デザイナー職の就職活動で必須となるポートフォリオ。いつ頃までに作ればいいのか、どのような構成にすれば良いのか…など、疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方向けに、ミクシィでは、オンラインイベント「ポートフォリオを強化しよう〜ミクシィ新卒内定者と面接官の体験談〜」を開催しました。当日は約50名の方がオンラインイベントに参加してくれました。
登壇者は、22年新卒入社者として内定している、デザイナー職の近藤・長岡・魚谷と、実際に面接を担当している『コトダマン』のデザイナー貫洞とデジタルエンターテイメント事業部のデザイナー星野の5名です。
まずは司会の大谷から、3名の内定者に「ポートフォリオづくりは何が難しかった?」と質問。それぞれに抱えていた悩みを聞いてみると…
と、作る前段階から作っている最中、作った後のブラッシュアップまで悩みはさまざま。皆さん色々な問答を抱えながら制作をしていたと説明しました。
. では、それらの悩みをどう解決していったのか。それぞれのポートフォリオを見ながら構成で意識したポイントなどを紹介していきます。
近藤「私は自分のプロフィールを細かく記載して、“自分がなにをやりたいのか”のビジョンを厚めに紹介しました。また、見ている方の体験を意識して作ることで、ページごとにイメージを変え、制作物の世界観が伝わるような色彩、構成にしています。とはいえ、全体を通しての見やすさにも配慮したかったので、タイトル・本文・画像などのページ内のフォーマットは統一しています。」
▲自身の経歴、スキルに加えてデザインへの姿勢も紹介
▲制作物の中でもこだわった部分はクローズアップして見せる工夫も
さらに、総合大学の出身で周囲にデザイン関係者がいなかったと語る近藤。フィードバックを得るためにどうしていたのか聞いてみると、「SNSをフル活用して、ポートフォリオのプラットフォームに投稿してコメントをもらったり、好きなクリエイターの方にDMを送って、見てください!とお願いしていました(笑)」と、ブラッシュアップのために行った努力も紹介しました。
長岡「就職活動で提示するポートフォリオで重視されるのは、やはり考え方や内面的な部分だと思ったので、どのような過程を経て、この作品に至ったかをきっちり説明しきることを意識しました。アイデア出しに使った付箋や他社の分析なども入れ、面接で深堀りされたときに、きちんと説明できるよう、ある意味で面接の補助的な資料として制作しています。」
▲爽やかな表紙の次には目次がまとめられていて制作物が一覧になっている
▲制作したサービスのページ遷移、ペルソナの設定意図、このテイストのデザインにした理由などがこと細かに書かれていて、ポートフォリオ単体で見ても十分理解できる内容に
これに対して、大谷は「感性だけではなくて、きっちり設計して作っていることがよく分かるし、ポートフォリオを読むだけでも背景を理解できるので人事担当にもやさしい内容だと思います。なにより、面接の時に答えるカンペとして使えるアイデアは妙案かもしれませんね(笑)」とコメント。
魚谷「私は、統一感のある内容にすること、自分のアピールポイントを押し出した内容であること、流し読みでも内容が理解できるよう画像を多めに文章は端的にすること、を意識して制作しました。見開き1ページの横長の形にすることで、画像をダイナミックに見せる構成にしています。様々なテイストを制作できる点をアピールしたかったので、各ページごとで大きくデザインも変えたのが特長でしょうか。」
▲横長のページデザインは、思い切ったレイアウトで印象に残る
▲各見開きでテイストを変えつつも、情報はまとまっていて読みやすい
▲制作したUIがなぜこのようなデザインになっているのか、ユーザー視点での理由も交えて紹介されていて背景が見えやすい。また、UIが機能的になっているかをモノクロでチェックする、といったテクニックも!
明確なコンセプトで構成されたポートフォリオに対して「見る側も、この人はどこに興味があるのか、というのがポートフォリオからハッキリ見えていいですね。」とコメント。
大谷が、内定者のポートフォリオの特長をまとめました。
大谷「ポートフォリオが自分をアピールするものでありながら、誰かが見るものなので、見る人にとってどう見えるのか意識した設計はとても大事ですよね。掲載されている作品それぞれの世界観を見せることも大事ですが、ポートフォリオ自体もひとつの作品。ポートフォリオを通して情報の粒度が揃っていたり、ある程度フォーマットが決まっていると見やすいうえに、齟齬も起きにくいですもんね。そして、背景。なぜこのデザインにしているか、といった経緯もそうですが、なにを参考にしているとか、どこを大事にデザインしているのかが書かれているのはとても重要だと感じました!」
その後、それぞれがポートフォリオをいつまでに完成させたか、その背景も交えながら説明しました。
続いて、面接官でもある『コトダマン』のデザイナーの貫洞とデザイン本部の星野に「一体どこを見ているんですか?」と聞いていくコーナーへ。
内定者のポートフォリオを一部振り返りながら、どんなポートフォリオが見やすく、引き込まれるのかを語りました。
貫洞「私が見ているのは、まずデッサン力、デザインの基礎になる部分をしっかり学んできているのかどうかですね。その土台があるかないかで、その後の伸びが違ってくると思うので。また、UIデザイナーであれば、このUIからどういう体験ができるのか、そこまで考えているかどうかはよく見ています。
▲モノクロで見え方を確認し、コントラストの強弱で見る側の体験を想像している
▲アプリ内はもちろん、ポートフォリオ上のページの照度も落とすことで、そのデザインによる体験を作っている
▲テーマカラーやサービス全体のイメージ(トーン&マナー)を決めることで統一感を保っている
デザイナーの力量はアウトプットで測るのが基本。人となりは、後の面接で深堀りさせていただくので、ポートフォリオでは、どういう考えを何を作ってきたのかを絵で語っていただきたいんです。あとは、どういった物をデザインソースにしているかも見れると嬉しいですね。◯◯のゲームのこの部分からUIを持ってきている、とかが見えると、本人の興味関心があるところも見れるし、そのアイデアの作り方も見えるので、見る側が興味深く読めると思います。」
星野「細かいキャプションがついていたり、考え方がわかるコメントがついていると“相手のことを考えて情報を構成する”という、デザイナーの基本的なスキルがあるのかどうかが見えていいな、と思います。また、作って終わりではなく、自分が作ったものにどれだけ熱意を込めているのかも見たい点ではあります。
▲グループワークで制作したゲームでありながら、その後一人でWebサイトを作ったという作品。ユーザーに届けたい!という思いはとても重要
▲実際に制作したゲームのWebサイト
また、興味の幅も気になりますね。ミクシィのような様々なサービスを行っている企業の場合、他のサービスのお手伝いをする可能性もありますし、引き出しは多い方がきっとキャリアの可能性も広がるので。グループワークなどで制作した作品であれば、どういった役割をどれほどやったのか、それも合わせて教えてくれると一緒に働くイメージもしやすいです!」
貫洞・星野によるコメントを終え、要点を振り返り、イベントは終了。
イベント終了後には、参加者の学生の皆様にアンケートに回答していただきました。内定者の実際のポートフォリオが見られたことや面接官のアドバイスが聞けたことは、好評だったようです。
ポートフォリオを制作中の学生の皆さんにとって、少しでも参考になると嬉しいです。