【メルカリ小泉氏×ミクシィ笠原】が、 コミュニケーションサービスについて語った日

【メルカリ小泉氏×ミクシィ笠原】が、 コミュニケーションサービスについて語った日

9月13日(金)、14日(土)、渋谷ヒカリエにてモノづくりのためへのカンファレンス「BIT VALLEY 2019」が開催されます。
※主催企業の対談の様子はコチラ

それに先駆けて先日【BIT VALLEY 2019 プレイベント】モノづくりで変わりゆく未来 〜BIT VALLEY 2019 序章 〜が大手町にあるSlack Japan社の東京オフィスにて実施されました。こちらのオフィスは、Slackの世界観を体現する新オフィスとして4月にオープンしたばかり。皇居に隣接し恵まれたロケーションと、和のティスト溢れる内装が特徴だそうです。

プレイベントのプログラムの一つである「モノづくりが拓く、私たちの未来の生活」というタイトルのトークイベントにて、取締役会長の笠原がメルカリ社の取締役社長小泉氏と対談。その様子を中心に、プレイベントの様子をレポートいたします。

コミュニケーションがサービス軸

モデレーターを務めるのは技術評論社社の馮(ふぉん)氏。笠原、小泉氏から簡単な自己紹介があり、トークイベントはスタート。話題は、成長する可能性が高いサービスをいかに嗅ぎ分けるのかについて。

「笠原さんの自己紹介をみても、Find Job!、mixi、みてね…とヒットサービスを当ててますね(笑)。失敗したことないんじゃないですか。」と小泉氏から先制の質問が。

「そんなことは…(苦笑)。」と、笠原は前置きをしつつ、SNS『mixi』の初期から着目しジョインしたり、ラクスル社やアカツキ社など複数の社外取締役経験があったりする小泉氏に対して「小泉さんも、(投資先も含めて)あててますよね。その見分ける嗅覚はどこから?」と逆質問を。

小泉氏いわく、「社内でも言っているが、圧倒的に一般消費者の目線になりきることを意識している。」とのこと。ちなみに『mixi』の場合は、当時20代の女性や主婦の目線でみたら面白いしインフラになっていくだろう、と将来性を感じたそうです。

続いて、現在の仕事の話へ。

「『みてね』の初期の頃の話で、私がバグを発見したので運営にメールを送ったところ、笠原さんから直接レスポンスがあり、全部CSの問い合わせを見ていることにびっくりした。」と小泉氏からエピソードが。「少人数でスタートした経緯もあり、当時は私はメインでCSを見ていた。」と笠原の弁。

馮氏からも「会長という肩書だと、あまりそのような部分に触れないイメージがありますが…。」と意見がある中、「みてねのプロダクトオーナーでもありますから、サービス運営の責任がある。問い合わせ内容を見てユーザーがサービスのどのようなところに困っているか理解をもっと深めていきたい。」とサービスに対する笠原のスタンスを示しました。

テーマを「ネットコミュニケーションとスマホの登場」に変えて次の話題へ。
「15年前、笠原さんに言われた『コミュニケーションで人生を豊かにしたい』という言葉が今でも印象に残っている。今振り返ってみて、どう思っているか」と馮氏からの質問。

「そもそも人が生きることとコミュニケーションは分かち難いものがあり、ずっとそこに関われてこれたのはとても幸せなこと。『mixi』をやってみて気付いた点もあるが、コミュニケーションとインターネットの親和性は高いし、人と人とが繋がっていくことが面白い。友人から誘われたことで安心感があったし、友人が日記やつぶやきを書き込むからこそ不安を払拭できていたのだと思う。それまでネットと距離をとっていた方々もネットに書き込むようになったことで、そういう文化がさらに広まったのではないかと。クローズドな環境だった『mixi』を通して、そういった文化を作り上げることができたのは今思えば幸せなことだと思う。」と当時を振り返りつつ今の心境を吐露。また、「『みてね』においてもおじいちゃんおばあちゃん世代が、自分の子どもはもちろん、お孫さんともスマートフォンでカジュアルにコミュニケーションをとる、という文化にも繋がっているのではと思っています。英語圏だと曾祖父母世代のアプリレビューもみられるので。」と新しい文化が生まれている点を説明しました。

一方、小泉氏の話で印象的だったのは、メルカリのお客さまの1ヶ月の平均滞在時間が5時間半ほどあること。大手ECサイトの平均滞在時間が1か月あたり1時間ほどで、さらに動画サービスが4~5時間程度であり、それらに比べて、メルカリの平均滞在時間の長さは、コミュニケーションが軸になっているからだと話します。理由には「お客さまが自分のお店のような感覚で利用している。売買の喜びもあるが、プロセスや購入した方への承認欲求などコミュニケーションを楽しんでいる側面があるのではないか。」と分析。実際にメルカリにもSNSにあるような機能を取捨選択して盛り込むように、コミュニケーションの軸を設計しているそうです。

これからの技術やサービス、そして必要な人材

「BIT VALLEY 2019」のテーマの中心である『モノづくり』をひも解くためには、これからの技術革新や生活環境の変化といった将来予測が大きく関係していきます。ここでお二人が注目している技術やサービスに話題が移ります。

小泉氏は、「会社に関していうとブロックチェーンやAR・VR、AI。研究開発もこのあたりを中心にやっている。個人的にはブロックチェーンの技術や、金融以外の実社会にどうやって入り込んでいくのかに注目している。あとはリアルとネットの融合。テクノロジーが本当の意味でこれから入っていくだろうと考えている。」と説明しました。

一方笠原は、「技術とは少し離れるが、サービスのグローバル展開に注目している。」と説明。プラットフォームやプロモーションツールの豊富さや翻訳ツールの性能向上などから、展開しやすい環境になりつつあるそうです。その点を『みてね』の海外展開の事例に出しながら説明していました。小泉氏はこの話に賛同しつつも、「(グローバルに)参入しやすい反面、経営力が一層問われてくる。マーケティングの側面からもデリバーするパワーがないと、スタートアップは苦戦する可能性もある。」と指摘。また「どのような人にとっても家族・売買・ニュースなど必要性が高く、生活の中にコンテキストとして入れるようなサービスかどうかが問われる。」という意見もありました。

 

トークイベントも終盤に近づいたところで、馮氏から「新しいプロダクトに取り組む心構えについて教えてほしい」と質問。「例えば『みてね』リリース時の想いや心境を教えてほしい。」とのこと。

「なんにしろ、新しい技術やプラットフォームなどを、世の中で起きていることや変化が生まれるタイミングなどと、うまく掛け算して提供していきたい。『みてね』でいうと、スマホが写真・動画を撮る端末となった背景や、おじいちゃんおばあちゃん世代がスマホを利用するフェーズに当たったと思う。」と時代の流れを予測し見極めながら、適応していくことが大事だと、笠原は力説していました。ちなみに「通常なら、綿密な事業計画を考えるかもしれないが、私の場合はそれが苦手なので(苦笑)、ざっくりと世の中の流れを見ながらというケースが多い。ただし、世の中の流れを逆算するだけでは、自分がやりたい想いや実現したい世界観がそこにない。自分の身近な課題や想いといった側面も必要で、両面から見ていく。」と笠原のサービス開発の思想について解説がありました。

と、そこで小泉氏から「笠原さんが感覚的に言っているタイミングは歴史が証明している。」と鋭い指摘が。「1000億円規模のIPOしている企業群をみると、パラダイムシフトの変化は7~8年スパンで起きている。スマートフォンの登場を一つのパラダイムシフトとするなら、次の波がもうそろそろだと予想している。」とこれから起こるであろう世の中の流れについて、貴重な考察がありました。

『2020年の技術と社会』というテーマにて、画像認識や機械学習等のAIが進化し、人の意思決定をどんどんサポートしていくような技術と社会の共存についてのトークが白熱する中、最後のテーマ『経営者から見て、欲しい人材とは?』へ。「新卒でも中途でもどんな人材が求められているのか、メッセージとしていただきたい。」と馮氏から質問。

まずは笠原から「会社や事業に対して、自分事として楽しんでのめり込んでくれる、そのような人材が多ければ多いほど、事業が成長していきやすいだろう。あとは、細かいところまで観察して少しの違いに気付けるか、そこに執着できるような人材を求めている。」とのコメントが。小泉氏は「これだけスピード感がある社会なので、苦手なところを克服していくのではなく、得意なところ好きなところを伸ばして徹底的にやっていけるようになるのがよいかと。得意な分野好きな分野で手数を出していくことが重要で、失敗をしてもさほど気にする必要はない。私もだが、きっと笠原さんも成功の裏側にはきっと言えない失敗をたくさんしているはずなので。」と参加者に向けて熱いメッセージを送りトークイベントは終了しました。

※こちらの様子は動画 1:20:37~2:16:21 で配信しています。

なかなか聞けない貴重なセッションも
他にも本イベントでは、Slack Japan社のパートナーエンジニアの瀬良氏が「Slack Platform の今」と題してSlackの開発体制やサービスプラットフォームなどを、


※こちらの様子は動画 0:03:22~0:27:15 で配信しています。

さくらインターネット社の牟田氏が、衛星データや宇宙ビジネスの可能性について「衛星データとオープン&フリープラットフォーム「Tellus」のこれから」というテーマにて語ってくれました。

※「衛星データとオープン&フリープラットフォーム「Tellus」のこれから」の資料はコチラからDLできます。
※こちらの様子は動画 0:39:29~1:05:22 で配信しています。

 

また、「BIT VALLEY 2019」実行委員会の株式会社ディー・エヌ・エー 小林氏から、「BIT VALLEY 2019」で予定されているゲストスピーカーやセッション内容、ワークショップの紹介などもありました。

当日のプレイベントでは、全部で3つのセッションがありましたが、なかなか聞く機会が少ないテーマだったこともあり、会場内は真剣な眼差しを向ける方々で熱気にあふれていました。

今年はテーマも規模も拡大された「BIT VALLEY 2019」。学生支援も強化する形で、9月13日〜14日に開催されます。これからもミクシィグループは実行委員会の一員としてイベントを盛り上げるべく、最大限サポートしていきます。

 

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