Pythonを学ぶ広報担当は、バックオフィスを極めたい?
広報グループで「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」や「企業訪問」など、学生を対象にIT業界やプログラミングにまつわる次世代教育を担当している町井。これまで法人営業、知財関連、そして広報と、大胆なキャリアチェンジを経験してきたと言います。その選択に辿り着いた背景をインタビューしました。
“生粋の営業”で基礎を築く
──これまでの町井さんのご経歴を教えてください。
大学卒業後は、保険の法人営業をやりました。営業は、まさに“足で稼ぐ”仕事です。真夏は汗だくになりながら、お客様を訪問していました。せっかく伺っても、軽くあしらわれることも。でも、人と会って話すのが好きなので、苦ではありませんでした。私は、人見知りもしないし、生粋の営業マンタイプなんですよね!
──営業職に就こうと思ったのは、なぜですか。
話し方や礼儀作法が身に付けられるので、まず3年は営業をやろうと決めていたんです。実際に営業を経験して、これは磨かれたと思っています。営業は素敵な仕事です。ですが、担当している商品の知識は身に付けられますが、その知識がそのまま他社で生かせるのか、私自身見出しにくくて…。それで、営業を3年間やり切った後は、営業から知財部門の一連の流れを学びたく、特許事務所に1年半ほど勤めていました。
──特許事務所!勇気の要るキャリアチェンジではなかったですか?
大学は法学部だったこともあり、法律関係の仕事をしてみたかったんです。とはいえ、実務は全然違います。大学時代の経験で活かせるのは、人より六法が読めることくらい(笑)。あらためて一から学ばないといけないので、今思えば、やる気を買ってもらっての採用だったのではないかと思います。
──そこで知財の修行を積んだわけですね。その後は?
一通り知財に関する知識や仕事の仕方は学べたと思ったので、より事業に近いところで様々な知財の仕事を見たくて、総合エンタメ企業の知財を扱う部門に転職しました!
──具体的にはどういう業務を担当されていたのでしょうか?
各部署のアイデアを吸い取って、特許や商標で守れそうなものは、特許事務所の方に協力していただきながら出願していました。
──人と話すのが好きなら、色んな部署の方と話せるのは良さそうですね。そこにはどのくらい勤めていらしたんですか。
3年間です。その後、より大きな会社で知財の仕事をしてみたいと思い、ミクシィに転職、アニメを担当する新部門に知財担当としてジョインしました。新しいサービスをリリースしていく中で生まれるものには、知財や商標で守る必要のあるものもありますから。ただ、知財として配属されはしたものの、いざ仕事をしてみるともっと他の分野の仕事にも興味が出てきて…「新しいことにチャレンジしたいな」と思ったタイミングでもあったので、mcc*を使って広報グループへ異動することに決めました。
*「ミクシィ・キャリア・チャレンジ制度(mixi carrer charange、通称mcc)」の略。部署毎に求人を掲載し、メンバーは所属上長への相談や許可がなくても求人に応募でき、条件に合致すれば社内異動が実現する
目指すは次世代育成の第一人者
──他社へ転職することは考えなかったですか?
なかったですね。入社年数も浅く、まだまだミクシィの知らない仕事に触れてみたかったですし、なによりエンターテイメントの分野で事業をしている会社でもっと経験を積んでみたい!という思いが大きかったです。自ら希望して、すこし違う分野の部署へ異動できることもなかなかないので、mccで異動しました。
──広報グループへの異動を決めたのはなぜですか。
理由は、いずれは小さな会社のバックオフィス業務を1人で全部できるようになりたいという野望があるからです。エンジニアやデザイナーの部署の募集もありましたが、さすがにこれからクリエイターになれる自信はなかったので(笑)。
それに、学生時代はラクロス部の副主将をしていて、主将と部員の間に入ってみんなをサポートしていた経験からも、バックオフィスの仕事は私に向いていると思ったのもあります。その中でも広報は、社内外の方々と一緒に仕事をする機会が多そうでいいなと思いました。という理由から、mccで募集していたバックオフィス業務のポジションの中から広報を選択しました。
──現在はどういう業務を担当されていますか。
メインで動いているのは、「次世代育成」です。中学生と高校生に校外学習の機会を提供する「企業訪問」や学校で講義を行う「プログラミング教育支援」をしています。「プログラミング教育支援」の実習内容はエンジニアの方が練るのですが、非エンジニアの立場でもわかりやすくなるよう講義の内容を調整していただいたり、教育委員会や学校との打ち合わせなどを行ったりしています。
──なんだか大変そうなポジションですね。
参加してくれるのは中高生なので、どのような講座にしたら理解して楽しんで受けてもらえるのか、日々エンジニアと意見を交わしながら作り上げていきました。こういう仕事は経験がなかったので、一から学ぶ必要がありましたが、新しいことは好きですし、人に教えることも営業時代から好きだったので、楽しみながらやっています!
──前職の経験が活かせたことはありますか。
今の業務じゃやりながら覚えていっている部分も大きいですが、営業の経験も活きてます。他社がどのような次世代育成や企業訪問のプログラムをやっているのか、直接企業に連絡して意見交換をさせてもらったり…。
──他社と意見交換ですか?
はい!0から講義内容や取り組みを考えるには経験が浅いので、他社の事例を参考にさせてもらうため、直接聞きに行くのが早いかな、と思ったんです。やっぱり外に出るのは好きですし、営業の頃みたいに足を動かすのが好きなのかもしれないです(笑)。
──その結果できたことがあれば、教えてください。
異動した当初、2種類しかなかった企業訪問のプログラムを5種類に増やしました!
中でも、「IT業界の仕事について」という講義は、私がメインで考えています。このプログラムが生まれるまでは、事業部の方に登壇いただいて企業訪問を行うのが基本だったので、事業部の方なしでは企業訪問を実施することもできませんでした。しかし、事業部には通常業務と並行で対応してもらっていたため、負担も大きかったですし、学校からの要請を受けられる件数も限られてしまいます。
そこで、なんとか広報グループだけで実施できる内容のプログラムを作り出せないか、と検討して生まれのがこのプログラム。学生からすると「IT業界」はなんとなく分かっても、そこにどのような仕事があり、何に苦労しているのか(笑)などは、あまり想像のつかない部分だと思うので、こうした内容にしています。このプログラムを作ったのは、異動してから半年も経たないくらいの頃ですね。
──すごいスピード感!広報グループに配属されてみて、想定していた業務とのギャップはありませんでしたか。
おおよそ想定通りでしたね。広報の仕事というと取材対応のイメージがあると思いますが、将来的にはやってみたいなとは思っています(笑)。今担当している次世代教育は、経験者が少ないので、第一人者になれるよう極めたいと思っています!
Pythonも学び始めた。その理由は?
──広報で今後取り組みたいことはありますか。
企業訪問はこれまで、地方の学生が東京に修学旅行に来たタイミングで参加していただくケースが多かったんですが、関東の学生にも参加してもらえるように提案を進めているところです!それから、社内のインターナルコミュニケーションでも何かできることを探しています。これも次世代育成と同じように、他社と意見交換をさせてもらいながら、目下検討しています。…という風に、現在は裁量を持って新しいことにどんどん挑戦させてもらえるので、すごく自由にやらせてもらっています。異動してすぐに動き始めたのがよかったのかもしれませんね。
──何かを決めてから動き出すまでのスピードが速いですよね。
確かに。ショッピングのときも、「これ買う」って決めたら、すぐに買います。悩まないんです。それで失敗することもありますが、引きずらない性格です。嫌なことがあっても、次の日にはリセット。営業をやっていた頃の癖というか、そういう風にやっていないとやっていられなかったのかもしれません(苦笑)。
あと、新しいもの好きな性格も関係しているかもしれません。実はつい最近、学生向けにプログラミングをやるからには、私も質問には答えられるようにしようとPythonの勉強も始めました。本格的なこともできるように、PCもMacに変えてもらったところです。
──Pythonの勉強まで!
やっぱり自分が触っているのと触っていないのとでは、学生に教える時に応えられる範囲も大きく変わってくるので。Webで書き方を学んだり、書籍を見ながら自分で書いてみたり、まだまだ学生のレベルと同じくらいまで成長できたとは言えないのですが、自分が出来ることを増やす意味でも、新しい挑戦ですね。
──気後れせずに、やりたい仕事にチャレンジできるモチベーションはどこから来ているのでしょうか。
営業、知財そして広報と色々な仕事にチャレンジしていますが、いずれは自分に合う「これだ!」という仕事を見つけたくて、まだまだ模索しているところです。AI技術が発展すると、仕事を盗られてしまうのではないかという危機感があって。特に定常業務は、AIに代替されてしまう可能性が高いのではないでしょうか。AIにはできない、新しいことに取り組んでいきたいですね!
新卒で保険会社に入社。営業として経験を積んだ後、知財を学ぶべく企業の知財担当として勤務したのち、2018年8月株式会社ミクシィに入社。サービスの知財担当としての業務を経て、2019年4月広報グループに移動。インターナルコミュニケーションや次世代育成などに従事。