ミクシルでは、新卒スタッフの成長をシリーズでお伝えしています。どのような成功体験や失敗体験を経験し、どんな風に成長したのか?スキルやマインドの成長に大きく役立ったターニングポイントとは?について迫ります。今回ご紹介するのは、2019年4月に新卒入社した福田です。大学では製品デザインを専攻し、Web業界への就職は想像していなかったと語る彼女。UIデザインとの出会いと、MIXIへの志望が高まった出来事、そして実際にUIデザインに関わるやりがいや、リーダーとしてのミッションなどに迫りました。
福田 理紗
2019年4月入社。5月よりデザイン本部デザイン戦略室に配属。9月にデジタルエンターテインメント事業本部に異動し、『モンスターストライク(以下モンスト)』のスピンオフゲームの制作に携わる。2020年4月、モンスト事業本部のUI/UXデザイングループに異動。2022年11月よりリーダーとしてチームマネジメントにも挑戦中。
インターン経験でWeb業界のスピード感に魅力を感じた
━━福田さんはもともとデザイナーを志望していたんですか?
はい。私はモノづくりに興味があったので、金沢美術工芸大学という美大で製品デザインを専攻していました。でも当時は全くUIデザイナーのことを知らなかったんです。
━━そうなんですか!UIデザインを知ったきっかけは?
たまたま自分のポートフォリオをサイトにアップしたところ、MIXIの人事の方の目に留まり、「MIXIのサービスのUIデザインの話を聞いてみませんか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。話を聞いて興味を持ったので、インターンにも参加することに。そのなかで、「絶対にモノとしてのプロダクトを作りたい」というより「人と何かを作って、それをユーザーに届けたい」という思いが根底にあることに気づき、MIXIの企業方針にもマッチしているなと思いました。
また、Webデザインの世界は製品デザインに比べると回転が速い業界。例えば車メーカーや家電メーカーなどでは、自分がデザインしたものが世の中に出るまでに最短でも数年はかかると言われています。それでもモノ作りが好きだったら構わないと思っていたのですが、私は制作物にこだわっていませんでしたし、Webは回転が速いことからデザインへのフィードバックを得られやすいのも魅力的だったので、Web業界への就職活動を始めました。
━━MIXIを就職先に選んだ理由は、企業方針がマッチしていたということですが、他にもありますか?
一番大きいのは、社風です。面接やインターンの度にフィードバックをもらえるのがとても新鮮でした。内容としては、私自身の強みや、やりたいことに対してどんなスキルが必要か、といったものが大半。自分自身の成長を考えてくれる社風を感じて志望度が高まりました。もともと予定していなかった業界に入るという不安もありましたが、この会社であれば前向きに成長できそうだと思えたのが大きな理由です。また働く人の雰囲気も良くて、落ち着ける環境も魅力でした。
━━MIXIが展開する事業内容についてはどうでしたか?
MIXIのコミュニケーションを軸としたサービス展開については、「ユーザーに届けられるものであれば別にプロダクトでなくてもいいんだ!」と思うようになったきっかけにもつながるところで、MIXIの事業コンセプトにも共感できたのも入社の大きな決め手になりました。
━━なるほど。事業内容や企業方針、そして会社の雰囲気に惹かれ入社を決めたわけですね。デザイナーにも色々な職種がありますが、UIデザインを選択した理由は何ですか?
始めの頃は、デザイナーの中でも体験を作るUXデザイナーに興味がありました。でも私はグラフィック経験が殆どなかったので、グラフィック力も鍛えつつ体験も作れるデザイナーになりたいと思い、UIデザイナーを選択しました。
入社1~2年目でデザインの基礎がしっかり学べた
━━福田さんは入社前、どんなキャリアイメージを抱いていましたか?
当時は新規事業に興味があったので、3~5年後にはゼロから自分が関わったと言えるプロジェクトで、実績が持てたらいいなと漠然と考えていました。入社したばかりの頃、人事の方に新規事業などで色々と挑戦できるところに携わりたいという希望を伝えたところ、さまざまな事業を広く見渡せるデザイン本部に配属となりました。事業部に属さない形で入って、色々な事業部の方に話を聞きながら、デザインのお手伝いなどを半年くらい手がけていたんです。
そして2019年の9月頃に『モンスト』のスピンオフゲームチームに異動しました。ゲームは制約も多いので、そのなかでどう制作していくかが学べそうだったことと、UIやグラフィックの知識も身につけたかったので、挑戦してみようと思いました。
━━実際に一つのサービスを運営する事業部に配属となってどうでしたか?
全部の仕事が初めてでしたし、チームで働くことも初めてで、戸惑いはありましたね。でもチームメンバーはみな気さくな方ばかり。いつも気にかけてくれて、「何が分からないのか分からないこともあるから、何でも相談してね」と言ってもらっていたので、不安はあまりなかったです。
━━技術的な成長は実感できましたか?
これまでPhotoshopでグラフィックを作るということさえもあまり経験していなかったので、ゼロに近い状態から考えると、ツールの使い方がとても上達したと思います。
━━基礎を学んだという感じですね。
人が作ったデータを見ることができ、「あ、こういう風に作ってるんだ!」という発見が得られたのは大きかったです。その後、そのゲームがクローズしてしまったので、長期運用されているタイトルを経験してみたいと思い、2020年春にモンストチームに異動しました。
思い入れがあるのは人気少年マンガ作品とのコラボ案件
━━モンストチームで一番思い入れのある仕事は何ですか?
人気少年マンガ作品とのコラボ案件が印象深いです。1回目のコラボは2年前で、2回目のコラボではメイン担当としてミッション画面や施策のデザインを担当しました。1回目のコラボを経験した上で任された案件だったので一連の流れも分かっていましたが、仕様や見せ方が特殊な案件で印象に残っています。
━━というのは?
既存の画面の流用ではなくて、イチから新規で考えなくてはいけない画面が多くあったんです。そのスケジュール進行から、素材や画面遷移図の作成まで一人で手がけました。モンストチームでは、案件をまるごと一人で任せてもらえることが多いので、実力が身に付く部署だと思います。
━━前例がない上に、版元さんとのやりとりもあるので責任重大ですよね。
コラボだと監修スケジュールがあるので、普通のコラボ以外の案件に比べるとスケジュール管理もすごく厳しくなりました。版元さんとやり取りしてもらう企画の方に伝わりやすい監修資料の作成だったり、更にユーザーが喜ぶデザインの提案など意識することが多かった気がします。
━━福田さんが、特に大事にしていたことは何ですか?
進行管理の部分です。今まではアイコンを作ったりデータを上げたら終わりという、自分だけで完結する仕事が多かったのですが、コラボの場合は自分が画面を作ったらエンジニアに提出して、その後、確認し修正していくやりとりが発生します。自分の作業で止まってしまうと、開発がうまく回らないので、スケジュール通りに進められるよう工夫していました。作業の優先度も自分ベースではなく、一連の流れを踏まえて早めに進めようとか、他の案件は優先度を下げて先に進めよう、という考え方をするようになったのはこのあたりからです。
━━自分のところで流れを止めないように、どのように工夫したんですか?
綿密なコミュニケーションを取るようにしました。いつまでに終わらせる予定かを前もって伝えたり、提出が遅れそうなときには早い段階で遅れることを連絡したり。実は以前のコラボで失敗した経験があって…。気になったところをそのままにしてしまった結果、後でミスにつながってしまったんです。なので、その場で疑問に思ったことはちゃんと確認し、企画担当と仕様について「こういう意味で合っていますか?」と再確認するようになりました。認識のすり合わせに気を遣うことで、出戻りを防ぎ、スケジュール通りリリースできたと思います。
━━滞りなく進められたんですね。
全く滞りがなかったかというとちょっと分かりませんが(笑)、ちゃんとリリースまで進められたのと、以前と比べると自分の力できちんと完結できるようになったかなと思います。
デザインを「言語化する力」が鍛えられた
━━このプロジェクトで今後も活かせそうなナレッジはありましたか?
1つ目は、スケジュール管理を意識して作業の優先度をつけることです。自分単位のタスクではなく、開発フロー全体を見て、作業優先度をつける。2つ目は、疑問に思ったらとりあえず聞き、提案してみるということです。私は性格的にミーティングの場で「これは細かいかな?」とか「的外れなことを言っているかな?」と思ってしまって、あまり発言できないタイプ。それは今もそうなのですが、結果的に聞いたほうが早く理解につながったことも多いし、最終的にユーザーに届くという目標を達成するために提案すべきことはちゃんと言うべきだと思えるようになりました。
━━MIXIが掲げる“ユーザーサプライズファースト”を意識して乗り越えられたということですね。入社当初と比べて、仕事の進め方は変わってきましたか?
変わってきましたね。当初は自分のタスクを中心に考えていましたが、最近ではリーダーを任されるようになり、モンストのUIチーム全体を中心として流れを見るようになりました。周りに気を配って、「この案件は難航しているな」と思うことがあれば、声がけするようになりました。自分以外の意識が向けられるようになったところが、変わったところかなと思います。
━━個人のスキルとしてはどんな変化がありましたか?
個人のスキルとしては、アイコンをはじめとする制作の経験もある程度積むことができたので、デザインの技術が磨けたと思います。さらに、デザインの意図についても説明できるようになってきました。以前は、なんとなく自分の感覚で良いと思ったものを作ることもありましたが、今は「こういう意図で制作しました」と言語化できるデザインができるようになりました。
━━それは意識的に言語化できるようにしたんですか?
モンストチームでは、自分が担当したUIデザインについてチームのメンバー誰からでも意見をもらえる形の開発フローをとっています。そのときに言語化できていないと欲しいフィードバックがもらえなかったり、フィードバックをくれる方との認識の齟齬が生まれてしまうんですよね。きちんと意図を伝えられれば、「そういうことなら、こういうやり方もあるよ」とかアイデアをもらうこともできる。言語化する力は、そこで鍛えられた力かなと思います。
技術力にも長けたプレイングマネージャーを目指したい
━━今後の目標について聞かせてください。また、今後のキャリアプランについてはどう考えていますか?
短期目標としては、全体を見通す力と判断力を磨きたいです。リーダーという立場を任されるようになって、自分で判断することも増えてきました。自分寄りの判断にならないように、ちゃんと全体を見渡して判断・提案できるようになりたいと思っています。
また私はチームの中でも若手のほう。そのため、話しやすい立ち位置にいるのかなと思っているので、それは引き続きリーダーになっても意見が言いやすい、話しやすいという存在でいたいです。
━━お手本にしている先輩はいますか?
『モンスト』のスピンオフゲームチームでお世話になったメンターの方です。自分の考えを伝えたときに、それをしっかり受け止めた上でフィードバックをくれる。だからこそ、意見を言いやすくなったんです。それはリーダーとして理想だなと思います。自分の意見を聞いてもらえるのは安心感がありますよね。
━━確かに。意見を受け止めて提案することの他に、福田さんがチーム運営を円滑にするために工夫していることはありますか?
コミュニケーションの機会を増やせるように気を付けています。出社が合ったメンバーをランチに誘ったり、レクチャー会で雑談をしたり。基本的にSlackでやりとりをしているのですが、口頭の方がニュアンスの温度感が伝わりやすいこともあるので、フィードバックをする際にオンラインミーティングをしませんか?と言う機会も増えました。
━━なるほど。チームワークのためにも、仕事をミスなく進めていくためにもコミュニケーションを大切にされているんですね。ちなみに、中長期的な目標はどうでしょうか?
デザインスキルをもっともっと伸ばしていきたいと思っています。今はリーダーとして新しい挑戦に取り組んでいますが、技術力もあるデザイナーとしても成長していきたいんです。
━━デザインにも長けたプレイングマネージャーとして成長していきたいということですが、他の事業にチャレンジしたいといった気持ちはないですか?
チャンスがあったらぜひチャレンジしたいという気持ちはずっとあります。ですが、今はリーダーという立場でモンストのUIチームで頑張っていきたいので、将来的にチャンスがあれば嬉しいですね。マネージャーにも他部署とも関わりを持ちたいという話は伝えているので、他部署の方につないでもらい勉強会に参加しています。
━━どんな勉強会ですか?
ゲームUIを勉強する、デザイナー井戸端ミーティングです。隔週で新しいアプリやゲームアプリをプレイして、UIに関しての意見交換をしています。「これは分かりやすいよね」とか「こういうのも良いよね」というように。この会を始めて2~3ヵ月くらい経ったところですが、面白いのは「こういう考え方もあるんだ!」という発見があること。色々な人の意見を聞いて、フラットな考えを持てるのがいいですね。こういった場でも言語化能力も磨けていると思います。