“考えるデザイナー”になるためのステップアップ ~新卒入社のキャリア~ #6

“考えるデザイナー”になるためのステップアップ ~新卒入社のキャリア~ #6

ミクシィグループに新卒として入社し、数年のキャリアを歩んできたメンバーに、これまでのキャリアや携わってきた業務について振り返ってもらうインタビューを実施。入社時の心境、ターニングポイント、そしてこれからのキャリアビジョンについて迫ります。

#6は2016年、新卒でミクシィに入社した日野。デザイナーという立場で色々なWebサービスに関われること、そして幅広く色々な仕事に挑戦できることが、ミクシィで働く魅力だと語ります。彼女がどのようなキャリアを描いてきたのか、これからどのような成長を望むのかをインタビューしました。

日野 文恵 キャリア年表

 年  主な業務内容
2016年 ノハナ事業部に配属。AndroidアプリのUIデザインを学ぶ。
2017年 ダイバースに異動。「Poiboy」に関わる幅広いデザインを担当。
2018年 新規事業部に異動。Webサービスの立ち上げから参画。

入社してすぐに任された、一大プロジェクト。

━━━━日野さんは、どんな就職活動をしていたんですか?

私が就職活動をしていた当時は、スマートフォンが充分に普及していました。アプリデザインの仕事は面白いかもしれないと思って、Webサービス業界を中心に受けていました。スマホアプリはダイレクトにユーザーの手元にダウンロードされるだけでなく、ユーザーから直接反応をもらえる。自分が作ったものを、すぐに見てもらえる。そんな仕事いいな、と。

━━━━なるほど。ではなぜ、ミクシィを選んだのでしょうか?

当時の企業メッセージ「新しい文化を創る※」に共感しました。このメッセージのもと、SNS「mixi」、「モンスターストライク」、「minimo」、「みてね」など、さまざまなジャンルのサービスを展開しているところに魅力を感じましたね。ビジネスの広がりとともに、色々なことに挑戦できそうなところも決め手の一つになりました。
※2016年当時の会社のミッション。現在はコチラ

━━━━事業展開の可能性に魅力を感じられたんですね。入社後配属となったのは?

ノハナ事業部です。私は配属先が決まる前から、「ノハナ」のビジネスモデルに興味を持っていたんですよね。フォトブックを作ることを応用して、色んなことができそうだと。例えば、私は趣味で絵を描くので、フォトアルバムだけでなく、クリエイター向けにブックサービスを提供することもできるのでは?とか。またアプリ内で完結するのではなく、紙媒体のサービスにも発展しているビジネスにも面白さを感じていました。

━━━━では、希望の部署に配属されたのですね。

そうなんです。嬉しかったですね。この部署では、AndroidのUIデザインを担当していました。ちょうどこの時、Androidのアプリをリニューアルしようという時期で、ほぼゼロからアプリを作るという仕事を任せていただきました。

━━━━おお!いきなり大きな仕事を任されましたね。

もともと私は大学で広告のグラフィックデザインをメインに学んでいたので、アプリデザインは初めて。入社当時は、分からないことだらけでした。そのリニューアルのプロジェクトに関わっていたのは、私とAndroidエンジニアの先輩の二人だけだったので、自分にできるのか…という不安が大きかったですよね。でも少しだけ、これはラッキーなことなんだろうなと思っていましたが(笑)。

━━━━どうやって知識を身に付けてきたんですか?

Androidアプリには、“マテリアルデザイン”というデザインのガイドラインがあるので、まずはそれについて勉強しました。ガイドラインは全て英語。翻訳サービスを使いながら、苦戦しつつ要点をまとめて。あとはGoogle Playで賞を取ったアプリをたくさんインストールして、研究したりもしました。当時のWebサービスは、iOSのデザインをAndroidに踏襲しているサービスが多かったのですが、iOSはiOS、AndroidはAndroidのユーザーに適したデザインをしているサービスだけを選んで見ていましたね。

色々と昔の話をしていたら、当時のことを思い出してきました(笑)。ものすごく勉強していたなぁ…。そういえば、エンジニアが主役のAndroidカンファレンス「DroidKaigi」にも参加させていただいたこともありました。開発プラットフォーム「GitHub」なども初めて触れたので、慣れるまで大変でしたね。エンジニアの先輩はデザインレビューもしてくれるような面倒見のいい方だったので、本当に助かりました。席も近かったので、分からないことはすぐに聞いて。色々と教えていただきながら進めてきました。

━━━━かなりレアなケースですよね。メンターがエンジニア、というのは。

そうかもしれないですね。もちろんiOSを担当しているデザイナーや、グラフィックを担当しているデザイナーなど、他のジャンルのデザインを担当している先輩からもアドバイスがもらえる環境でもあったので、心強かったです。今悩んでいるところを相談して、適宜意見をもらうようにしていました。色々とアイデアをいただきつつも、みなさん「最終決定は日野さんだからね」と言ってくれて。自分に任せてもらえる責任感が嬉しかったですね。

━━━━1年目のデザイナーに最終判断を任せるって、すごいですよね。

いい環境だと思います。お手本になる先輩方ばかりだったので、勉強になりました。毎週開催されるデザインミーティングも楽しみでした。ここでは、担当制で自分の興味のあることを発表しようという取り組みをしていたのですが、私はそれがすごく楽しみでした。皆が持っているアンテナと自分が持っているアンテナが全然違う、というのが新鮮で。多くの情報を吸収できる、貴重な時間でした。

━━━━日野さんは、どういう発表をしたのですか?

例えば、「少女マンガのデザインの変化」とかですね。少女マンガのカバーデザインの変遷を辿る内容で、昔はこういうデザインが主流だったけれど、今はこんな自由なデザインになっていますというビフォーアフターを発表しました。みんな「今はこんなデザインなの!?」というリアクションをしてくれるので、発表しがいがありましたね(笑)。他にも、インスタ映えが好きなので、おしゃれな写真を撮影・加工する方法などの発表もしました。

━━━━色んなところにアンテナを張りながら、Androidアプリのリニューアルをしていたのですね。

半年以上時間をかけて取り組んできたので、無事にリニューアルをリリースできたときは嬉しかったですね。一気に全部変えてしまうのではなくて、一画面ずつ変化させながらユーザーに慣れていただき、ゆっくり変えていこうというスタンスだったので、じっくり取り組めたのはありがたかったです。

そしてリリース後に、リニューアルについて発表の機会を与えてもらえたのも忘れられない思い出です。ノハナメンバーの前で、アプリの変更点、制作過程、参考にしたアプリなどを発表したんです。参加自由の発表会だったのですが、全員参加してくれて。「なんて優しい部署なんだ!」と感激しました。

━━━━日野さんが、成長できた理由は何だと思いますか?

それは、エンジニアの先輩の存在が大きかったです。先輩は知識が豊富で、自分でデザインまで作ってしまうようなスーパーエンジニアだったので、とにかく知識についていこうと必死でした。

先輩と同じチームで一緒に働くことが決まったとき、まず聞かれたんです。「自分で考えてやりたい?それとも作ることに集中したい?どっちがいい?」と。先輩がデザイン案を考えて、私は見た目だけを作っていくという進め方もあったのですが、私は自分で考えて仕事がしたかった。それから、一緒に考えようというスタンスで仕事をしてきたことが、成長のきっかけになったと思います。

━━━━なるほど。リリース後はどんな仕事をしていたんでしょうか。

リニューアルをリリースした後、ちょうど組織体制が大きく変わることになりました。ノハナがスピンアウトして、ミクシィグループを離れ、新会社として生まれ変わるタイミングだったんです。突如、ノハナの社員になるか、ミクシィに戻るかという二つの選択肢が出てきて…。色々と考えた結果、「私が入社したかったのは、色々なサービスに携われるミクシィだった。」という原点に立ち返って、ミクシィに残ることに決めました。ノハナの環境はすごく好きでしたし、まだやりたいこともあったので複雑な気持ちではありましたが…。

2年目になって立ちはだかった、新たな壁。

━━━━突然の異動だったんですね。

会社も、色々な選択肢を用意してくれました。でも次は、全く別のサービスに関わってみたい、という思いがあって。異動先に選んだのは、ダイバース(※2017年当時ミクシィの子会社)。ここではマッチングアプリ「Poiboy」のサービスを手掛けていました。

━━━━「Poiboy」ではどんな仕事を?

そこでは「ノハナ」と同じように、Androidアプリのリニューアルを担当しました。最初のうちはAndroidメインのデザインだったのですが、チーム体制が変更となったタイミングで、iOSのデザインや、キャンペーンのポップアップデザイン、夏やクリスマスのキャンペーンLPなど、色々なタスクが舞い込んできました。異動した年は、ものすごいスピードで過ぎていったという感じです。

━━━━扱うサービスが変わって、変化はありましたか?

「ノハナ」と「Poiboy」は同じWebサービスであっても、ビジネスモデルが大きく異なります。「ノハナ」は既存ユーザーにどういう体験を提供するかということを中心に考えていましたが、「Poiboy」はいかにユーザーに利用してもらい、対価を得るのかを考えて、それをデザインに落とし込んでいくことが求められました。難しかったですね。

━━━━なるほど…。それはどういう風にデザインに落とし込んでいくものなんですか?

例えば…あるキャンペーンの事例を挙げてみますね。マッチングアプリの課金システムには1ヵ月、3ヵ月、12ヵ月などの料金プランがあります。でも1ヵ月使ってみることすら、抵抗があるという方もいらっしゃいます。もっと手軽に試してもらうために、1週間無料のトライアルプランを実施することになりました。

そこでアプリ内で、トライアルプランのポップアップ通知を作りました。最初のデザイン案を提出したところ、みんなの反応はいまいちでした。「もっとインパクトのあるデザインがいいのでは」「“今だけ”というお得感がほしい」「買おうか迷うユーザーに買いたいと思わせるデザインじゃないと」というアドバイスを受け、デザインを一気に変えました。参考にしたのは、ファストファッションの広告。赤背景で、値段の文字にインパクトを持たせるようなデザインです。

サービスの“体験”と“売上”を同時に考えるというのがすごく難しかったですが、とても勉強になりました。全く違うサービスに関わることができ、改めてミクシィに入って良かったと思いましたね。

━━━━「Poiboy」に携わっていたのはいつまでですか?

2018年4月です。ちょうど1年いたのですが、5月からはまた新しい部署に異動しました。というのも仕事を通じて、自分のキャリアの方向性が明確になったからです。私が目指していたのは、“考えられるデザイナー”。単にモノを作れるデザイナーではなくて、サービスをどのような設計にしたいか、ユーザーにどんな体験を提供したいかを考えられるデザイナーになりたかったんです。

━━━━考えるデザイナーになる、というのが日野さんの目指すキャリアだったと。

そうですね。2年目になって、Webサービスの体験の良さを伝えていけるようなデザイナーになっていきたい、と考えるようになったんです。そしてもう一つ、これまでは既存のサービスを改善したり、リニューアルしていくことがメインでしたが、新しいサービスの企画やコンセプト、設計から携わってみたいという思いもあり、異動へと踏み切りました。

新規サービスの立ち上げに、挑戦してみたい。

━━━━そこで新規事業のチームに異動したのですね。

はい。新規事業に関わる先輩が、タイミング良く声を掛けてくださったんです。ある程度サービスの方向性は決まっているけど、どんなサービスにすべきか、どういうペルソナにするのか、どういう価値を提供していくのかはまだ決まっていない。ぜひ、サービスの立ち上げから参加してくれないか、と。そのサービスの世界観や成し遂げたい目的に共感もしましたし、立ち上げに参加できるのはいいチャンスだと思って、異動を即決しました。

━━━━まずはどんな仕事を?

そのプロジェクトに関わっているのは、声を掛けてくださったエンジニアの先輩と、私の二人のみ。何もかもが初めての仕事ばかりで、二人で勉強しながら進めてきました。サービスの価値を見出していくところから、ペルソナの設定、カスタマージャーニーマップの制作、ユーザーインタビューなど色々です。UXデザインの教科書など、本の読み合わせもありましたね。「ノハナ」や「Poiboy」では、課題を探して改善していく仕事が基本でしたが、ゼロからサービスを立ち上げる仕事は全く勝手が違いました。

特に印象的だったのは、ユーザーインタビュー。ユーザーといっても、これからターゲットになりうる方にインタビューを実施するというものです。「みんなに共通している課題はなんだろう。」とか「どういうところに価値を感じるのか。」ということを質問して、サービスのコンセプトを固めるためのデータを集めていきました。ユーザーに直接会える機会はなかなかないですし、色んな人がいるんだということを知るための貴重な機会になったと思います。

━━━━なるほど。そうなると、デザイン業務から遠ざかったという感じですか。

エンジニアの先輩からも「デザイン業務はもう少し先になるけど大丈夫?」と気に掛けていただいていました。自分としても「どうだろう」と思っていたのですが、実際は大丈夫でしたね(笑)。

━━━━専門外の仕事だからこその苦労はありましたよね。

それはありましたね。ユーザーインタビューでコンセプトテストを行なって、「この案でいこう!」と決まったのに、「やっぱり違うな」「新しいアプローチが必要かも」「ターゲットが違うかも」と気づきだして…。ある程度出来上がっているものを潰すのは勇気のいる決断でしたし、結構、精神的に辛かったですね。

━━━━前に進めない怖さ、辛さ、でしょうか。

そうですね。ユーザーインタビューからもう一度やり直すのか…と。今の怖さは、これからサービスを世に出して、受け入れられるかなというところです。でもこういうことも前の部署では経験できなかったことですし、前向きに捉えています。

━━━━確かにそうですね。今後はどういうことにチャレンジしていきたいですか?

サービスをリリースして、ユーザーに求められるサービスへと育てあげていくことが一番の目標ではありますが、自分の技術面で言うと、アニメーション制作ができるようになりたいと思っています。

━━━━それはなぜですか?

サービスの説明やコンセプト、作り手側のメッセージを的確に伝えるには、アニメーションという表現がベストだと考えているからです。最近ではWebサービスのチュートリアルにアニメーションを導入しているものも増えていますし。動きのある表現手法を磨いていきたいですね。

新規事業に関わるデザインは、UIだけではありません。ブランディング戦略の立案やロゴ制作、ブランドカラーの策定、LPの制作など多岐にわたります。デザイナーは私一人なので、技術力や表現の幅も広げていきたいと思っています。

━━━━新規事業は大変だと思いますが、仕事に行き詰ったときは、どうしているんですか。

ミクシィは他にも色々と新規サービスを立ち上げているので、他の新規サービスプロジェクトに関わっているメンバーにアドバイスをもらっていますね。「こういうことをやろうとしているんですが、このサービスのときはどうしていましたか?」とか「どういう風に進めていますか?」という感じです。周りに聞きに行ける環境があるのはとても助かります。みんな優しく教えてくれますし。

これまで関わることがなかった部署との連携も増えてきました。他部署メンバーの仕事内容を間近に見て感動したり、私たちのサービスに対して感想をくれることもあり、刺激に溢れていますね。

━━━━なるほど。日野さんは自分のキャリアの実現性に関して、どれくらい満足していますか?

自分のチャレンジしたいことに対して、理解を示してくれる会社のカルチャーがありますし、気持ちよく背中を押してくれる仲間がいるので、とても満足しています。

━━━━素晴らしいです。最後に今就活するなら、どんな会社に行きたいとかありますか?

ミクシィ以外ないですね。

━━━━本当ですか!?それはなぜ?

本当ですよ!そもそもミクシィが大好きだからです。現在のサービスポリシー「コミュニケーションを軸にしたサービスを作っていく」に今でも共感しています。今関わっている新規事業で結果を出したいという気持ちもあるし、たとえ上手くいかないことがあってもミッションを叶えるために、他のサービスにも積極的に関わっていきたいと思っています。

 

– – – – – – – – –  ※※※ - – – – – – – – –

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