リリースまで半年、100点以上の音を作る「サウンドディレクター」の仕事とは~募集求人をどこまでも深堀りしてみた #9~

リリースまで半年、100点以上の音を作る「サウンドディレクター」の仕事とは~募集求人をどこまでも深堀りしてみた #9~

 

仕事内容や応募条件について記載された求人情報。(ミクシィの採用情報はコチラ)「本当のところどうなの?」「面接官はこのポジションに何を期待しているの?」「応募前にもう少し詳しくわかったらいいのに…」と思った経験も多いのではないでしょうか。

そこで、ミクシルでは、求人をご覧になった方や応募を考えている方に求人内容をハラオチして検討いただけるようにと「どこまで募集求人を深堀りできる?」という企画を実施。

9回目となる今回は、サウンドディレクター(リーダー候補)の求人。デジタルエンターテインメント事業本部 サウンドグループ マネージャーの早坂と一緒に求人情報を見ながら、募集要項について詳しく聞いていきます。

 

▼求人はこちら

【DE事業本部】サウンドディレクター(リーダー候補)

 

早坂 匠(はやさか たくみ)
デジタルエンターテインメント事業本部 サウンドグループ マネージャー
ゲームデベロッパー、パブリッシャーを経験し、2018年ミクシィ入社。楽曲・効果音の制作、ディレクション、音声収録・編集、MAを担当。マネージャーとして、チームの多彩なクリエイター陣をまとめる役割も担う。 得意楽器はピアノ・ベース・三味線。

 

 

作業担当を増やしたいわけではない。「正社員」で募集するワケ

━━「サウンドディレクター」を募集する背景について教えてください。

現時点でいうと、デジタルエンターテインメント事業本部のサウンドグループは正社員、業務委託の方含めて8名体制です。『共闘ことばRPG コトダマン』のサウンドを中心に、新規プロダクトを複数手掛けていますが、今後も担当プロダクトは増えていく予定。そこに向けて、組織を強化していきたいと考えています。

━━業務委託ではなく、「正社員」で募集されている理由は何になりますか?

作るサウンドが増えたから、作業担当を増やすという話ではないんです。今回、募集するサウンドディレクターの方には、リーダー候補として、サウンド制作のハブになる部分をお任せしていきたい。プランナー、エンジニア、デザイナーなどプロダクトを作るさまざまなメンバーと建設的に話し合いを重ね、サウンドの方向性を決めたり、クオリティを担保したり…といった活躍を期待しています。

制作はグループ所属のクリエイターで完結する場合もありますが、外部パートナーに制作やバンド・オーケストラといった楽器収録をお願いすることも多々あります。その全ての工程において責任者となり、コミュニケーションを重ねながらチームをドライブしていく、そんな熱意を持った方をお待ちしています。

━━なるほど。ある程度のサウンド制作経験を積まれてきた方が対象になりますね。求人情報の「必須スキル」には、家庭用ゲーム/スマートフォン用ゲームにおける…との記載がありますが、どちらでも問題ありませんか?

どちらでも問題ないのですが、好ましいのは「スマートフォン用ゲーム」での経験でしょうか。一般的な大型家庭用ゲームでの制作と比べると、開発スピードが全く違います。リリースまでも速いですし、その後も市場の反応をみながらどんどん更新していきますから。この感覚に違和感なく馴染んでいただけるのではないかと思いますね。

━━スピード感について、もう少し具体的に教えていただけますか。

最近、リリースした新サービスでお話すると…ゲームのプランナーから話をもらい、一緒に要件を整理しながら、2週間程度で20点ほどのホーム画面用のサウンドを制作。その後、ゲーム内でのイメージを掴むため、簡単なダミーを15~20点ほど制作。ダミーに関してはクオリティよりもスピードを優先するためそんなにパワーはかけません。そこから本制作に入ります。楽曲・効果音含めて約2か月で40種類ぐらいのサウンドを創り上げましたね。

━━短期間でかなりのボリュームですね

ええ。そして最後に、テストと調整です。ゲーム画面と合わせて、サウンドの固さ・柔らかさ、ボリュームの大きい・小さいなど、細かく調整をしていきます。制作時にはヘッドフォン・モニタースピーカーで聞いていた音が、実際にスマートフォンで聞いたらどうか、ボイスチャットをしながらでも適切なサウンド体験が得られるか…などユーザー体験に近い形でテストを重ねていきました。

この案件の事例ですと、要件調整からリリースまで半年程度。もし半年を“早すぎる…”と思われた方は、入社後にギャップを感じてしまうかもしれません。

 

リリース後の運用を見据えて、サウンドをデザイン

━━必須スキルの「新規ゲームの開発~リリース後の運用に至るまでの一貫した経験(リーダー経験歓迎)」について、もう少しお聞きしたいです。これはどのような経験なのでしょうか?

そこでいうと、必須スキルよりは歓迎スキルに近いかもしれません。知っておいてほしい話、と言ったほうが良いですね。

他社も同様だと思いますが、ミクシィが開発するゲームは、リリースして終わりではありません。むしろ、そこからがスタートです。先ほども少しお話した通り、リリース後にどんどんアップデートしていく。リリース当初は決まっていなかった機能が追加される状況も、十分にあり得ます。

ですから、サウンド制作においても、リリース後の運用まで見据えることができるかがとても重要になってくるのです。スマートフォンでゲームをリリースする場合、マイナーアップデートとメジャーアップデートを重ねていく必要があります。この時、最初にサウンド設計を余裕のないものにしてしまうと、新機能などを追加する際にそれがネックになる可能性がある。そうした運用を見据え、フレキシブルにサウンド設計の方向性を決めていく必要があります。

▲楽曲制作中の様子

 

━━もし運用を見据えたサウンド制作ができないと、どうなるのでしょう?

サウンド設計を変更するための追加開発を行わなければならず、運用スケジュールに影響が出てしまうことが考えられます。結果として、ユーザーに不利益を与えますし、売上にも大きな影響が出てしまう。これは絶対に避けたいシナリオです。とはいえ、何から何まで全てを予想しきれているわけではないので、同時に今ある材料でベストな対応をしていく必要もありますね。臨機応変な判断と、全体を俯瞰する能力が求められると思います。

 

プロジェクトの“一員”として、上流工程から参加

━━ゲームの開発~運用までとなると、かなり幅広い業務になりますよね。業務内容にも、「音」に関する全ての工程に関わると記載されています。

おっしゃる通りです。私もそうですが、ミクシィのサウンドディレクターは、ここを魅力に感じている人が多いようにも思います。

あるメンバーが、「プロジェクトチームの一員として参加できる環境に、仕事の面白さを感じる」と話してくれたことがありました。そのメンバーは、前職でサウンド制作会社にいたのですが、そこでは依頼されたBGMやサウンドエフェクトを作って終わり。その後、その音がどのようにゲームで表現されているのか分からずにいたそうなんです。実際にリリースされてから、自分が手がけた音を聞いてみると、音質の悪さやイメージとの違いにガッカリする場面が少なからずあった。

━━プロダクト開発とサウンド制作が完全に切り離されていたんですね。

そうです。でも、ミクシィではゲーム制作過程に深く関われる。場合によっては、私たちが手がけたBGMのテンポに合わせて、ゲームのギミックが生み出されることだってある。サウンド発信で、ゲームを創り上げる手応えが味わえるんですよね。これは、「サウンドの制作者」として最高に気持ちがよくて、最高に幸せなことでもあるんです。

━━なるほど!ですが、その分、求められる責任も大きい?

そうです。ユーザーの声もすぐに、リアルに聞こえてきますから。ユーザーに受け入れられていなければ、それは自分たちの責任です。

ですから、依頼されたサウンドをただ作るような姿勢ではとても務まらない。「プロダクトをもっと面白いものにするにはどうすればいいか?」を常に考え続け、誰よりもこだわりぬかなければいけないと思います。あるサウンドデザイナーは、ゲーム内の決定音を完成までに50種類以上作成したなんて話もありましたから。

━━決定音だけで50種類!?

普通の人が聞いても、違いが分からないレベルです(笑)

決定音は、ユーザーの選択を意味する重要な音である一方、ゲームを進める中で何回も耳にする音になるでしょう?ですから、地味すぎてもいけないし、派手すぎてもいけない。ストーリーをイメージづける重要な音だから、と寝る間を惜しんで試行錯誤を繰り返していました。それだけのこだわりが求められる仕事です。

━━「サウンドクリエイターのキャリア」として得られるものもたくさんありそうです。

いろいろありますが、一番は「ゲーム制作全体を通した経験」ではないでしょうか。

まだゲームが骨格しかない状態から、デザイナー・企画・エンジニアと協力しながら、サウンドの要件定義を行い、実際に楽曲・効果音を制作します。実装した後は、先にお話したとおり、実機でどのようにサウンドが鳴るか確かめたり、アップデートに向けてそれぞれのサウンドを調整したり。いわゆるゲーム制作におけるサウンドデザインの全行程に携われますし、エンジニアなどの他の職能を持った仲間と議論を重ねながらリリースまで駆け抜ける。

こうした経験は、他では積めない貴重な体験になるし、サウンドクリエイターとして、「やったことありません…」がほぼなくなる(笑)。それは失敗経験も含めてです。ミクシィには、チャレンジしていく風土があるから、自分や仲間を信じて新しい一歩を踏み出せる。その積み重ねは、サウンドクリエイターとして、厚みのあるキャリアにつながるはずです。

 

▼求人はこちら

【DE事業本部】サウンドディレクター(リーダー候補)

PAGE TOP