メンター必見!あの人気企業が実践 エンジニアが育つ研修制度【Wantedly、freee編】

メンター必見!あの人気企業が実践 エンジニアが育つ研修制度【Wantedly、freee編】

2018年1月21日、Webサービスを運営している会社の「新卒エンジニア」と「エンジニアの新人研修・教育の担当者」が登壇し、それぞれの会社で取り組んでいる研修や教育内容、想いなどを赤裸々に語るイベント師弟登壇2018が開催されました。

・Webサービス運営会社に興味があり、研修の環境や内容を知りたい学生の皆さん
・半年間必死に勉強してきたけど、他社の研修内容が気になるという新卒エンジニアの皆さん
・来年の研修内容をどうしよう…と悩んでいる人事担当、研修担当の皆さん

そんな方の悩みを解決したり、ヒントになったり…そんな機会があってもいいのではないか、と2013年から不定期で開催されているこのイベント。
新社会人としてWebサービス業界に就職し日々どんな業務に取り組んでいるのか、どんな研修を受けたのか、また各社がどのような想いで研修や教育を行っているのか。
Wantedly、freee、ミクシィグループ、クックパッドの4社、師匠と弟子、それぞれの立場からの発表をレポートいたします。

※なお、当日の様子は#師弟登壇2018でもウォッチできます。
※【ミクシィ、クックパッド編】はこちらをご覧ください。


当日登壇してくれた師弟エンジニアのみなさん

Wantedly, Inc. (ウォンテッドリー株式会社)の登壇内容◆
師匠:@kawasy さん

CTOの@kawasy さんは、新卒時代に受けた研修が座学ばかりで苦手だったそうです。その経験から
  ・自分が本当にうけたかった新卒研修
  ・他の会社に羽ばたいていったとしても恥ずかしくない人を育てる
という心意気で内容を考えてるとのこと。そのため、研修はすべて内製。研修は技術だけではなく、自分の頭で自ら考え・どうやったら会社として価値が最大化できるか、より幅広い視点で成果を出すための基礎体力を身につける内容に、毎年アレンジしているそうです。

全職種共通の研修の内容は以下の通り。

・ビジネスマナー
・目標の建て方と変え方
・マーケティングについて
・インタラクションデザイン・プロトタイピングワークショップ
・上司をマネージする方法
・Wantedlyのビジネスモデル
・広報・PR入門
・Excel・Power Point研修
・知ってほしい会計と数字の話

特長的だったのが、基礎スキルの習得と会社のことを幅広く理解することが目的であるため、エンジニアであっても会社の会計についての知識を深めている点。技術と直接関係のないデザインやPRについても、彼らの視点を研修を通して知っておくと、のちほどエンジニアとしてプロジェクトを進める際に、各所との調整がスムーズにできる点で役立つからだ、との観点からだそうです。

目的
-どんなチームに所属しても必要になる技術・考え方
-チームでの実践の中ではなかなか身につけられないこと
内容
-「Wantedlyのインフラとツール」
-「BigQuery & SQL データ分析100本ノック」
-「虚栄の指標と行動につながる指標」
-「新卒エンジニアに知っていて欲しいこと コンピューター科学の基礎」
-「社内ISUCON」

技術研修では、チームごとに使用しているツール・言語もバラバラのため、研修では基礎的なことを学ぶそうです。面白い取り組みとして、データ分析100本ノックの実施。内容は“BigQuery・Webサービスのデータ分析・Wantedlyのデータ構造に慣れるために、「ある日のアクセス数」から始まり、「●月には利用し▲月には利用しなくなり■月にはまた利用し始めた人(リザレクション)をどう抽出するか」などの課題に3日かけて挑戦”だそうです。こちらはとても好評で、後に公開イベントとしても実施されたとのことでした。
また、講義+課題形式の研修と並行して、チームにも早々に配属となり、上司との付き合い方も学んでいただくとのこと。配属後は、研修運営メンバーやリーダーと毎週1on1の実施、ランチ制度など丁寧なサポート環境がWantedlyにはあるとお話いただきました。

弟子:@ikuuyadamay さん

現在、名刺管理アプリ「Wantedly People」 の開発を担当している新卒入社の@ikuuyadamay さんからは新卒研修の振り返りとして【 目標の立て方】【Managing Your Leader】の2点をお話いただきました。

自ら考えて問題解決をすることが求められるWantedlyでは、【目標の建て方】がとても大切
目標を数値で立てることを意識しており、その方が得、だそうです。

「様々な事情から、当初立てた目標を変更する必要や達成が見込めない場合もある、そんなとき数値で目標を立てると改善しやすく、立場の違うメンバーともコミュニケーションがとりやすい。定性的な目標は他者にそのインパクトや重要さが伝わらない。」
そして、メンバーとして、まわりの期待に応えることは大事だが、その期待値を自分でコントロールという発想も大切であると続けます。
目標が達成できそうにないときは、自分から事前に上司と相談し期待値を下回らないようにする、それは組織が成功するために自分から働きかけるという【Managing Your Leader】の考えにつながります。

「チームリーダーの目標は、組織を導いて最高の成果を出すこと。チームとして一人ひとりが目標達成することはもちろん、上司とメンバーは互いに良い人間関係を作る必要がある。そのためには上司や新卒という概念をなくし、受け身ではなく自分から働きかけることが大切。良い関係値を築けると結果として、自分にとって、上司・チームにとって最高の成果がもたらされる。」

●登壇資料●
師匠

弟子

自ら考えて問題解決をすることを大切にしているウォンテッドリー株式会社の新卒研修は、技術面はもちろん、サービスづくりのすべてを学び、実践を通じて経験を積みながら仕事のススメ方を身に着けていく、という内容でした。エンジニアもExcelやPower Pointなどのオフィスソフトもチームで仕事を進めていく際に必要になるスキルですから、新卒のうちに学べる環境はありがたいですよね。

◆freee株式会社の登壇◆
師匠:izumi yuichiroさん

freee社のメンバーにとっての行動指針である価値基準を大切に、チームビルディングを目的としたアスレチック研修や、freeeのサービス未導入の中小企業に常駐して、バックオフィス業務全般のサポートやヒアリングをする訪問研修が特徴的でした。自分たちのサービスが、実際のバックオフィスの業務をいかにサポートできるのか、知ってもらうことが目的だそうです。
そして、「freeeを最初の会社として選んでくれた優秀な新卒を支援したい」と語るizumiさんは、新卒エンジニアのポテンシャルを最大限に発揮し、最速でトップエンジニアとして成長するための支援を行うことを目的に、技術研修を行うとのこと。
具体的に、チームとメンターコミッティという2軸で考えられており、メンターは社内のエース級のエンジニアが担当し、日々のタスクを通じた業務OJTで成長を支援。エース級のエンジニアをアサインして終わり、ということではなく、メンターによるばらつきを少なくするためにメンターコミッティでミーティングをして出来る限りの均衡化を図り、日々のタスクでは身につけにくい教育の機会も準備、実施するという構造になっています。メンターコミッティ間で、一人ひとりの個性や環境、成長状況を共有し、どうすればより成長できるかについて全員で話し合う機会をもうけ、メンター間でも意識を統一しているため、状況に合わせた施策が可能。また、メンターコミッティ間で技術研修の内容も決められ、2017年は以下を実施。

Eng DeepDiscussion運営
-freeeの開発文化を再定義
サポート留学
-カスタマーサポートチームに留学し、実際のサポート業務を経験
DesignDoc研修
-理想的な在庫管理機能を考える
コーディング研修
-ぐちゃぐちゃなコンソールプログラムをRuby on Railsで実装

特に、DesignDoc研修では、理想的な機能について【ひたすら自分で考えることにコミット】してもらう内容。途中でメンターへの相談はNGで、毎日一人15分ずつひたすらメンターからダメ出しを含むレビューをもらうもの。とことん考え抜くことに集中してもらうため、精神的には辛いがとても成長できる場であるそうです。本内容を例えるなら「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」(老子の格言とされる言葉)のだと語っていただきました。

弟子:Shoichi Imamuraさん

現在「申告freee」の開発を担当しているImamuraさんは、新卒教育方針について
・ユーザーを知り、本当に価値があるか考えさせられる
・実践の中で、アウトプットすることで経験知になる
・本気で成長させようという会社のコミットがある
という3点をお話しいただきました。

「何がユーザにとって必要なのか、自分たちのサービスが提供している意味を知るためにも企業訪問研修やサポート留学は必要不可欠でした。」
入社後早い段階で仮配属され、新卒でもプロジェクトを任され、リリースも実際に行うそうです。様々な課題が発生する中、限られたリソースの中で優先順位を決めて取り組むためには、考え抜く力も必要になります。
「責任は伴うけれど、メンターにサポートしてもらいながら設計→実装→レビューの繰り返しで洗練され、開発スピードを向上。そして、機能をリリースすると社内SNSで全社共有され、営業担当からのフィードバックをもらえる仕組みはモチベーションが上がります。会社の仕組みを通じて【新卒を育てたい】という気持ちがとてもよく伝わり、期待に応えたい、もっとユーザーに価値を届けたいと思っています」と力強く発表されました。

●登壇資料●

実際に企業に常駐してバックオフィス業務を通じて学べる研修は珍しく、他社でも例を聞かないのではないでしょうか。また社内のカスタマーサポートチームへ留学し、実際のサポート業務を通じて、機能的・仕様的不備以外の問い合わせというシステムだけでは解決できない部分にも触れる機会は、エンジニアに限らず大事な体験であり、研修・教育制度において大きなヒントになりそうな気がしました。

 

※【ミクシィ、クックパッド編】はこちらをご覧ください。

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