然体として、日々の活動の中からワクワクする面白いものが生まれ、それが世に広まり、世界中のコミュニケーションを前進させ、人々の温度を自然と上げてしまうような会社になれたらカッコいいなと思いますね!