マネージャーとメンバーがお互いに成長していく「徒弟制度」を取り入れる〜エンジニアのマネジメントどうしてる? #06〜

マネージャーとメンバーがお互いに成長していく「徒弟制度」を取り入れる〜エンジニアのマネジメントどうしてる? #06〜

ひと口にマネジメントといえど、そのスタイルは様々。チームメンバーや部下、組織や技術、やり方も多彩にあります。このシリーズでは、“エンジニア”のマネジメントを担うメンバーに焦点を絞り、「エンジニアマネジメントってどうしてる?」と悩みや独自のやり方などを赤裸々に語ってもらい、メンバーの多種多様な“マネジメント観”を中心に、そのノウハウをお届けしていきます。

第6回目は、開発本部CTO室SREグループで、5人のチームを取りまとめている小池に話を聞きました。

“親方と弟子”のように、一人ひとりとじっくり向き合う

━━早速ですが、小池さんはどのようにチームをまとめていますか。

今はちょうど、書籍『アプレンティスシップ・パターン』(2010,オライリージャパン)で紹介されていた、チーム内での「徒弟制度」を試しているところです。これは、親方と弟子の2人でメンタリングしながら、双方の成長を促すというもの。前職の経験から、ピラミッド型やウォーターフォール型で、トップが限られた少数のメンバーを育てるのは、あまり上手くいかない気がして、別のスタイルを模索していました。僕自身、同じタイミングで入社した同期がいなくて、気軽に相談できる人が欲しいと感じていたこともあり、徒弟制度ならそういった悩みも解決できるのではないかと考えました。

 ━━“親方と弟子”と聞くと、「背中を見て覚えろ」と言われるばかりで、具体的なことは教えてもらえないイメージがあります。

確かに。でも、僕が目指している徒弟制度は、そういうスタイルではありませんよ! 技術は誰か一人がレクチャーすれば良いですが、“考え方”は同じようには伝えられません。一人ひとりとじっくり向き合うには、徒弟制度が合っていると思ったんです。なので、メンバーのGithubのプルリクエストは、見るようにしていますし、たまにコメントを入れることも。逆の立場だったら、1on1が毎回進捗報告だけで終わってしまうような自分の仕事を知らない人にお世話されたくないでしょう? メンバーとは密にコミュニケーションを取るようにしています。

━━メンバーとは結構な年齢差がありますよね。コミュニケーションを取るうえで、困ったことはありませんか。

13〜14歳離れていますが、僕は年齢差が原因のズレはないはず…。メンバーに聞いてみたことはないので、実際のところはわかりませんが(苦笑)。それよりも、黒い画面をカタカタしているときの方が話しかけづらいのではないでしょうか。口数を増やして、話しかけやすい雰囲気を作れるよう心掛けています。

 ━━なるほど。

ちなみに僕は、会社の役職上はマネージャーではなく、グループの立ち上げ時から在籍していた経緯から、教える側の立場に就いたので、裁量も決裁権も持っていないんです。長年の運用の経験やノウハウは僕から教えられますが、技術の最新トレンドは、メンバーから学ぶときも多くあります。なので、必ずしも一方向の徒弟制度じゃなくても良いと思っています。実際に、1on1で僕からメンバーに採用関連の相談をしたことがありますし、その時々によって親方と弟子の役割を入れ替えてみるのも、面白いかもしれません!

 ━━つまり、チームの全員が教える側と教えられる側にもなるんですね。

はい。技術力のベースがあって、地頭も良い、信頼しているメンバーとだから実現できているスタイルです! 新卒入社のメンバーを迎えるのであれば、少し話が変わってくるかもしれませんね。

 

現役エンジニアとマネージャーを両立する「プレイングマネージャー」

━━小池さんは、これまでマネジメントの経験はあったんですか。

2008年にミクシィに入社し、少し経つとアプリ運用チームのリーダーを任されました。異動してから今までマネジメントは担当していませんでした。というのも、僕はマネージャーには向いていない気がしていて…。

 ━━どうしてですか

予算を組んだり、タスクを管理したりするよりは、インフラに強いエンジニアとして生きていくつもりだったんですが、このような役割も興味を覚えて今の立場に流れ着きました。

 ━━そうだったんですね。チームを引っ張る立場になってからは、いかがですか。

最初は手探りで、難しく感じていましたが、メンバーを育てる面白さを感じるようになりました。昔のミクシィのエンジニア職はサービスの開発をするか、管理を担当するかの2択でしたが、最近は組織が変わってきています。エンジニアとして働きながら、マネジメントの経験も積む「プレイングマネージャー」も、やれるなと思っています!

 

今回の学び

小池にマネジメントについて聞いてみたら、こんなポイントがありました。

 「“徒弟制度”を通して、マネージャーとメンバーがお互いに学び合う」

 プロジェクトの進め方や考え方は、少しずつ定着していくもの。小池は、親方と弟子のようにマネージャーとメンバーが1対1でメンタリングを行うスタイルで、きめ細やかな教育を目指していました。苦手意識があったマネジメントも、実際にやってみると、面白さを感じるようになったと、小池は語ってくれました。メンバーから学ぶこともあり、エンジニアとしてのスキルを伸ばしているようです。

 このシリーズでは、引き続き、ミクシィグループ内の”エンジニアのマネジメント”の実態やノウハウを紹介してまいります。

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