- 多羽田 俊
- 幼少期からプログラミングに親しみ、ITベンチャー、Web制作会社を経て、2021年にミクシィ(現MIXI)へ入社。SREグループの一員として、各プロダクトの開発者体験をサポートする。入社当初からプロダクト別の公式サイト構築・保守・運用を手がけ、2024年にはSRE NEXTにて「徹底的な自動化とトイルの撲滅で実現する効率的なSREの実践例」を発表。
ITベンチャーやWeb制作会社を経て、2021年に中途入社した多羽田 俊。開発本部CTO室SREグループにてさまざまな事業部から寄せられる課題を解決し、メンバーの開発者体験をサポートしています。「メンバーの幸せに貢献できると嬉しい」と語る多羽田がMIXIの魅力や働きがいを語ります。
開発現場の「縁の下の力持ち」が語る喜び。CTO室SREグループの取り組みとは
MIXI内のさまざまなプロジェクトを横断的に支える開発本部CTO室SREグループ。各プロジェクトの信頼性を守り、安全かつ効率的な開発環境を整える「縁の下の力持ち」として、主に三つのミッションを掲げています。
「一つめは注力事業サービスの設計・開発保守運用、二つめは新しい技術の検証や研究、三つめはMIXI GROUP全体の開発生産性向上やコストの最適化です。加えて、技術面での人材育成やリスキリングも行っています」
多羽田は実際のプロジェクトに関わり、メンバーの開発者体験(デベロッパーエクスペリエンス)をサポートしています。
「私たちの部署には、さまざまなプロジェクトから相談の声が寄せられます。そこで私は各プロジェクトの開発者がスムーズに開発を進められるよう、支援ツールの開発や関連サービスの契約・管理などを行っているんです。また、これらのツールやサービスを実際に導入する際には、各プロジェクトに直接参加して開発のお手伝いをすることも。社内の幅広いプロジェクトに関わり、横断的に支援をすることで全社的な開発効率の向上と問題解決に貢献しています。
自分が支援したことによってプロジェクトの課題が解消されたり、導入したツールに対してメンバーから『すごくよかったです』などと声をかけてもらえたりすると、とてもやりがいを感じますね」
幅広い事業部と関わるおもしろさや魅力については、こう語ります。
「プロジェクトによって抱えている課題や意見が異なるので、一筋縄ではいかない難しさもあります。しかし、どのチームも『よいものをつくりたい』という思いは一緒で、率直に意見を述べて『では、どうしていこうか』と前向きに話せるメンバーばかり。建設的な議論ができるので、一緒に仕事を進めていくのが楽しく、充実感があります。
また、複数のプロジェクトから話を聞いていると、時には共通の課題を抱えていることに気が付けたりします。それらをまとめて解決することができた時は、各プロジェクトを横軸でサポートしている意義を感じられますし、一度に多くの人を幸せにできた達成感が得られます」
宇宙からITへ、好奇心が導いた軌跡。MIXIエンジニアが語るものづくりへの思い
幼少期から宇宙とものづくりに興味があったと語る多羽田。プログラミングとの出会いは小学生のころに遡ります。
「小学生の時に入ったパソコン部で、『LOGO』という教育用プログラミング言語を学びました。当時は本に書かれたプログラムを書き写して簡単なゲームをつくったりしていましたね。中学生になるとホームページブームが起こって、自分でWebサイトをつくってみたり、『HSP』を勉強して簡単なソフトやゲームを制作してみたり。
大学進学の際に、『宇宙×ものづくり』という自分の興味を掛け合わせて、航空宇宙工学科へ進むことにしました」
学部生時代は超小型人工衛星をつくる研究室で、回路設計からプログラミング、はんだ付けまで一通り経験。さらに学びを深めるために、大学院にも進みました。
「大学院では、人工衛星の太陽電池を効率よく太陽に向けるための制御方法を研究していました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の先生にも指導を仰ぐなど、貴重な経験をしましたね。一方で、10年がかりのプロジェクトが突如中止になるような宇宙分野の厳しさを目の当たりにしたのもこのころ。ものづくりへの情熱はそのままに、より視野を広げて就職先を探す中で見つけたのがIT業界でした」
音楽も好きだったことから、アーティスト支援サービスを開発するITベンチャーに入社。一通り業務を経験したところで、Web制作会社も経験します。
「1社めは社員数も少なかったため、フロントエンドからバックエンド、インフラ、クラウドに至るまで幅広い分野を経験させてもらいました。2社めは知人の紹介をきっかけにWeb制作会社に入社。Webサイト開発に関する技術的なディレクションやクライアントのニーズに応じたコンサルティングなどを担当しました。エンジニアとして十分な経験が積めたので、次はより大きなプロダクトに携わりたいと思っていた時に出会ったのが、MIXIです」
入社前はSNS「mixi」の印象しかありませんでしたが、採用担当者の説明を聞き、その印象が大きく変わったと言います。
「『コミュニケーション』というキーワードを軸に、実にさまざまなプロダクト開発を行っていることを知り、とても興味を持ちました。それだけではなく、IT企業としての歴史もあり、中には『モンスターストライク』のような10年続くプロダクトもあって。きっと多くの技術的課題があるだろうと考え、自分の成長にもつながると感じ入社を決めました」
「エンジニアとして最高に楽しい環境」で働く──MIXIで実現する技術の多様性
入社後は頼まれた仕事を率先して引き受けることで、MIXIの業務やカルチャーに馴染んでいった多羽田。
「自分から積極的にコミュニケーションをとれるタイプではないのですが、入社直後からたくさんの相談があって。いただいたお話は基本的にはすべて引き受けることで自然と雰囲気に慣れていきました。加えて、社内のチャットツールやナレッジ共有ツールをうまく活用して、社内の情報をキャッチアップしました。
私が所属する開発本部は、各メンバーがさまざまなプロジェクトに入って仕事をすることが多いため、一人ひとりが多様なプロジェクトや技術に触れています。そのため情報共有の場では、自分の知見にとどまらない社内の幅広い課題や新しいナレッジを学べるのが刺激的です。これまでエンジニア同士で技術的に深い話をする機会が少なかったので、MIXIに入って『こんな環境で働きたかった!』と嬉しく思いました」
数々のプロジェクトに携わってきた多羽田が、とくに印象的な案件についてこう述べます。
「MIXI内の各プロダクトの公式サイトを構築、運用・保守する仕事を長年任されています。各事業部が自身のサービス開発に集中できるよう、デザイン本部と協力して公式サイトの制作を一括で手がけているんです。Webサイトの作成自体はそこまで難しいことではありませんが、維持・管理には多くの労力が必要。現在は50ほどのシステムサーバーを管理しています」
システムの信頼性を高く保ってきた功績が買われ、2024年にはSRE NEXTにも登壇しました。
「さまざまなツールやサービスを駆使して運用負荷を減らし、できるだけ少人数で多くのシステムを運用する方法について発表しました。会場アンケートやSNSでも『こんなことができるんだ』『今度試してみます!』などポジティブなコメントをたくさんいただけて、発表してよかったと思いましたね」
技術的な多様性が認められており、プロダクトごとに最適なツールや言語を自由に使用できるMIXI。そこに多羽田はエンジニアとしての楽しさを見出しています。
「MIXIはプロダクトも多種多様で、技術的にも使いたいツールや言語を自由に使っていい風潮なので、エンジニアとしては最高に楽しい環境ですね。日々いろいろな技術に触れられるので、それが学びにもつながりますし、社内のナレッジの蓄積にも貢献できます」
多羽田自身もこれまで経験したことのない挑戦を果たしました。
「とくに難しかったのは、iOSアプリのビルドシステムの作成。基本的にiOSのビルドはMacでしか実行できないので、各事業部が会社からMacを借りて管理する必要がありました。そこで、GitHub Actionsと連携するシステムを開発し、任意のタイミングで仮想環境を構築してビルドを実行できるシステムをつくったんです。
開発にはmacOSの仮想化技術や法務への確認など多くの技術的・組織的チャレンジがありました。しかし、なんとかこのシステムを完成させたことで、毎回わざわざMacのパソコンを用意することなく、GitHub Actionsで誰でもビルドができるようになり、全社的な業務効率化が図れたと思っています」
「新陳代謝」が育む技術の進化。社員全員が抱く「よいプロダクト」への飽くなき挑戦
MIXIに入社して3年半。多羽田が思うMIXIの魅力とは。
「私が感じるMIXIの特徴の一つは『新陳代謝のよさ』です。どういうことかというと、それなりに大きな規模の会社でありながら毎年さまざまなサービスが生まれて、一方で消えていくものもあるんですね。これって結構ネガティブに感じる人もいると思うんですが、私としてはよいことだと思っていて。
よいものをどんどんつくっていこうというモチベーションがあるからこそ新しいものが生まれていきますし、時にはクローズするものもあるけれど、価値ある経験として蓄積されていく。『昔のプロダクトでやっていたことが活かせそう!』と、過去の経験が役立つことも多々あります。
PMWV(※)にもある『発明』という言葉がまさに体現されていると感じます」
多羽田自身はPMWVの中でも「誠実」を大切に、仕事をしていると言います。
「社内のメンバーを見ていても、『誠実』に仕事に取り組んでいる人が多い印象です。みんなが常に『よいものをつくろう』という思いを持っているし、お互いをリスペクトしながら仕事を進めているので、コミュニケーションでトラブルが起こることは滅多にありません。
とくに印象的なのは、人を助ける文化。社内のチャットツール上で誰かが声を上げると、即座にみんなが『それは困ったね』『これはこうだよ』と駆け寄ってきてくれるんです。多くの人が見ているチャンネルで声を上げることってなかなか勇気がいると思うのですが、みんなで助け合い、困っている人を孤独にさせないところがMIXIの魅力の一つにもなっています」
MIXIで活躍できる人についても、次のように語ります。
「『誠実』さはとても重要ですね。周囲のメンバーもみんな誠実に仕事に取り組んでいるので、同じ方向性を向いて仕事ができることが大切だと思います。加えて、前述の通りプロダクトや使用している技術の幅が本当に広いので、情報量の多さを苦にせず、多様性を楽しめる人はきっと楽しく仕事ができるかなと思います」
縁の下の力持ちとして数々の事業部を支えてきた多羽田。これからもMIXIのよさを守り続けたいと言います。
「SREグループの役割はシステムの信頼性を維持し、いつでも『うちは大丈夫!』と堂々と言える組織をつくっていくこと。MIXIのポジティブな『新陳代謝』を保ち、その勢いを止めないようにこれからも技術的なサポートをし続けたいと思います」
※PMWV……MIXIの企業理念。PURPOSE「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」MISSION「『心もつながる』場と機会の創造。」MIXI WAY「ユーザーサプライズファースト」VALUES「発明・夢中・誠実」
※ 記載内容は2024年9月時点のものです