180日で事業を創る。内定者研修の様子をすべてお見せします #01

180日で事業を創る。内定者研修の様子をすべてお見せします #01

ミクシィで毎年行われている内定者研修。内定者の特性や事業のフェーズに応じて、その年年に合った研修を企画、実施しています。

半年に及ぶ今年の研修内容は「職種混同のチームでサービス・プロダクト企画をする」ことです。

内定者の皆さんがどのような研修を通して、いかに成長していくか、全3回にわたって具体的に紹介します。
第1回目では、〈全体概要〉〈チームビルディング〉〈必要知識のインプット〉について紹介します。

 

全体概要

ミクシィの内定者研修では、「自走できる人材に近づく」と「職種を超えて同期同士のつながりを強化する」という2つのゴールのもと、カリキュラムが組まれています。

 

大まかなスケジュール

9月末   内定者研修のオンライン説明会

10~11月 必要知識のインプットvol.1&フィードバック*

12~2月  チームでの企画&フィードバック*

1月末   中間発表

3月    必要知識のインプットvol.2&発表資料の準備・プレゼン練習

4月上旬  入社後に成果発表会

*毎月末にはメンターや人事に進捗報告を行っています

 

サポート体制

メンター、人事が一丸となって内定者の皆さんの成長をサポートしています。

 メンター
企画職やエンジニア職、デザイナー職の先輩たちが、各チームの進捗状況の観察や、毎月の取り組み状況へのアドバイスを通じて目標達成をサポートする役割を担います。また、タスクを進める中で発生した課題や悩み、その他必要に応じてキャリアに関する相談にも対応します。

人事
研修はもちろん、私生活(学内外の活動やご家庭の状況など)も含めた相談窓口を担います。また企画を進めるにあたって環境を整えたい方や書籍・デバイスなどが必要になった方には、備品の貸与や活動支援金の支給を行います。

 

まずは、チームビルディングから

研修の概要説明が終わった後、チームメンバーとの顔合わせを行い、一人ひとりの価値観を理解するためにワークショップを実施。一人1分の自己紹介、10分間でメンバー全員の共通点を見つけ、さらに相互理解を深める『ワークスタイルトランプ*』を行いました。

 

『ワークスタイルトランプ』

自分の理想とする「働き方」を考えるためのトランプゲーム。
52枚のトランプにはそれぞれ「働き方」に関するキーワードが記述されています。

例えば…「社会に貢献すること」「グローバルで活躍すること」「制度を自分たちで作れる会社」「服装が自由な会社」「親が安心する会社」「できるだけ早く成長すること」など。個々人がシステムを使って自分の理想の働き方を表す10枚のカードを選択します。

▼選んだカードを赤と黒に分類。赤と黒はワークライフバランスの比率を表しています。黒はワーク重視、赤はライフ重視のカード

▼赤と黒の枚数が同数の場合は数値の小さなカードに注目。(1が最も小さく13が最も大きい。数値の小さなカードが多いほうが優先)

▼トランプのマークは企業に求めているタイプ(傾向)を表します。どのマークが一番多いかで分類します

 

お互いに「なぜそのカードが重要だと思ったか?」についてインタビューを行い、背景となった経験や価値観に目を向けました。その後は、インタビューをした人について分かったことをみんなに紹介。これから一緒に内定者研修を受ける仲間を知る機会として、前向きに取り組む方が多く見受けられました。

1チーム5〜6名に分かれ、お互いの価値観を共有したところで、早速事業の構想に必要な事前知識へのインプットへと移ります。

 

必要な知識のインプットへ

講義は「事業構想の手法を学ぶ」「顧客を特定する」「顧客を理解する3つのフェーズ、計4日にわたって行われました。カリキュラム全編を通して、インプットとワークで構成されており、学んだ事をすぐアウトプットする事で、知識を技術として定着させ、事業構想の手法について「知っている」だけの状態でなく、「使える」状態になることを目指しているためです。

 

本編の講義に入る前に、事業構想の鍵となる「顧客」にまつわる講義を実施。

「顧客のニーズ」と「顧客のインサイト」の違いを認識しておくことで、顧客の何に対してどうアプローチしていくのか、その道のりを明らかにします。

そして、いよいよ事業の構想を本格的に学ぶ講義のフェーズへ。

 実施された講義は下記の通りです。

1.事業構想の手法を学ぶ
・ユーザーインサイト・アプローチ
・ストラテジック・アプローチ

2.顧客を特定する
・STP分析

3.顧客を理解する
・ペルソナ
・カスタマージャーニーマップ

各章のインプットを行ったあとは、ワークショップ形式で課題が出され、実際にその日インプットした内容に基づいて学生自らが試行錯誤しながら課題を提出。提出された課題を全員で見ながら、金丸から直接フィードバックを行いました。

以下より、順を追って講義の様子を紹介します。

 

 

1.構想手法を学ぶ

 ユーザーインサイト・アプローチ

「ユーザーインサイト・アプローチ」はStep1としてバリュープロポジションキャンバスを作成、Step2としてビジネスモデルキャンバスを作成することで、インサイトに基づくビジネスモデルを順序だてて、考案・具体化するアプローチのこと。バリュープロポジションキャンバスを利用することにより、自社の製品・サービスにおけるバリュープロポジションと顧客ニーズとの整合性を確認することができます。

 

 

ストラテジック・アプローチ

「アイデアの考察」から、「環境分析」、「戦略策定」、「施策立案」というプロセスを踏むことで、抽象的なアイデアを具体的に進化させていく手法です。顧客が抱える「不」や「負」を源泉としたアイデアから出発し、状況を見極め、戦略を決め、具体的なアクションを決めていくことで、抽象的な概念を具体化していき、構想からアクションまで一気通貫で事業を見通します。

①アイデアの考察:身の回りの不・負を発見し、ざっくりとしたアイデアを考える。

②環境分析:ビジネスとして成り立つか・勝てるかを調べる。PESTLE分析→3C分析<Customer(市場・顧客)、Competitor(強豪)、Company(自社)>→5force分析→クロスSWOT分析→VRIO分析の順番で分析し、アイディアを錬成する。

③戦略策定:「Who(誰に)」を定義する。STP<Segmentation→Targeting→Positioning>分析→ペルソナ→カスタマージャーニーマップの順番で分析・明確化する事で、顧客を特定・理解する

④施策立案:「What(何を)」「How(どうやって)」を定義する。4C(4P)分析を実施する事で、戦略の実行・実現に向けた施策を検討する

 

 

また、こうしたアプローチをより柔軟に考えるための基礎となる思考力を伸ばす一助として、戦略系から組織マネジメント系など、様々なフレームワークも紹介されました。

 

2.顧客を特定する

 STP分析

顧客を分析する手法のひとつとして、「STP分析」の紹介へ。3つの段階を踏むことで、ターゲットを明確にしていきます。

・セグメンテーション…地理・人口動態・行動・心理などの軸を用いて、特定のニーズや似た性質を持つ顧客をセグメントに分ける

・ターゲティング…セグメンテーションされた中から標的とする顧客層を選択し、どの顧客層にアプローチすべきかを定義する

・ポジショニング…ターゲティングされたセグメントの中の競合商品と比較する指標を明確化し、競争優位性を築くことができる自社のポジションを定義する

 

3.顧客を理解する

ペルソナ

前回までの講義により、対象とする顧客候補群を特定する事が出来ました。続いては、ペルソナを作成する事により、より具体的に顧客を理解していきます。

 

カスタマージャーニーマップ

続いて、前工程であるペルソナを元に、顧客の一連の体験を旅(ジャーニー)に例えたマーケティング手法「カスタマージャーニー」を設計することで、具体的なターゲット像をいよいよ浮き彫りにします。

この手法は、認知・購入・シェアなどの段階(ステージ)単位における顧客の行動、接点、感情の起伏などを可視化することで、製品(プロダクト)やサービスに関連した顧客体験(UX)を俯瞰し、顧客視点で体験を設計・改善することに役立ちます。

   

 

 

具体的な顧客像を想像するアプローチまで学んだところで、全講義が終了。

チームでカスタマージャーニーマップ作る」というお題が出され、講義のフェーズから実際にチームで事業の構想を具体化していくフェーズへと移行しました。

 

なぜこのインプットが大切なのか

3つのフェーズにわたる講義が終了したところで、この講義内容に設定した背景を、全カリキュラムで講師を担当した次世代エンターテイメント事業本部 事業開発部 部長金丸に聞いてみました。

 

金丸
金丸
四日間の研修では、事業構想の手法として、顧客ニーズと提供価値に着目した「ユーザーインサイト・アプローチ」と、顧客の「不」や「負」を起点としたアイディアを戦略フレームワーク等の活用を通して具体化していく「ストラテジック・アプローチ」の2種類を中心に講義させて頂きました。

いずれの手法も、事業を構想する際、対象とする領域や種類、規模等に関係なく活用する事が出来るので、非常に有益である一方、書籍やWeb上でリーチ出来る情報としては、概念や表層的なものが多く、実務に耐えうるレベルで、体形的に記載されているものが、ほとんどなく、一部のプロフェッショナルのみが知るノウハウとしてブラックボックス化されているのが現状です。私自身は、経営コンサルタント、ベンチャー経営、ミクシィでの新規事業立上げの経験を通して、これらを試行錯誤の末(遠回りもしながら)自身の中で確立していったのですが、将来のミクシィを担っていく若い世代の皆さんが不必要な苦労をする事なく、事業作りに専念して頂く一助になって欲しいと考え、これらのアプローチをお伝えさせて頂きました。

また、ミクシィは、ビジネス、デザイナー、エンジニア等、様々な領域で活躍するプロフェッショナル人財で溢れており、それぞれのプロが個人として、組織として、独自の事業構想の手法を保持しており、製品・サービス開発の現場で活用・発揮する事により、ミクシィらしい事業を創っています。これらの、ミクシィ固有の手法については、入社後の現場業務でじっくりと学ぶ事が出来るところ、その特徴や有益性を深く理解する上では、ミクシィ外で一般的である前述した手法を知っていて、使える状態であれば、比較する事で、違いを認識し、良い点を抽出する事が可能であり、又、複数のアプローチを体得する事によって、使いこなせるアプローチの幅・引き出しが増えるので、事業構想の精度も飛躍的に上昇させていけると思慮しています。

さらに、前述した2つのアプローチは、いずれも、「顧客」を中心としたアプローチである為、「ユーザーサプライズファースト」を掲げ、常にユーザー視点で物事を考えるミクシィとの親和性も高く、また、体形化されている為、実務で用いる際に、アイディアの発想だけ見たとしても、偶然ではなく、意図的に発想する事が可能であり、極めて再現性が高い点も、若い世代の皆さんがキャリアの最初に学ぶのに好ましいと感じた為、講義でピックアップさせて頂きました。

 

最後に

インプットの講義では、なかなか普段聞きなれない専門的な用語が飛び交う中、みなさん真剣に学んでいました。講義や作業、進捗報告ともにオンラインでの実施となりましたが、どのチームも創意工夫を行い、効率よく進めていました。

インプットの時間が終わったら、いよいよチームで「サービス・プロダクト企画をする」というフェーズに入ります…!月に一度、メンターとの月次報告会を通してブラッシュアップを重ねながら、実際に事業を構想していきます。

各チームがどのような事業を考え、どこに頭を悩ませたのか。その様子は3月に公開予定の#2にて詳しく紹介したいと思います。

PAGE TOP