2023年3月16日、MIXI・LIXILの2社合同でメディア向けのトークイベントを実施しました。
「企業活動の変化と未来を考える。」と題し、採用/働き方/オフィスの3つのテーマごとに、両社で活躍する社員が登壇。それぞれの取り組みを紹介しながら、互いに質問を交わしたセッションを繰り広げました。
『モンスターストライク』をはじめとした「デジタルエンターテインメント」領域に加え、「スポーツ」や「ライフスタイル」領域まで展開するMIXIと、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドアなどの建材製品を開発・提供しているLIXIL社では、一見すると共通点があまりないように思われるものの、生活者の暮らしを豊かにするサービス・製品を提供している点では通底しています。
では、当日どのようなセッションが行われたのでしょうか。この記事では、当日の模様を抜粋してご紹介します。
会場はMIXIのセミナールームにて。多くのメディアにお越しいただき、登壇者を囲むかたちで実施しました。
当日、全編にわたってモデレーターを務めてくださったのは、戦略総務研究所所長/『月刊総務』代表 の豊田健一氏。軽快な相槌と的確な質問で、和やかなムードを作りながらもそれぞれの特徴を掘り下げていただきました。
モデレーター
戦略総務研究所所長/『月刊総務』代表
豊田 健一
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。
2社の紹介を終えたところで、早速トークセッションへ。
テーマは「コロナ禍における採用活動の変化とアフターコロナを見据えた採用活動」。
まずはMIXIの杉村から、取り組みを紹介しました。
コロナ禍を受けての採用活動の変化としては「採用面談のオンライン化」、採用にまつわる動画を中心とした「採用広報のコンテンツ化」に加え、リモートワークによって相談が相次いだという「オンボーディングの強化」があると語りました。リモートワークに切り替えた初期の段階からオンラインの1on1で留意しておくポイントを共有するなど、その変化に合わせたスピーディな対応を説明。
さらに杉村は「上司やメンターといった縦の繋がりは業務の中で出来ても、同期や他部署の同年代との横の繋がりができにくい点は未だ課題としてある。」と続け、中でも新卒同士のコミュニケーションをいかにスムーズに作っていけるかを注視していきたい、と今後の取り組みにも触れました。
続いて、LIXIL社の岩佐氏。
まずはじめに、コロナ禍において起こった採用面の変化を「就職活動の変化」「面接のオンライン化」「繋がりの希薄化」と分類し、紹介。
就職活動の変化においてはダイレクトスカウトを積極的に導入し、採用手法を拡充、最終面接では志望者自らがオンラインか対面か選べる仕組みを導入し、志望者にとっても参加しやすいかたちを模索していると続けます。また、岩佐氏は「採用のノウハウをTA Hubというポータルに集約することで、面接やオンボーディングのクオリティを担保している」と語り、リモートワーク主体の採用活動に合わせた仕組みを紹介しました。
それぞれの取り組みを紹介した後、セッションへ。
モデレーターの豊田氏から質問を投げかけるかたちで、仔細に内容を語りました。
Q.おすすめのオンボーディング方法はありますか?
杉村
あえて、ちゃんと会うことでしょうか。チャット上でコミュニケーションは取れていても、会わないと関係性が薄れてしまう印象もあるので、曜日や頻度を決めて、タイミングを合わせて会うことが大事だと思います。
岩佐
オンボーディングは採用担当のみならず、受け入れ先部署の上司の役割もとても重要だと考えています。一番繋がりがあるからこそ、まずきちんと受け入れていくことが大事かなと。オンボーディングの必要性を受け入れる側にも説明していくことで、受け入れる側のマインドを変えていくことも重要ですね。
Q.これからの採用活動はどうなるのでしょうか?
杉村
今後、会社(組織)と従業員(個人)の関係がますます対等になっていくことが予想されます。会社が主導権を握るのではなく、LIXIL社のようにオンライン/対面を選択してもらうだとか、候補者が選択出来る要素を増やしていくことは重要なのかもしれませんね。副業制度も含め、「いかにこの会社で自己実現できるか」はとても重要視されていくと思うので、その点で出来ることはまだあるように思います。
岩佐
新卒採用において、従来の総合職採用から職種別採用をとる企業が増えてきたと思いますが、この流れに合わせてさらにインターンシップを通じての採用活動が増えていくと考えます。また志望者一人ひとりのニーズに合わせられる制度の整備や採用活動がより求められてくるかと思います。
続いてのテーマは「コロナ禍で大きく進展した働き方改革と次世代の働き方」。対面で会うことがはばかられる状況の中で、2社の働き方はどのように変化してきたのでしょうか。
働き方についての紹介は、MIXIの労務部部長の小川から。コロナ禍を受けての大きな変化は「マーブルワークスタイル」の導入。リモートワークとオフィスワーク、それぞれのメリットをマーブル模様のように掛け合わせる働き方であると説明しました。(詳細は以下に詳しく解説しています)
4月から制度となった「マーブルワークスタイル 2.0」その全容が明らかに
コアタイムも12時〜15時へと変更し、「12時までに出社が可能な範囲」であれば、日本全国どこでも居住可能なフレキシブルな制度になったと続けます。また、4月からはこうした制度をさらにスケールアップした「マーブルロケーション」制度を導入すると語り、フルフレックスの試験導入や、体調不良で有給を使わずに済む新休暇制度も紹介。その紆余曲折を詳しく説明しました。
続いて、LIXIL社の発表へ。
LIXIL社は「インクルーシブ(包括的)な職場環境の構築」を目指し、コアタイムがなく、従業員自らが働く時間を選択できる「スーパーフレックス制度」を導入。コロナ禍を受けて、一部の職種を除き、在宅勤務を基本とする働き方に移行したことで、オフィス規模も変化し、現在の本社出社率は8%であると紹介しました。
さらに、働くメンバーのライフイベントやライフスタイルに合わせて様々な休暇制度を導入していると紹介し、続けて小竹氏は「本人がどのような不調で休みを取るか、周囲に言いづらい場合もある。そうした思いにも応えられるよう、休暇を利用する際のフローにも気をつけている」と続け、インクルーシブをコンセプトにした制度の詳細を語りました。
その後、トークセッションへ。
Q.現在のリモートワークはどのような反応ですか?
小川
従来のリモートワークは10〜15時のコアタイム制でしたが、現在は12〜15時に変更しました。朝の時間に余裕ができるのは、夜型の人にはとても助かるといった声は聞きますね(笑)。ただ、マネジメントレイヤーからするとメンバーの働き方が見えづらくなってしまう懸念もあるので、そういった面でのケアは考える必要があると思います。
小竹
LLIXILも同じように、徐々にコアタイムを変えていき、現在はコアタイムはなく、働く皆さんにとって働き方の選択肢は増えたのかなと思います。
大事にしているのは、受け入れられているとしっかり感じてもらえるような“インクルーシブ”な職場環境なので、従業員サーベイなどを通して従業員の声を聞きながら、より働きやすいかたちを探っていきたいと考えています。
Q.これからの働き方はどうなると思いますか?
小川
より柔軟になっていくでしょうね。従業員にとっての選択肢は多いに越したことはありませんし、多様なライフスタイルは受け入れられるべきだとも思います。MIXIでは海外展開している事業もあるので、そうした従業員のライフスタイルにも対応できるように整えていかなければと思います。
小竹
最大限能力を発揮できるよう、働き方に求められていくことも増えていくのでは、と思います。パフォーマンスを発揮できる環境は人によって様々なので、フルリモートワークに切り替えるのではなく、選択肢としてオフィスを選びたい人もきっといる。そうした人々も、インクルーシブに受け入れられる環境を整えていきたいですね。
最後のテーマは「リモートワークがもたらしたオフィス環境の変化とこれからのオフィスのあり方」について。働き方が変わる中で、オフィスはどうあるべきなのでしょうか。
MIXI社の働く環境を整備しているのは、“はた環”ことはたらく環境推進本部。今回は主にオフィス関係の整備に携わる嵯峨がその内実を紹介しました。
新型コロナの流行前に渋谷スクランブルスクエアへオフィス移転を行ったMIXIでは、オフィスをひとつの街と見立て、エリアごとに設えや機能を分けて作られていると紹介。
移転当初は完全固定席を導入していたものの、リモートワークへの切り替えを機に、座席リソース効率を向上させるため、グループごとのアドレス制へ切り替え。さらに、最近では個人ブース席のニーズに合わせて増設するなど、出社率が多い日で50〜60%を占めることもあるMIXIならではの取り組みを説明しました。
続いて、LIXIL社の発表へ。
新型コロナの流行前に渋谷スクランブルスクエアへオフィス移転を行ったMIXIでは、オフィスをひとつの街と見立て、エリアごとに設えや機能を分けて作られていると紹介。
LIXIL社は、柔軟な働き方を推進し、従業員満足度を向上させるために最近本社オフィスを移転したといいます。オフィスを「コミュニケーションとコラボレーションを行う場である」と定義し、快適に過ごせる空間を作るため、第二の家」というコンセプトのもと、「ウェルビーイング」「生産性」「柔軟性」「エンゲージメント」の4つの要素に基づき、住まいのプロフェッショナルならではの空間に変貌と遂げたそうです。
そのコンセプトの通り、オフィスには「A HOME FOR EVERYONE」の文字が並び、コラボレーションを意識した設計など随所にMIXIと共通したテーマも見受けられました。
その後、トークセッションへ。
嵯峨
やはり「よい立地」はとても重要です。雨の日で外に出たくない日も、駅直結だと濡れずに来ることも出来るので結果的に従業員のストレスが減る。オフィスを選ぶ上で、後からどうにも出来ない要素でもあるので、ここはやはり重要だと思います。街なかにあることで、自宅との差別化をポジティブに図れていることもリフレッシュに一役買っている印象があります。
Short
オフィスは従業員全員にとって、家だと感じてもらいたいと思っています。そう感じてもらうことで、帰属意識に繋がることがとても重要。LIXILでは、ポラロイドカメラで写真を撮影して自由にメッセージを書いて飾る、従業員参加型のフォトウォールを共有スペースに用意しています。チャット上よりもコミュニケーションが活発になるのも、いいオフィスの条件でしょうね。
Q.今後のオフィスのあり方は?
嵯峨
リモートワーク中心のハイブリッドを重視していきながら、柔軟性にはより力を入れていきたいですね。MIXIはコロナ禍を機にオフィス規模を変えていませんが、ニーズをよく見て、どういう風に働いてもらうのがベストかを検討した上で、増減の判断を行いたいと考えています。オフィスに来る頻度が下がったからこそ、来た人に喜んでもらえるようなオフィスであることは大事かもしれません。
Short
LIXILはリモートワークへの切り替えでオフィスを縮小しましたが、もし市場環境が変わったり出社したい従業員のニーズが増えたりしたら、再度オフィスのあり方を検討すればいいと思っています。あくまでもオフィスはコミュニケーションを取る場として使ってもらいながら、規模は随時判断していくのがベストではないでしょうか。MIXIと同じように、自らそこへ足を運びたくなるような場所にしたいとは考えています。
3時間に渡るセッション、質疑応答を終えイベントは無事に終了しました。
MIXIとLIXIL、異例の組み合わせではありましたが、採用・働き方・オフィスの面をつぶさに見ていくとコロナ禍をきっかけにした担当者の課題意識や思いは通じ合っている部分が非常に多く、事業領域は違えど、このような取り組みを共有し合える場は、とても有意義でした。
ミクシルでは、今後もこうしたイベントレポートの様子を紹介してまいります。