NFT×スポーツ『DAZN MOMENTS』始動!サービス概要と展望をNFT事業責任者に聞いてみた

NFT×スポーツ『DAZN MOMENTS』始動!サービス概要と展望をNFT事業責任者に聞いてみた

ミクシィは、スポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」と共同で、様々なスポーツのスーパープレーやメモリアルシーンをコレクションできるスポーツ特化型NFTマーケットプレイス『DAZN MOMENTS(ダゾーンモーメンツ)』の提供を発表。今回は同サービスの概要や誕生秘話、そして今後の展望について、ミクシィのNFT事業責任者である今井と中川に話を聞きました。

※「NFT」「ブロックチェーン」「NFTマーケットプレイス」等の用語については、解説記事「今さら聞けない「NFT」の基礎知識を解説してもらいました」をご覧ください。

 

 

中川 敬介 ライブエクスペリエンス事業本部 事業戦略室 (写真左)

2009年 大手エンターテインメント会社に新卒入社。代表取締役副社長の運転手、秘書を経験後、国内外にて新規事業開発に従事。2018年11月株式会社ミクシィに入社。現在はLX本部事業戦略室として、「Fansta」含めたスポーツ、エンタメ領域の新規事業開発及び本部管理を統括。

今井 俊文 デジタルエンターテインメント事業本部 (写真右)

2003年 大和証券株式会社に新卒入社後、光通信グループにてベンチャーキャピタル部門、経営戦略室、子会社の事業統轄やグループ会社の立ち上げ等を経験。その後株式会社ザッパラス、株式会社gloopsを経て、2013年 セガグループ入社。モバイルゲーム事業における開発運用コンサル・市場分析を担うコンテンツラボの立ち上げや、同事業において事業戦略統括部長、開発部長を経験。2020年より株式会社ミクシィにて、スマホゲームタイトルの開発・運営組織の事業部長に従事。

 

海外での成功事例を活かし、スポーツ領域からNFT事業をスタート

━━まずは『DAZN MOMENTS』のサービス概要について教えてください。

中川 『DAZN MOMENTS』は、日本国内で展開するスポーツ特化型NFTマーケットプレイスで、スポーツ選手のスーパープレーやメモリアルシーンの映像をNFTコンテンツとして提供するサービスです。コンテンツにはそれぞれシリアルナンバーが記されており、Flowブロックチェーンに記録されます。ユーザーは、好きなクラブ、好きな選手の動画を集め、お気に入りの映像シーンを何度でも楽しむことができます。

今井 主にコンテンツマネジメントやマーケティングはDAZN社が行い、サービス開発、運用を当社が行います。開発においては、当社が業務提携*しているDapper Labs(ダッパーラボ)社が提供する、次世代ブロックチェーン「Flow」を基盤に、サービス構築を行っています。
*Dapper Labs業務提携について(プレスリリース

━━「DAZN」といえば、サッカー、野球、テニス、モータースポーツなど様々なスポーツを配信していますが、『DAZN MOMENTS』ではどのようなコンテンツが楽しめるのでしょうか?

中川 まずはサッカーの公式映像をNFTコンテンツ化したものを提供開始します。プレーヤーによるスーパープレーやメモリアルシーンの瞬間がNFTコンテンツとして提供されます。

今井 NFTコンテンツはそれぞれ25~45秒前後の試合映像クリップに加えて、クラブロゴ、当該試合のスコア情報のほか、ゴールやドリブルなど、どのようなシーンを切り取ったものかを表す情報が10秒程度盛り込まれ、mp4ファイル形式の動画コンテンツで提供されます。

━━NFT事業をミクシィとして手掛ける方法は色々あったかと思います。どのような経緯でDAZN社と組むことになったのでしょうか?

今井 構想段階としては、『モンスターストライク』などの自社IP活用を含め、様々な案がありました。その中でNFT市場で最大の成功事例と言われる『NBA Top Shot』を運営しているDapper Labs社との業務提携が2021年にあり、Dapper Labs社の持つ技術やノウハウと、当社が培ってきたエンターテインメントやスポーツ領域での事業開発のノウハウを生かして新規事業を一緒に展開していく第一歩としては、スポーツ領域から取り組んでいくのが一番自然だし、わかりやすいという判断になりました。

中川 まず「スポーツ × NFT」という方向性が決まり、「NBA Top Shotの日本版のようなサービスを実現しよう」という青写真を具体化していく中で、サッカー、野球、テニス、モータースポーツ、ボクシングなど多様なスポーツコンテンツを配信しているDAZN社が有力なパートナー候補として浮上し、今回の『DAZN MOMENTS』を共同で提供することになりました。ライブエクスペリエンス事業本部として以前から『Fansta』を通じてDAZN社との協力体制があった点も非常に大きかったですね。

 

「トレカをDXする」そのためのNFT

━━NFT業界ではアメリカの『NBA Top Shot』が大成功していますが、その要因をどのように分析していますか?

今井 NBA自体のコンテンツパワーもさることながら、アメリカにおけるトレーディングカード(以下トレカ)文化がもともと成熟していたことも大きいと思います。日本にもトレカ文化はありますが、どちらかというとカードゲームを主としたエンターテインメントとしての要素が強いのに対し、アメリカではコレクタブルカード(Collectable Card)とも呼ばれるようにコレクション(収集)やトレード(交換)の要素が強く、ECモールやオークションサイトを使ったCtoC(個人間取引)も活発に行われています。『NBA Top Shot』は「トレカをDXしたもの」であり、そのテクノロジーとしてNFTが活用されているということなんだと思います。

中川 『NBA Top Shot』では、NFT化されたトレーディングカードに選手たちのプレー動画が記録されていて、ユーザーはそれを手に入れ、見ることができます。また自分が持っているカードの売り出しや、他ユーザーが持っているカードの購入ができる機能や、自分のカードを他ユーザーに見せたり、他ユーザーとコミュニケーションをとったりできるサービスが提供されていて、ファン心理をくすぐる仕組みがよくできていますね。「NFT」や「ブロックチェーン」といった専門的な用語を前面に出さず、わかりやすいインターフェースにしたことも一般消費者に浸透した大きな成功要因になっていると思います。

━━Dapper Labs社と業務提携したことで『NBA Top Shot』のスキームから学べることがたくさんありそうですね

今井 まずは『NBA Top Shot』をしっかりベンチマーキングしつつ、とは言え、本サービスは日本国内に向けたサービスになりますので『DAZN MOMENTS』としての最適化を図っていきます。『NBA Top Shot』で実現しているUX思想はもちろん、どのようにマーケットを拡大していったか、成長のマイルストーンをどのように置くべきかといったノウハウをDapper Labs社に聞けるのは、私たちにとって大きな強みになると思います。

中川 野球やサッカーのトレカは色んな会社が出していますし、NFTサービスも今後たくさん出てくるでしょう。その中で差別化を図る際に「どこがやっているか」という本物感や、ナラティブな価値観はすごく重要な要素になります。日本国内でスポーツファンの会員を多く抱える「DAZN」と共同でサービスを提供できることも非常に大きな価値になると思います。

━━NFTサービスは、日本でも定着していくでしょうか?

中川 NFTというテクノロジーに対する意識が、そんなにすぐに馴染むことはないかもしれませんね。「DAZN MOMENTSでNFTコンテンツを買ってみた」といった体験的な事例紹介を、例えば「DAZN」の番組内で出演者やナレーターがすることで啓蒙が進んでいくでしょうし、「FC東京の高卒ルーキー・松木玖生選手のプロ初ゴール動画が、すごい価値になった」といったセンセーショナルな話題が生まれれば、NFTの本質が伝わるきっかけになるのではないでしょうか。

今井 ネット通販やSNS、メッセンジャーアプリも、登場から一定の年月をかけて定着していったように、NFTやメタバースといったWEB3.0的な概念に対するハードルも徐々に時間をかけて下がっていくのだと思います。アメリカにおける『NBA Top Shot』のようなブランド力を備えたキラーコンテンツが誕生した時に、NFTが一気に身近になるのかなと。スポーツはスタジアムやスポーツバー等で友人と一緒に盛り上がれるコンテンツですから、周りの誰かが『DAZN MOMENTS』を使いはじめると普及していくのは比較的速いかもしれませんね。

━━『DAZN MOMENTS』の今後の展望はどのように描いていますか?

今井 まずはNFTコンテンツの収集をメインとして開始し、段階的にユーザー同士でコンテンツを売買できるマーケットプレイス機能や、コミュニティとして楽しく集まれる場を作るなど、同じ興味関心があるユーザー同士でコミュニケーションを取りながら楽しめるサービスにアップデートしていく予定です。また今後は様々なジャンルのスポーツを随時追加していく予定です。

中川 従来は「好きなスポーツ」や「好きな選手」のSNSコミュニティに入ってファン同士が交流する、いわゆる「インタレストグラフ」を軸とした交流が一般的でしたが、今後は「好きなシーン」を見ながらファン同士が繋がり、盛り上がれるような場を作っていきたいですね。ミクシィは「ファンドリブン」でサービス開発をし、コミュニケーションのきっかけを作るのがミッションですから。『DAZN MOMENTS』がそのきっかけとなるようにしていきたいです。

━━ミクシィとしてのNFT事業は、今後どのような見通しがありますか?

今井 ゲーム・アニメ領域など様々な展開が考えられますが、今回の『DAZN MOMENTS』の開発、そしてローンチ後の運営オペレーションを通して得られるナレッジは間違いなくミクシィ社にとって大きな財産になると思います。NFTは現在進行系で拡大しているマーケットであり、法律関係やガイドラインも同時進行で整備されている状況ですので、そのプロセスを身をもって体感できるのは大きいですね。

中川 当社の経営陣はNFT事業を中長期的な視野で捉えてくれているので、今後ミクシィがWEB3.0的な方向へ進化していくための色んなチャレンジができると思っています。そこはありがたいですね。

PAGE TOP