4月には、新卒として新卒社員がミクシィグループに入社します。入社してから配属決定の期間まで、「マナー研修」「技術研修」といった職種に応じた様々な新卒社員研修があります。
※過去の研修内容はこちら
研修はオンラインでもできる ミクシィ新卒研修~ビジネスプランナー編~
研修はオンラインでもできる (オフラインでもやりました)新卒研修~エンジニア編~
新卒エンジニア研修をのぞいてみた。前編
新卒エンジニア研修をのぞいてみた。後編
「ミクシィグループで働くことで、充実した社会人生活を過ごしてもらいたい」という想いのもと、新卒社員のために毎年様々な研修カリキュラムをバージョンアップしながらとり組んでいます。今年はさらに充実した研修を通して早期のレベルアップを図るために、OJT研修の一環にトレーナー研修を実施。新卒社員のトレーナーや担当の社員、マネージャーにも研修を受けてもらい、人事・現場・新卒社員が三位一体となって取り組むカリキュラムです。2020年の秋に入社した新卒社員をテストケースで実施した、その研修の全容をレポートします。
まずは、人事本部の組織開発の担当者から改めて目的や背景について。
“新卒社員がスキルやマインドの成長を遂げるためにまずは「組織になじむこと」が重要で、その鍵になるのは、配属する部署での「新卒の適応促進」です。そのためにトレーナー(先輩社員)を選出し「組織になじむことの手助け(業務指導、チーム内ルール共有、社内人脈形成の支援など)」をしてもらうことを期待しています。周囲の社員からの声がけや、質問・相談しやすい環境を作れたら、新卒社員も能動性を発揮しやすく、結果、能動的な行動から得られる学びや経験がスキルやマインドの成長にもつながると考えています。ただ、トレーナーは新卒社員と配属前に交流の機会が少なく、配属後に短期間で新卒社員とコミュニケーションをとりながら性格や志向性を把握するのは、容易ではありません。さらにトレーナーには入社3年目前後の若手社員が任命されるケース、後輩の指導・育成を初めて経験する場合も多く課題もありました。そこで、「新卒が組織になじむ手助け」をしてもらうためにも、まずはトレーナーが新卒のことを把握できるよう支援する必要性があると考え、効果的な研修プログラムを提供している日本テレビ放送網様にご協力いただき、取り組んでいくこととにしました。(酒井/写真右)”
“もう一つの課題はトレーナーと新卒社員の間に、認識の相違によるミスコミュニケーションが発生する場合があることです。これは極端な事例なんですが、新卒社員は自分自身を明るく活発なタイプと認識していたとして、トレーナーは新卒社員とのコミュニケーションを通して、物静かなタイプだと判断したとします。となると、トレーナーは「もっと明るく振舞ってみてもいいんじゃない」とアドバイスしがちで、一方新卒社員は「充分明るく振舞っているんだけどな…」と、ここでミスコミュニケーションが発生するわけです。お互いの感覚によるので当たり前なんですが、この認識のズレが続いてしまうと、お互いにモチベーションの低下や相互理解ができていない状態を招いてしまう。だからこそ、共通の認識をもてるようにできる限り頭の中を可視化し、適切なコミュニケーションが実現できるように指し示す必要があると考えています。(坂主/写真左)”
確かに、感情、性格、志向性などはなかなか上司でも把握が難しいところ。トレーナーと新卒社員、トレーナーと上司といった関係性の中にあるすれ違い、認識のズレをいかに無くし、適切な教育をしていくかが鍵になりそうです。
では、その研修内容については、外部の講師担当の方に詳しく説明いただきましょう。
研修講師である日本テレビ放送網株式会社の眞邊さんに、研修内容について聞いてみました。
「私どもが提供しているのは、いわゆる部下への指導方法といった座学メインの研修カリキュラムというよりも、カウンセリング・コーチングに近いイメージのコンテンツです。具体的な手法としては、下記のフローで行っています。
トレーナー・新卒社員・マネージャーなどとの事前面談
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思考診断ツール「KOTSU」を用いて新卒は『自分自身』、トレーナーは『新卒の印象』についてそれぞれ単語ベースで質問に回答
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志向性、感情、思考のスピードなどが回答された内容を元に分析
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面談にて分析結果を説明し、認識のズレの解消、トレーナーから適切なコミュニケーションがとれるようなアドバイス
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一定期間後、再び「KOTSU」を用いて、新卒社員の志向性、感情、思考のスピードなどの変化を見て、適切なアドバイスを行う
情報によっては分かりにくいケースや、人によっては時間がかかるケースもあります。『◯◯な教え方をしたら成長しますよ!』という方法はなく、画一的な指導方法を教えるわけでもありません。トレーナーと新卒社員の組み合わせそれぞれに、言語化された情報に基づき、客観的なアドバイスを提供しています。それによってトレーナーも自己感覚ではなく、指導方法に問題がないか、適切なコミュニケーションがとれているかを認識しやすいのではないかと考えています。また、研修効果を最大化するためには、上長の理解も必要です。それによってトレーナーの取り組み度合いが変わってきますから。ミクシィ社の場合、トレーナー、新卒社員に加えて上長であるマネージャーや部長も一緒に取り組んでくれたので、新卒社員の教育という観点では足並みをそろえることができ、サポートがしやすい環境でした。実際に今回受講してくれました新卒社員の方には、意識変容、行動変容がしっかり見られました。」
可視化された情報をベースに客観的なアドバイスを行うことで、感覚によった指導やミスコミュニケーションを防げるのは、大きな要因になりそうです。では続いて、実際にトレーナー研修に参加したメンバーの意見を聞いてみます。
新卒社員が在籍している「TIPSTAR」の部長テルーマンと、トレーナーである六島に今回の研修内容についてインタビューしました。
━━講師担当と面談及び研修内容はいかがでしたか?
テルーマン 担当いただいた眞邊さんとの面談及び研修は非常に有効だと感じています。
━━それはどのような点で?
テルーマン 「KOTSU」はシンプルなツールではありますが、そこから得られた情報をしっかり分析し、事実や類推できる内容をしっかりフィードバックしてくれるからです。そこからどのように業務に活かすか?部下にどんなコミュニケーションをしていくのが最適なのか?といった点を、客観的にアドバイスをもらえるのは、大きな気付きになったからです。
━━具体的にいうと。
テルーマン そもそも六島さんの前に、別の方がトレーナーを担当していました。「診断結果によるとトレーナーは◯◯のタイプ、新卒社員は□□のタイプですから、お二人の関係性を見ると△△のコミュニケーションになりがちです。ですから、上司として●●のコミュニケーションが適切かもしれません」と講師からそれぞれについてのフィードバックをもらえます。そのアドバイスによって私自身も、トレーナー、新卒社員、それぞれに対するコミュニケーションのとり方や接し方を変えた部分がありましたから。そのフィードバックがすごく面白く、自分の気づきにも繋がったので、六島さんに研修の受講を薦めた経緯があります。
六島 そうですね。珍しくテルーマンから「この研修、受けたほうがいいよ」と推薦してくれました(苦笑)。というのも、私自身悩んでいることもありましたので。
━━どのような点で?
六島 新卒社員とコミュニケーションをとってわかっていたのは、私が大事にしている価値観がメンバーと真逆なんですよ。例えば、プロセスと結果、どちらに重視するタイプなのか。そうなると、私が良いと思っていることをアドバイスしたとしても、必ずしも新卒社員にとって良いとは限らない。
━━そうなるとマネジメントに迷いがでますね。ミスコミュニケーションも想定されます。
六島 そうなんですよね。新卒社員の方を理解できていない点もありましたし、自分自身の理解不足もあったので、研修は良いきっかけになったと思っています。
━━お二人のお話を聞いていると新卒社員やトレーナーだけでなく、チームビルティングにも有効になりそうな気がしてきました。
テルーマン その通りだと考えています。個人的にはチームメンバー全員の診断結果とフィードバックをもらいたいぐらい(笑)。なぜなら客観的な事実をもって、第三者視点で講師からフィードバックがもらえるからこそ、「●●さんは□□の志向性だから△△のアドバイスをしてあげたほうが良いよ」とメンバーやマネージャー陣にも同様のアドバイスできると考えているからです。
━━確かに。性格、志向性、価値観は人それぞれですから、客観的な意見をベースにすると相性やタイプに合わせた適切なコミュニケーションがとりやすいかもしれませんね。ちなみに研修から時間を経て、意識や行動などの変化は現れてきましたでしょうか。
六島 そうですね。最近は作業をただやるだけでなく、体系化としてまとめてくれるようになってきましたし、行動の変化は見えてきたと思っています。私自身も、いわゆる“アメとムチ”のマネジメントにおいてのアメの部分に変化もありました。
━━そうなんですか。
六島 これまで部下や後輩のアウトプットに対して、褒めるアクションをベースとしていましたが「◯◯ができるようになると□□ができるようになる」とメリットを提示するやり方も有効的なんだと実感しました。この研修がなかったとしたら……ちょっと恐ろしいことになっていたかも(笑)。適切なコミュニケーション手法を提示してくれた研修やフィードバックの成果は、あったと思っています。
テルーマン 人を知るってなんだかんだ難しいことだと思うんですよ。先ほどの繰り返しになりますが、人によって価値観も違えば、やりがいに感じるポイントも違う。だからこそ、マネジメントの心得やトレーナーとしての指導方法といった画一的な研修ではなく、個々人に合わせて、客観的データと適切なアドバイスを第三者からいただけるこの研修は、有意義だと思います。
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もう一人、六島の前に新卒社員のトレーナーを担当した伊藤にも感想を聞いてみました。
━━トレーナーとして新卒社員とのコミュニケーションはどうでしたか。
伊藤 私自身初めてのトレーナー経験で最初は戸惑うこともあったのですが(苦笑)。『KOTSU』や講師の方との面談から、私のタイプと新卒社員のタイプを細かく分析してくれてましたので、トレーナーとしての行動の指針ができたと思っています。
━━どういうことでしょうか。
伊藤 講師の方から「伊藤さんの特性から新卒社員の方とのコミュニケーションでは、ご自身の失敗談をベースにコミュニケーションしたほうがよいのでは」というアドバイスを受けました。
━━失敗談。
伊藤 ええ。最初は後輩なので、先輩としてもっとカッコよいエピソードがいいんじゃないかと思ってたんですが(笑)。先輩から怒られた話を盛りだくさんしています。それによって、「失敗談ベースに話をしてくれるから、頭の中にスーッと入ってきます」と新卒社員からの感触もよかったようです。2人の特性上、事実をベースに学びを伝えていったほうが良いというアドバイスがハマったんだと思います。
━━なるほど。
伊藤 私はどちらかというと感情で話す傾向があります。でも新卒社員はロジカル思考が強い。となると、通常は「もっとロジカルな話で接してください」というアドバイスになりがちですし、コミュニケーションの取り方そのものを考えなければならずハードルがあがります。しかし、その私の特性を掴んだ上でのコミュニケーション手法を講師が提示してくれたため、非常にやりやすいと感じました。
━━となると、トレーナー研修は良い体験だったんですね。
伊藤 そうですね。これまで見てきた私の先輩陣は、テルーマンを始め優秀な方ばかりで自分ではトレーナーなんて務まらないんじゃないかと思っていましたが、研修を受け、私だからこそ新卒社員に提供できる価値は何なのか、と意識も変わっていった気もしています。また、研修といっても数時間の座学をうけるわけでもないですし、書籍を読んで学ぶわけでもない。『KOTSU』に数十秒入力して講師と面談するだけですから着手もしやすく、トレーナーとしてどう振舞うべきかの指南もあるため、自分事としても捉えやすい。その点もよかったと思っています。また、自己分析もできましたし、新卒社員との2人の関係値を構築する行動指針にもなりましたから。性格や属性をタイプにわけられた資料やビジュアルを見ながら、トレーナーとしての振る舞いやコミュニケーション手法を提示してくれるため、納得感もあるし、私自身の理解も早い。すごく有効だと思っています。自己分析のツールとしては今後も使い続けたいぐらいです。
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最後に新卒社員である花田に、トレーナーとのコミュニケーションについて聞いてきました。
「初めて『KOTSU』で診断する際に、90秒で感じている・思っていることをテキストで打ち込むのですが、思いのほかネガティブな言葉が羅列してしまっていて。仕事への不安が入社してからあったのか、ネガティブ思考になっていたんだと思います。しかし、三ヶ月後に改めて診断した結果、ポジティブな言葉が表示されていました。可視化された結果を見て、自分では無意識だったのですが「変わったんだな」と認識できたのは良かったと思います。
もちろん、そういったツールだけではなく、タイプが全く異なりますが、おふたりのトレーナーのおかげで意識も変わったんだと思います。伊藤さんからは、ご自身の失敗事例を教えてくれて、これまで挑戦することに苦手意識があったのに少しづつ意識が変わってきました。現在のトレーナーである六島さんからは、自分の弱いところを適格に指摘され、向き合ってくれています。例えば、私は細かい仕事が苦手で、軽視する傾向がありました。しかし、周りの信頼を得るには、目の前の仕事をミスなく期待通りにやり、信頼を積み重ね続けることが重要です。この点においても気づきを与えてくれたと思っています。
また、「私の属性や性格を把握してくれたうえで、対話をしてくれている」とトレーナーとのコミュニケーションにおいてふしぶしに感じます。短期間でこのような意識の変化が出てきているのは、トレーナーのおかげだと思います。」
今回試験的ながら実施したトレーナー研修は、4月から全社で本格導入するそうです。本取り組みの効果として、新卒社員の成長のためというのは冒頭にも記載しましたが、インタビュー・ヒアリングに参加してくれた方のお話をまとめるとトレーナー自身の成長、チームビルドへの可能性も見えています。トレーナー担当になるかもしれない方が、安心して後輩の成長をサポートするとともに、自己成長にも繋げてくれるきっかけと捉えてもらえると嬉しいかぎりです。