タスクじゃなくプロダクトにコミット。新規事業で頼られるエンジニアに〜新卒1年目 成長の軌跡 #24 〜

タスクじゃなくプロダクトにコミット。新規事業で頼られるエンジニアに〜新卒1年目 成長の軌跡 #24 〜

2021年4月にミクシィグループに入社して1年。社会人としても成長を始めた新卒入社スタッフの軌跡を、シリーズでお伝えしていきます。どんな経験を積み重ね、この1年を歩んできたのか。そして、その先に見えてきた夢や目標は?リアルな“1年目”の声をお届けします。

今回は、新規事業のエンジニアとしてアプリ開発に携わる久野。配属から1年が経った手応えやここまで苦労した点について聞きました。

 

大学時代は、ディープラーニングを利用したアプリを開発

━━新人研修を終えたタイミングで、久野さんは新規事業のエンジニアとして現場配属されました。もともと「新規事業」を希望されていたのでしょうか?

実は、入社当初は全然そうではなかったんです。3つぐらいの部署の方とお話をして、どれも魅力的ですごく迷っていて。内定者アルバイトをさせてもらっていた経緯もあったので、入社後はそのままサロンスタッフ予約アプリ『minimo』に配属されるんだなぁと思っていました。その矢先に新規事業に配属されると聞いて、えっ!?とはなりましたけど、「ゼロイチで新しいプロダクトを立ち上げること」には興味がありましたし、配属から1年経った今となっては、自分のキャリアにおいても大正解だったと思っています。

━━もともと興味があったというのは?

大学・大学院と情報工学を学んでいたのですが、ゼミなどの研究を通じて、いくつかアプリを開発した経験があったんです。ゼミに入るための課題でゲーム制作をしたり、友人と共にテロップ自動生成アプリをつくったり。中でも注力していたのが、スマホ向けの「音楽分離アプリ」の開発です。

━━「音楽分離アプリ」?

簡単にいうと、オーケストラやビッグバンドなどの多重奏から特定の楽器の音を抽出できるアプリです。

私自身、高校生の頃からジャズピアノを弾いているのですが、練習の際に「多数の楽器の中からピアノの音だけ抜き出せたら、もっと効率的に練習ができるのに」と思うことが多々あって。研究ではデータの関連性から新たにデータを生成できる技術を活用。各楽器の演奏データと多重奏のデータを同時に学習させて、各楽器の音楽だけを抽出したり、消したりが可能なアプリを開発しました。

━━学生のころから、ディープラーニングを利用したアプリを開発をされていたんですね。言語は独学で?

一番最初に触ったのはC++でした。「C++を覚えればゲーム制作できるから」と、ゼミの先輩から教えてもらって、次に「音楽分離アプリ」の開発で機械学習ならPythonが必要だよねとなって。さらにiOSアプリの開発なら、Swiftが分からないと…となって勉強をしていきました。私の場合、言語を学んでから開発ではなく、作りたいものありきで、そこに必要な言語を習得していく流れでしたね。

━━「音楽分離アプリ」に対する周囲の反応はいかがでした?

大学生の頃から研究を始めて大学院でも続けて、この研究をなにかに活かせないかと思っていたんです。そこで、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している「未踏IT人材発掘・育成事業(※)」に「この機械学習モデルを使ってアプリを作れば面白いかも?」と思い応募してみたところ、2019年度の採択プロジェクトの一つに選ばれることになりました。

※独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、ソフトウェア関連分野で優れた能力を有する若い逸材を発掘・育成することを目的に「未踏IT人材発掘・育成事業」を実施。毎年度の事業終了時点で、特に優秀であると評価したクリエータを「未踏スーパークリエータ」として認定している。

━━すごい成果ですね。

私自身も「未踏スーパークリエータ」の一人として認定されたのですが、これまでの努力が認められた嬉しさもある一方で、一緒に選ばれた学生を見てみると、気後れしてしまったところもありました。情報系で有名な大学に通っていたり有名な学会で発表した経歴があったりと本当に優秀な方々で、あまりのレベルの高さになぜ自分が…と。

でも、担当のプロジェクトマネージャーからは、「とんでもないスキルを持ったエンジニアというわけじゃないけれど、あったら便利だな、使いたいなと思うものを創り上げたいという気持ちや課題にぶつかっても諦めず、学び続ける姿勢を評価した」という言葉をいただいて。改めて自分の強みも認識できた良い機会でした。

 

スキルは、部署内で頻繁に行われる「勉強会」で磨いた

━━ミクシィに入社した当時、「未踏スーパークリエータ」について、周囲は知っていたのでしょうか。

それが、知らない間に情報が洩れていて…(笑)。周囲の期待が高まっていた分、プレッシャーはありましたね。凄腕エンジニアとかではないし、みんなが思っているような力はないです、すみません…って感じで(笑)。

新規事業部のエンジニアとして配属されて、最初はWebフロントエンドを担当することになったんですが、これまでやったことないし、焦ってました。でも、周りの先輩も「僕もあんまりやったことないから大丈夫。一緒に頑張ろう」みたいなノリで声をかけてくださって。そうか、じゃあ私もやってみようと前向きにトライできたように思います。

━━具体的には、どのように身に付けていったんでしょう?

もちろん自分でも学んでいきましたが、部署内で開催される「勉強会」はとてもありがたかったですね。この使い方が分からないと言ったら、フロントエンジニアもバックエンドエンジニアも含めてみんなで勉強会しよう、となる。他にも、2人で1つのプログラムを書く「ペアプロ」、3人以上のエンジニアで1つのプログラムを書く「モブプロ」も行なわれていて、いろいろな方の視点を学びながら知識を付けていくことができました。

━━そこからは?

iOS/Androidのアプリ開発の話が動いて、Flutterが必要になって。ミクシィではこれまでFlutterでの開発例がほとんどなかったので、周りに聞ける人がいなかったのは苦労したところですね。ネットでいろいろ調べてみても、質問はあるけど回答はない…みたいな状態。キャッチアップにはそれなりに時間がかかってしまったなという印象です。

でも、今となっては「新卒のためにFlutter研修してよ!」と声をかけられるようにもなりました(笑)。初心者なりに勉強して、みんなの役に立てる場があるのは、もっと頑張ろうと思える原動力になりましたね。

 

新規事業では、開発はもちろんビジネスの視点も学ぶ

━━学生時代の活躍もそうですし、貪欲に学ぶ姿勢をお聞きしていて「起業」も視野にあったのでは?と思ったのですが、いかがですか?

正直なところをいえば考えました。でも、その考えはすぐになくなりました(笑)。

━━なぜでしょう?

ビジネスとしてのプロダクト開発に携わりたいと思ったからです。私がこれまでやってきたのは個人レベルでの話で、開発のところを多少経験した程度。「ビジネスとして収益化していくプロダクト開発」については何も知らないと思ったんです。もしかしてこの先に起業するとなったとき必要となる知識やスキル、経験を学ぶためにも「就職をしよう」と思っていましたね。

━━実際に入社してみていかがでしたか?

学ぶことだらけです(笑)。

たとえば、「想定ユーザー数」の考え方ひとつにしても、これがこうだから、この数値になって。そこにこれを掛け合わせると、だいたいこの数字だよね、とロジカルに積みあがっていく計画書を見て、今まで私はどれだけフィーリングで考えていたんだろうと。恥ずかしい話ですが、勘で進めていたことが多くあったんだと気づきましたね。

━━苦労された点についてもお聞きしたいです。

いろいろありますが、「時間軸や粒度など種類の異なるタスクの対応」に苦労しましたね。今週のタスクはこれとこれだから、優先順位をつけて一つずつ対応しようではなくて、今すぐ対応する業務と、半年後に実装する機能の企画と、3年後のプロダクトの姿を描いていく話とが一緒に動いているんですよね。新規事業の特徴でもあるのだと思いますが、なかなか慣れずによくパニックになっていました。

━━どのように工夫して乗り越えたのでしょう。

自分が使いやすいWebツールを活用しながら、リズムを整えていきました。今は、自分のタスクに関してはドキュメントエディタの『Notion』で全て管理していて、概念的なことはオンラインホワイトボードツールの『Miro』を使って理解を深めていき、プロジェクトのタスクは『Backlog』を使っています。

━━Miro』は、自分の頭を整理するイメージ?

そうそう、まさにその通りです。本来『Miro』は、Webミーティングにおいて言葉だけでは伝わりにくいイメージをビジュアルで共有して、チーム内でのコミュニケーションを活性化させていくツールなんですが、個人でもフル活用しています。

▲久野が考えをまとめる為にビジュアル化した実際の画像

理解した内容や分からない点、聞きたいことなどをどんどん書き出して、整理していく。プロダクトについてのアイデアやユーザー像などもビジュアル化したほうが、理解を深めていけるんですよね。学生の頃、自分の考えをノートに手書きでまとめていたんですが、それのWeb版。最初は個人で利用していましたが、チームで使うメリットも大きいと思い上司に提案し、導入してもらいました。

 

「ゼロイチ」の場面で頼られるエンジニアを目指して

━━2年目を迎えて、仕事の向き合い方に変化はありますか?

去年は、与えられた仕事をとにかくどんどんこなしていて、前倒しで進めていくのが私のスタイルでした。他人が10やるなら、私は20、30やる。一言でいえば「量」で勝負していた。そこが上司から評価されていた点でもあったし、当時はそれで良いと思っていたんですよね。でも、そこで満足していたらいけないと今は思っています。

━━どういうことでしょう。

新規事業のエンジニアに求められているのは、与えられたタスクからプラスで「どういう機能があったらいいのか」「ユーザーにどういう価値を届けられたらいいのか」を考えて、提案をして、実装していくことだと思うんです。そこまでできて、新規事業において価値あるエンジニアと言えるんだと思っていますね。

━━タスクではなく、プロダクトにコミットするべきだと。

そうです。だから、プロダクトにコミットすることがマストで求められる新規事業は、最高の環境だと思っています。

そして、やっぱり私はユーザーのことを考えて、“どういう悩みを抱えているんだろう”“喜ばれるサービスは何だろう?”と思いを巡らせるのが好きだし、ゼロからプロダクトを立ち上げることが楽しいんだと分かりました。だから今、取り組んでいるこの新規事業を必ず成功させて、確かな実績を作る。そして、「ゼロイチ」の場面で頼られるエンジニアを目指していきたいです。

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