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2017/11/14

コミュニケーションサービスは、 作り手とユーザーの熱量で作られている 【前編】

モンスターストライク」(以下モンスト)の生みの親、代表取締役社長の森田、取締役の木村、そして「Find Job!」「mixi」「みてね」を生み出した取締役会長の笠原に、ミクシィグループが大事にしている「コミュニケーション」について様々なテーマを設けて対談を実施。

前編では、ミクシィグループが展開するサービスにコミュニケーションとの関係が深いことから、「コミュニケーションサービスを創る理由と、サービスの未来」について語ってもらい、TOPの思考をひも解いてみました。
(写真左:取締役会長 笠原健治 中:代表取締役社長 森田仁基 右:取締役 木村こうき)

後編はこちら

熱量に興奮

━━━━まずは、コミュニケーションサービスの面白さに気づいたきっかけや体験について聞かせてください。

 

森田 じゃ、もちろん笠原さんから。

笠原 いいですか(笑)。

森田/木村 どうぞどうぞ(笑)。

笠原 では(笑)。個人的な体験というよりも、きっかけはネットサービスをやりながら気付いた部分が大きかったかな。20年前「ネットは、大量の情報を瞬時に検索できるのが良い」とAmazon創立者、ジェフベゾスの言葉の影響もあって求人サイト「Find Job!」を作ったし、最初から【コミュニケーションサービスの価値】に気付いていたわけじゃない。ただ、「ネットの価値は双方向性、個人でも情報発信ができる時代が来る」と言われていて、掲示板、個人のホームページ、メッセンジャー、ブログ等が生み出されていき、様相が変わり始めたのはなんとなく感じていましたね。その時代背景の中、SNSの可能性に気付くことができ、自分達で「mixi」を世の中に提供していくことになりました。

mixi」を始めてみて一番驚いたのは、ユーザーの熱量。もちろんコミュニケーションのインフラになるサービスをやりたい想いがありましたが、ユーザーがこんなにもサービスを熱心に使ってくれるとは思っていなくて、本当に想像以上だったなあ。滞在時間、アクティブ率、ハマり度合いなどどれをとってもケタ違いだったし。

そこで感じたのは、コミュニケーションサービスの凄さ。「人ってやっぱり、自分のことや大事な友達のこと、好きな人たちのことに一番熱心なんだな」と思いました。そしてインターネットは人と人をつなげていく技術革新でもあったんだな、としみじみと思います。人×コミュニケーション×インターネットの組み合わせってやっぱ最強ですね。

森田 そうですね。といっても、20年前はそこまで深くは考えていなかったけどね。

僕の場合だと、仲の良い友人と遊ぶことが好きだった。それがコミュニケーションサービスに関わることの要因として大きいかな。今でもそうだけど、仲間と集まってくだらない話とかよくするし、ゴルフや麻雀なんかもそう。幼少の頃なんか、友人が習い事を始めたから、僕も始めたってことが多々あるよ。そろばん、電子オルガン、サッカー、野球、空手とかね。だから辞める時も一緒。

あまり知らない人と何かをやるよりも、気の合う友人と思い出を作っていきたいタイプだし、他人の意思を優先するところがあったかな。「友人とのコミュニケーションが好き」というのが根底にあるね。

 

木村 同じ意見ですね。私の場合も友人との関係が強烈に影響していて、スポーツもゲームも、友達と夜通し遊んで過ごしてましたから。

実は学生時代、ゲーム開発に憧れを持っていて、ゲームの企画書を「ゲーム甲子園」に応募したことがあります。「アニメーションアクター」という企画タイトルで、複数の人が非同期で自分のキャラクターを操作し、後ほど同期し編集したら映像が作れるようなゲームを想定していました。当時はネットが今ほど発達していていなかったし、パッケージ型だと実現が難しかった。当時のゲーム企画については、「俺が時代を先取りしすぎたから実現できなかった」と解釈しています(笑)。

同時期にハマっていたのが、「ヤフオク」とか「ヤフーチャット」などのネットサービス。

 

森田 僕もハマってた(笑)。

木村 ゲームへの憧れを持ちつつも、インターネットサービスのコミュニケーションの方に熱中してハマっちゃてましたね。簡単に他者とコミュニケーションが取れるし、ネットサービスも簡単に作れる。通信手段が電話ぐらいしか無かったからこそ、テキストでタイムリーにやりとりできるところがよかったのかもですね。

 

━━━━親しい友人と一緒に楽しむというのが、ベースにあるわけですね。コミュニケーションサービスの面白さはどこにあると考えていますか。

 

笠原 熱中や興奮、中毒性など「熱量」を生み出しやすいところですね。「mixi」でいうと、簡単にテキストで非同期コミュニケーションが取れ、拘束されずにゆるふわな感じで友人や知り合いの近況を知ることができます。サービスのコミュニティ内では普段知り合えない方と友人になれますし。「LINE」や「インスタ」など、様相はそれぞれだけど、コミュニケーション性の強いサービスってユーザーの熱量を生み、サービス利用ユーザーのバイラル的な広がりやサービスのファンができたりする。そしてサービスとしてハマれば、一種の社会現象を起こす可能性を秘めていると思う。それって新しい文化だと思うし、それを作っていけるところが一番の醍醐味ですよね。

 

木村 「モンスト」は、「mixi」の補完関係にあるかなと。非同期のコミュニケーションサービスは、遠距離や直接会っていない場合でも親しい人の近況を知ることができるけど、実際に会っているときのコミュニケーションをネットの技術を使ってどう最大限にするべきか。「モンスト」はみんなで集まって、共通の画面を見ながら共通の体験をその場で一緒にできるからこそ、大きな熱量を生み出しやすい。これまでインターネットサービスって、離れたユーザー同士がサービスサーバーを通してつながる、というある種の固定観念のようなものがあったけど、もっとユーザー同士がその場でつながることができたら面白いんじゃないかと思っていて、それが実現できたと思うんです。

 

森田 そういえば、「みてね」が生まれたきっかけは、笠原さんの原体験が大きいですよね。

 

木村 可愛い娘が生まれたからこそサービスが生まれたんですよね(笑)。

 

笠原 まあまあ(苦笑)。子供の可愛さや面白さをいつでも自分自身で堪能したいし、他の人にも自慢もしたい。ただ誰にでも自慢するわけにはいかないし、子供を見たがっている人にだけみせたい。情報を受ける側が視聴率100%のファンだけであれば、発信側もストレスなく心地良く発信しやすい。だから、コミュニケーションサービスがクローズドである必要がある思いました。

 

森田 Web業界で働く人に子供が生まれたら「みてね」を使い始めた、もしくはずっと使っているって話を色んなところから聞いてますよ。

 

笠原 嬉しい限りですね(笑)。

 

森田 話は少し変わるけど、コミュニケーションサービスの考え方も変わってきましたよね。ミクシィグループはある種、総合デパートのように多種多様なコミュニケーションサービスを生み出しているし、ユーザーの利用シーンが思い浮かぶサービスを作っているよね。

しかし、世の中ではC to Cも一種のコミュニケーションサービスになっている。外を見渡せば「メルカリ」「LINE」など、多数のユーザーを抱える良質なサービスがあり、僕らが同様のものを生み出せなかったことは、正直、悔しい。一方、将来新しいコミュニケーションが生まれ、現在のサービスに取って代わるようなものが出てくる可能性が高い。そんな時に僕らはトライし続け、良いものを作り新しい価値を提供できれば新しい文化を作ることができると思う。理由は、創業からコミュニケーションサービスにかける想いをDNAとして脈々と受け継いでいて、今でもミクシィグループがコミュニケーションサービスをうまく設計できている自信があるからね。

 

本能的にコミュニケーションが発生するサービスが理想

━━━━熱量を生みやすい点はありますよね。次はコミュニケーションサービスの理想について教えてください。

 

木村 サービスそれぞれで少し異なるかとは思いますが、XFLAG スタジオのサービスに関しては、テンションが爆上げできるものを。これはいつもメンバーに話している通り、ユーザーだけでなく、作っている側も学園祭のノリのようにサービスを作ること自体を楽しんでほしい。そんな環境を生み出せたら、幸せだなと思います。ゲーム・イベントのエンターテインメントや今取り組み始めているスポーツ関連でも、そのような空間を作っていきたいですね。ここだけは笠原さんに負けたくないですし(笑)。

 

笠原 (笑)。

 

森田 理想のサービスやあるべき姿を定義するのは難しいね。というのも、デバイスや環境によってめまぐるしく変わるから。例えば、今や若い子はハッシュタグでやり取りするコミュニケーションが当たり前になっているし、言葉も生まれる。「マジ卍」なんてコミュニケーション語句、最近知ったし(笑)。ただ人の心をくすぐるしかけはそんなに変わらないと思うし、そこを追求していけば近づけると思んだけど、どうしてもこの辺りは感覚的な表現にならざるを得ないよね。具体的に言葉にできちゃったら誰でも真似できちゃうしね。

 

笠原 理想のサービスといえば、関わってきたサービスや自分のパーソナリティの影響からか、心地良さや発信受信のストレスがないというところかな。特に私自身、高いテンションが苦手だったり、大勢の前で大きな声で話したりが得意じゃない(苦笑)。だから、どちらかというと情報発信に苦手意識がある方でも、主役感を得られ、心地良さを感じるサービスだったらいいかなと思う。

 

森田 それがネットの世界でマジョリティなんですよね。日常生活では、声を上げることができる人に注目されがちだけど、インターネットサービスであれば、心地良く発信できる。僕も人前で話すのは得意ではないから、笠原さんの考えに同意します。その心地良さを具現化している「みてね」は一ユーザーとしても尊敬しています。高い熱量をユーザーが維持できているわけですから。

 

笠原 まだまだ規模は小さいですけどね(笑)。人の価値観は様々あるとは思いますが、なるべく多くの人に価値を届けたいと思います。

 

森田 人々の本能的な欲求にどれだけ自然な形で寄り添えるか、例えば、思わず友人を誘ってしまうような仕組み。なかなか言葉で言い表すのは難しいけど、無意識にユーザーがアクションする、本能的にコミュニケーションが発生するようなサービスが、あるべき姿かもしれない。これって思ってる以上に深いコミュニケーションの感覚が必要だと思う。昔、「mixアプリ」をサードパーティーに作ってもらう時に、「mixi」内の友人達のソーシャルグラフを活用したプロダクトが、どうやったらうまくできるかについて説明して回ったけど、あまりうまくいかなかった。

 

木村 難しいですよね。面白いコンテンツの視点ではなく、コミュニケーションオリエンテッドで考えて、何が重要なのか、どうしたら盛り上がるのかという視点で考えていたから。どうしても重要視している価値の相違が出てしまう。

 

森田 そう。各サードパーティーは何らかの過去の成功体験を持っていたはずだから、無意識にその方向性に寄せていく傾向がありましたね。僕らは軸がコミュニケーションなので原点がそもそも違っている。バンドでいう、音楽性の違いみたいなものです。なので、「サンシャイン牧場」や「みんなの検定」などコミュニケーションを軸に置いていたサービスは、ユーザー数も莫大に増えましたし、「mixi」のプラットフォームでハマったんだと思います。

 

━━━━コミュニケーションサービスの設計は簡単に説明できない箇所も多々ありますよね。とはいえ、サービスがもたらす影響力、社会的価値、経済価値は底知れないパワーを秘めていると思います。

 

森田 世界規模で見ると、ヒットしているサービスの大半はコミュニケーションサービスばかり。その観点から考察すると、コミュニケーションサービスって大多数の人にとって無くてはならないもの。それだけ人はコミュニケーションして生きているということの証明でもある。

 

木村 経済価値の観点からだと、良い意味で消費を生み出し、価値につなげているところがあるかと思います。「XFLAG」が展開するサービスは、今名付けたんだけど「アッパー系コミュニケーション」かな。つまり、友人達と盛り上がってテンションが上がるときこそガチャを回したり、リアルイベントに一緒に参加したりと、独りでは中々実行しづらいことでもみんなといるとより一層消費意欲をかき立てる可能性が高い。アッパー系コミュニケーションが消費の後押しにつながっているかと思います。

 

笠原 少し補足すると森田さんの話から、コミュニケーションサービスとしてハマれば、社会現象になるし、裏を返せば大きなビジネスチャンスにつながる可能性を秘めている。木村さんの話で言うとコミュニケーション消費というか、誰かの役に立ちたい、褒めてもらいたいなどコミュニケーションの話題にもなりますし、新しい消費だと思います。

 

パラダイムシフトの見極めと新規サービス

━━━━社会的インパクトが大きいという点は想定できましたが、新しい消費とは、新たな発見でした。それでは最後に「今後のコミュニケーションサービスの潮流となるのは」という視点でお願いします。

 

森田 SNSに関していえば、どちらかというとクローズドの方向で、その集大成というか完成形が家族単位と思う。SNS上の知り合いや友人を増やせば増やすほど、心地が悪くなるデメリットもありますから。家族であれば基本的に永久に続くし、ずっと続くソーシャルグラフのコミュニケーションサービスとして面白いかもしれない。

 

笠原 より楽な、心地良い、ストレスがかからないってところがベースですね。テキストから、写真、動画、ライブへと変化していると思います。ARやVRなども注目はしていて、今はまだ重たい体験だけど、いずれ最適な形になった際にチャンスが訪れると思う。

 

森田 法律やデバイス環境の変化ってわかりやすいし、大きなビジネスチャンスなんだよね。スマートフォンの誕生があったからこそ、LINEやfacebookがここまで巨大になったと思うし。自戒の念を込めて言うと、「mixi」はスマートフォン対応が遅れちゃったから苦戦した過去がある。

一番わかりやすいチャンスはスマートフォンの次のデバイスがきたときかな。そのタイミングを逃すことなく準備を進めていきたいね。パラダイムシフトがいつ起こるか誰にもわからないけど、これまでも世の中を動かすサービスを作ってきた実績があるからこそ自信はあるし、僕らだとやれると思っている。ただ「新しい文化をつくる」ってミッションを掲げているからこそ、社会的にどれぐらいインパクトがあるのかという視点でアクションを起こす必要はあるね。

 

━━━━パラダイムシフト、つまり、法律やデバイスの変化など節目のタイミングが大きなチャンスになるわけですね。そのタイミングにどんなサービスを生み出していくか教えてください。

 

森田 まーたくさんあるね。僕も木村さんもさっき話した内容の延長線上でのサービスは検討しているし、その中には、世間がアッと驚くのも含まれるかもしれない。今ある事業ミッションや各サービスコンセプトを変えずにそこはやっていくよ。

 

笠原 「心地良い」の軸でサービスを作っていきますね。詳しくは言えないですが、絶賛研究開発しているプロダクトもありますよ。

※後編はコチラ