10回目を迎えたMIXIのエンジニア学生イベント「Bug Shooting Challenge」運営担当者に“人気の理由”を聞いた

10回目を迎えたMIXIのエンジニア学生イベント「Bug Shooting Challenge」運営担当者に“人気の理由”を聞いた

MIXIでは、エンジニア学生向けの1day技術イベント「Bug Shooting Challenge」(以下BSC)を定期開催しています。2018年からはじまり、2023年12月には、10回目のイベントを実施しました。今回は運営メンバーの江畑さんと、オブザーバーの北島さんにBSCの開催意義や狙い、今回新たにチャレンジしたこと、得られた手ごたえについて伺いました。

江畑 拓哉(写真右)
ソーシャルベッティング事業本部 開発室 新規開発グループ
2021年 MIXIに新卒入社。アプリケーションエンジニア。

北島 祥伍(写真左)
デジタルエンターテインメントオペレーションズ本部 事業戦略部 解析グループ 解析チーム
2019年 MIXIに新卒入社。『モンスターストライク』のデータ分析やデータ基盤構築を担当。

10回目となる、学生向け1day技術イベント

━━BSCの概要について教えてください。

江畑:BSCは、MIXIが定期的に開催しているエンジニア学生向けの1day技術イベントで、今回で10回目を迎えました。

コロナの影響によりオンライン開催の時期もありましたが、現在はMIXI本社(渋谷)を会場にオフラインで実施しています。当日は課題として用意した「サービス上の不具合」の調査・解消に挑戦してもらいます。ユーザーからの問い合わせを正確に読み解き、ログやソースコードからシステムの不具合を見つけ出し、修正まで行う。実践的なワークショップで、エンジニアとしてのベーススキル向上が目指せると、毎回、多くの学生から高い評価をいただいています。

━━どのような参加者が多いのでしょうか?

江畑:大学や大学院でコンピューターサイエンスについて学ぶ学生が中心ですが、全員が同じレベルというわけではなく、それぞれ得意・苦手含めてバラつきがあると思います。

けれど、当日はペアで取り組んでもらうので、あまり大きな問題はありません。エントリー時にペア応募された方はそのままの組み合わせですし、個人でエントリーした方については応募書類から判断し、レベルの合った学生とペアになり参加してもらいます。もしスキル的に足りていない部分があってもお互いにサポートしながら進めていけます。

━━それなら安心して挑戦できますね。

北島:そうですね。さらに運営側のサポート体制も手厚いので、そこも安心材料の一つになるのではないでしょうか。当日は、学生3人に対して現場エンジニア社員が1人サポートにつくので、わからないことがあれば、遠慮せずすぐに質問できます。講師を務める現場エンジニア社員やチューターも、各ペアの様子を見ながらフォローしていて、「回答までの道筋」をちゃんと理解できる体制で運用しています。

▲2023年12月に実施した第10回 BSC

実業務に近い、リアリティある体験を提供

━━過去9回と今回、運営における変更はありましたか?

江畑:はい。今回は「技術施策」と「不具合対応における学生の立場」について、変更を行っています。

技術施策は、「Ruby on Rails」から「Go」と「Next.js」に置き換えています。背景としては、イベントスタート時は主流だったRuby on Railsが徐々にトレンドを過ぎ、学生からも“ちょっと分からない”“触れたことがない”という話が多く出てきていたんです。運営メンバー側も同じ状況になり、運用保守を考えると「Ruby on Rails」を使い続けることが難しくなってしまった。

そこで今回、学生に人気があって、運営側でもしっかり対応できるプログラミング言語、フレームワークにリプレイスすることになったんです。

━━かなり大きな変更ですね。

江畑:そうですね、「Bug Shooting Challenge」は有志メンバーで運営されており、メンバーそれぞれが本業も多忙で、思うように作業時間を確保することが難しい状況でした。開発期間中には海外出張が発生したり、新規サービスの開発が始まったりと、最初は時間の管理に苦労しました。しかし、途中からはそれぞれが担当する役割を明確にし、その領域で責任を持ちながら作業を進めることで、効果的な時間管理ができるようになりました。

━━「不具合対応における学生の立場」というのは?

江畑:過去のBSCでは 参加者には社内のCRE(Customer Reliability Engineer)という立場になってもらい、お客様から直接問い合わせのメールをもらって不具合対応をしていましたが、今回はアプリケーションエンジニアの立場で参加してもらいました。

これにより問い合わせの受け方が変わります。Slackなどのコミュニケーションツールを通じ、CS(Customer support)から「こういうお問い合わせが来ているので、調べてもらえませんか?」という問い合わせを受けたところから対応がスタートするんです。学生は問題を解決した後、その内容を非エンジニアであるCSに伝えるところまでを経験してもらいました。

変更した理由は、私も運営メンバーもそこまでCREに詳しくなかったからです。私が所属している事業部にもCREはいなかったので、縁遠い印象が強かったんです。具体的な業務内容や仕事の面白さ、厳しさを理解できていないと感じていたので、それであれば本業のアプリケーションエンジニアとしての経験を伝えられたほうが、学生にとっても有意義な時間になるのではないかと考えました。

BSCで一番大事にしているスタンスは、“MIXIのエンジニアはこんなことをしているんだ”と学生に知ってもらうことです。そのために社員の立場になって不具合対応をしてもらうということを忘れず、運用体制を見直していきました。結果として、この変更によってMIXIの実業務に非常に近い、リアリティのある体験を提供できたのではないかと思います。

学生エンジニアからはポジティブな声が多数

━━10回目のBSC開催を終えて、感想を教えてください。

江畑:正直、イベント当日まで“これ間に合わないんじゃないか?…”とドキドキしていました(笑)。例えば、リプレイスに伴い学生に提出する課題も見直さなくてはならなかったのですが、その設計がなかなか決まらず…。これまでよりいい課題を作りたいと思う気持ちと、技術に合った課題設計になっているのか、学生は満足してくれるのかという不安が入り混じり、イベントのギリギリまで悩んでいましたね。

━━そうだったんですね。オブザーバーの北島さんはどのように見ていましたか?

北島:やり方についてはほとんど口を出さず、進捗管理だけをしていましたが、“よく間に合ったな”と思いながら様子を見ていました(笑)。それにも関わらず、当日は大きなトラブルもなくスムーズに進行していたので、さすがだなと感心していました。

━━参加した学生の反応はいかがでしたか?

江畑:イベント当日、参加した学生と一緒にお昼ごはんを食べたのですが、そこで「すごい楽しいです」「あの課題、面白かったです」などポジティブな声をたくさんもらいました。不安が大きかった分、拍子抜けというか…ホッとしたのをすごく覚えています。

他に印象的だったのは、当日アドリブで考えた課題への評価が高かったことです。複数の課題を用意していたのですが、設定していた時間よりもだいぶ早くに終わってしまいそうだったので、その場で課題を考えて追加をしたんです。想像以上によい評価だったので、驚きつつも嬉しかったことですね。

━━アドリブで課題を作れるものなんですか?

北島:普通は難しいと思います。ただ、江畑さんたち運営メンバーはこれまでの積み重ねをそのまま踏襲するのではなく、新たに自分たちのアイデアでBSCを構築しているので、そこは大きなポイントだと思います。受け継がれたものだけで運営していたら、即興で課題をつくるなんて絶対に無理だと思いますね。

江畑:本業が忙しくて稼働時間が取れなかったのでそれぞれ役割を決めたという話をしましたが、各領域を担当するにあたって、改めて「イベント方針」を定めていたのも良かったのだと思います。どういう方針で課題を作ればいいのか、どのように学生に回答してもらえばいいのか、が一瞬で判断できたのだと感じています。
基本的なことですが「指針を定める」というのは、日々の仕事だけでなくイベントにおいても重要なんだと実感しました。

学生と運営側。互いに刺激し合えるイベントに

━━BSCのこれからについて教えてください。

江畑:課題設計に関してはまだまだ改善が必要だと思うので、試行錯誤しながらより学生が満足できるイベントに仕上げていきたいですね。

それから、より注力していきたいと考えているのは、学生との関わり方です。参加学生のバックグランドなどについて触れられる時間を、コンテンツとして設けられたらと思っています。互いについて理解を深めるワークショップを取り入れる、お昼の時間の使い方を工夫する…などできることはたくさんあると思うので、そこは積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

こうした取り組みによって、MIXIに対する学生の理解も深まり、同時に私たちは学生の興味や関心についての知見を広げる機会を得ることができると考えています。ここで得たヒントから、「次回のイベントはこの方向性で進めてみよう」「この技術サービスを導入することが有益かもしれない」といったアイデアに繋がっていくと思います。

━━互いに“一緒に働きたい”と感じる可能性も高まりますね。

江畑:そう思います。実際に今回のイベントに参加してくれた学生の皆さんは、本当に優秀で、自分が考えつかなかった素晴らしい回答を提案してくれる方が多かったです。MIXIに入社したらどれだけ成長するのだろうかと、将来が楽しみなエンジニア学生ばかりでしたね。イベントを通じて、一緒に働きたいと思わせてくれる方々に出会うことができ、自分も負けないように頑張らないとと気合が入りました。開催者と参加者の垣根を超えて、互いに刺激し合えるイベントをこれからも作り上げていきたいと思います。

おまけ:第10回 BSC参加者の声(抜粋)

・実務に近いコードに対して、修正という普通では経験できないことを経験できた。
・質問しやすい環境があり、解説もわかりやすかった。
・問題を解く中でソフトウェアの設計についても学ぶことができました。
・問題内容がとても凝られており、「どのようにバグ修正を導いて行くべきか」を考えながら取り組めた。
・本来の仕事のような形で、ログから解決をするという形は初めてで面白かった。
・実際のコードに近い実装を見ることができて良かった。
・ランチの時間に実際に働いてる社員さんと一緒に話せたことが良かった。
・社員さんがバグシューティングで一緒になって考えてくれたことがすごく良かった。

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