新規事業のクローズ、未知なる事業形態への挑戦。“キャリアを片足ずつズラす”ことで道が見えてきた

新規事業のクローズ、未知なる事業形態への挑戦。“キャリアを片足ずつズラす”ことで道が見えてきた

酒類メーカーで営業職として経験を積んだあと、『モンスターストライク(以下モンスト)』の事業戦略担当に就いた波多腰。この大きなキャリアの転換には、どういう経緯と思いがあったのでしょうか。今後の展望とあわせて聞きました。

ロジックと傾聴力と泥臭さで渡り歩いてきた営業職時代

━━もともとは営業をされていたと聞きました。

はい。2012年に酒類メーカーに新卒で入社し、営業職に従事しました。業務内容は、卸店から量販店(スーパーやコンビニエンスストア等)まで商流を幅広くフォローし、自社製品のお取り扱いをご提案するものでした。

━━どういう風に営業をかけていくんですか。

私の主な業務は、家庭用商材(缶ビール、缶チューハイなど)のご提案で、自社製品を使用した販促提案などを行います。例えば、缶ビールを販売して頂くスーパーの販売計画に自社商品を組み込んでいただけるように交渉する本部商談があります。採用されたら、次は計画通り商品を陳列して頂くため、チームメンバーとともに各店舗を回ってフォローしていました。さらに、量販店に商品を納品する卸店とも、需給計画や販売価格に関する商談を行います。

営業スタイルは大きく「お願い営業」「案内営業」「提案営業」「課題解決営業」の4つのタイプに分けられると思っています。どれも出来るべきですが、私は、課題解決営業の実現を特に目指していました。取引先のお悩み(売上低迷、集客悪化など)をお聞きした時に、解決策としてすぐに自社商品の販売を提案することはせず、まずは課題特定から課題解決策の提示を行います。商品で解決できるものであれば、自社他社問わない商品提案も。その他の手段が最も確度が高ければ、例えば、需給予測ツールの導入や販売計画のフォーマットを提案することもありました。

━━課題解決営業を実践するうえで、何か心掛けていたことはありますか。

ロジックと傾聴力の向上と、泥臭さです!

━━なんだかカッコいいですね(笑)。詳しく聞かせてください。

ロジックは、説得力と信頼を勝ち取るために重要です。客観的な事実(売上データや市場データ、調査結果など)に基づいた提案や分析を行うことで、納得感をもって取引していただけます。課題解決を目指す場合は、恣意的だったり、展開の飛躍があると正解にもたどり着けないと思います。
傾聴力は、情報収集と信頼を勝ち取るために重要です。お客様の声をきちんとヒアリングし、すぐにアクションにつなげることで、潜在的な課題の把握と信頼関係の獲得につながります。日頃から対峙するお客様だけではなく、様々な役割の方と接触することで一層精度が高くなります。これらのロジックと傾聴力が先ほどお話した課題解決営業の実践に不可欠だと考えています。
最後の泥臭さは、商機を引き寄せるために重要な場合が多いと考えます。私が思う泥臭さとは「ほぼ毎日会う」「現場を回り続ける」「即レス」「出来るまでやる」などなど、一見非合理に見えるものかもしれません。しかし、接点を持ち続けることで価値観の理解が増し、スピード感や応える姿勢を持ち続けることで期待感を醸成します。こうして信頼関係を構築することで、一番に相談を頂けたり、迷ったときに選択頂ける状態を作りだせるようにしておりました。

━━そこまで情熱を注いでいたにも関わらず、転職しようと思ったきっかけは何だったですか。

そもそも、30歳くらいで経営や事業運営に近いポジションでビジネスに携わりたいという思いが学生時代からありました。ですので、30歳までには少なくとも営業以外の業務を経験したいと考えておりました。ただ、いきなりそのようなチャンスを頂ける可能性は低いと思い、転職も1つの候補として考えるようになりました。

━━転職は同じようなメーカーを中心に検討していたんですか。

そうですね。候補に上がっていたのは、外資メーカーと、ミクシィの新規PL事業でした。最終的に当社を選択した理由は、今までの経験を活かしつつ、少人数のチームだったので事業運営にも携われる可能性が高いと思ったからです。 

 

クローズの経験。でも転職は考えなかった

━━どういう業務を担当されましたか。

事業のフェーズは大きく2つに分かれており、初期は営業担当、営業マネージャー。事業ピボット後(後期)はBizdev、事業責任者と、様々な経験を積ませていただきました。初期にあたる入社後、真っ先に取り組んだことは営業基盤の構築です。年間計画や戦術の作成、予実管理の仕組み作成、提案書~提案メニュー作成、ルール設計、商慣習を主とした勉強会などなど。他部門の皆様にもご協力頂きながら取り組めたため、前進することが出来ました。
また、事業ピボット後(後期)は実質的な事業責任者も経験致しました。PL*責任を担い、組織や業務のマネジメント、Bizdevなどに取り組んでおりました。飲料事業は約2年で撤退となりましたが、この間ご協力頂いたミクシィ社の皆様には感謝しかありません。

*PL…Profit and Loss statementの略。損益計算書を指す

━━やはりクローズはショックでしたか。

新規事業なのでいつクローズするかわからないリスクがあることは理解しつつも、当時はかなり悔しかったです。ただ、本当に多くの経験を積めましたし、あのタイミングでご判断頂いたことで切り替えて今の業務に取り組めています。喪失感は確かにありましたが、今となっては学びや感謝の気持ちの方が大きいです。

━━別の飲料や酒類メーカーへの転職は浮かびませんでしたか。

それはありませんでした。まだ学べるものがたくさんあると感じていましたし、納得いく成果も出さずに転職することは、損だし、ダサい。採用頂いた会社にも申し訳ないです。もし転職するとしたら、ミクシィで何をやったのか、何を学んだのか、自信を持って語れるようになってからと考えています。それは前職で転職を決めたときも同じでした。異動先としては、いくつかの部署にお話をお聞かせ頂いたうえで、最終的にモンスト事業本部事業支援室に決めました。

━━mcc*を使っての異動だったのでしょうか?

いえ、事業自体がクローズになったため異動した、という背景ですね。

*「ミクシィ・キャリア・チャレンジ制度(mixi carrer charange、通称mcc)」の略。部署毎に求人を掲載し、メンバーは所属上長への相談や許可がなくても求人に応募でき、条件に合致すれば社内異動が実現する

━━モンストはこれまで経験されたリアルな商談をしていくビジネスとは異なると思います。これまでの経験をダイレクトに活かしたいとは考えなかったんですか。

これまで私は、片足ずつ軸をずらしながらキャリア形成を図ってきました。

酒類×営業プレーヤー

→酒類(近接領域)×営業マネージャー

→飲料×事業責任者

→ゲーム×事業支援(事業責任者の経験と被る)

というキャリアです。偶然そうなったものもありますが、そうすることで、これまでのスキルを活かしながら常に挑戦できる環境もキープでき、比較的に成功確度を高めながらステップアップできると考えております。成功確度が高いことは、自身にとっても会社にとっても非常に重要だと思っています。

━なるほど。異動は“片足をズラす”機会になったのですね。

目標は、ビジョンを形にすること

━━モンスト事業本部に配属されてみて、ギャップを感じることはありませんでしたか。

前職でも元々の酒類事業でも基本は営業やBizdevなのでスーツで出社しておりました。それが、まさか渋谷の一等地に私服で出社しているなんて思っていなかった、というのはあります(笑)。実際のところ、ビジネスモデルや時間軸などとにかく全て斬新でした。特に感じたギャップは、アップデートなどのリリース後、ユーザーの反応がクイックに、かつ定量的に把握できる、そしてそれを自社で取得できるという点です。

━━確かにそこは違いますね。業務はどのようなことをされていますか。

主にはモンスト事業本部の事業戦略や事業計画の策定~実行支援、財務管理などですが、必要であればなんでもする、というイメージです。例えば、事業計画の実行支援は、計画とのギャップの発見と分析、解決を目指して活動します。

━━前職と通じる部分もありますか?

営業職の頃から計画策定~軌道修正(分析、解決など)は行っていたので、このような業務には慣れています。これは私の強みですね。

━━波多腰さんが求めている経験は積めそうですか。

積めていると思います。前述の通りで色々と任せて頂ける環境はハードですが、非常にありがたいと思っています。その意味でも、今回の転職は私にとって非常に有益だったと感じています。

━━今後の展望を聞かせてください。

モンスターストライクというサービスの中長期的な成長を支えることができればと考えています。そして我々が掲げるビジョン「“モンストならではのエンターテインメントを通じて驚きと興奮を仲間と分かち合える、ひとりじゃない世界”を作る。」を実現することが、会社にとってもユーザーにとってもベストであると信じて取り組んでいこうと思います!

モンスト事業本部 事業支援室 事業戦略グループ マネージャー 波多腰寛輝
新卒で酒類メーカーに入社。営業として経験を積んだ後、2018年4月株式会社ミクシィに入社。新規事業における営業組織構築、Bizdev、事業運営などを経て2020年7月モンスト事業本部に異動。事業戦略や事業計画の策定~実行支援、財務管理などに従事。
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