部室長の一週間をのぞいてみた。〜社内IT室 編 〜

2021.03.04

社長、部室長、マネージャー、リーダー…会社組織には、様々な役職があります。

ですが、その仕事内容というのは、意外と知られていないもの。そこで、このシリーズでは部室長にフォーカスし、実際に「部室長って何やってるの?」「どんな予定があって、どのぐらい作業をしているの?」と、本人に質問を投げかけてみることにしました。

 

▼過去の記事はこちら

部室長の一週間をのぞいてみた。〜モンスト ゲーム運営部 編 〜

 

今回は、はたらく環境推進本部・社内IT室の 加藤に質問。最近の忙しかった一週間のスケジュールをベースに、それぞれの予定がどのような内容なのかを聞き、その全体感を教えてもらいます。

 

加藤徳英(かとう のりひで)
2006年12月ミクシィへ中途入社。前職ではインターネットプロバイダーにてネットワークエンジニアを経験。SNS『mixi』のインフラ・購買を担当し、2014年よりはたらく環境推進本部 社内IT室に。2020年、部室長に就任。本人いわく「IT用務員」。

 

いまの働き

加藤が統括しているのは、「はたらく環境推進本部 社内IT室」。これだけ聞くと、ん…?はたらく環境推進本部ってなんだろう、と思われた方も多いのではないでしょうか。シンプルにいうと“総務”の役割を担った部署。部全体では、オフィスのコンディション把握・管理を行なっています。

「その中で社内IT室が担っているのは、日々の業務というところでいうと、社内のPC・モバイルの設定・管理、それから、各部署からのシステムに関する問い合わせの対応。そこに、プロジェクトとしての業務がある感じですね。たとえば、M&Aに関連する業務やオフィス移転とか、コロナの対応などもそれにあたります。あとは、“インシデント対応”と呼ばれる業務があって、これはサイバー攻撃や不正使用に関する対応になります」

IT室 部室長・加藤の業務構成

・ルーチン業務
 社内PCやモバイルの管理、個人や部署からのシステムに関する問い合わせ対応
・プロジェクト業務
 M&Aに関連する業務、コロナ対応など会社の状況に合わせて発生する業務
・インシデント対応
 サイバー攻撃や社員のPCが不正利用された場合などの緊急対応

 

一週間のスケジュール表、見せてください

主な業務を聞くことはできましたが…具体的な仕事がもう少し知りたい!ということで、一週間のスケジュールを見せてもらうことに。以下は、2月のある1週間のスケジュールです。

この週は、週4日出社していて、リモートワークは週1日だけ。だいたいこのぐらいの出社をしているのだそう。

「会社としての方針はあるけれど、やっぱりすべての社員が一律同じ回数で出社・在宅を決めるのは難しいなと思っていますね。フルリモートで成り立つ社員ももちろんいるけど、難しい社員もいる。職種によるところが大きい。今後は会社としても、使い分けていくように思いますね。
そこでいうと、IT室の仕事というのは、どちらかというと出社ありき。PCやモバイルを受け取ったり、渡したり…という物理的な話も大きいですし。あと、僕は自分のことを“IT用務員”だと思ってるんですよ(笑)。会社内でITに関するトラブルが起きてないか、常に見て回ってるようなイメージ。そういう意味でも、できるだけ出社してるところはありますね」

 

部室長、この予定は何ですか?

スケジュールを見ていて、いくつか気になった業務があったので、ピックアップしてさらに詳しく教えてもらうことにします。

 

1.チケット対応チェック(ルーチン業務)

ミクシィでは、各部署への問い合わせは、“チケット”という形で管理しています。IT室にも、日々、それぞれの社員や部署から問い合わせがあるので、メンバーはその対応・チェックを行なっています。「チケット対応チェック」という予定は、中でも特に重要度が高いものについての相談や、実際の対応方法が適切だったかについて振り返りを行なっています。週に3回程行われている定例業務です。

 

2.JV同居に関する打ち合わせ(プロジェクト業務)

JV(=Joint Venture)は共同企業組織を指していて、M&AやJV、他社との業務提携などはプロジェクトごとに業務が発生します。ざっくり何をしているかというと、オフィスに受け入れる準備ですね。例えば、使用しているツールを棚卸しして、一緒に働きやすく、問題が起きてもミクシィ社として責任をもてるように整える作業です。プロジェクト単位だと、ほかにも経営企画部と情報連携して、一緒に業務改善に取り組んで社内システムのリプレイスなどを行うこともあります。

 

3.インシデントフォロー(インシデント対応)

一言でいうと、“緊急対応”。たとえば、サイバー攻撃などに対する検知・封じ込め・復旧に関する対応だったり、社員のPC利用において不正な使われ方がしていないかの確認や起きた場合の対応だったり。他にも、揺れが強い地震が起きた場合は、社内の様子を確認することも。深夜など社内にいない時間帯だと、自宅から社内モニターで確認します。“緊急対応”という名前ではありますが、大小さまざま毎週なんらかの対応はしているのが現状だそう。

 

ルーチン業務、プロジェクト業務、緊急対応の業務…と加藤の話を聞いていく中で、印象に残った話があります。

 

「極端なことをいってしまうと、IT室ってなくても仕事はできると思うんですよね。自分たちで開発環境を整え、必要なツールを契約して、プロダクトを作っていくことだってできるわけです。
でも、だからこそ、IT室の価値を考えなくちゃいけないと思うんですよ。いてくれて良かったと思われる行動をして、成果を出さないといけない。1ついえるのは、会社全体を見て横断的に判断できるのは、IT室だってことです。従業員のリスク管理含めて、会社のパフォーマンスをどう維持するのか、どう上げていくのかを考えていける部署だと思っています」

受け身ではなく、戦略的に攻めの組織を目指し、会社内においてその存在価値をしっかりと提示していく。そんな考えを持ちながら、日々仕事に向き合う“IT室 部室長”の姿が見えてきました。

 

部室長としての思い

最後に、加藤がIT室長としてこれから目指していること、考えていることについても聞きました。

「来年度に向けてやっていきたいことは、リモートワークに対応する環境づくりですね。どんな人でも高いパフォーマンスを上げられる状況にしていきたいと考えています。
リモートワークって、ミクシィのことも良く知っていて、技術力がある人は生きていける働き方だなと感じていて。そういう人は、自宅に関係なく沖縄だろうが、北海道だろうが問題なくやっていけると思うんです」

 

では、一方でリテラシーが高くない人、もしくはミクシィに入社したばかりの人だとどうでしょうか。ミクシィでは、年間数百人単位で新しい社員を迎えているし、M&Aによって会社単位で人が増えることもあります。

 

「スケジュールやメールなどさまざまなツールがある中で、どれも使ったことがない人がいきなりリモートワークで始めるって、かなり厳しい環境だと思うんです。隣にいて、“そんなやり方してたの?こうやるといいよ”“ここって、どうすればいいんですか?”が気軽にできない環境って、辛すぎるじゃないですか」

 

だからこそ、加藤は「全社員フルリモートでいい」と気軽には言えないそう。何も分からない中でリモートワークを始める人の不安な気持ちに寄り添えるIT室でありたいし、その悩みを解消できる仕組みを作っていきたいと語ります。

 

「2020年にオフィス移転した際に、IT室にカウンターを作ったんです。“ここが分からない”という質問だったり、“こういうの作りたいんですけど”という気軽に相談にきてもらえたらな、と思って。会話しながら、教えたり、アドバイスしたりできるようにと考えていました。コロナの影響もあって、まだ上手く使いこなせていないですけど(笑)。」

「ミクシィの社員全員がITスキルの高い人たちばかりではないんですよ。だからこそ、その部分をIT室がきちんとフォローすることが大切。そういったことの積み重ねによって、一人ひとりの社員が知識を持つことができる。結果として事故を防ぐことにもつながっていくし、強い会社を作っていくことになるのだと思います」

人気の記事はこちら