「好き」を力に。未経験から広がるアリーナでのキャリア

2025.10.20
沖野 達也
メジャーアーティスト活動を経て、前職ではゲームプランナー、ゲームディレクターとしてさまざまなゲーム事業に従事。2021年にミクシィ(現MIXI)に入社し、「TIPSTAR」の企画を担当。24年にMIXI CAREER CHALLENGE(ミクシィ・キャリア・チャレンジ)でアリーナ事業に異動し、現在はイベント運営に携わる。
片平 葉奈
広告代理店のグループ会社で再開発プロジェクトや観光案内所の立ち上げに従事した後、観光コンテンツ創生事業などを担当。2022年にMIXIに入社し、はたらく環境推進本部でオフィスの設備管理などを経験する。23年にMIXI CAREER CHALLENGEでアリーナ事業に異動し、イベント運営に携わっている。

「ここを選んでよかった。そう思ってもらえる会場でありたい」と話す沖野 達也と片平 葉奈。多目的アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY」の運営に携わる二人は、未経験からこの世界に飛び込みました。ライブが“好き”、支えてくれた人へ恩返しがしたい——そんな想いを原動力に、新たなキャリアを切り拓く二人の挑戦に迫ります。

“最高の体験”を届けるために。選ばれるアリーナをめざして

「LaLa arena TOKYO-BAY」は、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)とMIXIが共同事業として運営する1万人規模の大型多目的アリーナ。沖野と片平は、各イベントの開催に向けて関係各所との橋渡し役を担っています。

沖野:主催者の方と連携して、会場の下見から準備、本番の運営まで、一気通貫でサポートするのが私たちの役割です。具体的には、緊急時の避難動線といった安全面や当日のタイムテーブルなどを、関係者と協力しながらつくり上げていき、大きなトラブルがなく、最高の体験を提供することがミッションです。
片平:日々の業務の多くは、主催者の方やそのパートナー企業との打ち合わせです。その中で出てくる課題を解決して、「もっと使いやすい会場にしていくこと」も私たちの重要な役割です。たとえば、「こんな貸し出し備品があったら便利だよね」「このルールはもう少し柔軟にした方が主催者の負担が減るよね」といった意見をチームの仲間と交わしながら、改善を重ねています。

もっと使いやすい会場にしたい──これは、運営チームがとくに意識していることだと続けます。

片平:全国には多くのアリーナがありますが、「LaLa arena TOKYO-BAY」は決して立地に恵まれているわけではありません。だからこそ、主催者や来場者にとって「使いやすい」と感じてもらえること、そして私たち運営スタッフとの“距離の近さ”が、この場所の価値になると思っています。どんな要望にもできる限り寄り添い、「ここを選んでよかった」と思っていただけるように努めています。
沖野:「ここを選んでよかった」と思っていただくためには何ができるか、常に考えています。主催者、演者、来場者、それぞれが抱く期待を一つひとつ丁寧に形にしていくこと。それが私たちの仕事における軸になっています。

関わるすべての人の想いに応えようとする姿勢は、アリーナのスタッフに限ったことではありません。それも、「LaLa arena TOKYO-BAY」の魅力だと口をそろえます。

沖野:アリーナの周辺には、三井不動産の商業施設があります。イベント当日には、サイネージでイベント情報を映し出したり、出演アーティストの楽曲が流れたりと、街全体が一体となってお客さまを迎えるんです。そんな街ぐるみの歓迎ムードをつくり出せるのは私たちならではの強みですし、そこに価値を感じてくださる主催者の方が多いことを、誇りに思っています。
片平:所属や立場の垣根を越えて、「どうしたらもっと使いやすいアリーナだと思ってもらえるか」を日々話し合っています。柔軟に意見を出し合いながら、同じ目標に向かって協力し合える。そんな「人のよさ」も魅力だと思います。
また、事務所には三井不動産やMIXIのメンバーはもちろん、大型施設の運営に長けている企業のメンバーやメンテナンス企業、警備会社など、さまざまな専門性を持つメンバーが集まっています。みんなの背中を見ながら学ぶこともたくさんあるんです。

きっかけは「恩返し」と「推し」の存在。異業種からアリーナ事業への挑戦

沖野と片平は、これまでまったく異なる領域でキャリアを歩んできました。沖野のこれまでの道のりには、「恩返し」というキーワードがあります。

沖野:20代の頃、バンドを組み、メジャーアーティストとして活動していました。演奏する場所を提供してくれるライブハウスのスタッフさんやイベンターさんなど、たくさんの方に支えていただく中で、良い演奏をすること以外にも何か還元できることはないだろうか、と考えていたんです。その一つの形として、当時音楽と同じぐらい好きだったゲームの仕事に携わろうと、ゲームプランナー、ゲームディレクターの道へ進みました。そのキャリアが、MIXIへの入社につながりました。

入社後は、競輪・オートレース投票サービス「TIPSTAR」の企画担当をしていた沖野。転機となったのは、社内公募制度「MIXI CAREER CHALLENGE(ミクシィ・キャリア・チャレンジ。以下、MCC)」でアリーナ事業の募集を見つけたことでした。

沖野:アリーナ事業なら、アーティスト時代に出会った方々と再び“ものづくり”でつながれる気がしたんです。支えてくれた人たちに、自分の経験や人脈を活かして恩返しができたら──そんな想いが、挑戦を決める大きな原動力になりました。

一方の片平は、新卒で広告代理店に入社。グループ企業のデベロッパーへの出向を機に、街づくりに関わる仕事でキャリアを積んできました。

片平:地域の再開発プロジェクトや観光案内所の立ち上げなどに携わる中で、人が集う場所をよりよくしていく仕事にやりがいを感じるようになって。広告代理店に戻ってからも、地方自治体と協力して観光コンテンツの創出に取り組み、地域の魅力を届けるおもしろさを実感していました。MIXIに入社してからは、はたらく環境推進本部でオフィスの設備管理などを担当し、社員が心地よく働ける環境づくりに向き合ってきました。

片平がアリーナ事業に挑戦したきっかけも、MCC。キャリアチェンジの原動力となったのは、「推し」の存在でした。

片平:子どもの頃からずっと大好きなアーティストがいて、「いつか音楽に関わる仕事をして、そのアーティストと一緒に仕事がしたい」と思い続けてきました。アリーナ事業なら、デベロッパーでの街づくりの経験も、オフィスの設備管理で培った知見もすべて活かせる——その瞬間、「私はこの日のためにいろんな経験をしてきたんだ!」と心から思ったんです。これ以上に自分の夢を叶えられる場所はない。このチャンスだけは絶対に逃したくない。そう強く感じて、迷わず飛び込みました。

会場がひとつになる瞬間。信頼と熱量が生む最高の景色

念願だった「推し」のアーティストのイベントを担当し、夢を叶えた片平。そのほかにも、特別に印象に残っているイベントがあると言います。

片平:初めてメイン担当を務めたアーティストの公演は、今でも鮮明に覚えています。当時は音楽業界の知識もまだ浅く、専門用語もわからないほどでした。しかも、お客さまにとっても「LaLa arena TOKYO-BAY」を初めて利用するイベントだったんです。右も左もわからない中でしたが、不安よりも、支えてくれるメンバーがいる心強さの方が大きく、何より意識したのは丁寧なコミュニケーション。マニュアルの説明一つにも気を配り、初めての主催者の方にも安心してもらえるよう対話を重ねました。そして公演後、「とても使いやすい会場でした」と言っていただけた時は、努力が報われたようで本当に嬉しかったです。

これまでゲームに関わる仕事をしてきた沖野が印象深いチャレンジだったと話すのは、やはりゲームにまつわるイベントです。

沖野:海外チームが多く参加するeスポーツ大会を担当したときのことです。主催者の方も日本での開催は初めてで、お互いに手探りの状態からスタートしました。毎週の打ち合わせに加え、メールでも細かく連携を取りながら進めましたが、文化が違えば“当たり前”も違います。ゴミの分別や設営の進め方など、下見や準備の段階で想定外のトラブルが次々と起きたんです。それでもやがて、「こういうことを求めているのかもしれない」「ここを先回りして準備しておくと喜んでもらえそうだ」と、少しずつ見えるようになっていきました。最終的に大会は大成功し、主催者の方にも心から喜んでいただけて——その瞬間、「この仕事をしていてよかった」と強く感じました。

試行錯誤しながらも、最高の体験を提供するために奮闘する日々。そんな苦労も大変さも吹き飛ぶ瞬間が、何よりのやりがいです。

片平:主催者の方に頼っていただけたり、お礼の言葉をいただいたり、「自分が信頼されていることが目に見える」ことが一番の醍醐味です。イベント終了後も、「次はこんなイベントを企画しているのですが」と相談をもらうことがあります。そうやって信頼関係が築かれていくことがやりがいですし、信頼を寄せてくださる方たちのために、もっと頑張ろうと思えます。
沖野:私が一番好きなのは、イベント本番が始まった時、会場の熱量が一気に爆発する瞬間です。また、アーティスト時代は演者側だったので気づきづらかったのですが、どのイベントも、数え切れないプロフェッショナルの仕事が集結してできあがっている。その集大成として生まれる熱量を肌で感じることは、この仕事じゃなければできないし、現場ならではの特権だなと思っています。
片平:私も、ファンとしてライブに行っていた時は本番の数時間しか知りませんでした。でも今は、その素晴らしい舞台の裏には長い時間をかけて準備をしている人たちがいることを知りました。だからこそ、今は運営側として会場で目を輝かせているファンの方たちを見る瞬間がとても嬉しいです。

「夢中」と「誠実」を胸に。「心もつながる」未来をつくっていく

お世話になった方への恩返しと「好き」という力を原動力に、新たな挑戦を続けている二人。MIXIが掲げているPMWV(※)を体現しながら、チャレンジしたいことがあります。

片平:「『心もつながる』場と機会の創造。」というミッションは、まさにアリーナのことだと思っていて。本番が始まった瞬間、来場者の方々が「この日のために生きてきたんだ」と言わんばかりのキラキラした笑顔を見せてくれる。その景色を見るたびに、アリーナが「心もつながる」場になっていると感じます。
そんな輝く笑顔を少しでも多く生み出すために、私たちMIXIメンバーがアリーナ事業をさらにリードしていく必要があると思っています。ありがたいことに、現在は三井不動産から運営スキルに長けたメンバーが多く出向してきてくれていますが、その力に頼るだけではなく、ノウハウや主催者の方との信頼関係などをしっかりと受け継いでいきたい。そして、私たちMIXIメンバーが、このアリーナをもっと大きく、もっと愛される場所に育てていきたいと思っています。
沖野:私は、バリューの中の中でも「夢中」と「誠実」がとくに好きです。自分自身が「夢中」になれないと仕事に本気で向き合うことはできませんし、「夢中」になって結果を出すためには、お客さまや来場者の方々に対して「誠実」であることが欠かせない。この二つを大切にしていれば、自然と人脈や経験がついてくると信じています。
その想いを軸に、これからもチャレンジし続けたい。アリーナ事業に飛び込んだ理由でもある「お世話になった方たちへの恩返し」として、そしてかつて一緒に音楽をつくってきた仲間たちともう一度ステージをつくるために。いつか、この「LaLa arena TOKYO-BAY」で、自分の人脈と経験を詰め込んだイベントを開催するのが夢です。関わるすべての仲間と力を合わせて、“心がつながる瞬間”をこの場所から生み出していきたいと思っています。

※ PMWV……MIXIの企業理念。PURPOSE「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」MISSION「『心もつながる』場と機会の創造。」MIXI WAY「ユーザーサプライズファースト」VALUES「発明・夢中・誠実」
※ 記載内容は2025年9月時点のものです

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