部署異動も考えた僕が変われたのは、制作チームの激励の一言でした。 〜先輩と後輩 #06〜

部署異動も考えた僕が変われたのは、制作チームの激励の一言でした。 〜先輩と後輩 #06〜

2017年4月、新卒総合職として入社し、「モンスターストライク」(以下、「モンスト」)のコラボ案件を手掛けるチームに配属された渡辺(写真・右)と、その上司である田所(写真・左)の対談インタビューです。この一年、濃密な時間を過ごしてきた若手社員の本音に迫ります!

入社1ヵ月目にして部署異動を考えた

━━━━お二人が所属するコラボ推進グループでは、どんな仕事をしていますか?

渡辺:私たちは、モンストのコラボに関する提案・推進・進行管理など、案件の一連の業務を担当しています。これまでモンストでは、様々な映画・アニメ・ゲームなどとコラボをしてきました。その中で私は「〈物語〉シリーズ」「HUNTER×HUNTER」「銀魂」「ソードアート・オンライン」の4作品を担当しました。

渡辺が担当したコラボ「銀魂」

田所:コラボ案件の仕事は、私たちコラボ推進グループとゲーム運営の企画グループが中心になって進めています。作品の選定は、映画化、アニメ化といった作品そのもののビジネス展開など、作品の状況を踏まえて版元にヒアリングに行き、コラボの可否、条件、スケジュールを調整していきます。作品の版元がどこなのか不明なケースもありますし、関係する企業が複数のケースもありますので複雑な交渉や調整も多いです。

渡辺:一つのコラボにつき企画からリリースまで大体半年、長い案件ですと1~2年がかりで交渉しているものもあります。

━━━━長い!一筋縄ではいかないんですね…。ここでお二人の初めて会った印象について教えてください。

田所:正直、大丈夫かな?と不安でした。渡辺君はもともとメディア運営の仕事を志望していて、アニメやマンガ、ゲームに関心が薄くて(笑)。そういった素養の子を受け入れて、一人前に育てていけるだろうか…?と思っていたんです。

渡辺:僕も、やっていけるか不安でした。「一緒に頑張ろう」という雰囲気ではなく、「やることはたくさんあるので、自分でどんどん学んでいってね」というシビアな雰囲気もあって…。

田所:そうだよね。当時は意図的に厳しくするというか、あえてほんわかな雰囲気は作らないようにしていました。というのも、渡辺君は大学時代に色々なインターンを経験して、自分なりに経験値を積んできて自信があったかと思うんだけど、インターンではなく“ミクシィの総合職”として働く意識に切り替えてほしいと思ったから。経験値がある分、そこは厳しくしようと思っていたんだよね。渡辺君は、自分で調べる前に、何でもかんでも質問してくるタイプだった。質問を受けたら開口一番、「渡辺君、それググった?」と聞いていたよね(笑)。

渡辺:そうですね(笑)。何でも聞いていました…。今考えると、厳しく接していただけて良かったと思います。自分の持ってる知識だけで、なんとなく過ごしていたら中途半端な仕事しかできなかっただろうな、と。でも当時はモンストはおろか、アニメやマンガのことも、仕事の内容も、全てが分からないことだらけ。だからこの部署でやっていける気がしなくて、今だからこそ言いますが、mcc(※)の該当ページを見て、求人を探していましたね。

※mcc:「ミクシィ・キャリア・チャレンジ制度」の略。部署毎に求人を掲載し、メンバーは、所属上長への相談や許可がなくても求人に応募でき、条件に合致すれば社内異動が実現する

田所:異動する気だったの!?

渡辺:ここだけの話ですよ(笑)。とはいえ、諦めるのももったいない、という気持ちもあって。もしかしたら、経験したら変わるかもしれない。とりあえず3ヵ月は頑張ろう、と。

━━━━そんなタイミングで任された、最初の仕事のことを覚えていますか?

渡辺:初めての仕事は、西尾維新先生の小説が原作の「〈物語〉シリーズ」とのコラボです。

田所:渡辺君にはコラボ作品決定後、コラボ企画の実現に向けた制作ディレクション部分を担当してもらったね。

渡辺:はい。社内の企画チームやイラストチーム、演出チーム、SNSプロモーションチーム、動画チームなど、各チームの制作進行管理を担当しました。1案件につき100人近くのメンバーが関わるプロジェクトだったので、とにかくコミュニケーションを取る機会が多かったですね。社外に関しては、版元への制作物の提出や修正のやりとりが主です。版元がやりたいこと、そしてうちの制作チームがやりたいことをヒアリングして最適解を見つけたり、スケジュールの調整や交渉を行なっていました。

田所:仕事をしてみて、気持ちの変化はあった?

渡辺:自分に担当を持たせてもらえた段階くらいから、責任感が芽生えてきたと思います。個人的には、2回目に担当したコラボで大きく成長したという実感がありますね。

田所:2回目は、8月に制作スタートした案件。渡辺君一人に任せました。一年の中で独り立ちさせたかったので、早めに一人で担当してもらおうと思っていました。

━━━━田所さんは、渡辺さんをどのように育てようと考えていたのでしょうか。

田所:例えばですが、いつか渡辺君が部署異動や転職するとなったときに、どこに送り出しても「渡辺君だったら大丈夫!」と、どこでも活躍できるような存在になっていてほしいと思っていました。経験や知識ももちろん大事ですが、社会人のベースになるのはコミュニケーションの部分で、何の仕事をするにしても、人と関わるのはマストです。その部分をきちんと成長させてほしいと考えていました。

コラボ推進グループは、企画などのゲーム運営、イラストなどのデザイン、システムなどの開発、宣伝などのマーケティング、グッズなどのマーチャンダイジング、動画出版などのオウンドメディアなど、本当に色々な部署と関わっていきます。そのため、関わる人とのコミュニケーションを通じて、「どんな人とでも会話できる」「相手の言っていることを理解できる」「自分の意見をきちんと伝えられる」という社会人のベースを一年間で作っていってほしいと思っていました。なので、このタイミングで渡辺君一人に任せてみよう、と。

渡辺:どのタイミングで声を掛けるべきか。チャットがいいのか、はたまた直接声を掛けるべきか。どう伝えたら自分の意図が通じるのか。コミュニケーションの取り方について、田所さんには色々と教えていただきました。

田所:社内だけでなく社外の人とのやりとりでも、恥ずかしくないように育てたかったんだよね。社外の人たちからしたら、“ミクシィの顔”は渡辺君になる。人から信頼してもらえるように、社内と社外のコミュニケーションの修行をしようと。まぁ、一人に任せるのは正直不安でしたけどね(笑)。

仕事で味わったどん底。救われたのは制作スタッフのある一言

━━━━仕事を任せられていく中で苦戦したのは何でしょうか。

渡辺:これまで一番ピンチだと思ったのは、制作の締め切り一週間前に、制作内容の根底を覆すような大きなNGが出てしまったとき。本当に焦りました…。僕にできることは何だろうと必死に考えて、毎日版元に電話をして、どうにか調整できないか粘り強く交渉しました。

田所:モンストのコラボ案件の大変なところは、締切が絶対。スケジュールの穴を開けることはできません。コラボイベントの実施が無くなるものならユーザーさんに大きな迷惑をかけてしまう。だからこそ何が何でも作り上げなきゃいけない。そこのプレッシャーはあったよね。

渡辺:はい。とはいえ自分だけでは何もできないタスクが多く、途方に暮れました。そのうえ、社内の制作チームへの修正指示を「こんな感じで」と曖昧な伝え方をしてしまって…。「曖昧な指示を出されたら、どう修正していいのか分からないよ。君が中途半端な仕事をしていると、本気で制作している制作陣のモチベーションも下がるし」と言われました。

制作チームがどんな気持ちでモノづくりと向き合っているのかについて、ちゃんと考えるべきだと痛感しました。だからこそ、制作チームが必死になって作ってくれた制作物を見たときに、「これは絶対ユーザーさんに届けてあげなければ」「ユーザーさんに見てもらわないともったいない!」という思いが湧いてきて、必死になれたんですよね。

田所:渡辺君の努力の甲斐あって、なんとか実施OKになったよね。

渡辺:ええ。先方にOKをもらい、制作のある方から「土壇場で良く頑張ったね」と言ってもらえました。その一言があったから、今頑張れているのかな、というくらいに救われた感じがありましたね。このコラボで苦労してよかった、という気持ちが大きくて。余裕がない状況を経験できたので、そういう状態に陥らないためにはどうすべきかを考えることができるようになったと思います。絶対にスケジュール管理でミスしない。その上で、ユーザーさんが喜ぶものを作れるように、社内・社外が実現したいものを受け止め、その調整をする。そのことをしっかり考えられるようになりました。それから大分、周りが見えるようになったと思います。

田所:そうだね。間に合わせるということだけを考えれば、制作するキャラクターを減らしたり、演出を減らしたりすれば、いくらでもスケジュール通りに進めることはできる。

渡辺:でも、ファンに刺さるコラボを実現しなきゃ、意味がないですよね。その上で、どう調整するか、ディレクションするかが、僕らの腕の見せ所かなと思います。制作チームは、アイデアがポンポン出てくるし、納期を死守してくれる。コラボ案件の最大化を当然のように目指してくれるチームですよね。すぐに相談にも乗ってくれるし、力になってくれる。頼れる制作メンバーがいるのは、とてもありがたいことだなと思っています。

━━━━田所さんは、どんなサポートをされていたのでしょうか?

田所:渡辺君とは1 on 1のミーティングをずっと続けていました。メンバーとリーダー、リーダーとマネージャーという組み合わせで、1週間に1回15~30分の時間を取るミーティングです。うちの部署では、渡辺君が配属されてから1年間、毎日ミーティングをしていました。無駄話ももちろんあるんですけど、その日やったことや困っていることについて話をしていたんですね。15~30分が基本ですが、この2回目のコラボを担当している最中は、1~2時間かけていました(笑)。「先方には、こうやって伝えたらいいんじゃない」「うちとしてはこういう理由でやらなきゃいけない、それをどう伝えたら分かりやすいかな?」「電話じゃなくて、こういうアプローチをとったら効果的なんじゃないか」など、あくまで渡辺君が主体的に考えアクションができるように具体的なアドバイスをしていましたね。

━━━━主にコミュニケーションの取り方について、サポートしていたんですね。一年仕事をしてきて、渡辺さんはどんな変貌を遂げましたか?

田所:大人になったなと思いますね(笑)。入社当初、「ちゃんとググったか?」と言われていた渡辺君は今や、新卒メンバーのメンターを担当しているんですよ。自分が今までやってきたことを新卒入社の子に教えられるようになって…とても感慨深いです。

そして、社内・社外から愛される人になってくれたのは、嬉しいですね。社外ってビジネスの場になるので、仲良しなだけでは乗り越えられない場合もあるかもしれません。信頼関係を築いて、冗談や、辛口なことが言える関係値を作り、ときには飲みに行ける間柄も必要だったりします。そういうことも、ちょっとずつできるようになってきたのが嬉しいですね。いっぱい失敗しないと、なかなかできるようにならないと思うんですけど。

渡辺:個人的には田所さんの人柄の良さを無意識に真似ていると思っています。田所さんが色んな人から愛されていますから(笑)。

田所:愛されているっていうか、いじられているっていうか(笑)。

渡辺:物事の考え方、仕事の進め方、人への伝え方など、田所さんに似てきていると思いますね。

━━━━この一年でお二人の距離も縮まったんですね。今、仕事のモチベーションになっているのはどのあたりでしょうか。

渡辺:やはり、ユーザーさんの反応が大きいと思います。YouTubeの生配信、TwitterなどのSNSを通じて、「期待してる」「このクエスト、楽しい!」とかダイレクトに反応があるので。自分が担当したコラボが世に出て、楽しんでもらえているのは嬉しいですよね。やっててよかった!と感じます。

田所:社内と調整、社外と調整…の繰り返しで、ようやく世に出たときの感動はすごいもの。モンストの中でも、コラボイベントはユーザーさんからの期待が高いと思うので、その反応がダイレクトに来ると、やり甲斐に直結しますね。

渡辺:社内でもリリース後はお祭り騒ぎになるんですが、それも楽しいです。みんなでガチャを引きながら、「出た!」とか「出ない」とか色々言い合って。

田所:一喜一憂してね(笑)。

渡辺:リリースで、これまでの緊張や重圧から一瞬解き放たれますね!

社外との関係を広げることで、見える世界がある

━━━━(笑)。最後に、今後の目標について教えてください。

渡辺:同じことの繰り返しではなく、日々新しい挑戦に取り組んでいきたいと思っています。例えば、前例のないゲーム外での演出を取り入れてみたり、XFLAGが運営するLIVEエンターテインメントショー「XFLAG PARK2018」で初出映像の制作を担当してみたり。前回できたことは絶対に取りこぼさず、新たに要素を加えて自分のできることを増やしていきたいです。

田所:私たちの仕事は、版元との関係値によって大きく変わるところがあるんです。「このタイミングで作品を盛り上げたい」という情報が公になっていないのも多く、版元との関係性を築いた上でやっとその情報がもらえることも多くて。そこで初めて、コラボの企画が生まれることもあるんですね。僕としては、二年目になった渡辺君には人脈を作って、その中から何かを生み出せるんだということを体験してほしいなと思っています。

一つのコラボが終わった後も、そこから他のものが生まれる可能性はゼロじゃない。二回目のコラボをやろう、別の作品でコラボしよう、という話があることもありますし、モンストやゲームとは関係ないところで新しいものを生み出しましょうという可能性もある。

渡辺:そうですよね。日々のディレクションだけじゃなくて、外に向けて自分を広げていくことも努力したいです。

田所:自分の体験談になっちゃうけど、新卒で入社したベンチャーの会社が2年でつぶれて、そこから転職するときに当時のクライアントに声を掛けてもらったんだよね。その後も色々なご縁があって、今の僕がここにいる。人との縁ってどこで何があるか分からないものだから、今後の自分の可能性も含めて、関係値の構築も頑張ってほしいな。

渡辺:ありがとうございます。また、今の部署やエンタメの領域に限らず、ユーザーさんに面白いと思ってもらえるような、新しい価値を生み出せるようになりたいです。

田所 将(写真:左)
2008年4月、新卒として人材派遣・人材紹介のベンチャー企業に入社。営業やキャリアカウンセラーとしての経験を積んだ後、2013年1月、ミクシィグループに入社。主にマーケティングリサーチの営業として従事する。2015年3月、モンストの運営を行なう、XFLAG スタジオに異動。パートナー企業とのアライアンス業務を経て、数々のIPコラボを担当。現在はコラボ推進業務のマネージャーを務める。
渡辺 啓太郎(写真:右)
大学時代に美容サロンの予約サービス「minimo」事業部にてインターンを経験。2017年4月、新卒としてミクシィに入社。XFLAGのコラボ推進グループに配属となり、モンストのコラボ案件に携わる。これまで、「〈物語〉シリーズ」、「HUNTER×HUNTER」、「銀魂」、「ソードアート・オンライン」などのコラボを経験。2018年6月、全社総会「ミクシィアワード」にて、新人部門の優秀賞を受賞。

 

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