ひとつのサービスに携わりつづける中で見えてきたもの~新卒社員のキャリア~ #7

ひとつのサービスに携わりつづける中で見えてきたもの~新卒社員のキャリア~ #7

ミクシィグループに新卒として入社し、数年のキャリアを歩んできたメンバーに、これまでのキャリアや携わってきた業務について振り返ってもらうインタビューを実施。入社時の心境、ターニングポイント、そしてこれからのキャリアビジョンについて迫ります。

#7は、2016年に入社したエンジニアの松石。インターンで「みてね」と出会い、現在も同事業部にて開発業務に携わっています。

松石 浩輔 キャリア年表

 年  主な業務内容
2016年 『みてね』に配属。フォトブック機能開発を担当。
2017年 機械学習の研究開発に着手。
2018年 チームスケールと、機械学習の実装に向けて開発を継続。

出会いはインターンシップ

━━━━松石さんは、ミクシィに入社してからずっと『みてね』のチームにいらっしゃると。

そうですね。2016年に入社する前、インターンのころから現在に至るまで、『みてね』一筋です。

━━━━それって、結構珍しいケースなのでは。

そうかもしれません。そもそも、2014年の夏にインターンに参加した時、リリース前の新規事業だった『みてね』のグループに配属されました。それ以降、ずっとですね。

━━━━どういう経緯でミクシィのインターンに?

研究室の先輩がミクシィで働いていて、チラシをくれたのがきっかけです。それとはまったく別に、同時期に参加したイベントでミクシィの方と話をする機会があって、興味を持ったので応募しました。

当時はまだ、将来に対して具体的には特に考えていなかったんです。漠然と大手SIerへの就職をイメージしていたんですけど、実際に働いている人たちと話していると「設計と開発が分断されている」「外注に依頼するケースが多い」という旨を聞き、それは少し違うなと。というのも、プロダクトの設計から実装・運用までに携わりたいと思っていましたから。

━━━━なるほど。そうだったのですね。

そんな中、Web系の会社は自分で手を動かして全部自前で作れると聞いて、興味を持つようになったんです。かつBtoCだと、スケジュールの自由がきくし、自由度が高いサービスが作れるんじゃないかというイメージがあって。そういったところに惹かれミクシィへの関心が高くなりました。

━━━━C向けの自由度が高い仕事をしたいと。

そうですね。自分で何かを作ったり、「最高だ!」と思えるものを自分たちで作っていくような働き方がしたいと思いました。

━━━━ミクシィ以外にもWebの会社はありますよね。その中で、どうしてミクシィを選んだんですか?

それは声を掛けてもらえたということと、インターン向けに用意されている部署の選択肢を見たときに、魅力的に感じたということがありますね。

━━━━具体的には。

当時、開発者向けのサービスや新規事業があり「面白そう」と素直に思ったんです。ただ、Webサービスの会社は技術力がすごく高いイメージがあって、不安があったのですが、挑戦もしてみたかった。だからインターンに応募したという経緯もあります。インターンを通してミクシィが、『みてね』が凄くいいと思って、第一志望になったんです。

━━━━大学で学んでいたことと近かったとかですか?

そうですね、ちょうどその頃大学でも新規事業の立ち上げ体験みたいなプロジェクトベースドラーニングが行われていたんです。学内の課題を見つけて、それを解決するプロジェクトをやってみましょうということですね。講義と言いつつ、手を動かして何かをするような。イメージとしては、ワークショップに近いかもしれない。形式的には講義なんですけど、プロジェクトマネジメントみたいな話があったり、技術の話に至っては「勝手にやってみなさい」みたいな感じで、ワークショップ的なものでした。

以前にも、Webサービスやアプリを作っていたことがあったのでそういうのを仕事にしてみてもいいかもしれないと、なんとなく思っていたというのもありますね。

━━━━インターンを経験してみて、どうでしたか?

インターンを体験して「自分には、技術スキルで足りない部分がたくさんある」ということを痛感しましたね。

でも、とにかくチームの雰囲気に感動したんですね。お互い信頼関係があり、それがエンジニアの中だけではなくデザイナーやプロダクトオーナーも含めて、みんなでモノを作っていく感じがとにかくいいな、と。「このチームで働きたい」と強く思うようになったんです。

━━━━インターンのころは、新規立ち上げの時期でメンバーも少なかったのでは。

6、7人の小さなチームでしたが当時からチーム一丸となって、みんなでモノを作っていくスタンスでした。それがとても魅力的でしたね。インターンで『みてね』のチームに入ることができたのは、凄く幸運だったと思っています。『みてね』は、とにかくフラットで仲が良くて、アットホーム。本当に、いい職場なんです(笑)。ここで仕事を続けたいと思って、人事の方には間接的に『みてね』に行きたいと意思表示をした記憶があります。

━━━━念願叶って、入社後は『みてね』に配属されたんですね。入社一年目は、どのような仕事をされてたんですか?

入社一年目は、一通り『みてね』の開発をなんでもできるようになるという目標でした。当時開発スタイルは、アプリ側、サーバ側と区別がなかったんです。だから、iOSやAndroidのアプリ開発や、サーバー側のRailsでの開発、AWSやインフラも触りましたし、サーバーメンテナンスなどの運用まで一通り経験しました。

━━━━具体的な仕事内容について教えてください。

クライアント側で言えばiOS、Androidのフォトブックの機能開発を担当していました。画像を選んでコメントをつけたり、消したりするみたいな部分ですね。サーバーサイドのAPIも作っていました。世の中にはそういうソフトってたくさん出ているんですけど、コスト面のことと、あとは絵文字対応にしたいという思いがあって、内製にこだわりました。

━━━━苦労したエピソードはありますか。

絵文字の実装が一番大変でした。絵文字の標準としてUnicodeがあるんですけど、その仕様がものすごく複雑なんです。スマホのOSをアップデートすると使えるようになる新しい絵文字が、フォトブックの画面上では表示されてるのに、いざ印刷されて届いたら消えてるってものすごく残念じゃないですか。そういうことがないように、新しいOSが出たらそれをすぐフォトブック上でも使えるように、対応するようにしていましたね。

━━━━Unicodeの仕様は、自分で勉強したんですか?

そうですね。自分で学習もしながら、フォトブックの機能開発をがっつりやったという感じの1年目でした。

そもそもAndroidとRailsは多少経験ありましたが、本番で動くようなアプリを書いた経験はインターンの1ヶ月だけでしたし、iOSやAWSは、ほとんど経験がない状態。大変でしたが、個人で勉強したり、ペアプロで学習していきました。

━━━━その他に、自分で勉強とか、キャッチアップはどのようなことを。

個人的にやっていたというより、『みてね』はチームで勉強する習慣があるんですね。iOSやAndroidなら、年に何回か大きなカンファレンスがありますし、それに限らずさまざまな勉強会が海外でも国内でも開催されています。そういうところで出てきたフレームワークの機能の話や、アーキテクチャをこうやって作るといいみたいな話の動画を、週に一回みんなで見ながらランチするんです。社外の勉強会にも行ったりもしていましたが、似たような話が多いし、勉強会の動画が結構上がっていたりもするので、それを見るようにしています。

━━━━スキルアップに熱心だったのですね。

とはいえ、1年目は技術面というより、仕事の進め方を訓練した時期だったように思います。『みてね』に限った話ではないかもしれませんが、「案件を進めるぞ!」となっても仕様が全然決まっていなかったり、設計もたいしてなかったり、途中で仕様が変更されることも結構あります。完成までとなると、エンジニアがプログラムを書くだけではなく、仕様が決まってないところを設計していかなくてはならいけない。その上でデザイナーやプロダクトオーナーといった関係者に合意してもらい進める必要がある。開発後はレビューをもらって、修正があれば対応して、リリースしてっていう一連の流れがあります。これを一通り、一人でもできるようになる必要がありましたから。

━━━━インターン時とは異なりますよね。

そうですね。インターンの時は、メンターがそのあたりは巻き取ってくれていましたが、今度は自分で広範囲の仕事を進めていくという経験をした一年目でした。学びながら、仕事をしていく感じですね。

━━━━その当時は、ミクシィでどのようなキャリア設計を考えていたのでしょう?

当時は、特に考えていませんでしたね。というのも、自分を取り巻く環境次第で、何ができるかが変わってくると思っていたので、かっちり決めていなかったんです。

ただ、『みてね』に配属されて1ヶ月くらい経ったころ、漠然と思っていたのは、Androidが得意なエンジニアになれたらいいかなと。Android経験があったこと、自分もAndroidユーザーであることがベースとしてあるので、それもいいかなと思っていました。

━━━━Androidスペシャリストを目指そう、と。

いえ、自分としては、どうしてもAndroidスペシャリストになりたいというよりは「強いて言えば」という感じで考えていました。ですから、今そうなれているかというと、ちょっと違う。

『みてね』では、「みんな全部できるようになりましょう」といった技術教育スタンスですが、その中でも、それぞれ得意分野を持っています。「メンバー全員が、ある程度一人で仕事を進めることができる」というニュアンスのもとで動いているけれど、その中でもある分野のスペシャリストとして育っていくということはもちろん可能でした。ただ、自分の方向として、結果的にそちらにはいかなかったということですね。

「今目の前にいる人に喜んで欲しい」「今困っている人を助けたい」

━━━━その後、異動することなく『みてね』で活躍されている訳ですが、今現在はどんなことを。

2年目を迎える少し前、簡易的には導入されていた機械学習に、チームとしてより本格的に取り組むような方向性になりました。『みてね』の機能にフォトブックと呼ばれるものがあります。フォトブックにも1ヶ月に1回、自動的に写真を23枚選んでお届けするというような、自動提案みたいな機能があるんですけど、その機能の強化・拡充ができるんじゃないかって。

━━━━レコメンドのようなものでしょうか。

はい、その仕組みとして取り入れてみようとなりまして。以前より機械学習に興味がありましたが、実サービスは未経験でした。

━━━━なるほど。それで挑戦してみようと。

そうですね。それで2年目くらいからある程度アカデミックな世界の知見とか、成果を実際のサービスに投入する、活かすっていうことをスタートさせました。その後、現在に至るという感じですね。

━━━━今でも継続中ですよね。

機械学習を活かした新機能を作る、そして精度を上げる、どちらも継続している感じですね。両輪でやるからこそ、良いプロダクトにつながりますから。

━━━━研究の側面がありそうですが、開発との線引きが難しそうです。

研究と開発の違いとしては、機械学習的な認識とかのモデルを作るところが研究者のやること。そのモデルをいかに運用するか、活用するかを手掛け機能として落とし込むのが開発、というイメージですね。

━━━━アカデミック寄りにシフトする予定でしょうか。

そうではありません。自分の立ち位置としては、研究の話も分かる開発なのかなと。じゃあ、これからのキャリア設計はって聞かれると、今はまだあまり考えてないんです。『みてね』って、新生児の4人に1人のママが使っているサービスにまで伸びているサービスです。とはいえ、国内だけだとユーザーの上限がいつかはきてしまう。しかし、世界規模で見たらこれまで以上の成長が臨めるサービスだと思うんです。その中で、忙しいママに代わって、機械学習でレコメンドを充実させいいコンテンツを届けるっていうのは、役割としてあるんじゃないかなと。

━━━━なるほど。

「ダイジェスト動画」だったり、「フォトブック」だったり、届いたら嬉しくなるようなコンテンツをサービスがユーザーの代わりに作ることで感動してもらえたら、と。

実は機械学習回りの基盤側の話など研究寄りの話にしても、アカデミックな世界、成果が次々出てくるんですよね。「こんな機能もあるけど、サービスには活かせてない」っていうような話や、「こういうものがあればサービスが凄くよくなる」みたいな話は、今実際に進んでいるものや、構想レベルのものもたくさんあるんです。これから出てくるものも、たくさんあるでしょう。そういったものをどんどん取り入れていくこともやりたいなって思っています。

社会貢献度の高い仕事を続けていきたい

━━━━『みてね』は子育て中の方をメインユーザーとしたサービスですから、松石さんには身近なテーマではないような気もしますが、そのあたりはいかがでしょうか。

そうですね(笑)。確かに、私個人はターゲットのコアなユーザーではありません。当時も今もそれは変わりません。しかし「このサービスで、社会がよくなるかどうか」という視点で考えています。『みてね』は子供を育てているママの孤独を無くしたい、子育てをより楽しいものに、家族みんながつながれるようにしていきたいっていうサービスですから。

━━━━その理念に共感したということですね。

そうですね、社会に役立てる、社会貢献度が高いサービスなんじゃないかと思っています。この部分に共感したのも『みてね』がいいと思った理由のひとつです。

━━━━ミクシィの会長である笠原さんと一緒に仕事をされているんですよね。

そうなんですよ(笑)。すぐ隣にいますし、普通にサービスを作っています。会長っていう立場になってもなお、それぞれのプロダクトに対して強い思いを持って、モチベーションを持って仕事をされてるってすごいことだなと。

━━━━立場どうこうじゃなく、プロダクトに対する思いや、仕事に対する姿勢からは大きな学びがありますよね、きっと。

一緒に仕事をしていますから、プロダクトオーナーのイメージが強いですね。

とはいえ、会長としての顔を見る機会もあります。例えば、人脈的な部分では、普通はなかなか行けないような飲食店に連れて行ってもらえたり、海外出張で有名企業の創設者と話をしていたりする姿に「ミクシィの会長」であることを改めて感じたり。

「世界中の家族の“こころのインフラ”をつくる!」という言葉が、笠原さんの説明資料にはよく出てきます。この理念に共感して『みてね』で働くことになりました。そのチームに笠原さんがいてくださるっていうのは、すごく恵まれていると思います。インターンシップで『みてね』に配属されたことは、本当に幸運だったと思っています。

━━━━『みてね』で、これからどんなことにチャレンジしていきたいとお考えですか?

今まで、ある程度大きな規模のサービスを手掛けてきた経験があります。写真や動画のアップロード件数とか、月に7,000万件近くのものを全部解析に掛けたりしていますから。そういった、この規模のサービスだからこそ得られる経験をもっと積んでいきたいとも思っています。

あとは『みてね』をよりよくするために、開発速度を上げて新しい機能を作っていけるようになりたいですね。チームとしての速度ももちろんですが、個人の速度を上げていきたいな、と。アーキテクチャ的にこうやると上手くいくみたいなベストプラクティスを導き出すためには、まだまだ勉強が足りないと思うので、そのあたりを学びたいですね。

━━━━エンジニアとしてステップアップしていきたい、と。

2年目、3年目と比較的マネジメント的なことをしてきた分、そういう意識はあるかもしれませんね。私は、実機能として使えるような開発をしていきたい。現実の世界の問題を、多少なりともよくするようなことをしたい。だから、開発を続けたい。研究も面白いですし、非常に重要だと思います。しかし私個人としては、実際に何かそこで起こっている問題を直接解決したり、緩和できるような開発をしたいんです。だから、アカデミックより、企業で実際のサービスを作ってる方が合っているのかなと。

━━━━挑戦してみたいジャンルはありますか?

そうですね。人間が生きていくうえで、コミュニケーションってかなり基礎的な部分で、必要で、普遍的だと思います。だから、「コミュニケーションを軸にしたサービス」という会社のサービスの方向性はテーマとしていいんじゃないかと思いますね。凄く抽象的な話になっちゃいますけど。そこで起きてる問題を直接解決する、緩和できるようなことにチャレンジしたいですね。

 

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