コトダマン エンジニアGマネージャーの田中さんがメンバーに「浸透」させたいこととは? ~Valueの体現者たち 06~

コトダマン エンジニアGマネージャーの田中さんがメンバーに「浸透」させたいこととは? ~Valueの体現者たち 06~

MIXIでは、従業員の行動指針として「発明」「夢中」「誠実」という3つのバリューを掲げています。そしてバリューを体現した = 頑張った従業員を称える「MIXI AWARD」を毎年開催しています。

今回は、MIXI AWARD 2023でマネジメント賞を受賞したコトダマン事業部エンジニアグループ マネージャーの田中恭友さんに、普段仕事をする上で意識していることや、MIXIの3つのバリューの捉え方、そして今後トライしたいことについてお話を聞きました。

━━MIXI AWARDのマネジメント賞を受賞した感想をお願いします

素直に嬉しいです!

私は元々、引っ込み思案であまり前に出るタイプではありませんでしたが、マネージャーになってからは社内外での発信の機会を逃さないようにしようと考えを改めるようになりました。他部署との連携やメンバーの今後のキャリアを考えたときに、エンジニア組織の文化として取り入れたいと考えたためです。

この受賞はエンジニアメンバーの普段の努力の成果だと思っています。その努力を評価いただけることが非常にありがたいですし、MIXI社内での『コトダマン』の存在感を増すことや、他事業部との交流のきっかけになると嬉しいなと思います。

技術的負債の解消に取り組んだ3年間

━━現在の業務について紹介してください

コトダマンのエンジニアグループでマネージャーをしています。業務内容としてはエンジニアグループのピープルマネジメントに加えてプロダクトオーナーやスクラムマスターと連携した組織作り、コトダマンの過去からの技術課題の解消の戦略を練って事業部全体の業務効率改善に取り組んでいます。

━━コトダマンにはいつから関わっていますか?

2020年3月ごろにジョインしましたので、約3年半ほどコトダマンに携わっています。ジョイン当初はサーバーサイドエンジニアとしてスクラムチームの中で新規機能の実装や改修を担当し、2022年の6月頃からSREチームを立ち上げ、2022年9月頃からエンジニアマネージャーになりました。

━━当時のコトダマンにおける課題というのは何でしょうか?

プロダクト品質や業務フロー、インフラ面など様々な領域で技術課題があり、障害が度々発生していました。そういったユーザーの目に見える形の障害もありますし、実装面でも品質を高める工夫が不足していました。システム全体が複雑で、実装者が意図しない不具合が生まれてしまっていました。

━━3年経って、現在はどうですか?

業務フローを見直したり、運用ツールの改善や実装ルールの整備、障害発生後のポストモーテムの実施によって障害を再発させない取り組みを行ってきました。また、今年度からSREチームが主導してインフラ面や開発環境の改善、オブザーバビリティの強化といった開発基盤の改善を始めています。その結果として、障害の数は着実に減ってきています。ようやくアプリケーション本体の実装を改善して、内部品質の向上に取りかかれる段階まで来ています。

これからも事業を継続的に成長させていくために、根本的な課題をどう解決するかを考えています。

━━開発チームにも変化はありましたか?

開発チームではスクラム開発を行っています。もともとプランナーやデザイナーとのコミュニケーションが良好な文化がありますので、それを活かしつつもっとユーザーが求める機能を確実に・素早くリリースしてプロダクトを成長させるためにはどうすれば良いかを検討し、取り組んでいます。

ピープルマネジメントの面でいうと、最近エンジニアメンバーの増員や入れ替わりが多くありました。そのため、新しいメンバーがいかにスムーズにコトダマンの文化へ馴染めるかという点は気をつかっていました。また、各メンバーに事業部の課題をどう分担してもらえば個々人のキャリア上良い経験となるのかについても考えることが多いです。コトダマンに携わっていただいている時間が、メンバー全員にとってなるべく幸せな時間であるようにうまく調整していければと思っています。

━━チームメンバーの入れ替わりがあると、オンボーディングが大事ですね

そうですね。基本的に、隔週で1on1ミーティングをしています。1on1では自分とメンバーの間の相互理解を深めることを一番の目的としています。深い相互理解があることで信頼関係が育まれていき、強い信頼関係があることで権限移譲が適切に進み、プロダクトを成功へ導く強いチームへ繋がると信じているからです。

そのため、各メンバーに対してできるだけ誠実、率直に話すようにしています。現状の課題を共有した上で相手に対する期待をすりあわせ、そしてお互いが幸せになれる道を探していきましょうと繰り返し伝えています。

メンバーの入れ替わりは、ある意味でチャンスと捉えています。これまでのコトダマンの開発文化をより良いものに作り替えやすい機会であるからです。新しいメンバーから、現状のコトダマンの課題に対して過去どのように解決してきたかを聞いたり、新たに取り入れられそうな良い文化はないか聞いたりしています。良いものがあれば、積極的に取り入れています。

夢中に仕事できる環境を作りたい

━━ではMIXIのバリューである「誠実」「発明」「夢中」について伺います。「誠実」は仕事の中でどう体現していますか?

誠実というのは、私自身が最も大切にしている項目です。ユーザーに対して誠実であるのはもちろん、開発メンバーや事業部内メンバー全員に対して誠実でありたいと考えています。誠実であることが、メンバー間の信頼関係を育む上で大事な要素であると考えているからです。

事業部内のエンジニア以外のメンバーと接する時にも誠実さを意識してコミュニケーションを取るようにしています。例えば、開発における意思決定をするうえで、エンジニアがどう考え、何ができるのか、また何ができないのかを丁寧に説明するようにしています。また、他のセクションのメンバーをどうサポートしたらコトダマンの成功に近づくか、それを常に意識しています。

━━肝になるのはコミュニケーションでしょうか?

はい。私がコトダマンにジョインした2020年3月ごろは、ちょうどコロナ禍がはじまったときでした。この時期にリモートワークへ移行し、テキストコミュニケーションが主体になりました。最初の頃はテキストコミュニケーションによる誤解が生まれやすく、信頼関係を構築する上で注意しなければならない点が多くありました。幸い、今は週1くらいで顔を合わせて仕事をしているので、良好な関係性を築けています。

━━「発明」についてはどうですか?

「発明」と聞くと、私は今までになかった新しいアイデアのようなイメージを強く持っています。直近ではベストプラクティスに合わせて現状を改善していくことが多くなっているので、それは発明とはちょっとニュアンスが違うかもしれませんね。

チーム視点で見ると、メンバーの中には全く新しい発明ができそうなアイデアを秘めた人がたくさんいます。そのポテンシャルを活かし切れていないジレンマを感じているので、そこは今後の課題点ですね。

━━では「夢中」についてはどうでしょう?

現在はコトダマンの課題を解決して、どう事業の成功に結びつけるかに夢中です。事業部のメンバーはどのチームのメンバーであっても、コトダマンの成長に真摯に向き合って日々様々な知恵を絞っていただいています。残念ながら、技術負債がこうしたメンバーのアイデアを実現させるためのブレーキになってしまったり、本質的な業務に集中するためのノイズになってしまっていたりします。一つ一つ課題を解決して、メンバーがプロダクトの成長に対して夢中になれる環境を作っていきたいです。

ボトムアップでアイデアを産み出す文化が根付いている事業部なので、メンバーがもっと夢中になれる環境があれば、ゲームを面白くするアイデアや、ユーザーがもっと夢中で楽しめるための仕組みをどんどん生み出せるはずだと考えています。

━━技術的負債の解消はネガティブなことも多そうですが、注意していることはありますか?

技術的負債は新しい技術を導入すればすぐに解決できるものではありません。技術的負債の解消は困難な課題であり、状況を整理して一つ一つ着実に積み上げていくしかありません。課題が大きすぎて手に負えないことや、事業部に散在する多くの課題に目移りしてしまい優先順位がつけられず、どこから着手するか迷ってしまう状況にも出くわします。そこで用いているのが、私の好きなテスト駆動開発の考え方です。

━━テスト駆動開発をどう使うのですか?

テスト駆動開発の考え方に、現状をチェックしながら自分で1サイクルで解決する歩幅をコントロールして一つ一つ着実に結果を積み重ねていくというものがあります。多くの課題を一度に解決しようとはせず、まず一つの問題にだけ集中して、それを解決したら次の課題に取り組みます。この考え方は、不確実性が大きく困難な技術負債の解決でも転用できる考え方だと感じています。

━━千里の道も一歩から、ですね

そうですね。解決すべきスコープが広すぎて、一気に解決しようとしてもうまくいかない場合が多いんです。そのため、迷ったときにはまず目の前の問題に集中的に取り組むようにしています。

今後取り組みたい3つのこと

━━今後、仕事で取り組んでいきたいことはありますか?

3つあります。「相互理解」「発明の加速」「ユーザーサプライズファースト」です。

━━1つ目からいきましょう。「相互理解」について教えてください

これまで信頼関係の構築に取り組んできましたが、ちょっと遊び心が足りなかったかなと思う部分があります。一部のメンバーとは出社したときにメンバーと飲みに行ったり、ボードゲームで遊んだりといった取り組みはしているのですが、別チームのメンバーとはお堅いコミュニケーションしか取っていなかったという反省点があります。

これまで業務上関わることの少なかったメンバーとも、もっと相互理解を深められることを意識的に取り組んでいきたいですね。

━━2つ目、「発明の加速」はどうでしょう?

「夢中で仕事ができる環境を作りたい」と同じことなのですが、メンバーがどんどん新しい発明ができる基盤を整えて、発明を加速させたいです。そのためにも、まず現状の課題をどんどん解決していきたいですね。

━━3つ目、「ユーザーサプライズファースト」とは?

アジャイル開発では、なるべく1回のリリースサイズを小さくするという思想があります。その方が障害発生の可能性を抑えられますし、品質を向上させられます。そして、小さく細かくリリースする方がユーザーの求めていたものとズレがあった場合のピボットも早期に行えます。

そうした小さなリリースを高速に回す方が、成功の確率を高められるのは当然です。しかし、一方でユーザーが驚いてくれるもの、心を動かすものは相対的に大きな機能だったりします。そのため、ユーザーへサプライズを届けようとすると、どうしても1回のリリースサイズは大きくなり失敗の可能性も高くなってしまいがちです。

大きな機能リリースに伴って不具合が多発したり、ユーザーにとってバッドサプライズ(思っていたものと違う)になって、ユーザーの心が離れてしまうケースもあります。そうしたリスクを回避しつつ、ユーザーにとって良いサプライズを届けるにはどんなエンジニアリングをしたら良いのかと考えています。

━━小さなリリースとサプライズは相反するのかも知れませんね

そうですね。まず現状については、障害を起こさずに小さなリリースを適切に行える体制を整えています。そして、それが実現した暁には、ユーザーサプライズファーストと小さなリリースを両取りできるような方法はないか模索したいと考えています。

挑戦の回数を増やしたい

━━最後に。一緒に働く人たちへメッセージをお願いします

はい、まずはエンジニアチームのみなさんに向けて。
今回いただいたマネジメント賞は、私だけが受賞したのではなくエンジニアグループ全体の受賞だと考えています。一緒に働いてくれているみんなで取った賞なので、ぜひみんなで一緒にお祝いしたいです。

皆さんのエンジニアのキャリアを考えたときに、このコトダマンの開発が良いものになってくれるようにこれからも取り組んでいきます。ただ目の前のタスクをこなすだけでは、レガシーな技術にしか触れられない期間だったと思えてしまうかも知れません。しかし、どんな技術も時間とともにレガシーになっていく宿命がありますし、コトダマンには幸運なことに長く運用できているタイトルだからこそ直面する課題も多数あります。その課題解決はきっと皆さんのキャリアにとってプラスになるはずだと信じていますし、マネージャーとしてそのようにサポートしていきたいと考えています。

長期運営タイトルに携わっているという自信をもって、目の前のタスクだけでなく困難な課題解決にもチャレンジしてやりがいを感じて欲しいです。まだまだ実装が忙しい状況ですが、今後は挑戦の回数を増やしていきましょう。

━━コトダマン事業部、エンジニア以外のメンバーにもメッセージはありますか?

今回の受賞は私だけの力ではなく、これまでお世話になった先輩のエンジニアやマネージャー、同じ事業部のマネージャーの皆さんを参考にして取り組んだ結果だと思っています。受賞したといっても気負うことなく、これからも地道に着実に業務に取り組んでいきます。事業部のたくさんのメンバーの努力をユーザーにより多く・高速に届けられるようにエンジニアとして課題解決に取り組んでいくので、これからも引き続きよろしくお願いします!

MIXIの企業理念(PMWV)をあらためて見返していると、突然新しく制定されたものでは全くなく、私が入社してからずっと感じているMIXIの文化をそのまま言語化したものだと実感しています。今後もこのPMWVに沿ってコトダマン事業に取り組んでいきます。

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