MIXIのAI専門組織「AIモデリンググループ」とは?その役割と仕事の醍醐味について聞いた

MIXIのAI専門組織「AIモデリンググループ」とは?その役割と仕事の醍醐味について聞いた

MIXIの開発本部には、事業の垣根を越えて横断的に活躍するエンジニアが多数在籍しています。そして、この開発本部に新たに設立されたのが「AIモデリンググループ」です。同グループでは、AIに関する高度な専門知識を駆使し、各事業部の業務改善に向けたAI活用の推進を行っています。

CTOの吉野と、AIモデリンググループマネージャーの渡辺に「グループが担う役割」「仕事の醍醐味」「求める人材」について話を聞きました。

吉野 純平 (写真右)
CTO(Chief Technical Officer)

2008年 新卒エンジニア職としてMIXIに入社。数年間ネットワークを担当し、その後はアプリケーションの運用にシフト。物理インフラ、サーバ運用、ネットワークから、映像処理や撮影などIP通信に関連する開発を手掛ける。2019年5月にはインフラ室の室長を担当。2022年4月開発本部 本部長就任。2023年4月 CTO就任。

渡辺 莉央 (写真左)
開発本部 たんぽぽ室 AIモデリンググループ マネージャー

2018年 新卒エンジニア職としてMIXIに入社。機械学習エンジニアとしてゲームAIの開発に携わった後、横断組織のメンバーとして、AIを用いたレコメンデーションシステム、競馬予測、画像認識などのプロジェクトに従事。2024年4月、所属するたんぽぽ室に新設されたAIモデリング部門のマネージャーに就任。

AIのプロフェッショナル集団として組織化

━━AIモデリンググループ設立の経緯について教えてください。

吉野:「AIモデリンググループ」の設立以前から、社内にはAIモデリングを専門とするチームがあり、統計処理を活用して事業貢献を目指して活動していました。設立当初は「単純作業の自動化」を目的としたシンプルな取り組みから始まりましたが、徐々に機械学習に精通したメンバーが集まり、現在では各事業のニーズに応じて、機械学習を効果的に活用し価値を提供できると判断し、グループとして正式に立ち上げることを決めました。余談ですが開発本部の「たんぽぽ室」という名前は、「刺身にたんぽぽの花を乗せるような不要な仕事を解消し、開発の生産性を向上させたい」という思いから名付けられています。

また、MIXIにおける機械学習の価値を高める役割を担ってきたのが、グループマネージャーの渡辺さんです。渡辺さんのリーダーシップによって、組織はさらにスケールアップできると確信し、今回この重要な役割をお願いすることにしました。

━━渡辺さんのこれまでの経歴について教えてください。

渡辺:私は大学時代からAI領域の研究に取り組んでおり、2018年にMIXIに新卒で入社した際も、機械学習に携わる部署で働くことを希望していました。入社前には当時のCTOであった村瀨さんと「AI活用を強化していきたい」「今後、エンタメ業界でも必要になるだろう」という話をしており、入社後は様々な技術の専門家が所属していたたんぽぽグループに配属されました。それ以来、各事業部のプロジェクトに対し、機械学習の視点から深く関わる形で活動してきました。

特に、ここ数年はChatGPTの登場によってAI活用のニーズが多様化し、貢献できる領域が広がっていることを感じています。組織としてAI活用を推進することで、さらに成果を最大化できると考えています。

また、個人的には入社5年目を迎え、ちょうどマネージャー職に興味を持っていた時期でしたので、吉野さんからお声がけいただいた際は「ぜひやらせてください!」と快諾しました。

MIXIの全事業を対象に、AI活用を推進

━━AIモデリンググループの業務内容について教えてください。

渡辺:私たちの最大の役割は、各事業部の業務改善に向けたAIの活用です。
たとえば、以前「XFLAG」が提供していた『ファイトリーグ』というゲームアプリでは、ゲームバランスの調整にAIを活用していました。このゲームは12マスの盤面にキャラクターを配置し、相手より先に敵リーダーを倒すというボードゲーム形式で、AIとの相性が非常に良かったです。

また『モンスターストライク(以下、モンスト)』や『TIPSTAR』においても、ユーザーに合わせたレコメンデーションやコミュニケーションの機会を創出する場面で、AIの活用が進んでいます。

吉野:今後は、MIXIの中核事業である『モンスト』をはじめ、各事業やグループ会社に対して、さらに貢献度を高めていくことで、AIモデリンググループが生み出す成果を一層拡大していきたいと考えています。

━━“AIの進化スピード”について、AIモデリンググループではどのように考えていますか?

渡辺:確かにAI技術は非常に速いペースで進化していますが、AIモデリンググループとしては最先端技術の習得を最優先すべきとは考えていません。というのも、最新のAI技術が世間的に優れているからといって、それが必ずしもMIXIの事業に適しているとは限らないからです。

現時点で重要なのは、既存のさまざまな技術をMIXIの事業にどのように効果的に活用できるかという点です。そして、スピードの観点から言えば、技術の選択肢を狭めず、多くの技術を試し、トライアンドエラーを繰り返すプロセスをいかに加速させるかが重要だと考えています。

吉野:私たちが行っているのは応用研究がメインです。自社データを精度高く収集する仕組みを構築しつつ、それに基づいた応用研究を進めることが今後の成果につながると考えています。

「ユーザーへの価値提供」こそが醍醐味

━━MIXIでAIモデリングに携わる醍醐味について教えてください。

渡辺:大きく分けて2つあります。1つ目は「さまざまなプロジェクトに関わる機会があること」、2つ目は「ユーザーへの価値提供を目的とした機械学習の実装に携われること」です。

まず、「さまざまなプロジェクトに関われること」についてですが、MIXIが展開するすべての事業に横断的に参加できるチャンスがあるという点が魅力です。私自身もこれまでに『モンスト』『ファイトリーグ』『TIPSTAR』など、数多くのサービスに関わってきました。必要とされるプロジェクトに参加し、そこで最大限の価値を発揮し、次のプロジェクトでも新たな経験を積む。このように、課題解決に向けて高い専門性を発揮しながらプロジェクトに取り組むことが、幅広いスキルセットの獲得につながっていると感じています。

次に、「ユーザーへの価値提供を目的とした機械学習の実装に携われること」ですが、これはAIモデリンググループの基本的な考え方でもあります。私たちは単に技術設計や実装を行うだけではなく、最終的にそれがユーザーにどのような形で提供されるかまでを見据えて開発に携わっています。

そして、すべてのプロジェクトにおいて、「機械学習による価値の最大化」を目指すことが重要です。例えば、機械学習を導入したことで逆に処理速度が遅くなったり、ユーザーが不便に感じたりする設計は絶対に避けなければなりません。そのため、機械学習部分の実装だけで終わらせるのではなく、その先のサービスへの統合や機能実装まで、プロジェクト側のエンジニアと連携しながら取り組むことで、ユーザーに提供する価値を最大化することを大切にしています。

そのため、学生時代に論文や研究が本分だった新卒メンバーにとっては少し戸惑いがあるかもしれません。実際、私も新卒で入社したときは、機械学習の精度を少しでも上げることに集中し過ぎてしまって、本来の目的から逸れて突き進んでしまったこともありました。しかし、そう言った経験をしてきたからこそ、機械学習を導入した際、どのようにすればユーザーが使いやすい状態になるのか?どんな実装が最適なのか?」といったことを考える力がついたと考えています。また、そう言ったことを考え、価値に直結する成果を出し、ユーザーから喜びのフィードバックをもらう経験は、MIXIならではの醍醐味だと思います。AIはあくまで手段であり、最終的な目的はユーザーへの価値提供にあります。AIモデルの開発やAI技術の実装・運用におけるこの点が、私たちにとっての最大の魅力です。

━━仕事をする上で、気をつけている点は何ですか?

渡辺:各事業部の企画担当の方々から依頼を受けることが多いのですが、その際に特に注意しているのは「期待値のすり合わせ」です。AIに対する世間の情報や事例から、「これだけ画期的なことができるのではないか」「あれもできるのではないか」といった期待が過剰に高まっていることも少なくありません。企画担当の方がイメージしているものと、私たちが機械学習で実現可能だと考えるもの、この両方のゴールをしっかりと把握し、最終的な落とし所を明確にしておかないと、期待のズレが生じてしまうことがあります。

例えば、レコメンデーションにおいて、企画担当者が初めから「ユーザーに提示したいもの」がある場合、データから同じような傾向が見られれば問題ありません。しかし、傾向がない場合、機械学習はデータから学習するため、企画担当者が考えるレコメンデーションをそのまま実現することはできません。その場合は、AIの処理にルールベースの調整を加えるなど、状況や仕組みを説明しながら、AIとルールベースを柔軟に組み合わせて解決策を模索し、できるだけ期待に沿う提案を行うことが重要です。

そのため、企画担当の方と密にコミュニケーションを取りつつ、機械学習を活用した最適な課題解決策を提案することを心がけています。

事業の垣根を越えて活躍する、AI専門部署に

━━AIモデリンググループのメンバーについて教えてください。

渡辺:現在7名が所属していますが、どのメンバーもAI領域におけるそれぞれの得意分野を持っています。例えば、画像処理に精通している者や、機械学習を使ったデータ予測に強みがある者、機械学習の導入から実装までのスキルが高い者など、各分野で高い専門知識を持ったメンバーが揃っています。

必ずしも一つの分野に特化している必要はありませんが、現状では自分の強みを活かしながらプロジェクトの課題に応じて技術選定を行う方法が、より効果的だと感じています。得意分野があれば、その知識を他の分野にも応用することができ、例えば音声や文章、レコメンデーションといった他のカテゴリーにも抵抗なく取り組めるのではないかと思います。

吉野:採用の観点で言えば、社会人経験豊富な方だけではなく、渡辺さんをはじめ、若いメンバーにも非常に高い能力を感じています。おそらく、固定観念にとらわれず、柔軟にさまざまなことにチャレンジできる人が、この領域では成果を上げやすいのだと思います。これからも、MIXIのAIプロフェッショナルとして、事業の枠を超えて活躍したいと考える方々と共に、AIモデリンググループを成長させていけたら嬉しいですね。

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