『モンスト』のつながりを深める、映像制作のこだわり あらゆる“メソッド”が学べるセミナー「THE METHOD #10」

『モンスト』のつながりを深める、映像制作のこだわり あらゆる“メソッド”が学べるセミナー「THE METHOD #10」

「THE METHOD」は、ミクシィのさまざまなプロダクトにおいて実践されているノウハウやメソッドを惜しみなく共有するオンラインイベントです。今回の「THE METHOD」では、『モンスターストライク(以下、モンスト)』の映像制作について。

映像制作を手掛ける上で大事にしていることは?実際の映像は、どのような意図で作られているの?…といった疑問にお答えしていきます。本記事では、「THE METHOD #10」のダイジェストをお届けします。

 

登壇者紹介

今回話をしてくれるのは、『モンスト』の映像制作を担当している櫻井。

櫻井 謙士(さくらい けんじ):モンスト事業部 コンテンツクリエイション室 映像制作グループ
CG映像・ゲーム制作会社を経て、2018年ミクシィに中途で入社。モンストアニメや劇場版アニメを経験後、現在はモンスターストライクのキャラPVやモンソニ!プロジェクトの映像をメインに制作。

司会はモンスト事業本部・事業支援室の三瓶が担当しました。

 

『モンスト』の映像制作グループとは?

━━映像制作グループについて教えてください。

『モンスト』の映像制作グループで担当しているのは、キャラクタープロモーションビデオとモンソニ!プロジェクトの映像になります。制作手法については、それぞれの映像で「3DCG」「2D作画」「Live2D」など異なっているのですが、方針として大事にしているのは、作る映像の目的に一番最適な手段を選ぶこと。特に何かの手法に固執はしていません。

メンバーのスキルについては、以下の図を見ていただくと分かるのですが、アニメーターやTAを除くとクリエイティブよりマネージメント系のスキルが中心。基本的には協力会社と一緒に映像を制作していきますので、協力会社と円滑にコミュニケーションを取りながら制作していく力が求められています。

映像制作で大事にしている3つのポイント

━━『モンスト』の映像の目的やこだわりについてもお聞きしたいです。

ここでは『モンスト』の映像制作で大事にしているポイントを3つご紹介したいと思います。

 

【1】ユーザーサプライズファーストを実践するために「イベントの意図」をチームで理解

前提になりますが、私たちが制作している『モンスト』の映像は、単体で公開されるケースはありません。『モンストニュース』の内容や『XFLAG PARKMONST FREAK』などのイベント内アイテム”として使われます。ですので、まず第一に必要になるのは、「イベントの企画意図の理解」です。

なぜこの映像が必要なのか?を軸に、「何を?」「誰が?」「いつ?」「いくら?」…など12項目の情報を把握。

知っていて当たり前じゃん?と思われるかもしれませんが、自身の頭の整理にもなるし、制作しているうちに起きる“ブレ”も防げます。また、チーム作りの観点でいうと、イベントに関わる全員が頭にいれるようにしているので、メンバー間で共通認識を持って制作を進められますし、メンバーも気になる点があれば気軽に進言。風通しの良い制作体制が作れると思っています。ミス・ロス・トラブルを防げるので、何かチームでプロジェクトを進める場合にはオススメの方法です。

 

【2】キャラクターを深く理解し、正確に彩る

映像制作で目指しているのは、一人でも多くの人にキャラクターを好きになってもらうこと。そのためには、キャラクターチームが生み出した一つひとつのキャラクターを深く理解し、正確に彩ることが重要だと考えています。映像制作を始める段階でのキックオフで、「ストーリー」や「アプリイラスト」といった以下の内容をすり合わせていきます。

 

ストーリー
新規キャラの場合は、そのキャラの生い立ちと立ち上がる理由。既存キャラの場合は、進化の経緯や心境の変化の流れや力を手にした理由。大抵はアプリイラストのシーンをピークとした流れを理解します。

キャラクターデザイン・三面図
三面図は、3DCGにする際に必要になる情報です。カメラワークが3Dになると、360度全身が映りますから、背中のデザインどうなっているの?靴の裏のデザインはどうなっているの?…といった部分までの把握が必要です。

アプリイラスト
アプリイラストは、“そのキャラを象徴するポージング”が描かれていますので、ユーザーが抱く印象と映像のリンクが必要となります。ユーザーが一番目にするポージングなので、映像でも上手に使いたいところです。

 

【3】ユーザーの「愛の深さ」で楽しみ方が増えるようなこだわりを

こだわりはいくつかありますが、たとえば、起承転結・三幕構成、キャラクターアークといった「映像としての基本構成」を意識している点。人物がたどる変化の軌跡、それからそれを見ているユーザーの感情曲線も想定しながら、映像の組み立てを目指していきます。

他には、PVを観終えた高揚感のまま、キャラクターの性能発表に入れるぐらいの「尺」。短すぎても感情と理解が追いつかないですし、長すぎると集中力が途切れて離脱につながってしまう。PVを見て気持ちが盛り上がる「適切な長さ」を探っていきます。

最後にもう一つ。「視聴者が気付けるフック」も重視していますね。視聴者がどのキャラクターの何の映像なのかを予感し、確信できる特徴的な情報を織り交ぜ、段階的に開示。「何の映像か分かった時の気持ちよさ」を準備しています。

 

「ビナー獣神化」で見る、制作意図の解説&分析

━━ここまで映像制作で大事にしていることをお聞きしてきました。具体的な事例もご紹介いただけますか?

どのような意図で『モンスト』の映像が作られているのか、事例を使って具体的に紹介していきたいと思います。今回、用意したのは「ビナー獣神化」です。このPVを起承転結の観点から、解説&分析していきたいと思います。

 

1.導入シーン

物語・映像の入り口になるので、まずは状況を説明するシーンから始まります。ここの役割は「キャラクター・世界観・目的・テーマの提示」になりますが、キャラクターPVでなおかつサプライズ要因でもあるのでキャラクターそのもの提示はNG。だけど、今回のキャラクターにはモンストアニメ・劇場というバックボーンがあるのでそれを提示しています。

アニメ関連だと予想できるヒントを入れる、キーキャラクターの背中を描くなどして、視聴者の期待感を高めていきます。実際の映像を見てみましょう。

実際の映像はコチラ
※YouTubeのコンテンツ0:00:00に遷移します。

 

2.展開シーン

ここは、事件が起こるなど物語の展開シーンです。攻撃される街並み、攻めてくる敵、そして主役のビジュアルが映し出され、この段階で多くの視聴者の方が「ビナーの映像である」と理解されると思います。ここから一気に盛り上げていく流れです。実際の映像を見てみましょう。

実際の映像はコチラ
※YouTubeのコンテンツ0:00:20~に遷移します。

 

3.急転回シーン

ここは物語の急転回シーンです。主人公の心境が大きく変わるミッドポイントがあったり、最終決戦があったりと、一番の盛り上がりといっても過言ではありません。映像では、アニメのヒーローズと劇場の生命の樹を入れ、劇場の後の話であることも伝えています。ビナーの変身シーンは凛々しくて美しく、個人的にも大満足のシーンに仕上がっています。

実際の映像はコチラ
※YouTubeのコンテンツ0:00:40~に遷移します

 

4.結末シーン

ここは物語の解決が描かれるシーン。映像では「敵の超強力な攻撃」「それを防ぐビナー」「敵を一掃するビナー」が映し出されていて、心境変化もなく非常にシンプル。新しい力を手に入れたビナーの魅力を全面に感じて欲しい映像です。最後のシーンを見てみましょう。

実際の映像はコチラ
※YouTubeのコンテンツ0:01:00~に遷移します

 

私たち映像制作グループは、日々、このようなことを考えながら映像を作っています。モンストのキャラクターを好きになってもらえるよう、さまざまな手段を用いて、飽きない映像をお届けしていきたいと思います。

 

質疑応答

最後は、質疑応答です。視聴者のみなさんから寄せられた質問にもリアルタイムで回答しました。

 

Q:櫻井さんは、どのような流れで、『モンスト』の映像制作を手掛けるようになったのですか?

私はもともとCG映像・ゲーム制作会社に入って、最初は企画職をやっていたんですが、そのうち進行管理を任されるようになって。効率よく映像制作するためにはどうしたらいいのか?を考えているうちに、お金の管理もするようになったんですね。最終的にはプロデューサーのような役割を担っていました。その後、いろいろなご縁があって『モンスト』に関わるようになりました。

Q:モンソニ!の映像制作でのポイントは?

モンソニ!」は、音楽をテーマにしたモンストのスピンオフプロジェクトになるので、映像制作の上で特徴的なところは、キャラクターの個性が先に決まってしまっている点でしょうか。キャラクターデザイン、キャラクターの楽曲のイメージがあった上で、映し出したいパーツ・表現したい内容はどこなのかをしっかり整理するのがポイントです。

Q:モンストの映像制作チームの雰囲気は?

映像制作に限らずの話ですが、『モンスト』の制作にかかわる全員が“ユーザーサプライズファースト”を目指していて、『モンスト』への愛が本当に深く、一体感がありますね。ここでこうしたらユーザーが驚いてくれるよね?が合言葉のようになっていて、それぞれの分野でこだわりを発揮している感じでしょうか。

 

最後に

『モンスト』の映像制作といっても、制作手法はいろいろ。「3DCG」「2D作画」「Live2D」とさまざまな手法で、こだわりを持って制作されているのだと分かりました。櫻井さんの言葉で印象的だったのは、「『モンスト』の映像だけで退屈じゃない?と友人から言われることもあるけれど、全く飽きないですね。こんな多岐にわたって映像制作できる環境で、毎日が刺激的」との話。『モンスト』の映像制作の魅力が存分に伝わる時間だったように思います。

※イベントページはコチラ
※次回開催予定:THE METHOD#11『8年も続く「モンスト」のゲーム内機能にメスを入れるチャレンジって!?』

今後も様々な“メソッド”に焦点を当てながら、開発・制作ノウハウなどをお届けしていきます。次回もお楽しみに!

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