2011年にサーバサイドエンジニアとして入社し、SNS 「mixi」、「モンスターストライク」などのサービスを支え、エンジニアとして歩んできた青山は、2016年にゲームの企画へと転身する。その大胆ともいえる転身の根底にあった想い、そして青山の背中を押したものは何だったのか。キャリアチェンジの裏側に迫ります。
「ユーザーの反応を感じたい」エンジニアとしての想い
━━━━入社の経緯は?
2011年に中途でミクシィに入社しました。前の会社ではサーバホスティングやシステムインテグレーションの事業において、サーバサイドのエンジニアとして業務を行っていました。
ミクシィにもSNS 「mixi」のインフラ周りのエンジニアとして入社しました。事業形態の異なる会社に行きたいという想いがあり、転職しました。
━━━━なぜ事業内容が異なる会社に行きたいと思ったのですか?
それまではBtoBサービスの会社に勤務していたのですが、より多くの人に価値を直接届けられ、ユーザーの反応も見ることができるBtoCサービスに携わりたいという想いがありました。
━━━━BtoCサービスを提供する会社の中で、なぜミクシィを?
自分もSNS「mixi」を実際に利用していたので愛着のあるサービスでしたし、Webサービスの中でもかなり多くのユーザーに利用され、技術的にも信頼できる会社だと思いました。また「mixi」は、言ってみれば「コミュニケーションのインフラ」となるサービスです。私がエンジニアとして行っていた業務と似ているところがあると感じ、長期的に携わっていけるのではとも思いました。
━━━━ミクシィに入社して、どう思いましたか?
まず会社のカルチャーとして、常にユーザー目線で仕事をしていると感じました。誰もが「ユーザーのために」という意識を持っています。エンドユーザーに直でサービスを届けられる企業なので、自然と主体的に動けましたし、サービスを提供することに集中できました。また、実際に部署の垣根を超えて一緒に仕事をする機会などもあり、とても勉強になりました。
━━━━会社としてはSNS「mixi」から、さまざまな領域へと業務内容を広げていく過渡期でしたね。
「サービスにはある程度、栄枯盛衰があるもの。」とは思うものの、厳しい時期でしたね。さまざまな新規サービスに取り組まれる中で、「モンスターストライク(以下モンスト)」が誕生しユーザー数を伸ばしていきました。
私自身も2014年4月に、SNS「mixi」から「モンスト」の、サーバサイド開発・運用に携わるようになりました。
━━━━最初の異動ですね。
劇的にモンストが成長していく時期だったので、人が足りないという中での異動でしたが、楽しくもあり、苦しくもあり。当時は10名くらいでサーバサイドに携わっていました。
━━━━担当するサービスが変わって、意識の変化などはありましたか?
はい。ユーザー数が増え、キャンペーンやコラボなどでも劇的にアクセスが急増するという状況だったので、いかに先を見て合理的に業務を進めるかを考えていました。サイジングどうしようとか、どこが負荷になるかなど、ボトルネックを探したり。それから企画に異動するまでの2年弱、モンストのサーバサイドを担当しました。
━━━━業務が変わることでの必要な知識を、どうキャッチアップしましたか。
他の人が書いたコードを見て勉強したり、自分で調べられるところは地道に調べるなど、足りない知識を埋めていく努力は欠かせないものでした。
━━━━エンジニアとしてのキャリアを順調に積み重ねていたのですね。
そうですね。ただ、インフラエンジニアを取り巻く環境や、その時点での自分自身の価値など、多面的に考えた時、何らかの改善が必要だなと感じることもあり、自分の向かう先について、自然と模索するようになっていきました。
エンジニアから企画へ、キャリアが変わり始める時
━━━━エンジニアから企画へ、キャリアチェンジを考えたきっかけを教えてください。
ずっと、自分の中には「多くの人に使ってもらえるサービスに関わりたい」という想いが根底にありました。そしてだんだんと、もっとユーザーに近いところで、自分のアイディアを活かせるようなポジションに魅力を感じるようになって。「ユーザーを楽しませる」ということの源泉が企画というポジションだと思い、その源泉部分に挑戦してみたい、やってみたいという想いを持つようになりました。その想いを叶えられるポジションがあったので、キャリアチェンジというより、「今後挑戦してみたいおもしろそうなこと」が見えた、という感覚でした。
そして、2016 年の3月にモンストのサーバサイドから「ブラックナイトストライカーズ(以下、ブラナイ)」の企画に異動しました。立ち上がったばかりのサービスでした。
━━━━なぜブラナイに異動しようと思ったのですか。
ブラナイというよりも、企画をやりたいという気持ちが優先でした。その中で、ブラナイは「もっとこうしたら良いのに。」「こういう風に変えていきたい。」という思いになれるサービスでした。自分の中で、自分なりの考えがしっかり湧いてきた。「自分が主体的に動けそうだし、貢献できそうな環境だ。」と思いました。
━━━━「主体的に動けそう」が異動するうえで重要だった?
受け身では成長できないと思いました。整いすぎていない環境で、自分で考えられることが大事だと。サービスやフェーズ、そこにいる人などによって企画の仕事の内容は変わってくるので、柔軟に状況を見極めつつ、必要だと思う企画を出していきました。
━━━━大きなキャリアチェンジでしたね。
そうですね。エンジニアから企画にというと驚かれるかもしれませんが、もともと何かイベントなどを企画することが好きだったのかもしれないと今になって思います。例えば大学時代にはそれまでなかった体育祭を企画したりして。アイディアを形にすることに喜びや、やり甲斐を感じたという経験を通して、皆で楽しめるようなイベントを企画することに興味はありました。
━━━━キャリアチェンジはどのように実現したのでしょうか。mcc※ですか?
いえ、mccではないんです。もっとプライベートな感じでした。当時の部長、マネージャーと飲みに行った際に「今後何したいか」という話しになり「企画をしてみたい」と伝えたのがきっかけです。きっと、僕に今後どうしたいのかをを聞くために、飲みに誘ってくれたのでは、と思います。ですからその夜が、キャリアチェンジのきっかけになりました。
※mcc:「ミクシィ・キャリア・チャレンジ制度」の略。部署毎に求人を掲載し、メンバーは、所属上長への相談や許可がなくても求人に応募でき、条件に合致すれば社内異動が実現する。
━━━━エンジニアのマネージャーは、驚いたのではないですか。
そうですね、とても予想外だったようですが、驚きながらも「本気で決断するなら明日、企画側のマネージャーに話をするよ。」と言っていただきました。それで、どうしても挑戦して見たいと、企画への転身を希望しました。そして本当に、次の日の昼頃には話をしてくれていましたね。
━━━━すごいスピードでキャリアチェンジが実現したんですね!
すごいと思いました。目の前の仕事の事だけではなく、今後についてもさりげなく気に掛けてくれた上司の存在は、とても有り難かったです。
キャリアチェンジを叶えた、環境と文化
━━━━キャリアチェンジの背中を押してくれる存在や環境があったわけですね。
そうですね。上司もそうですし、他部署との垣根の低さがあります。それがミクシィの魅力といえるかもしれません。自分の部署だけではなく他部署でも自分の存在をよく知ってもらえていたという事も、キャリアチェンジをしたいと思っていた自分の背中を押してくれました。
━━━━転職ではなく、キャリアチェンジをすることのメリットを教えてください。
キャリアチェンジと同時に転職をするのは、なかなか難しいと思います。キャリアチェンジをする場合、未経験であることが多いので、職種も会社も変えるのはハードルが高いですよね。社内であれば人や環境が変わらないので、職種の変化だけに集中できます。
━━━━状況が変化することでの負担が軽減されるということですね。
はい。でも、楽ということではないです。社内でのキャリアチェンジではありますが、ダメだったら会社を辞めるというくらいの緊張感を持って、日々業務にあたっています。慣れたという感覚も、まだありません。
ゲームの企画から、リアルイベントの企画へ
━━━━エンジニアから企画へ。頭の使い方は変わりましたか?
企画はどういうビジョンを持って何をするのかを意思決定し、共通認識化していくことがミッションです。ですから、いかに周囲に伝えていくかということを考え、試行錯誤を繰り返すようになりました。
━━━━企画の仕事について詳しく教えてください。
プロダクトのコンセプトや方針と目的を定めること、改善点の洗い出しやアイディア出し、各案件のディレクションなどがあります。
1番大事なのは、なぜ、何のために、どのようにそれを実現したいのかを周囲に明確に伝えることだと思いますが、なかなか難しいことです。
━━━━初めての企画。最初にした仕事は何でしたか。
パートナー企業に3週間くらい訪問して、サービス・業務の改善を図るためのディレクションをしました。アウトゲームのデータ作成やイベントスケジュール、UIの企画などを進めていきました。その後、サービスの終了までずっとブラナイに携わり、モンストの企画に異動しました。
━━━━モンストの企画では、どのような仕事をしたのですか?
ゲームの機能改修やステージを作っていました。エンジニアとしても携わっていたモンストに、今度は企画で関わることができて、感慨深いものがありました。
モンストの企画を担当していた2017年の終わり頃、モンスターストライクスタジアム(以下スタジアム)をチームとして強化したいという話があり、アプリのプロデューサーとして、スタジアムを担当することに。現在はリアルイベントの企画・運営なども含めて担当しています。
━━━━サービスの企画からリアルイベントの企画、業務内容がだいぶ変わりましたね。
そうなんです。責任あるポジションで、裁量権もあり、いろいろと任せてもらっています。そういう意味では主体的に動けている環境ですね。
━━━━業務内容の変化に戸惑いはなかったですか?
なかったです。モンストの企画をしていた時にも、モンストグランプリのチャンピオンシップで、スタジアムのステージを作っていました。実際に会場見学にも行って、盛り上がっている様子を肌で感じて、面白そうだなと思っていたんです。現場の空気を実際に体感していたことが大きかったです。
━━━━プロデューサーになって、仕事の内容はどう変わりましたか?
ロードマップを引く、他部署にどういうことをやりたいのかを伝える、というのが業務です。それからスタジアムのコンセプトや方針などを考えたり、イベントでやりたいことや活用の仕方などを明確化して伝えていきます。必要に応じて、全体的なディレクションやプランニングをしています。
「ユーザーをもっと熱くさせたい」という主体的な想い
━━━━変化していくキャリアの中で、心境の変化はありますか?
エンジニアだった時、サービスに対して「もっとこうしたら良いのに」という自分なりの意見がありました。でも、それはエンジニアとしての自分には見えていなかった視点があったと、企画にキャリアチェンジしてみて気付きました。実際に企画をしてみると、うまくいかないことの方が多いです。責任が重くなれば、時に慎重になり過ぎることも。でも、そこはさまざまな視点での思考力と決断力で、乗り越えていけるように取り組む部分ですね。
プロデューサーはさまざまな人とコミュニケーションを取り、いかに意識や思考の段階を揃えていくかが大切です。また、調整能力も必要になってきます。さまざまな視点を持てること、そして社内の繋がりが増えたという意味では、キャリアチェンジの経験が現在の仕事に活きていると思います。
━━━━今後のキャリアのビジョンはありますか?
企画をやりたいと思った時から、ずっとプロデューサー、プロダクトマネージャーになりたいと思っていました。だから今は「楽しんでいただいているユーザーの方々にさらに楽しんでもらうために何が出来るか」とひたすら考えながら、サービスの向上に注力したいと思っています。将来のことを見据えるというよりも、目の前のことに一生懸命に取り組むだけです。今の仕事をしっかりやり切れたと感じることがあったら、その時に次のステップを考えようと思うのかもしれません。
キャリアやポジションへの強烈なこだわりはない方かなと思います。ただ「主体的でありたい。」という想いと「たくさんのユーザーに楽しんでもらえるサービスを届けたい。」という想いが根底にあります。「ユーザーを熱くさせる。」そんなことばかり考えている今の仕事に、とてもやりがいを感じています。
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