仕事を通じて見つけてきた、私のUIデザイン哲学 〜新卒1年目 成長の軌跡 #18 〜

仕事を通じて見つけてきた、私のUIデザイン哲学 〜新卒1年目 成長の軌跡 #18 〜

2019年4月にミクシィグループに入社して1年。社会人としても成長を始めた新卒入社スタッフの軌跡を、シリーズでお伝えしていきます。どんな経験を積み重ね、この1年を歩んできたのか。そして、その先に見えてきた夢や目標は?リアルな“1年目”の声をお届けします。

今回は、モンスターストライク(以下モンスト)のUIチームに配属された篠原にインタビューを行ないました。キャラクターデザイナーを目指し専門学校に進学するも、あるきっかけでUIデザインと出会い、将来の道を決めた彼女。そもそもUIデザインとは一体何なのか?どんなところに魅力があるのか?彼女が仕事を通じて手にしてきた、デザイン観や仕事観に迫ります!

 

キャラクターデザイナーからUIデザイナーへ

━━━━篠原さんはもともとキャラクターデザイナーを目指されていたとか?

そうなんです。昔からゲームが大好きで。ロールプレイングから格闘ゲーム、コミュニケーションゲーム、推理アクションゲームなど、コンシューマー向けのものからスマホアプリ、ゲームセンターのゲームに至るまで幅広くプレイしていました。

キャラクターデザイナーを目指そうと決めたのは、中学2年生のとき。ある作品に出会ったことが転機になりました。「このゲームはどんな人が作っているんだろう?」と興味を持って調べていくうちに、「ゲーム会社に入って、ユーザーに体験を提供する仕事がしたみたい」と思うようになったんです。

━━━━なるほど。それで専門学校に?

はい。キャラクターデザイナーを目指すために専門学校へ進学したのですが、ある日、UIデザインを手掛けているOBの先輩のお話を聞く機会があり、仕事内容を聞くうちに「こんな仕事があるんだ!」と衝撃を受けて。それがきっかけになり、キャラクターデザインからUIデザインへの転向を決意しました。学校にはUIを教えられる先生がいなかったので、自らトレースをしたり、本を読んだり、講義を聞いたり…独学で知識を身に付けてきました。

━━━━どんなところにUIデザインの魅力を感じたんですか?

UIデザイナーという仕事を知ったときに、「UIというのは一番ユーザーが触る場所なんだ!」とハッとしたんですよね。キャラクターデザインはユーザーの目は引くけれど、UIはゲームの根幹である“操作性”に関わる部分。私は人を楽しませるサービスを作りたいと思っていたので、その中でUIが占める割合は非常に大きいものだと私は感じました。そしてより実践で学んでいくため、2年生の頃にはミクシィでゲームサービスに関わるUIデザインのアルバイトを始めました。

━━━━なぜミクシィでアルバイトをすることに決めたのですか?

私は昔から友達にサプライズをしたり、プレゼントをあげたり、人を喜ばせたりすることが大好きでした。そういう自分の思いと、ミクシィの企業理念である「ユーザーサプライズファースト」が一致していると思ったので、一歩を踏み出すことにしたんです。

━━━━アルバイトを一年経験して、新卒正社員として入社されたんですね。ミクシィに就職しようと思った理由は?

アルバイト当時に面倒を見てくださっていた先輩の存在が大きいですね。先輩はUIデザインに対する知見が豊富で、優しくて面倒見が良く、とても尊敬していました。お仕事を一緒にするたびに、信念としている仕事観が見えてきて、それがちゃんと企業理念につながっていて…。会社全体でひとつの方向に向かっていこうという思いがある会社なんだなというのが分かったので、正社員として働きたいと思いました。

━━━━なるほど。

もうひとつ決め手になったのが “空気感”です。新卒採用の面接時にオフィスを案内していただいたのですが、食堂で楽しそうに話し合う社員さんたちの姿を目にしました。人を楽しませるものを作るためには、楽しい空気感がないと生まれないもの。その明るくてフランクな雰囲気を肌で感じることができたのが良かったです。伺ったことがある会社の中には、空気が重くピリピリしている企業も多かったので、やっぱりミクシィで働きたい、と。この職場のフランクで楽しい空気は、入社して一年経った今でもいいところだと思っています。

 

わずか入社半年で、大型案件を担当

━━━━雰囲気の違いってあるんですね。入社後は、どの部署に配属されましたか?

モンスト事業部のUIチームに配属となりました。モンスト事業部の中には、UIチームとUXチームに分かれていて、ユーザーが体験する部分はUXと共同して要件を整理し、それをもとにしてUIチームが設計を手掛けています。具体的には、モンストの中のボタンやアイコン、遷移などの設計からデザインが中心。アップデートに伴う改修作業やコラボコンテンツの新規制作などを手掛けています。

入社当初は、先輩のサポートを受けつつ仕事を覚えていきました。アイコンやボタンなどのグラフィックを考えて、質感をマットにしてみたり、金属感を出してみたり。モンストの世界観を肌で覚えながら、表現の引き出しを増やしてきました。

━━━━これまでに経験した仕事の中で、一番思い出深いものはありますか。

入社半年後に任された少年マンガのコラボ案件です。アイコンやボタンといったグラフィックだけでなく、画面遷移やUI設計にも挑戦しました。プロジェクトの期間は、3~4か月ほどの案件でした。

━━━━おお!結構大きい案件ですね。携わってみてどうでした?

かなり苦戦しました…(笑)。特にスケジュール管理が難しかったです。仕事の流れとしては、画面遷移のアイデアを企画チームに提出して、その後OKが出れば版元へ監修していただく流れなのですが、どの段階でデザインを詰めていくかなどのスケジュールも自分で組んでいく必要がありました。さらに6~7件もの複数案件を動かしていたので、どのタスクを優先していくべきかを決めていくのが大変でした。

さらに、企画チームや版元だけでなく、プロモーションチームやイラストチームに素材提供をお願いするケースもあり、さまざまな部署が関わるからこそ進捗管理が難しかったです。ただ、これは経験あるのみだと思うので、今後も大きな案件を任せてもらえるように頑張っていきたいと思っています。

 

良いUIデザインは“気づかない”

 ━━━━初めてだと感覚を掴むのは難しそうですね。UIデザインにおいては、どんなことを意識していますか?

モンストのUIチームメンバーは、ユーザーが何を求めているかを分析して、どうしたらユーザーにいい体験をしてもらえるかを考え、UIとしてアウトプットしています。一個一個のボタンや画面遷移などの細かいところも、緻密な分析の上に設計されているんですよね。

私が目指しているのは、何の違和感もなく、ゲームのプレイ自体を邪魔しない、ユーザーがスムーズに触れるUI。私はこれまでに色々なゲームをやり込んできましたが、“良いUI”って実は気づかないものなんですよね。何の違和感もないからこそ、その良さに気づかないんですよ。自分自身がUIデザインに携わるようになって、「違和感なくゲームを楽しめていたということは、良いUIだったんだな」と気づけるようになりました。

━━━━なるほど!確かにそうかもしれません。では、ユーザーからの反応を得られることも少ないのでしょうか?

UIデザインというのは評価されにくい分野ではありますが、モンストはユーザー数が多いので、フィードバックをもらう機会は多い方だと思います。モチベーションになっているのは、ユーザーの声。「使いやすくなった!」と言ってもらえると、やっぱり嬉しいです。一番嬉しかったのは、先ほどお話ししたコラボ案件の画面を作ったときに、新規ユーザーが「これを機にモンストをはじめました。面白い!」とか、画面をスクショして「カッコいいデザイン!」「この画面いいな」という感想を見たとき。頑張った甲斐があったなと感慨深かったです。

 他にも、画面遷移を一つ追加しただけの小さな改修にも気づいてくれて「この機能ほしかった!」と言ってくれたときも、嬉しかったですね。細かい改修でも気づいてもらえたときは、UIデザイナー冥利に尽きます。あとは、逆に不満がないことが良いことでもあるので、ヘイトが生まれていないかどうかという点も気にしています。

━━━━コンシューマーゲームをはじめとする買い切りのゲームと比べると、スマホアプリはどんどんUIが改修されていきますよね。

コンシューマーゲームなどの変わらない良さもあると思いますが、スマホアプリのUIが変わるというのは時代に合ったサービスだと捉えています。スマホアプリは常に新しいイベントや新しい世界が追加されていく中で、それに合わせてUIも進化していくもの。当初よりもアップデートされて進化して良くなっていくのは、スマホ文化ならではのいい流れかなと。

━━━━なるほど。モンストのUIチームに配属されて、驚いたことってありますか?

先輩たちのユーザー思考の深さですね。例えば、キャラクターを長押ししたときに、キャラクター詳細画面に飛ぶのか、強化画面に飛ぶのか。「この画面を見ているユーザーはこういう志向を持っているから、こういう風に遷移させたほうが、ユーザーにとってはいい体験だよね」というように、ユーザーの思考を言語化できているのはすごいなと思いました。

 ━━━━それは例えば?

以前、上級者向けの施策を自分で考える機会がありました。私はキャラクターのステータスやスキルを一つひとつ説明する画面を作成したのですが、先輩からキャラクターステータスを入れた理由を問われ、「その情報は上級者が知っていることなので、必要ないのでは?」という指摘が。私はまだモンストをプレイして一年未満だったので、初心者・中級者のことしか考えられていませんでした。

初心者・中級者にとっては丁寧な説明であっても、上級者にとっては邪魔な機能になってしまうことがあります。例えば、説明のポップアップや注意ダイアログが何度も出るような仕様は、ゲームの上級者には邪魔ですよね。初心者と上級者では見ているポイントが違うので、「上級者が知りたい情報って何だろうね」というところから、一緒に考える機会をもらえるので、勉強になります。

━━━━中には、初心者・中級者、そして上級者が触るコンテンツもありますよね。

そうですね。全員に対していい体験を作るというのはなかなか難しいので、各ユーザー層にあったいい塩梅を見つけることが今の課題でもあります。今後具体的な答えを見つけられるようにしたいですね。

━━━━なるほど。少しずつユーザー視点が身に付いてきたという実感はありますか?

先輩と比べるとまだまだではありますが、入社当初に比べれば今は分析して考えるようになりましたし、機能一つにしても、ユーザーがどう感じるのかを常に考えて作成できるようになったと思います。

━━━━先輩の姿を見習って身に付いた部分も多いと思いますが、それ以外に努力したことは?

日々、新しくリリースされたゲームをダウンロードしてUIを学ぶことが一つ。自分がユーザーとしてプレイして、どういう体験を得たか?を知るのも仕事をする上で大切だと思うんですよね。空いた時間はゲーム三昧。家にいるときはコンシューマー、外にいるときはスマホアプリ、という感じです。

あとは、なぜこのデザインにしたかという理由をちゃんとメモして、すぐに言える準備をしておくようにもなりました。フランクな雰囲気なので、先輩は気軽に聞いてくれるのですが、やっぱり詰められるところは詰められるので(笑)。ときに意見がぶつかり合うことも日常茶飯事です。

━━━━え!結構衝突し合うこともあるんですね。

あります(笑)。ユーザーにとっていい経験につながるのであれば、多少コストがかかる実装でもやってみよう!というゴールは一つですが、それぞれ見ている視点が異なるからです。Aという側面で見ている人もいれば、Bという側面から見ている人もいる。それぞれ優先しているものが違うので、結構お互いにちゃんと意見を言い合うチームですね。

━━━━意見が食い違ったときは、最終的にはどこで落ち着くんですか?

最終的には、折れるというより、納得できたほうに進めようというスタンスです。いっそ両方の考えを合わせたものを作ることもあります。

他の企業では、企画チームのアイデアが優先されるところも多いようですが、ミクシィではある程度UIチームの意見を聞き、反映させてくれるので、ちゃんと自分で考えて作ることができているという実感がありますね。

━━━━お話を聞いていると、UIチームはとても風通しがいい環境なんですね。

そうですね。ユーザーの反応を共有し合うこともありますし、最近流行っているゲームの話、ダウンロードしたゲームから学んだことや、新しい発見などもフランクに話し合える環境です。

また別のプロダクトに携わっている同期のUIデザイナーもいるので、プロトタイプを作るツールの話や、興味のある講義の話をすることもありますし、最新のUIデザインのナレッジを共有することもあり、部署を超えて刺激を受けられる環境でもあると思います。

 

これからもUIデザインを究めていきたい

 ━━━━一年を振り返ってみて、どうですか?

入社してからがあっという間で、一年が過ぎるのがとても速かったです。大きいサービスに関われるからこそ、学べるものも多かったと思います。ただ、自分の気持ち的にはもっと成長できた気がしますね。

━━━━最後に。篠原さんの今後の目標を聞かせてください。

2年目とはいえ、まだ先輩からのサポートを受けている立場なので、今後は一人で案件を動かせるようになりたいです。そのためにまずは、思考の言語化を鍛えるところから。もっと思考を深掘りして、ユーザー体験を追求していきたいと思っています。もちろん答えが出ないときもありますが、そういうときに先輩を頼るとパッとアイデアが出てくる。私はまだ浅いところでしか考えられていないからこそ、答えが出てきていないと思うので、これからは一つの視点からだけでなく俯瞰的に物事が見られるようになりたいです。

そして、スケジュールの把握・管理能力を伸ばしていくことも目標の一つ。関わる部署も多岐にわたるので、スムーズに仕事を進めていくためにも、そこは鍛えていきたいです。

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