「自分の感覚を疑え!」 “コンテンツ作りの師匠”の一言が、私を目覚めさせた。 〜先輩と後輩 #07〜

「自分の感覚を疑え!」 “コンテンツ作りの師匠”の一言が、私を目覚めさせた。 〜先輩と後輩 #07〜

学生時代、女子大生サークルでのマーケティング活動や、企業インターンでのメディア運営など、精力的に活動をしていて2017年4月に入社した豊田さん。ミクシィに入社後はminimo事業部に配属となり、“これまでの経験”が全く通じないことに愕然としたのだとか。豊田さんはどんな挫折を味わい、先輩である林さんはどのように手を差し伸べたのか?これまでの軌跡を、お二人が笑いを交えて語ってくれました。呼吸が合った会話のやりとりも必見です。

ユーザーの気持ちは、私の気持ち。それは間違いだった。

━━━━豊田さんがミクシィに入社意志を固めたのは、なぜですか?

豊田 大学時代から「minimo」が好きで、「minimo」を広めたいという思いがあったので、入社を決めました。もともと美容系のサービスが好きでしたし、学生時代の強みを活かせるかなと思ったのもキッカケの一つではありますね。実は私、女子大生サークルに入っていて、イベント企画や商品企画などをしていたので、“女子のトレンド”みたいなのはすごく好きだったんです。

 100人くらいいるメンバーの総長だったんだよね(笑)。

豊田 総長(笑)。そうですね、リーダーとして束ねてました。だから、minimoに関わる仕事でないと絶対に嫌だと思っていて。入社してminimo事業部に配属となったときは嬉しかったです。

林 オトヨ(豊田さんのフレンドリーネーム)と初めて出会ったときは衝撃的でした。初対面なのにガンガン話してくるから驚いてしまって(笑)。なんて明るいんだ!と思いましたね。そのあとに100人の長だったという話を聞いたので、ちょっと怖いなって。

豊田 怖いって!(笑)

林 その事実だけ聞いたら怖いでしょー!(笑)

豊田 私は、チカティさん(林さんのフレンドリーネーム)がいてくれてすごく嬉しかったんですよ。メディア運営経験もあったし、minimo事業部は男性社員が多いので、女子の気持ちに長けているチカティさんがいてくださったから心強かったです。しかもチカティさんは、色々と考えて話すタイプの方なので、すごく頭のいい人なんだなって思いました。

林 オトヨは他社でメディア編集のインターンをしていたことがあったんだよね。キュレーションメディアの全盛期を経験している二人だったので、話は最初から合いましたね。

豊田 言葉で言い表せない感覚の部分を共有できるので、すごくありがたかったです。

━━━━希望していた部署に配属となって、まず初めに任された仕事を覚えていますか?

豊田 toC向けメディアにおける、ディレクションの初歩の初歩をチカティさんのもとで経験させていただきました。記事コンテンツの企画から、どう記事にしていくべきかを考え、アウトプットする仕事です。入社して半年間、ずっと取り組んでいました。

林 オトヨは大学のサークルで女の子たちを束ねる経験や、女の子の気持ちを考えて動く経験を積んでいましたし、メディア運営のインターン経験もあったので、仕事としてユーザーと向き合っていく理解もあった。その経験をフルに活かせるのが、メディア運営の場だと考えていたんですね。“コンテンツを作る”って想像以上にユーザーのことを考えないといけないことなので、ユーザーへの理解を深めたり、サービスを客観的に見てもらうためには、記事作成という仕事はいい手段になり得ると思ったんです。オトヨはminimoのユーザーでもあったので、お客さんとしての目線ではなく、サービス運営側の目線で見れるようになってほしいという意図がありました。

豊田 この仕事は苦労の連続でした。でも、この半年がなかったら成長できなかったので、私にとっては貴重な半年でしたね。

━━━━林さんは、豊田さんに仕事を任せる不安はありましたか?

林 たっくさんありました(笑)。

豊田 めっちゃ困らせたと思います(笑)。

林 何が困ったかって…考えるとキリがないけど。

豊田 (苦笑)。

:オトヨは大学時代、サークルやインターンの経験があるから、自分の感覚に頼るところがありましたね。それはすごくいいところだから大事にしてほしい部分でもあったけど、自分の自信が強くコンテンツに反映されすぎると、minimoとして発信するのは問題になってしまう場合もあります。そこをどう理解し軌道修正して、進めていくべきなのか、というのをずっと考えていましたね。

豊田 そうですね。

林 ユーザーのことを考えてと言っても、「いや、ユーザーって私のことなんで」と自分のことをユーザーとして語ってしまう癖があったよね。主観と一歩引いてみる目を持つことが大事で。ユーザー目線を持つということを、感覚として理解してもらうのはすごく大変でした。

━━━━自分がサービスのユーザーだと余計にサービスへの思い入れもあり、盲目になりがちですよね。豊田さんは、その自覚はあったんでしょうか。

豊田 今はありますね。でも当時は、「なんとしてもチカティさんを超えてやる!」という負けず嫌いな気持ちがありました(笑)。「私は大学時代の経験やインターンの経験もあるし、私はこんなにできるんだぞ!」というのをアピールしたい願望がすごくて。

林 そうだったんだ(笑)。

豊田 「○○記事コンテンツをやりたい」と提案したら、「それはオトヨがしたいことで、世の中は本当に求めているものなの?」と散々言われました。毎回自分と極端に違う意見を言われていたので、「なんでこんなに意見が合わないんだろう?」「そんなに私の意見って受け入れてもらえないの?」という感覚になって。最初のうちはへこみました。学生時代の実績をもとに考えた企画なのに、それが上手く仕事に反映できないのは辛かったですね。

林 心が折れまくってたよね。

豊田 折れまくってました…。でも他の上司に、「林は君を否定しているわけではなくて、もっと考えてほしいというアドバイスだと思うよ」という一言をいただいて、頑張ろう、と。チカティさんを超えたいまでは思わなくなっていたものの、かじりつきたい、食らいつきたいという気持ちでしたね。チカティさんの一言一言にへこんでも、「ここで負けたら先輩の思うツボや!」と思っていたんですよね(笑)。そこで業務に反映されなくとも、チカティさんの考えや思いを知ろうと貪欲に吸収しました。最初の半年で、チカティさんに伸び切った鼻を折られた経験があったからこそ、変わることができたと思います。

━━━━林さんは、そもそもどんな教育方針だったんですか?

林 とにかく“考えられる人”になってほしかったので、考えさせることを死ぬほど訓練していました。ミクシィのディレクターやプランナーはオールラウンダーの人が多くて、何を任されてもできる人が多いんですね。オトヨは「minimo」に対して強い思いを持って入社してくれましたが、今後、他事業部に異動したり他職種に就く可能性もなくはない。そのときに考える力、ちゃんと物事を説明できる力があれば、どういう場面でも対応していけるし、どの事業部、どのポジションにいっても、活躍できる人になれると思っていたんです。そういうスタンスだから、「とことん『なんで?』って聞くからね」って言っておいたよね。

豊田 はい。そこで答えられないというのは、自分が考え切れていない証拠なので、「もう一回考えてきます!」というのを繰り返していました。

林 “考えていない”というのは、自分の感覚に頼っているということ。感覚が本当に合っているのかを客観的に見れていないということなので、ちゃんと理由を言えるようにしよう、という取り組みでした。

豊田 2年目に入ってからより言われる回数が増えたと思います。たぶん今は思考の方向性が共有できるようになり、チカティさんと同じラインに立って対等に議論できるようになってきたからかもしれません。まだ自信があるレベルではないですが。あとちょっとかな(笑)。チカティさんの求めている「この話がしたい」というのが見えるようにはなってきた気がします。

林 自分の成長を実感したんだね。素晴らしい。

なぜその選択肢を選んだのか――その理由を言えることが自信につながった。

豊田 自分の成長を感じられるようになったのは、“考え抜く”ことをしなかった経験があったからかもしれません。

━━━━どんな経験をしたんですか?

豊田 1年目の後半に、単発で大規模なプロモーションを実施することになり、TVCMやYouTuberとコラボしたプロモーション企画を実施しました。普通ならどのキャストで、どんな見せ方をすれば効果的かということを踏まえて、キャスティングや企画立案をするものだと思うのですが、いまいち考え切れず、「なんとなくこの人が流行っているから」「なんとなく面白く見えるから」という理由で進めてしまいました。しかもプロモーションを実施した結果、ユーザー数も順調に伸びていたんですよね。

林 ちょうどminimo自体が成長していたので、単純にプロモーションの成果も必然的に上がって見えたんだよね。

豊田 そうです。なんとなく上手くいってしまって、達成感はあったものの、どれだけ効果があったのか、なぜこういう結果になったのかという振り返りもなく終わってしまいました。一方、今年の夏に実施したプロモーションでは、考え抜くことができたと思っています。

林 minimoの話題性を高めるための動画プロモーションね。

豊田 チカティさんと一緒に企画からディレクションまでを担当し、さらに美容商材のメーカーさんと連携してメニューを作って特集企画を組んだり、大規模調査を実施したり、色んな仕事があって…。仕事の根底としては、“届けたい人にどう届けるか?”“何を届けるか?”というのは変わらないんですけど、それを考える場面が多々ありました。「なんでそのキャストじゃなきゃいけないんだっけ」「なんでその動画構成じゃないといけないんだっけ?」「どうしたらminimoが美容サービスだと認知してもらえるだろうか?」をひたすら考えて。

━━━━豊田さんが一番考え抜いたのはどこですか?

豊田 キャスティングです。「この人がいいと思います」と提案したものの、なぜこの人を選んだのかという理由が言えなかったんです。その場でキャストの選定軸を考えよう、とチカティさんが助け舟を出してくださって、“もともとプロモをはじめるきっかけは?”“どういう人をターゲットにしていたんだっけ?”を読み解いていきました。そこで選択軸になったのが、ターゲット層よりちょっと年齢層が高めで、美容系雑誌などのメディアに出ている人。美容感度の高い人たちなので、「自分も取り入れたい」という気持ちが行動につながりやすいよね、という軸でキャストを選ぶことができました。

林 基本的にオトヨに全部任せていたよね。私は概念を抽象化・具体化する部分のプロセスを見たり、実現可能かどうかのサポートをするだけで。

豊田 一人で任せていただいたとはいえ、今振り返ると、チカティさんの助けがあってできたアウトプットなので、チカティさんがいなかったらあの形にはなっていなかったと思います。2ヵ月半という長期スパンのプロジェクトだったので、やり終えたときが一番達成感を感じましたね。プロモーション企画を考え抜いた手応えがありました。1年目の頃は自信を持って、「それがいいんです」と言えなかったけれど、2年目の今は「それが本当にいいんです」と、その選択肢を選んだ理由を自信を持って言えます。それは、自分が考え抜いたからそう言えるんだと思います。

林 なるほど。自信が身に付いてきたんだね。今、仕事は楽しい?

豊田 そうですね。2年目のほうが断然楽しいです。1年目の後半は自分の仕事がいい感じに結果が出てしまったので、もしかして半年で成長したのかも!と勘違いしていました。2年目に入り、チカティさんのもとでコンテンツを考えるという力が足りていないことに気づいて、伸び切った鼻を折られた。辛い気持ちもありましたが、それと同じくらい“新しく学べる面白さ”に気づきましたし、どういう風に考えればいいんだろうということを学べるのが楽しいです。

林 1年目の頃と比べると、視野は広がっているのかなと思う。オトヨはこういうところにこだわりがあるんだな、ユーザーに対してこういう思いがあるんだなというのが分かりやすくなったと思います。

豊田 ありがとうございます。

先輩の話し方、資料の作り方、考え方…とことん真似る

━━━━今、お二人が仕事で大切にしていることは何でしょう。

豊田 私は自分の主観的な意見を取っ払うという意味で、選択肢を全部洗い出すようにしています。常に「ユーザーの気持ちってどうなんだっけ?」という目線はずっと大切にしようと思っています。最近、大学時代の経験を語ることがなくなりました!以前は、「サークルの子はこうだった」って、サークル時代の経験をベースに自分の意見を組み立ていたんですけど。

林 確かに、めっちゃ言ってたのが少なくなりましたね。

豊田 今はそれが全く出てこなくなりました。

林 今、オトヨの意見を聞いて思ったのは、オトヨの思考が似てきているのが怖いなって(笑)。

豊田 最近よく仰いますよね。

林 私の信念も疑問を持つ、というところにあって。どんなに理解できることでも、「本当にそうなのかな?」と思うようにしてる。チームメンバーの意見に賛成していたとしても、それがどういう背景、意図、何を実現したいのかを絶対に聞きたい。それがユーザーのためになるものなのかを昇華してから、動いたほうがいいと思っているので。だから散々、オトヨに言ったもんね。「疑え!」って。最近では、資料の作り方も似てきて…怖い。

豊田 この間、印刷機の前で印刷してたらスッといらっしゃって、資料をペラッと見て、「こんなに似るんだね~」って仰っていましたもんね。(笑)

林 ここまで似られると責任感を感じる…。オトヨって最近、話し方が部長に似てきているんだよね。だから、色んなことを吸収しやすい子なんだなって思った。悪いところを吸収しないように、気を付けなきゃって(笑)。

豊田 何でも吸収している気がします(笑)。自分にないものを持っている人って魅力的じゃないですか。事業部長からは数字を見て考える力を、チカティさんからはコンテンツを考える力を教わっているので、自ずと似てきてしまうのかなって。でも私はそれをマズイと思っていません。今は周りのプロから吸収する時期だと思っているので、良かれと思うものは何でも真似するようにしています。

林 いいんじゃない?私もそうだったし。

━━━━お二人の会話から、絆の深さを感じます!最後に、今後の目標や課題について聞かせてください。

豊田 課題はありますか…?

林 めっちゃいっぱいあるよ(笑)。一番は、自信を持ってもらえるといいかな。オトヨはすごく頼るのが得意なんですよ。それは素晴らしいことなんですけど、その反面、もっと自分でできることとか、もっと自分で判断できることも人に委ねがち。自分の中で解を出した上で、判断を委ねてもらえるとよりいいと思う。自分の意見に自信を持つということでもあるのかなと思っているので、しっかりと主張してほしいですね。サービスのことを考える力は身に付いてきているので、そこは自信を持って。自分の考えを固めた上で、ディスカッションに持ってきてもらえるといいのかなと思いますね。

豊田 自分でもそう思います。一社会人として自分の意見を持ちつつ、周りのプロの人たちの意見をもらって、もっと上手に自分の意見をブラッシュアップできるようになりたいです。あとは、人に伝えるのが下手なので、そこは課題ですね。

林 確かに、言語化が苦手だよね。「え?それってどういうこと?」ってよく聞くもんね。分かっていても、絶対言わせる。

豊田 おしゃべりは得意なんですけど(笑)。なんでですかね?恐らく今まで、周りの人に汲み取ってもらっていたが故にミスをしていたので、正しく伝えるということが重要だということは痛いほど分かっています。でも、大変だから辞めたい、と思ったのは一度もないです。一年前と比べると、チカティさんへの尊敬の念が強くなりました。チカティさんは“コンテンツ企画の師匠”。超えたいじゃなくて、「この人になりたい」という、自分が目指すべき存在に変わりましたね。

 

豊田 佑里香(写真:右)
2017年、新卒としてミクシィに入社。minimo事業部のマーケティンググループに所属。現在、メディア運営に関わる記事コンテンツの企画・制作から、マーケティング、プロモーションまで幅広く携わっている。2018年6月、全社総会「ミクシィアワード」にて、新人部門の優秀賞を受賞。
林 千賀子(写真:左)
2012年、新卒としてミクシィに入社。SNS「mixi」における新規サービスの企画・立ち上げを経て、モンストの海外推進チームに所属。2016年、ベンチャー企業に転職し、Webメディアの編集長として活躍する。その後、ミクシィに再入社。minimo事業部のマーケティンググループにて、メディア運営のチームリーダーとして手腕を揮う。

 

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