新上級執行役員の所信表明 | 島村 恒平(CFO 経営推進本部担当)

新上級執行役員の所信表明 | 島村 恒平(CFO 経営推進本部担当)

2023年2月開催の取締役会にて新たに選任された3名の上級執行役員が、4月より就任しました。そのうちの一人である島村は、2016年に入社後、事業支援、経営管理、M&A推進などに尽力してきた人物です。そんな島村は上級執行役員としてどのような役割を託されたのか?そしてどのようなMIXIをつくっていきたいのか?所信表明を聞きました。

島村 恒平 上級執行役員 CFO 経営推進本部担当
音楽配信会社、コンサルティングファーム等を経て、2016年4月株式会社ミクシィ(現 株式会社MIXI)入社。経営推進本部経営企画室にて事業支援、経営管理、M&A推進等に従事。2017年10月 経営企画室の室長に就任。2019年4月 経営企画本部長として、経営管理部門を統括。 2020年4月 執行役員経営推進本部長就任。2023年4月 上級執行役員CFO(現任)。

MIXIの成長推進のため、足腰を鍛える施策に取り組んできた

━━島村さんが、これまでのキャリアで大切にしてきたことについて教えてください。

主に経営企画・経営管理という畑を歩んできましたが、常に意識してきたのは、会社を前進させていくということです。経営状況の変化を察知しながらも、自ら変化しない管理部門はただの怠慢だし、会社にとって害にもなりえる。法律や権限など、守らなければならないものを守りつつも、会社の経営基盤を進化させていくのが、自分の使命だと思って仕事をしてきました。

名は体を表すということで、経営「推進」本部という本部名称にした経緯もあります。それゆえに、自分の組織の現状に満足したことはないですね。今も、この状態がベストだとは思っていません。経営環境が変われば課題も新しく生まれてきますので。私がMIXIに所属させてもらえるうちは、何かを良く変えていく、何かを前に進めていく、そういうところに普遍的にコミットしていきたいと思っています。

━━自分たちで会社を変えていく、前進させていくという意識ですね。

そうですね。いわゆる管理部門として、守りの仕事だけしているなら俺らがやらなくてもいいよね、と思っていますので。例えば、そういう意味では、東証一部への市場変更のプロジェクトはまさにその目標を実現できたというか、会社の格が上がったイベントだったので、非常に手応えを感じました。ちょうど、スポーツという歴史ある産業で商いを加速させていくタイミングで、「東証一部」という看板を掲げられたことは意味があっただろうと思っています。

━━攻めの経営と守りの経営、そのバランスについてはどのように意識していますか?

会社が前に進むときというのは、足腰が強くないとコケてしまうものなんですよね。つまり、攻撃力とディフェンス力、両方を鍛えないと成長することはできない。私は主に足腰を鍛える方を担当していましたが、攻撃がしにくくならないことを念頭に置き、事業側の足かせにならないように意識していました。

私がMIXIに入社してから、コーポレートガバナンスも重要なテーマでしたし、M&Aも会社の成長にとって必要不可欠だったので、双方の結果を出せたのかなという実感はありますね。

━━他に意識してきたことはありますか?

MIXIには「発明」「夢中」「誠実」という3つの大切なバリューがあります。コーポレート部門だと「発明」はできないんじゃないか?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。例えばこれまで、システムを入れ替えて予算管理のデジタル化を実現したことがありました。もともと予算はアナログで管理されていたので、各部門もどれぐらい予算を使っているのかわかりづらく、その課題を解決するべく取り組んだプロジェクトでした。

その後、新型コロナウィルスの流行にともないリモートワークに移行しましたが(※2022年4月からマーブルワークスタイルを本格導入)、事前に紙の請求書の廃止などのDXを進めていたことで業務への支障がほとんどありませんでした。こうした業務改善面の「発明」を積み上げてきたつもりですし、会社のためにこれをやるべきだということに関しては、力を入れて取り組んできました。

今後もAIを使った業務効率化など、やれる事は山ほどあります。本部内からアイデアがたくさん出てくることを期待していますし、他の本部を巻き込んで最先端の業務フローの構築に貢献できればと思っています。

━━その姿勢には使命感的なものを感じます。

新しい企業理念体系において生まれた「発明」「夢中」「誠実」という3つのバリューは、個人的に自分自身の社会人人生を照らし合わせてもしっくりきているんです。過去に上手くいったときのことを振り返ると、その3つの言葉が全て当てはまっています。

枠にとらわれず、国民的サービスを生み出し続ける会社に

━━上級執行役員に就任すると決まったときの正直な感想を教えてください。

嬉しいという気持ちよりも、責任を感じましたね。というのも会社の状況として、諸手を挙げて前進という状況ではなく、さまざまな課題があったからです。FY2023は開発中のゲーム事業を撤退するなどシビアな判断が続き、ここからどう手を打つのかが会社の5年、10年先の未来を左右すると思いますので、覚悟を持って取り組んでいかなければならないという想いがありました。

━━ご自身に寄せられた期待とは何だと思いますか?

CFOとしてしっかり投資家・資本市場とコミュニケーションし、そのフィードバックを経営に活かす役割を担うことはいうまでもなく、経営会議の票を持つ立場として、数字のチェックやガバナンスといった観点だけではなく、「会社を前進させていくための意見をちゃんと発信して欲しい」という期待が込められていると思います。

━━島村さんは今後MIXIをどのような会社にしていきたいですか?

MIXIという会社はこれまでに複数回、時代を象徴する国民的なサービスをつくった会社です。複数回それをできている会社というのは、実は世の中にあまりないと思いますが、引き続き日本や世界を沸かす事業をつくっていける会社にしていきたいと考えています。

そのためには、継続的な挑戦が欠かせません。失敗を恐れないでいろんなことに挑戦できる環境をつくり、みんなが虎視眈々とワクワクしながらサービスを世の中にリリースし、そのなかのいくつかのサービスが国民的サービスとしてヒットするように育てられる会社を目指したいです。

━━そう思うようになったきっかけはありますか?

我々のようなWebサービス業界だけに関わらず、今の世の中は「将来、何があるか分からない」状況にありますよね。こういった不確実性が高い社会で生きのびていくためには、いろんな仮説を持って、いろんなことにトライしていかなければいけません。現在のMIXIでは、デジタルエンターテインメント、ライフスタイル、スポーツといった事業領域で、全社員がベストを尽くそうとしていますが、MIXIにとってのゴールは「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」の実現であり、それは必ずしも既存の事業領域で成し遂げないといけないわけではありません。

━━確かにそうですね。

今は3つのセグメントのなかで事業を展開していますし、経営資源の大部分を「モンスト経済圏」「みてね経済圏」「ソーシャルベッティング」に投下する判断をしています。しかしながら、10年20年後も同じポートフォリオで食べていける保証はないですし、自分たちの形を自分たちで制限しなくて良いと思っています。

もちろん、会社として“選択と集中”で決定した注力事業に取り組むことは大事ですが、それ以外の「遊び」も中長期的な視点では非常に大事だと考えています。大事なのはリソースの配分で。「このマーケットではコミュニケーションにペインがあって生活者が困っていそうだ」という仮説があれば、すぐにサービスをつくってみて、失敗してダメだったら次の学びにすればいい。そういうことを自由にスピーディーに挑戦できる会社でありたいなと思っています。

とはいえ、「新規事業をたくさん作るぞ!」みたいな仲良しクラブ的な会社になってほしいわけではないですし、世の中のニーズをちゃんと見極められる人材を育て、今後も継続的に国民的サービスをつくっていけるような会社にしたいですね。

トライ&エラーができる仕組みと文化づくりに挑戦したい

━━島村さんはMIXIの10年、20年先を見ているということですよね。

自分が今まで勤めた会社のなかで、10年後になくなってしまったら寂しいと思う会社はMIXIだけなんです。自分が昔、SNS『mixi』を使っていたときの感触とか、友達とやりとりして楽しかった記憶、大学の友達と久しぶりに飲んだときに『モンスト』のガチャを引きまくったことなどが思い出として残っていますし、今は子どもの写真を両親に届けるために『家族アルバム みてね』が欠かせません。自分の人生に寄り添ってきたサービスを生んだ会社が10年後にないと想像すると、それはすごく嫌なんですよね。だから、10年、20年後もちゃんと生きのびる会社にしていきたいと思っています。

━━10年後も生きのびる会社にするために、上級執行役員としてまず何から着手しますか?

一番やりたいことは、トライ&エラーを繰り返せる土壌をつくりたいということです。事業を生み出し、目標に届かなかったら一定のタイミングで閉じて、次の挑戦にまた同じチームで挑む、というイメージです。失敗を是とした人材育成、それをなめらかにするための決裁権限設計、予算のつくり方に力を入れたいと考えています。ビジョンを持っている老若男女みんなにバッターボックスに立つチャンスが回ってくる環境を目指したいと思っています。

失敗しながらもどんどん挑戦していく人がカッコいいという、失敗者を称える文化の醸成も大事ですね。その失敗した経験を、他のプロジェクトに共有することで、他のプロダクトの生存確率を上げていくとか。トライアンドエラーの仕組みづくり、文化づくりに取り組んでいきたいです。

━━失敗を是とする人材育成ですか。

研修とかを否定するつもりはないのですが、自分の判断で挑戦して失敗しないと、人は育たないと思うんですね。人が成長するためには、バッターボックスに立つ。バットを振る。失敗すれば再挑戦する。これから先は「失敗してはいけない」というやり方だと何もできないので、失敗は当たり前だということを一定織り込んだ上で前進し続ける会社じゃないと、生き残れないと思っています。

━━なるほど。

MIXIはたくさんの従業員を抱える大企業なので、いろんな人の意見をうかがっているとどうしても動きが遅くなってしまいます。みんなの意見を取り込んでリリースしたプロダクトの方が勝率が高いという訳でもない。そういう市場で私たちは戦っているので、もっと試行速度を早めていかなきゃいけないと考えています。

1つの事業を閉じるごとに10億20億の損失が出るとなると、そんなに数多くの事業に挑戦できなくなるので、完璧なものをつくり込むことよりも「これどうだろう?」と思ったものをすぐに形にしてみて、市場の反応を見て、また追加で開発してブラッシュアップしていけば良い。もうとにかく勝てる仮説があればクイックにプロダクトを世に出す、ダメなら閉じる、良ければ投資をするという流れを、イキイキと回せる環境をつくっていきたいと思っています。

━━今後CFOとして挑戦したいことはありますか?

まず、投資家とのコミュニケーションの観点では、当社の(モンスト国内を除く)注力事業のコンディションとしては、まさに育成の時期であり、これらの事業規模が大きくなる頃に正しく株式市場に評価していただけるような下地を作ることが、今の大事な仕事だと思っていますので、その辺りをしっかり市場とコニュニケーションできるように心がけます。

次に、より資本コストと資本効率を意識し、資本効率を向上していくための経営アジェンダをリードすることです。資本コストというのは、債権者や株主が事業に投資するときに期待する利益のこと。資本効率というのは、株主や債権者から調達したお金をどれだけ効率的に使って稼げているかを表す指標です。資本コストを資本効率が大きく上回るということは、キャッシュフローを産む力が高いということなので、企業価値の向上には重要なんです。
当社の資本効率は客観的にみて高い状況にはありません。向上のための打ち手は色々あるのですが、それぞれに難易度の高い論点があります。こういった難問に(部下の力を頼りに)立ち向かっていきたいと思います。

役員よりコメント

木村 弘毅
木村 弘毅
木村 弘毅(代表取締役社長 CEO)

島村さんは非常にバランス感覚が良いですね。
管理系の人でありながら、事業の中身にも高い興味関心を持ってくれています。また、会社の未来を強く案じてくれていて、相手が誰であっても忖度せずに厳しい意見が言える人です。そう、時に嫌われ役を買って出てくれているわけです。島村さんのことは嫌いになってもMIXIのことは嫌いにならないで下さい!w

大澤 弘之
大澤 弘之
大澤 弘之(取締役 上級執行役員 ライブエクスペリエンス事業本部 / 人事本部 / はたらく環境推進本部担当)

島村さんと一緒にやってきたからこそ、様々な困難を乗り越えて成し遂げられたことが多くあります。
今回のように在任中にCFOを引き継ぐケースはあまり想像しておりませんでしたが、今は良いタイミングであったと思っています。数年後にもそう言えるように新しいことにもどんどんチャレンジしていきましょう!

村瀨 龍馬
村瀨 龍馬
村瀨 龍馬(取締役 上級執行役員 開発本部 / デザイン本部 / セキュリティ室担当)

攻めも守りも持っていてかっこいい人です。会社のリスクを把握しつつも投資や得られるものという、バランスだけじゃなく情熱や偏愛に寄り添ってくれるので、どんどん話しかけた方が良いと思います!今後も両軸両利きであってほしいと心から思っていますし、いつも尊敬しています!

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