部室長の一週間をのぞいてみた。〜モンスト事業本部 開発室 編 〜

部室長の一週間をのぞいてみた。〜モンスト事業本部 開発室 編 〜

社長、部室長、マネージャー、リーダー…会社組織には、様々な役職があります。

ですが、その仕事内容というのは、意外と知られていないもの。そこで、このシリーズでは部室長にフォーカスし、実際に「部室長って何やってるの?」「どんな予定があって、どのぐらい作業をしているの?」と、本人に質問を投げかけてみることにしました。

今回は、『モンスターストライク(以下モンスト)』の開発や運用を担う、モンスト事業本部 開発室の白川に質問。最近の一週間のスケジュールをベースに、それぞれの予定がどのような内容なのかを聞き、その全体感を教えてもらいます。

 

白川 裕介 (しらかわ ゆうすけ) モンスト事業本部 開発室 室長
2012年に新卒入社。SNS「mixi」でアドネットワークを担当したのち、XFLAGのアドテクスタジオへ異動。その後、モンストの開発業務に携わり、マネージャーを経験。現在は開発室の室長として、モンストに関わるエンジニア組織を統括する

 

今のはたらき
モンスト事業本部 開発室は、モンストの開発や運用、それを通じて得た知見を新規タイトルに展開し、立ち上げを支援するのが目的の部署です。なかでも、室長の白川が重点を置いて取り組んでいるのは、“開発のための開発”だと言います。どういうことなのでしょうか。「モンストの大方針を実現するのに、一番いい手段を提供することが開発室の役割です。目指しているのは、モンストの開発と運用の効率化です」

「新しいものは、常に作っていかなきゃいけないと思っています。ところが、モンストは今年でリリース8周年を迎える長寿タイトルです。これまで作って、運用してきたものの上に、さらに新しいものを作っていくというのは、なかなか大変なことです」

OSや開発言語のアップデートに対応したり、長年の運用で増えた機能を整理したりするのは、ユーザーの目に見えない部分ではありますが、とても重要なこと。しかし、もちろん開発室の業務はそれだけではありません。「ユーザーに届けるべき機能の開発は、絶対に遅らせられません。毎月のアップデートを遅延なく実施するのが最低ラインです。新機能の開発とインフラ整備の優先度を見極めながら、メンバーのリソースを調整しています」

 

一週間のスケジュール
主な業務を聞くことはできましたが…具体的な仕事がもう少し知りたい!ということで、一週間のスケジュールを見せてもらいました。以下は、最近のある1週間のスケジュールです。

30分単位の短い予定がいくつも入っているのが分かります。白川によると、これは意識的にしていることなのだとか。「長い会議が嫌いなんです(笑)。私だけじゃなくて、周りのエンジニアに聞くと、だいたいみんな好きじゃないようです。だから会議はなるべくスマートに、効率的に話をして終わらせられるようにしています」

さらに詳しく白川に聞いてみると、“効率的な会議”とは「場の目的を明らかにして、必要十分のメンバーが参加するように設計すること」だと言います。

「何か情報を共有する場なら、参加者は何人いてもいいのですが、議論して決める会議は、4〜6人の少人数でやりたいと思っています。というのも、例えば1時間の会議に10人が参加すると、1人あたり話せるのは6分。たった6分では何も議論できません。それなら本質的な話ができる人…つまり決定権を持った人やその分野に一番詳しい人を集めて、議論をするのがいいですよね。私が予定を組むときは、それを意識しています」

 

部室長、この予定は何ですか?

スケジュールを見ていて、いくつか気になった業務があったので、ピックアップしてさらに詳しく教えてもらうことにします。

作業ブロック
先に述べたとおり、会議は端的に済ませるのが白川のスタイル。端的に済ませるためには、要点が明確になっていたり、必要な資料が準備されていることが重要です。そのために、作業ブロックをしっかりと設けているのが特徴です。会議と会議の合間の30分〜1時間といった短い時間では集中して作業ができないため、数時間単位で設けることが重要だといいます。

部長定例
モンストに携わる部長の定例会と、モンストに付随するプロダクトに携わる部長との定例会があります。主に方針の決定や進捗の確認をする場だそう。各部の組織の情報交換の場も兼ねていて「こんなエンジニアが必要」といった相談もこの場で行っているといいます。

開発室マネージャー定例
開発室のマネージャー陣との定例会。全体定例や部長定例で聞いた内容を共有したり、マネージャーから各グループの進捗報告を受けたりする場です。グループ間での課題があれば、ここで議題にあげてもらうそうです。

1on1
白川の予定で、最も多いのが1on1でした。
特徴的なのは、1on1と一言でいっても、それぞれの役割と目的が分かれていることです。

火曜日:役員・本部長との1on1
1週間のうちに起きた全ての事象をこと細かに説明すると時間がいくらあっても足りないため、前の週にグループや各部と会話した内容をここでフィードバックしたり、カジュアルな会話をしたりとコミュニケーションの時間でもあるようです。

木曜日:隔週で他部署のマネージャーと1on1
これは、お互いの部署の状況について情報交換をする時間。リモートワークが主流になり、直接会話をする機会が減ってからは、このような時間を意識的に取り入れているそうです。

金曜日:開発室内のマネージャーとの1on1
グループのメンバーが心地よく働けているか、リソースが極端に足りない状態になっていないか、などの相談の時間でもあり、火曜日の役員との1on1や他部署のマネージャーと交わした会話を共有する場でもあります。

火曜日の本部長との1on1や部長定例で共有された内容を、木曜日のマネージャー定例で共有し、木・金曜日の1on1で、各マネージャーへと詳細に共有・議論する。このサイクルを回すことで、一週間かけて役員・本部長→各部の部長→自室のマネージャーへと情報が共有される設計にしている、と語ります。

「一番やりたくなかったのは、カレンダーが予定でビッシリと埋まってしまうことでした。昔、先輩が忙しくて、相談したいタイミングで出来ないことがあり、そうはしたくなかったんです。私もマネージャーになったばかりの頃は、予定を多く入れてしまいがちでした。部長になって1〜2年が経ち『これでは駄目だ』と気付いてからは、会議を効率化して、予定を空けられるように心掛けています」

 

部室長としての思い
ゲーム開発と運用の効率化にゴールはないかもしれませんが、白川は達成したい目標として普段から2つのことを開発室のメンバーに伝えているそうです。

「メンバーには、『注目されないようにしよう』と言っていますね。やはりエンジニアが注目されるのは、システムの不具合が起きたときです。安定した運用が当たり前にできると、目標が達成出来ているのかなと思います」

「『2年後に迫った10周年を無事に迎えられるような強いシステムや仕組みを作っていきましょう』と、ずっと言っています(笑)。」

変化が激しいIT業界で、2年という期間は長く、見通すのは簡単なことではありません。例えば、モンストはUnityと比べるとマイナーなCocos2d-xで実装されています。モンストがリリースされた当初は、UnityよりもCocos2d-xの方が主流だったのが、8年間で変わったのだといいます。

「2年後の技術トレンドがどうなっているのかは、誰にも分かりません。今ベストだと思っている技術が、5年、10年後にはメジャーでないかもしれない。正解が分からない中で慎重に選択をしながら進めていくのは難しいところですが、ユーザーに届けたいものを届けられる姿を目指していけば、大きく道を誤ることはないかなと思っています。」

さらに、白川はこう語ります。

「モンストは今年で8年になる長寿タイトル。蓄積されてきたものも充分にあるし、まだまだ技術的なチャレンジも行えると思っています。エンジニアの資質として、“新しいことをやりたい”という人は少なくないと思うのですが、新規事業や新規タイトルでなくとも、8年培った土壌を活かしながらチャレンジ出来る環境があるんだ、ということを組織内のメンバーに伝えていきたいと思っています」

 

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