ミクシィが推進する「健康経営」とは?労務部ウェルネス推進グループの担当者に聞きました。

ミクシィが推進する「健康経営」とは?労務部ウェルネス推進グループの担当者に聞きました。

「健康経営」というワードをご存知でしょうか?健康経営とは、従業員一人ひとりの健康管理を重要な経営課題と捉え、従業員のこころとからだの健康の維持・増進を支援することで、企業の生産性や価値の向上を目指すものです。ミクシィも2022年7月に「健康経営宣言」を公開しました。今回は労務部ウェルネス推進グループの長谷部優さんと日下ななみさん(保健師)に、ミクシィが健康経営を推進する背景と、具体的にどのような施策が行われるのか、お話を伺いました。

━━ミクシィも2022年7月に「健康経営宣言」を出しましたが、どのような経緯・背景があったのでしょうか?

長谷部:
まず社会的な潮流として、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけとなり、IT業界のみならず世間一般にリモートワークが浸透しました。さまざまなメリットがある一方で、「運動不足」や「生活リズムの乱れ」を感じる方も増加したと言われています。

日下:
運動不足は、筋力の低下や生活習慣病の発症リスクも高くなってしまいます。また、生活リズムが乱れることで、メンタルヘルス不調にもつながるとされています。

━━社会的に、従業員の健康維持・増進が大きな課題になっているんですね。

長谷部:
そうです。そもそも日本は平均寿命と健康寿命が上昇中である一方、少子化も進み「少子高齢化」が問題となっています。少子高齢化により今後の労働力減少が見込まれる一方、医療・介護費は上昇していて、国の財政圧迫も課題になっています。サステナブルな社会を実現するには、労働力の安定的な確保とともに、医療に頼りすぎない状況を作ることが重要になっています。

━━つまり企業にとっては、従業員の健康寿命を高めること、長く働き続けられる心身の健康づくり、そして環境のサポートが重要課題になっているわけですね。

長谷部:
はい。そうした社会的背景について当社も健康課題を認識し始め、2022年度から本格的に健康経営推進を始動することになりました。

━━ミクシィの健康課題とは、具体的にどのようなものが挙げられますか?

日下:
当社では「マーブルワーク」を導入する中で、リモートワークの頻度が本格的に増えています。昨年従業員の皆さんにアンケートをとったところ、健康上の課題として「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」「生活のリズムの乱れなどを感じる」と回答する方々がいました。また「普段から歩かなくなった」など運動不足であると聞く機会も多くなっています。

━━対面コミュニケーションの機会が減少したことで、メンタルヘルスにも影響がでていますか?

長谷部:
ミクシィの休職率は2021年度実績で0.9%でした。この数値は大企業の平均と同等であるため、決して高い数値ではありません。しかし、ミクシィでもリモートワークを導入し、出社頻度が減少したことによるコミュニケーションの複雑化、それに伴う孤独感や疎外感などメンタル不調の相談を受ける機会が微増した印象です。そのため、より一層メンタル不調者を発生させない、減らす取り組みは、当社において重要な課題と捉えています。

━━労働時間にも影響はでているのでしょうか?

長谷部:
働き方改革の動きもあり、残業時間はミクシィでも年々減少傾向にあります。しかし、現状では繁忙期などに45時間以上、残業をしている方もいらっしゃいます。労働時間が長くなると、生活リズムが乱れて体調不良になる可能性が高くなるため、会社として体調を崩さずに働ける環境作りに取り組むことが必要だと考えています。

━━他には、どのような課題がありますか?

日下:
当社が所属している健康保険組合の平均データと比べると、朝食を抜く従業員が多いのは特徴的ですね。また従業員の平均年齢上昇による疾病リスクの高まりも課題の1つです。

ミクシィの平均年齢は、2019年は33.6歳、2020年は34.3歳、2021年の平均年齢は35.0歳と年々上昇傾向にあります。一般的に年齢が上がると、肥満や生活習慣病のリスクが上がるとされていて、ミクシィでも、肥満や生活習慣病予備軍の方が増加傾向にあるように感じます。治療も大切ですが、若いうちから予防することで、元気に働き続けられるようにしていく必要があります。

━━色々な課題があるんですね。

日下:
そうですね。リモートワークを取り入れたことで「寝つきが悪くなった」「よく眠れなくなった」と回答した人が約120件、「睡眠時間が減った」と回答した人が約60件あった一方、「睡眠時間が増えた」という回答も約440件あり、人によって課題や捉え方は様々です。メンタルヘルスにも言えることですが、リモートワークが一概にポジティブ / ネガティブな影響を与えているとは言えませんが、いずれにしてもリモートワークとうまく付き合っていただくのが課題だと感じています。

「リモートワークにおけるメンタルヘルスケア」は見てほしい

━━ミクシィの健康経営として、具体的にどのような取り組みを行っていますか?

長谷部:
今期から本格的に実施した取り組み施策を、3つご紹介したいと思います。1つ目は「健康に関するe-learningの導入」です。今期は「ラインケア」「リモートワークにおけるメンタルヘルスケア」「喫煙リスク」「女性の健康」「生活習慣病」の5テーマを取り入れました。これらのテーマは、年齢・性別・役職・喫煙/非喫煙者に限定せず、関心のあるテーマがあれば、誰でも受講できるようにしています。

━━特に「押し」のテーマはありますか?

長谷部:
やはりマーブルワークが本格的に始まったことで、コミュニケーションの取り方は皆さん模索している最中だと思いますので、「リモートワークにおけるメンタルヘルスケア」は特に見てほしいですね。

━━e-learningなら、自分の都合の良い日時に受講できますね。続いて2つ目の取り組みは何でしょうか?

長谷部:
「健康に関する情報提供」です。毎月、健康をテーマにしたサイネージ(電子看板)を作成・配信しています。たとえば、先ほど課題にあげた「朝食」についてですが、朝食を毎日食べると、集中力や記憶力がアップし、仕事の効率化につながりますし、運動力・体力アップ、肥満や生活習慣病の予防、イライラが解消するなど、さまざまなメリットが期待できます。そうした身近なテーマで今後も啓蒙活動を行っていく予定です。テーマも募集中です!

日下:
また、衛生委員会では、毎月付議事項で保健師や産業医、ウェルネス推進グループのメンバーから健康関連の情報提供を行っています。

━━従業員側が主体的に学ぶ施策がe-learningであるのに対して、サイネージ等による情報提供は社内で自然と目にするタイプの施策なわけですね。

長谷部:
そうですね。従業員全体のヘルスリテラシーを高めるための施策として実施しています。今後は、より多くの従業員に関心を持ってもらえるようにすることが重要だと考えています。また健康リスクが高い従業員に対しても具体的なアクションにつながるようなアプローチを行っています。

━━3つ目の施策は何でしょうか?

長谷部:
健康保険組合とのコラボヘルス推進です。ミクシィでは、昨年度の冬から健康保険組合と提携しています。具体的には、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善によって生活習慣病の予防効果が期待できる方(特定保健指導の対象者)に対して受診勧奨を実施したり、特定の疾病リスクが高い従業員への講習や指導の実施案内を行ったりしています。

━━こうした取り組み施策は、他社の事例等も参考にしたのですか?

長谷部:
そうですね。同業種ですでに健康経営に取り組み、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」を取得されている企業があります。まずは、そういった企業の施策を参考にしました。他には、ミクシィが加入している健康保険組合で実施されているコラボヘルスのセミナーに参加し、他社事例をリサーチしました。e-learningのテーマを決める際にも、他社事例を参考にさせていただきました。

━━他社事例の中で、今後取り入れていきたい施策はありますか?

長谷部:
歩数を競うアプリを利用した取り組みや、女性の健康に特化したセミナー実施など、他にも参考にしたい企画がたくさんあります。中には、オンラインで運動会を実施する企業もあるようです。従業員の皆さんの意見を聞きながら、共感してもらえる企画から一歩ずつ進めていきたいですね。

━━現在企画を進行中のプロジェクトやイベントについて、何かお知らせできる情報はありますでしょうか?

長谷部:
今1つ企画を調整中ですので、ご期待ください!また、人事本部内で歩数をカウントする月間を設け、健康増進に向けた取り組みを試験的に実施しました。散歩が習慣化したなど健康増進にも良いのですが、コミュニケーション面での良い効果もありましたので、そうした情報も少しずつ全社展開していきたいと思います。

従業員の皆さまも、健康に関する施策のアイデアがあればぜひ教えてください!

日下:
ミクシィでは産業医と保健師と労務が一体となり「ウェルネス推進グループ」という組織で活動している点が特徴です。医学的見地を取り入れながら、健康経営施策を推進しています。また、産業カウンセラーなど社内外の専門とも協力できる体制を整えています。健康経営の施策一覧は、健康経営宣言のページに掲載していますので、ぜひご覧ください!

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