ミクシルでは、新卒スタッフの成長をシリーズでお伝えしています。どのような成功体験や失敗体験を経験し、どんな風に成長したのか?スキルやマインドの成長に大きく役立ったターニングポイントとは?について迫ります。
今回ご紹介するのは、2022年の入社以来、『コトダマン』のUI/UXデザイナーとして活躍している魚谷梨乃さん。「もし開発現場にデザイナーが1人だったとしても、現場を支えていけるデザイナーになりたい」と語る彼女のこれまでの軌跡と、これからの展望を聞きました。
魚谷 梨乃
コトダマン事業部 アートグループ UI/UXデザイナー
2022年新卒入社
“やれる”ではなく、“やりたい”でMIXIを選んだ
━━就職活動はどのように進めていきましたか?
大学では情報デザイン学部に在籍していて、ポスターなど広告のデザイン制作に携わっていたので、卒業後は広告業界に進むのだろうと漠然と思っていました。けれど、実際に企業探しを始めてみると、自分の中に少しずつ違和感が出てきて。広告のデザインがやりたくて広告業界を希望しているというよりは、自分が“やれること”で選んでいると感じてしまったんです。
そこで改めて「じゃあ、自分がやりたいことって何だろう?」と考えたときに出てきたのが、みんなでワイワイ楽しみながらゲームをした体験でした。ゲームを通じて、友人と一緒に盛り上がって、どんどん仲良くなっていった時間がすごく好きだったんですよね。デザイナーとして、そういうプロダクトに関われたらという気持ちが強くなり、ゲーム関連の会社を探すことにしました。
━━ゲーム会社がたくさんある中で、MIXIを選んだ決め手は?
最終的な決め手になったのは、デザイナーとしてのキャリアがしっかり描けた点です。特に部署異動制度「MCC(ミクシィ・キャリア・チャレンジ)」に魅力を感じました。将来的には幅広いスキルを持ったデザイナーになりたいと考えていたので、働き方として、一つの部署だけで経験を積むのではなく、その時に合ったキャリアの選択ができるほうが良いと考えていたんです。MIXIはそういうチャレンジを応援してくれる会社だと感じました。
それから、選考過程でMIXIの先輩社員の働き方や想いについて触れた記事や動画を見て、“自分もその1人になりたい”と思えたことも大きかったですね。穏やかな雰囲気の中に見え隠れするクリエイティブへの強い情熱にひかれました。実際に面接で社員の方とお会いした際には、私に寄り添って、丁寧にフィードバックをしてくださった姿が印象に残っています。
━━入社後はどのような業務を担当していますか?
2022年に入社してから現在まで、コトダマン事業本部のデザイナーとして経験を積んできました。キービジュアルの制作、バナー制作、ゲーム内のアイテム制作などを担当して、今はUI/UXの仕事がメインです。
私が本格的にUI/UXに携わり始めたのはMIXIに入社してからなのですが、企画ありきでデザインが動いていくのではなく、デザイナーやエンジニアが企画から参加して動く事が出来る現場なのでとても楽しいです。デザイン職だけでは見えない視点での意見を聞けたり、ユーザーに届くものに対してこういうものを作っていきたい、こういうアイデアはどうか、と自分の意見を提案できるので毎日が刺激的なんです。
━━特に思い入れのある案件は何ですか?
先日リリースされた「リザルト画面の新機能」に関する画面デザインを担当したのですが、これまで経験していない領域での仕事が多かったこともあって、すごく印象に残っています。
最初のデザイン提出では、『コトダマン』のダイアログなどに使われている基本的なUIの配置を崩さない範囲で案だしをしたのですが「既存のトンマナに合わせるよりかは、目立たせたい画面なのでもっとインパクトを与えたい」というフィードバックをもらいました。これまでの『コトダマン』で使われていたレイアウトの法則に囚われず、思い切り派手にデザインを作ってほしいとの要望でした。
━━すごく難しいオーダーですね。
そうですね、緊張しました。リザルト画面はユーザーが繰り返し目にする画面という事もあったので失敗できないぞって、かなり気合いを入れて臨んだ案件です。その一方で画面全体を自由にデザインできることに、大きな楽しさを感じていて。ユーザーの“ワクワク”とはどういうものだろう?と自分なりに考えながら、手を動かしていきました。デザインを通じて『コトダマン』の新しい世界観を創る、そんな新しいチャレンジができたと感じています。
リリース後は、SNSを通じてユーザーから「この演出いいね」という声をたくさんもらったのもまた嬉しかったです。ユーザーのポジティブな反応をダイレクトに感じられるのも、MIXIのデザイナーの魅力だと思いますね。
大事にしているのは、チームメンバーとの丁寧なコミュニケーション
━━仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。
『コトダマン』事業部で仕事をするようになって、メンバーと密にコミュニケーションを取ることを大事にしています。
コトダマン事業部内では「スクラム開発」という手法が導入されているのですが、これは最初に大枠の開発計画を立てた上で、チームメンバーそれぞれの役割やタスクを分散し、コミュニケーションを取りながら仕様や設計を詰めて開発を進めていくものです。実際にこれで進めていくと、前の会議まで進めていた仕様が、次の会議でガラッと変わることも珍しくありません。だからこそ、チーム内での報連相は丁寧に行う必要があると感じています。
━━細やかな連携が求められるんですね。
そう思います。
例えばエンジニアにデザインデータを渡す際にも、「ここはこういう意図で、こういう実装をお願いしたいです」とコメントを残すとか、チームで見ている共有資料を常に最新の情報に更新しておくなどの工夫をするようにしています。ちょっとしたことではあるけれど、情報の受け渡しに配慮することで認識の齟齬を防げたケースが多々ありました。
それから、今の仕事では制作意図を説明するなど、自分の意見を伝えるシーンが多くあるのですが、そこにも注意しています。例えば「この案を選んだ場合は、こういうメリットがある、こういうデメリットがある」と最初に話すことで、他のメンバーに分かりやすく伝わりますし、そこからもらえるフィードバックの内容も全然違うと思います。入社してから、“伝え方”をすごく考えるようになりました。
━━他にはありますか?
開発に必要なメンバーの役割をきちんと把握しておくことです。
さきほどお伝えした「リザルト画面の新機能」では、UIのアニメーションの制作を行ったのですが、私はアニメーションの動かし方の部分にものすごく目がいってたんですね。ある時、チームメンバーから「そういえば、SE(サウンドエフェクト)はどうするの?」と声をかけられて、そこで初めて「この開発にはSEにも入ってもらわないといけない!」と気づいたことがありました。
そもそもUIにアニメーションを付ける作業については、そこまで経験を積んでいなくて自分でいろいろ学びながら作っていく状態でした。そのことが最初から分かっていたのだから、見えていない部分が多くあるのだと認識し、開発に当たって関わるメンバーや役割をもっと把握しておくべきだったと学びました。
どんな実装にも対応できるデザイナーに
━━入社前と比べて、成長の実感はありますか?
はい、いろいろありますが一番は「チームで働くこと」の意識が高まった点です。
MIXIのプロダクトづくりにおいて、デザイナーだけで完結する仕事はほとんどないのだと改めて実感しています。チームメンバーはもちろんのこと、事業部や他の部門の方々とやり取りする場面が多くあるので、このプロジェクトはどういうフローで進んでいくのか、どんな方たちとの連携が必要なのかをすごく意識するようになりました。
自分が持っている「タスク」だけをみるのではなくて、チーム全体で取り組んでいる「タスク」があって、その中の一つを自分が担当しているという考え方が強くなったと思います。
━━ご自身の行動にも変化がありましたか?
優先順位をしっかり考えて仕事に取り組むようになりました。これは過去の失敗談ですが、開発のプロセスや仕事の優先順位を把握できておらず、自分のタスクを止めてしまい、次の役割を担うエンジニアが動けないことがあったんです。
メンターの方から、「UI/UXに関わる仕事を先に進めたほうがいい。アイコン制作などデザインだけで完結する仕事より先に対応するほうが、プロジェクトの進行を妨げない」と教えてもらいました。先輩にたくさんアドバイスをもらいながら、だんだんと仕事の優先順位をつけられるようになっていきました。
━━先輩から教わることも多いんですね。
たくさんあります!尊敬できる先輩デザイナーが身近にいるので、ロールモデルにしていますね。デザインの共有の仕方やアイデア出しなど、本当に学ぶところが多いんです。盗めるところはどんどん真似していこうと思っています(笑)。
━━最後に、今後のキャリアビジョンについて教えてください。
UI/UXデザイナーとしてキャリアを積んでいきたいですが、同時にアニメーションやエフェクト、グラフィックなどゲームで使われるものには全て対応できるデザイナーになりたいと思っています。まだまだ自分が知らない知識やスキルが多くあるので、いろいろなジャンルの開発経験にチャレンジすることで、どんな実装にも対応できるようになりたいです。
ですから、幅広いスキル・経験という意味では新規事業にも興味があります。少ない人数で対応していく、デザインのレギュレーションを作っていくなど、他にはない多くのことが学べるのではないかと思うので、これからやってみたいことの一つです。
最終的な理想のデザイナー像は、「もし開発現場にデザイナーが1人だったとしても現場を支えていける人」です。デザイン全般、安心して任せてもらえる力を身に付けたいです。