ミクシィで毎年行われている内定者研修。今回は「職種混同のチームでサービス・プロダクト企画をする」が大テーマ。内定者の皆さんがどのような研修を通して、いかに成長していくか。全3回にわたって紹介いたします。
第二弾では、事業企画の中間発表と、学生に好評だった「資料の作り方」「プレゼン方法」というインプット講義についてレポートします。(第一弾はこちら)
中間発表
まずは2月に行われた中間発表について。A~Dの各チームが、アイデア出しの方法やサービス案、スケジュール、改善点、今後の進め方などについて報告を行いました。
<各チームが決定したサービス内容の方向性>
●チームA リアル謎解き&スタンプラリー×位置情報サービス
●チームB スポーツの同時視聴サービス
●チームC 誰でもDJ+マイナーミュージシャン支援ができる音楽サービス
●チームD 運動×キャラクター育成×マルチプレイ
<メンターからのコメント>
学業と両立しながら、サービスを検討してきた各チーム。中間発表にいたるまでも、サービスの企画や日程調整など容易ではなかったと思います。企画内容に粗削りなところも少々ありましたが、堂々と発表していた姿は素晴らしかったと思います。チームの発表後、代表して金丸からコメントが。
どのチームも発表のスライドを作り込んでくれていたので、とても分かりやすい発表でした。ビジネスプレゼンテーションとして伝えるときには、どういうアイデアなのかを端的に伝えることも大事ですが、パッと見た瞬間に「なんかよさそう!」「面白そう!」と思ってもらえることが大事だったりするので、聞いていて興味深かったです。発想の仕方がチームごとに特性が出たのも良かった点の一つ。第一回目のインプット講義では、新規事業の作り方について説明しました。その中で触れた“3C分析”。
*3Cとは、自社(company)、競合(competitor)、市場顧客(customer)。市場や競合の分析から自社の戦略に活かす方法で、これは事業を発想するときにも使える考え方です。
あるチームでは、負を前提とした考え方でそれは顧客そのものにフォーカスしているので、顧客(customer)機転のアプローチになっています。一方、今あるサービスを軸に「こういう方法は使えるよね」という他社の成功実績、つまり競合(competitor)を軸としたアプローチをしていたチームもありました。また、最後に自社(company)を軸にしたチームは、自社が得意なこと、役に立てることなど、自分たちの内面にフォーカスしていました。同じ会社に入るメンバー同士だけど、生きてきた背景が違ったり、思ったり考えたりする方法がそれぞれ違うので、発想の仕方も異なっており、発表を聞いていて楽しかったです。そして、自分たちの内面にフォーカスしながらも、ちゃんと市場でウケそうか、ミクシィのビジョンに沿っているかという考えが盛り込まれている点も素晴らしかったと思います。改善点があるとすれば、“熱量を伝える”という部分ですね。「私たちの案はイケてる!」という情熱が伝わるといいなと思いました。結局心を揺さぶるのは伝える人のパッションだからです。特に笑顔と熱量は新入社員の特権だったりするので、この辺を意識しながらプレゼンに臨んでもらえるとよりよいのではないでしょうか。 「○○をしたい人」に「○○を提供する」というように、「新規事業を通じてこういう価値を提供していく」という考え方は正しいのですが、概念的な階層で考えることも重要です。なぜ必要かというと、具体的なアイデアを突き詰めていくと「すでに同じことをしている会社がある」と気づく瞬間が出てくるはずだからです。ただし、“提供している価値”という観点で見ると、まだできることはある、という発想ができることもあるので、広い概念で本質的にはそれがどんな気持ちにさせているのか、心をどう動かしていくのかという発想で見ると、もっとアイデアが膨らんでくると思います。新規事業コンテストでは、新規性や実現可能性、市場性、成長性、継続性、永続性などが問われがちです。ミクシィの新規事業企画において、当社の経営陣が重視しているのは、「何が新しいんだろう」「どこが面白いんだろう」という競合優位性や差別化要素の部分。今後のブラッシュアップで参考になれば幸いです。
月に一度、30分の共有会を実施。当月のチームや自身の行動を振り返りつつ、総括シートへ記入します。取り組んだこと、良かったこと、課題点、改善点、そしてメンターへ相談したいことやチームとしての来月の目標、個々人が来月に取り組むことを書きます。共有会では個々人で振り返りを発表し、メンターや人事からフィードバックやアドバイスをもらいます。
自分の活動を振り返り、お互いに共有することで、ゴールに向かって自分は何をすべきかが明確になります。あるチームでは、卒業制作や論文作成などの進捗や忙しい状況を包み隠さず伝え、それを踏まえて役割分担を決めようという生産的な話し合いが見受けられました。雰囲気作りを大切にしながら進めていたのが印象的でした。
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2、3月にはインプットの講義として、「資料作成」と「プレゼン方法」についてのスキルを学ぶ機会がありました。こちらでは講義から資料と説明内容をかいつまんでご紹介します。
≪資料作成編≫
まずは資料作成編から。資料作成はなぜ必要かというと、「人を動かす」ために欠かせないものだからです。優れた資料を作成できるようになると、さまざまなメリットが生まれます。
悪いビジュアルや破綻したロジック、説得力のないストーリーは読み手に負荷を掛けてしまいます。資料作成の進め方として、4つのプロセスが挙げられます。
いきなり書き出すのは絶対にNG。「考える」と「書く」という行為を同時に行ってはいけません。読み手が誰で、どういう行動を取ってほしいのかというゴールをまず設定することが重要です。次に、資料の構成について。表紙から背表紙までの全体設計を行います。
各ページの構成については、レギュレーションを決めておきます。実務では、複数人で分担して資料作成を行う事が多い為、予め定型を定める事で、最終的にマージ(分担した全員分をまとめること)した際に、全体を通して、ルールが統一された資料にする事が出来ます。
図解表現やグラフ表現の型についても基本的なものを押さえておきます。
まず、図解表現について、ビジネス様のスライド作成では、どれだけ複雑な図表であっても、ほとんどのケースが次の基本となる15パターンから出来ています。
次に、グラフ表現については、なるべくシンプルかつ直観で理解出来る様に、表現したい目的ごとに次の4つを使用します。その際、二軸目は利用しない様にします。
次に、資料作成のお作法について。まず重要なのはビジュアルです。
■ビジュアル
資料作成では、徹底して「揃える」ことにこだわりましょう。人の脳は不規則なものにストレスを感じるため、規則正しく揃えることで脳への負荷を低減する目的があります。
その他にも、余白、オブジェクト、色、大きさなどにもこだわること。以下に、揃っていない表と揃っている表の具体例を挙げます。
また、基本色と強調色という2色だけを使うことにより、力強い強調ができるというテクニックもあります。
■ロジック
次に重要なのはロジックです。ページのタイトルは問い、リード文は主張・結論、ボディは結論を支える根拠という役割があります。
■タイトルの書き方
タイトルは、そのページが応えるべき唯一の問いを、簡潔に・正確に・問いの形式に書きます。
■リード文の書き方
リード文は、タイトルに答えている・ボディを要約している・余計な情報がないという3つを踏まえて書きます。
■ストーリー
「興味をそそる」「共感する」「気づきを与える」という、感情を高揚させる3種類の情報を網羅すること。また、全体感を伝えることも重要です。なぜなら、読み手は先の展開が見えないときに不安や苛立ちを覚えるためです。ストーリーの発想や設計に困った場合は、フレームワークを活用するのも一つの手。例えば、PREP法やSDS法、PCSF法などが挙げられます。
≪プレゼンテーション編≫
2つ目のインプット講義は、プレゼンテーションについて。伝えることの目的は、①相手の心を動かす、②相手に行動させる、という二つの目的しかありません。正しく伝えることで、相手の心を動かし、行動してもらうためには、WHYを中心の3W1Hでアプローチを考え抜くことが不可欠です。
プレゼンスキルは、思考力や資料作成力と同様、正しい方法で練習することによって、誰でもいつからでも鍛えることができます。プレゼンが上手くなると、ビジネスでもプライベートでもシーンを問わず、物事を有利に進めることができるようになります。
■課題
ここで一つの課題が出されました。それは、10分をかけて自己紹介文を考えてください(形式、内容は問いません)というもの。そして、一人ひとりスマートフォンの録画機能を活用して、1分間の自己紹介動画を撮影しました。この課題の意図は、現時点における自分自身のプレゼンテーションスキルのレベル感を認識する為です。講義によって実践的スキルをインプットした上で、改めて振り返る事で、どれだけ成長出来たかを確認する為に、インプット前の状態を記録していただきました。
■心・技・体の「心」
人前で発表するときに緊張するのは当たり前のこと。緊張するということは、その機会を重要な場であると捉え、それに対して意識や身体が準備に入っている証拠だからです。適度な緊張は、集中力がアップし、能力の発揮を促してくれます。しかし、人前で話すことが苦手という方は、どうやって乗り越えるべきでしょうか。ここでは自分をコントロールする3つの考え方をご紹介します。
また、物理的な対策も効果があります。
■心・技・体の「技」
プレゼンテーションは、①事前準備、②リハーサル、③本文の流れで実行します。重要なポイントは①と②です。
通し稽古と部分稽古、徹底的な繰り返しのみが次のレベルに辿り着ける唯一の方法です。
そして本番。本番では聞き手の緊張をなくし、聞く準備をさせるためのアイスブレイクが求められます。内容については相手主体で、「共感」を意識し、テーマを選定しましょう。
プレゼンの導入方法は、①質問から話す、②エピソードから話す、③結論から話す、という3つの方法があります。また全体を通してストーリー性のある構成にしましょう。伝えるときは、平易な言葉で簡潔に話すこと。また、「3」という数字を意識して要点を絞ったり、理由・事例を展開することで理解や記憶を促すことも重要です。伝えているメッセージと一致したジェスチャーにより視覚情報をプラスすることも有効。身振り、手振り、表情にもこだわりましょう。オンラインの場合はやりすぎというくらいがちょうどよいです。人の心を動かし、行動させるためには、自分自身が熱量高く、一言一言に魂をこめる必要があるからです。
最後にクロージング。最後に念押しとして、聞き手に次の行動を促す強烈なトリガーワードを放ちましょう。
■心・技・体の「体」
全身をフル活用し、感情を揺さぶり行動を起こさせましょう。
話すスピードは1分間に300~400音(原稿用紙1枚分)程度。ナルシストかと思うほど鏡を見て、表情やしぐさ、動きの練習をしましょう。客観的にどのように映っているのかをイメージできるようになるまでが目安です。スマートフォンの動画機能を使うと急速に上達します。
講義を終えて… ※参加者アンケートより抜粋———————————–
・資料作成の構成で、各項目の文字の大きさまで決まっているのは、すぐ実践できるなと感じました。
・ストーリーの組み立ての方法を今まで知らなかったため、色々な手法を教えていただき学びになった。
・資料を作る工程でラフを作って確認を取る事や問いと答えをタイトルとリード文に書くこと、プレゼン資料全体の流れなど…自分が資料を作る際に意識出来ていなかった事を知れた。
・すぐ実践できそうな内容で、ためになったなと感じた。
・いつも通りのハイクオリティな講義で、そのあとすぐに適応できるのが毎回すごいと感じます。講義していただきありがとうございました!
・講義自体がわかりやすいのに加え、少しの雑談で緊張がほぐれてリラックスして受講できた。
・説明が分かりやすい。プレゼン資料を作る時に知りたかった事を漏れなく知ることが出来た。
・1分間プレゼンという練習方法が、印象的でした。理由は、実際にやってみて、時間配分や内容の簡潔さの重要性が身に染みたからです。
・自分はプレゼンなどの本番で緊張しすぎてしまうタイプなので、事前用意の重要性に納得した。また、実際に録画して話すことは言われなければ絶対にやらないので、様々な気づきがあった。
・学んだプレゼンの流れを1分間プレゼンを練習することで身につけることができるという話が特に学びになりました。プレゼンは場数が重要だと思っていて、そういった一人での個人練習をしてこなかったので具体的に練習のやり方を教わり実践してみたいと思いました。
・人前で話すことが苦手な人が乗り越える方法に関して、自分は結構人前で話すときに声が震えがちで、あまり大声が出せないので、参考になりました。アイテムや服装によって相手に与える印象を変えるのは、デメリットなくできそうで良いと感じます。
・プレゼンにどうしても苦手意識があったのですが、しっかりと事前に話す内容を準備&練習をするという基盤が今まで念入りに出来ていなかったと気づきました、タメになりました。
ポジティブなコメントばかりで、金丸の講義や演習を通して、みなさんの大きな気づきに繋がったようですね。
10月から 3月までの研修、お疲れさまでした。ここまでを終えて、私が一番伝えたいことは、入社前は存分に好きなことをしてほしいということです。一日中ゲームをプレイするのもよし、旅するのもよし、恋人と一緒にいるのもよし。この期間しか体感できないものが多いので、やりたいと思うことには一生懸命取り組んでほしいです。様々な企業で働いて来た中で感じることは、他社と比較して、ミクシィはフラットで自由な風土の会社ですが、それでも社会人一年目は仕事だけでなく、人との関係性で疲れることもあるでしょうし、マインドコントロールやタイムコントロールが思うように出来ず、やりたい事に時間を費やせない瞬間もあるかも知れないので、会社に入る前のこの一瞬を大切にしてほしいと思っています。私は現在、事業開発部の部長というポジションで、新規事業を作る仕事を担当しています。アイデアを考えることが自分の強みではあるのですが、大学生の頃は全くできませんでした。ミュージシャンとして音楽にのめり込んでいて、音楽以外の事は、本当に何もできなかったんです。特に大学4年生の2~3月末は遊びたくてしかたがなかった時期で、とにかくバイトを休む理由を必死に考えていました(笑)。ある時は「祖母が●●になった」、またある時は「姉が●●で」と色々と理由を考えていました。でも何度も休む理由をつけていると、アイデアのネタが枯渇していくんです。そんな時にひらめいたのが、何かと何かを掛け合わせれば、発想ってどんどん広げていけるんだということです。バイトのケースだと、主語である「誰(Who)」と述語である「どうした(What)」の掛け算のパターンを変えれば無限に作り出せることに気付きました。結果として、学生の頃、一生懸命、言い訳を考えていた事によって、今その発想力を活かしてごはんを食べているわけです。それ故に、今一生懸命やっていることが、のちのち効いてくると思っているので、皆さんには「将来こうなるためにこうしていくんだ!」ときっちり計画的に生きるのもいいのですが、それよりももっと大切なことは、今この瞬間を一生懸命生きてほしいと思っています。
今回の記事では、内定者研修の中間発表とインプット講義についてご紹介しました。現在はアイデアをブラッシュアップさせ、資料作成やプレゼンテーション練習に励むフェーズに突入。そして内定者の皆さんは、4月1日、晴れてミクシィの社員としてジョインしていただきました!4月中旬ごろには、この約半年に及ぶ内定者研修の集大成として成果発表会を設けています。金丸の講義内容を武器に、果たして堂々とプレゼンができるのか。次回の記事では、成果発表会の様子を紹介いたしますので、お楽しみに!