MIXI GROUPには、様々な経歴のメンバーが所属しています。それぞれの専門性やスキルを手に転職を決めた方々は、どのような経歴で、そしてなぜMIXI GROUPを選んだのでしょうか。中途入社した方々に「転職を考えたきっかけ」「入社を決めた理由」「入社後に感じたこと」を聞く『なんでMIXIに?』。今回は8年ぶりにMIXIに再入社した『みてね』プロダクト開発部 部長の平田にインタビューしました。
平田将久(ひらた のぶひさ) みてねプロダクト開発部 部長
2011年、MIXIに新卒入社。エンジニア、スクラムマスターとしての経験を積んだ後、リクルートマーケティングパートナーズへ。その後は米国カリフォルニアのスタートアップ企業であるDrivemode, Inc.にて、エンジニアとしてプロダクト開発を行い、その後Director of ConsultingとしてDX推進をリードし、2022年、MIXIに再入社。
SNS『mixi』エンジニアとして新卒入社
━━平田さんは、新卒でMIXIに入社されたと聞きました。
実は、エンジニアとしてMIXIに新卒入社した経緯があります。もともと大学では音声の信号処理について学んでいて、就職先としては車や電気メーカーに進む友人が多かったのですが、私の場合はSNS『mixi』との出会いがあって、MIXIに入社することを決めました。
━━どのような出会いだったのでしょう?
ちょうど就活をしていた頃にSNS『mixi』が流行っていて、自分もユーザーとして使っていました。周りにいた20代の仲間は9割以上の人が利用していて、かなりインパクトの強いサービスだったと認識していました。
ある時、大学の研究の合間に『mixi』を見ていたら、新卒採用の求人情報が出てたんです。「ちょっと応募してみようかな…」と気軽な気持ちでエントリーしたところから、選考がスタートしました。話を聞く中で、後に副社長となる原田さんという方が語っていた“ソーシャルの未来”にすごく共感して、ここでなら世の中に対して大きな影響力を持つサービスが作っていけるかもしれない、と心惹かれたんです。
━━入社後は、エンジニアとしてどのような仕事を?
入社当時、私はSNS『mixi』の日記機能等の、利用頻度が高い機能の開発チームに配属されました。最前線を任されている自負もあったし、やり甲斐も大きくて、毎日楽しんで開発に取り組んでいましたね。そして途中から、二足のわらじ的な感じで「スクラムマスター」を兼任することになりました。その背景には、SNS『mixi』の次の柱となる事業を生み出さないとまずい、新しい顧客価値を創出しないと…という動きがあって。MIXIの企業体質に対しても大きな変化を迫られている中で、組織の中にスクラムを導入していこうという話になったんです。
━━そこに手を挙げたのはなぜでしょう?
「チームが生み出せるアウトプット」にすごく興味がありました。スクラムマスターとして継続的な改善を支援し、チームの集中を保つような役割に魅力を感じていたんです。今でこそ、スクラムはよく聞く話になっていますが、当時、日本にはスクラムマスターと呼ばれる人はほとんどいませんでした。MIXI内でも知見も経験もない状態だったので、手探りで取り組んでいった感じです。
そこから数年ほど働いて、個人的にはもう少し刺激が欲しい…と、別の環境に目が向き始めた頃、知人からゼロイチでプロジェクトを立ち上げる面白そうなオファーをもらい、興味があったので転職を決めました。そこでも最初はエンジニアとしてスタートしましたが、最終的にはエンジニアとスクラムマスターをやることになりました。その会社では、自分が描く“理想のチーム像”が作れたなという記憶が強く残っています。アジャイルコーチからも高い評価をもらっていたので、スクラムマスターとしての自信もつきました。
シリコンバレーのスタートアップで様々な挑戦を経験
━━その後は、どのようなキャリアを積んでいったのでしょう?
その次は、ドライブモード社に転職しました。シリコンバレーに会社があって、スマホを活用したコネクテッドサービスの開発を行なうスタートアップ企業ですね。英語も学びながら働けると聞いて、自分のキャリアを考えたときに「こんな機会は滅多にない」と思い決断をしました。
━━どのような仕事を手掛けていたのでしょうか?
3~4年はひたすらコードを書いていました。本当に立ち上がったばかりだったので、完全なワンチームで組織的な課題はなかったのです。全てが見えていて発言すれば全員に行き渡る。エンジニアとして熱中できる環境だったと思います。
その後、ドライブモード社は成長を続け社員は20名を超えてきました。そうするとだんだんと組織課題も出てくるんです。経験して初めて分かったことでもあったんですが、組織が大きくなると、これまで適当なマネジメントでも動いていたものが本当に動かなくなるし、明らかな不具合が出てくる。自分自身も、きちんと組織論を学びながら、組織開発に取り組むようになっていったタイミングでもありました。
━━ドライブモード社を本田技研工業(ホンダ)に売却してからはどのようなことを?
創業70年以上の歴史を持つ大企業のホンダが、シリコンバレーにあるスタートアップ企業を買収したというのは、裏を返すとその分野において課題感を感じていたってということは予想できますよね。ホンダの中でドライブモードが担う役割は、「プロダクト開発におけるスタートアップ的なやり方」を広めていき、ホンダそのものを変革することでもあったんです。
そういった経緯もあり、私は組織のDX推進のリーダーを担当することになりました。最終的にはDirector of Consulting(= コンサルティング部門長)というポジションで、ソフトウェア開発に特化した200名ぐらいの組織に対してDX推進を行っていました。
ここでいうDXというのはデジタルトランスフォーメーションだけではなくて、デベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)も含めた考え方です。日本CTO協会がガイドラインを作成した「DXクライテリア( = 企業がDXを実現するために必要な要素や指標)」をうまく活用しながら、自組織でも取り組んでいきました。最初は小さく始めて、うまく行けば複数人のチームでやってみて…そういう感じで、ひたすらエンジニアリング組織を育てる活動に時間を費やしていましたね。
DXに対する使命感。MIXIで見たい景色があった
━━ホンダの組織変革に奮闘する中で、MIXIに再入社することになったきっかけは何ですか?
DX推進においてある程度結果が出てきたぐらいのタイミングで、笠原さんから「ランチに行きませんか?」と声をかけてもらいました。2022年の春ぐらいだったと思います。久しぶりにいろいろ話をしたいと思ってお会いしたところ、エンジニアリングマネージャーのポストが空くので人を探していると聞いたんです。
私としては純粋にランチのつもりだったんですが、結果的にはカジュアル面談だったようで、その後オファーをもらう流れになって。入社するのかしないのか決断しないといけない時期がきて、最終的にはMIXIにもう一度戻ることに決めたんです。
━━入社の決め手となったのは?
久しぶりに笠原さんとお話させてもらって、私が入社を決めた時に心惹かれたものが『みてね』にあると感じられたことですね。
新卒入社当時、MIXIは世界中のコミュニケーションのインフラを作ると宣言していたのですが、『みてね』事業部では、世界中の家族の“こころのインフラ”をつくると宣言していた。MIXIが目指すべき未来は、やっぱりここなんだと改めて実感できたんです。『みてね』が生み出すサービスは社会的意義も大きいと感じますし、単なるエンターテインメントだけではないところにも、共感できました。
それから『みてね』事業部ぐらいの規模をマネジメントしたことがなかった点も決め手の一つです。
━━どういうことでしょう?
当初『みてね』はまだまだスタートアップ的なイメージが強かったんですけど、もう今では組織全体で60名ぐらいの社員が活躍していますし、エンジニアリングの規模感としては大きいなと思ったんです。これまでに同じ規模の組織づくりを手掛けたことがなかったですし、難易度が高いものだと認識もしていて、やってみたいと思ったところがあります。
それから「ある程度進化したモダンな組織」だった点も良いなと感じたところです。一般的にDX推進というと、レガシーな企業を変えていく印象が強いですよね。マイナス100から0にする的な。でもレベル0にしたところで、何かに勝てるわけではない…。
一方で、MIXIのようなすでにモダンな組織をさらにDX推進していくことで、見えてくる景色があると感じました。自分自身のエンジニアリングのモデルをアップデートしながら、最終的に日本全体のレガシー企業に還元していくことこそが、自分のやるべき使命のようにも思え、入社を決断しました。
DXを推進し、子ども世代が過ごしやすい世界にしていきたい
━━2度目のMIXI入社で、何か変化を感じましたか?
特に大きなイメージギャップはなかったですね。もともと新卒入社した会社でもあるので、“会社はこういうもの”という最初のイメージはむしろMIXIにもらっているので(笑)。会社の規模も、サービスも、技術も…変化していることはたくさんあるんですが、その中に息づくMIXIらしさは変わっていないように感じました。
特に、会社全体でのオープンな体質は、やっぱり良いなと思いますね。MIXIは、ブログ一つ書くにしても自由度が高いですし、カンファレンスでもかなり突っ込んだ話ができちゃっていますよね。その辺りが厳しい会社だと、外にアピールできない。アピールできないってことは、外部に自社の魅力が伝えられないってことなんですよね。良いエンジニアリング組織を作っていく上でまず最初に採用があることを考えると、非常に魅力に感じる部分です。
━━これから先、成し遂げたいことは何ですか?
先程お話した日本CTO協会が監修・編纂している「DXクライテリア」を使って、これまで以上に良いエンジニアリング組織作りをしていきたいなと思っています。この「DXクライテリア」というのは、エンジニア組織が超高速な事業仮説検証能力を得るための基準を細かくレベル分けしたものです。これによってMIXIの組織レベルが可視化できるし、多くの企業も同様に使っているので比較も可能なんですね。
ただ、この「DXクライテリア」も作られてから3年ほど経過していて少し古くなってきているんです。基準そのものをバージョンアップする必要性があるので、これは組織外の活動としてCTO協会のメンバーとして取り組んでいきたいと思っています。「DXクライテリア」もアップデートして、MIXIの組織もIT・WEB業界のTop of Topといえるように魅力的にアップデートしていきたいですね。
そして、もう少し大きな話をすれば、私の根本には、自分の子供たち世代が生きていく上で少しでも過ごしやすい日本にしていきたいという思いがあります。デベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)の向上を目指すことで、日本の技術力を世界最高水準のレベルへと高めていく。そして、DXを起点に日本経済の発展に少しでも貢献できたらと思っていますね。