オルタ3、ロンドン バービカンセンター「AI: More Than Human」展へ

2019.07.08

最初に「オルタ3」とは?
人間とのコミュニケーションの可能性を探るために開発された、人工生命を宿したアンドロイドのこと。
このオルタ3は、世界的なアンドロイド研究者である石黒浩氏、小川浩平氏(共に大阪大学)、「ALife」(人工生命)の研究者である池上高志氏と土井樹氏(共に東京大学)、ミクシィ、ワーナーミュージック・ジャパンの4社共同研究プロジェクトにより開発されました。

<詳しくはこちら>

https://mixi.co.jp/csr/society/alter/

 

「人間との新たなコミュニケーションを創出する」というミッションを担い、オルタ3はロンドン バービカンセンター「AI: More than Human」展に出展されることになりました。そこで今回はオルタ3の「AI: More than Human」での様子をレポートします。

「人間を超えるもの」との関係性と価値を探る
2019年5月16日から2019年8月末までヨーロッパ最大の文化施設ともいわれるロンドンバービカンセンターで開催されている「AI: More than Human」展。

「AI: More Than Human」

AIの技術革新に伴う、人類との関係性や生活の変化を探る。AIは人類にとって有益であるのか?芸術家、科学者、研究者などの作品を体験しながら実証する、インタラクティブな展示会。
開催期間:2019年5月16日から2019年8月26日まで
展覧会詳細:Barbican Art Gallery

 

進歩し続けるAIに焦点を当て、テクノロジーと人類が築いてきた関係やAIによって私たちの生活がどのように変わるのかを探る展覧会です。日本からは他にもデジタルコンテンツ制作会社が手掛けた作品なども出展され、インタラクティブな展示で注目を集めていました。

展覧会ではまず、AIなどが存在しなかった古代にまでさかのぼり、人間がLiving beings(生きるもの)に興味をいかに持ち、古来より人間以外の「もの」への解釈や概念などが存在していたと紹介しています。さらにAIが登場する以前のコンピューター技術や、AIが登場して進歩し続けている現在に至るまで、テクノロジーの変遷を辿ることができました。

AIという現代における最新のテクノロジーは、実は古来から人間が持ち続けてきた「価値観の延長線上にある進歩」といえるのかもしれません。

オルタ3が展示されているのは展示会場の最後のセクションでした。
今回の展示はオルタ3に搭載されているALIFEエンジンの開発を行なっている東京大学池上研究室の池上教授をはじめとするプロジェクトメンバーの、多大なるご尽力により実現しました。この場を借りて感謝申し上げます。

最新のテクノロジーとして紹介されているオルタ3、人の動きを模倣することができるのですが、会場では来場者と模倣を通じコミュニケーションを行い、そのような光景を見ていると、どことなくオルタ3の表情が幸せそうにも見えました。

展示会場では、来場者の方々がオルタ3に接触して怪我などがないように、スタッフの方々がオルタ3の横について見守ってくださっていました。今回スタッフの一人、レオンティーナさんにお話を伺うことができました。

 

――オルタ3の展示を見守ってくださっていますが、何か思うことはありますか。

レオンティーナさん:そうですね、最初オルタ3を見たときは、奇妙で不気味だと感じて違和感がありましたが、時間が経つにつれて、この「彼・彼女」を受け入れ、違和感が全くなくなっている自分に正直驚いています。

 

――展覧会来場者の方々のご反応はどうですか?

レオンティーナさん:ご来場者の皆さまはオルタ3に抵抗なく近寄り、働きかけに対して反応するオルタ3とのコミュニケーションを興味深く楽しんでくださっているようです。

 

ご来場いただいている方々は「オルタ3」という存在に興味を持ち、好意的に受け入れてくださっている様子でした。

 

アンドロイドやAIは今後、人間の生活にどのような関わるのか?

AIによるサービスが続々と誕生し、さまざま社会課題を解決する可能性を期待される一方で、「AIは人類にとって深刻な脅威になりうる」という意見もあり、社会実装については更なる研究や開発が求められています。
そのような状況にあって、

「ロボットやAIと人間は相対するのではなく、共存できる。」

というメッセージを表現したかったのだと「AI: More Than Human」展のキュレーターの一人の内田まほろさんはおっしゃっていました。
西洋的観点ではなかなか受け入れられにくいかもしれない「上でも下でもない敵でもない、人間と人間以外のものの共存という価値観」。

「アンドロイドと人間は共存は可能か?」という問いかけに対し、「それが人間や社会、生き物にとって有益なものであれば」共存は可能なのではないか、共存可能な社会にできるか否かは人間の考え方や行動次第なのではないか、そんな風に思いを巡らせることができました。展覧会会場でも、多くの人々が思い思いにこのAIやロボットなどの文脈を語り合う姿を見ることができました。

 

オルタ3が創出する、人間との新たなコミュニケーションと関係性

最後に、今回の「AI: More Than Human展」主催者であるバービカンセンター所長のニールさんとエキシビジョンマネージャーのルークさんにお会いすることができました。
「素晴らしい展覧会になり大盛況です。オルタ3を開発してくれた方々にお礼を言いたいです。」とのお言葉をいただきました。
メディアが「AI: More Than Human展」を紹介する際、8割程度オルタ3の写真が使われているということで、注目度の高さが伺えました。

AIやロボットと人間とのコミュニケーションや関係性について、こうして多くの人々が身近に経験して考え、語らう機会を得られることこそが、大きな進歩と言えるのかもしれません。

さて、次にオルタ3は世界のどこに現れ、人々とどのようなコミュニケーションを取り、そのようなメッセージを投げかけるのでしょうか。

オルタ3は、今後もさまざまな活動を予定しています。

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人工生命×アンドロイド「オルタ3」〜シミュレーター開発の裏側に迫る

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