コロナだからじゃない。生産性向上を実現するのが、マーブルワークスタイル。

コロナだからじゃない。生産性向上を実現するのが、マーブルワークスタイル。

新型コロナウィルス感染拡大を受けて、ミクシィでは2020年1月末から段階的にリモートワークへと移行。4月には、政府の緊急事態宣言を受け「全社原則リモートワーク」を決定しました。(ミクシィが新型コロナ対策で やったこと、やっていること

そして、2020年11月現在、ミクシィは“マーブルワークスタイル”と呼ばれる「週3日までリモートワークOK」とした働き方を試験導入している段階です。前回の記事で、7~9月の検証結果を踏まえ、新しい働き方として実施していくと説明しました。どのような内容になっているか、改めて説明しようと思ったのですが、制度がまだ完成していないとのこと。現在は、来年4月の本格運用を目指し、検証準備を進めているところだそう。おや?どういうことだ?と思い、制度の完成状況や今後の運用スケジュールについて、労務部の西に話を聞いてきました!

 

マーブル模様のように、オフィス勤務とリモートワークが融合

━━ミクシィには、“マーブルワークスタイル”と呼ばれる働き方があります。改めて教えてください。

“マーブルワークスタイル”とは、「オフィスでの就業を基本としつつ、リモートワークを活用した働き方」のことです。また、コアタイムを「10:00〜15:00→12:00〜15:00」に変更しています。2020年11月現在では、週3日までリモートワークを活用できるので、事業部や役職、職種などそれぞれの状況に合わせてみなさん働いていますね。たとえば、集中して一人で進める仕事がメインの方は週3日リモートワークしていたり、これからサービスリリースを控えている事業部のメンバーは週5日フルで出社していたりと、本当にさまざまです。

━━なるほど。ちなみに、“マーブル”には、どんな意図があるのですか?

リモートで働く社員とオフィスで働く社員が混ざり合っている状況のことを意味しています。マーブル模様のことなのですが、イメージとしては、2種類の味が混ざり合ったマーブルパンを思い出してもらうと、イメージがわくかもしれません(笑)命名する時に、「ミックス~~とかミクシィ~~なども検討したのですが、合わさるだけではなく、リモートワークとオフィスワークが入り組み交じり合うイメージがあったので、この名称にしました。

━━そうだったのですね。2つの働き方をする社員がまじりあいながら、1つの形になっている状態ですね。

そうです。それぞれの働き方のメリットを活かしながら融合し、生産性を高める働き方を目指していきたい。そんな想いを込めて“マーブルワークスタイル”と名付けました。

━━とはいっても、それぞれ自宅にいたり、オフィスにいたり…と同じ状況じゃないだけに“自然と融合”というわけにはいかなそうです。

ええ、おっしゃる通りです。ですので、ミクシィでは新たに「マーブルワークスタイル ガイドライン」も設置しました。たとえば、2つの働き方におけるコミュニケーションについて。その場にいない人に配慮したコミュニケーションを取る、テキストメッセージは相手の心証に配慮する、などがその一例です。全員が同じ場所に出社していたときには必要なかった気づかいが必要になってくると考えています。

 

コロナ対策か、生産性向上か。リモートの目的を明確に

━━“マーブルワークスタイル”は、2020年10月にベースができると以前発表していたかと思いますが、来年4月の本格運用に向けて準備中とお聞きしました。

コロナの感染拡大状況を見ながら、スケジュールを引き直しているのが現状だったりします。

これまでの流れをお伝えすると、緊急事態宣言によって4月に「全社原則リモートワーク」を実施。その後、感染状況がやや落ち着いた7月から、“マーブルワークスタイル”を試験導入し、「生産性向上を目的にした週3日までのリモートワーク」が始まりました。

しかし、8月に入ると再び感染者数が増え始め、行政からの要請があったため「コロナ対策を目的とした週4日のリモート」に戻すことを決断。そして10月から、改めて“マーブルワークスタイル”の試験導入を再開したところなんです。

━━検証のための試験導入を7月から開始したけど、コロナの感染状況や政府の要請があったため、コロナ対策のワークスタイルに急遽シフトしていたわけですね。

そうですね。リモートワークだけを切り取ると、コロナ対策もマーブルも週◯日リモートOKというところだけに目がいきがちです。マーブルワークスタイルが完全に稼働しているようにも感じますが、8~9月はコロナ対策のワークスタイルにシフトしたため、やっと10月から検証を開始しているという状況です。

 

▼「コロナ対策のための働き方」と「マーブルワークスタイルの働き方」の違い

コロナ対策のための働き方  マーブルワークスタイルの働き方
目的 コロナ感染拡大防止のため  社員一人ひとりの生産性向上のため
就業ルール ・政府の要請に応じて、原則or推奨リモートワークで実施

・コアタイム 12:00〜15:00

・週3日までリモートワーク可

社員が生産性の上がる場所を自身で選択する

・コアタイム12:00〜15:00

 

━━あと、お話を聞いていると、リモートワーク導入の目的が「コロナ対策」なのか、「生産性向上」なのか…2つあるように感じました。

おっしゃる通りで、ミクシィとしては「リモートワーク」を導入するにあたって、その目的を明確にしていきたいと考えています。コロナ感染拡大を防止するためのリモートワークなのか、生産性を向上させるためのリモートワークなのか。

来年4月から本格導入を予定している“マーブルワークスタイル”の目的は、生産性向上のためのリモートワークです。現時点でコロナ対策と完全に切り分けるのは難しいですが、あくまで場所を問わず働くことでよりパフォーマンスを高められる新しい働き方、と定義しています。ここは、ミクシィの社員全員が認識していく必要があると感じていますし、合わせて私たち労務もしっかり伝えていかなければいけないと思っていますね。

━━確かに、「何のためのリモートだっけ?」となってしまうのは、とても怖いですね。

ええ、そうなんです。“マーブルワーク”が実現したいのは、通勤がなくなって楽になる、出勤しなくてラッキーなどといった福利厚生的な意味合いでのリモートワークではありません。一人ひとりの社員が生産性向上のための働き方として、リモートワークという手段をとるという意識をしっかり認識していないと、あっという間に社員の自主性は失われるでしょう。単なる作業する人材ばかりになってしまうと懸念しています。

━━どういうことでしょうか?

例えば、作業効率だけを考えると、自宅で作業した方が効率良いと感じる方もいるかもしれません。ただ、オフィスに来ることで、普段業務を一緒にしないメンバーとの偶発的なコミュニケーションやチームメンバーとのちょっとした雑談などが自然と発生します。それによって、新しいアイデアの種や、何かの気付きにつながるケースもあります。コミュニケーションの場を創るサービスを生み出しているミクシィだからこそ、大事にしている価値観の一つでもあります。

ですから、リモートワークを生産性向上=業務効率化だけではないものと考えた「マーブルワークスタイル」を実現したい。そのために試験導入した上での課題を洗い出してしっかり検証し、来年4月の本格稼働に向けて動いていきたいと思っています。

 

「リモートワーク」は、自分の仕事を見直す良い機会

━━本格的なマーブルワークスタイルのこれからの稼働に向けて検証中ということですね。具体的にどのように検証する予定ですか?

アンケートや社員とのヒアリングを通じて、現場の状況を改めて把握していきます。アンケートは、全社員向け、マネジメント層向け、入社したばかりの方向けの3種類を用意。具体的なエピソード含めて細かく聞いていく予定です。加えて、何名かの社員に声をかけてヒアリングを進めていきます。

━━どのようなことをお聞きしていくのでしょう?

仕事の生産性が上がったのか/下がったのか、社員同士のコミュニケーションはうまくいっているのか、マネジメントの不安はないか、会議のやりやすさ、人材受け入れ・教育についての懸念点など前回のアンケートに加えて様々な項目を想定しています。たとえば、生産性についてでも、「コロナ前のフル出社時と比べて生産性は上がっているのか」「4月・5月のフルリモート期間と比べて生産性は上がっているのか」など、出社日数によっての影響も見てみたいと思っています。また、すでに現場からは、大人数での会議のしづらさなども声が上がっていますので、リアルな状況を把握したいと考えていますね。

━━細かくヒアリングして分析していくのですね。ちなみに生産性について、何を持って上がった/下がったといえるのでしょうか?判断が難しそうです。

ええ、そこはとても難しいところです。売上数字、制作数、など数値目標が決まっている仕事であれば判断しやすいのですが、明確な成果が見えづらい仕事になると分かりにくくなってきます。本人の申告と具体的な成果物、それから上長との評価を照らし合わせて総合的に判断していく必要があると考えています。

━━なるほど、マーブルワークスタイルに合わせた評価も考えていく必要がありますね。西さん自身は「リモートワークで生産性が上がった」と感じていらっしゃいますか?

私は、仕事の内容によるなと感じています。資料作成だったり、一人で黙々と作業をするような仕事の場合は自宅のほうがはかどりますね。でも、誰かと話したり、ちょこちょこ確認しながら進める仕事の場合は、出社したほうが圧倒的にスムーズです。大きな声では言えないですが、質問したいことをテキストでまとめることが面倒で、後回しになってしまうことがあったのも事実です(笑)

なので、「リモートワーク」を取り入れた“マーブルワークスタイル”は、自分の仕事を棚卸して最適化するための良い機会なのかもしれませんね。オフィスと自宅、どちらで取り組んだほうがはかどるのか、仕事の目的やワークフローから見直すことで、総合的に生産性を上げることができそうです。

━━確かに!社員一人ひとりが“マーブルワークスタイル”の目的を理解し、上手に活用し、成果へつなげていけるとよいですよね。

はい、そう思います!

それから、これは私個人の意見ではありますが、“マーブルワークスタイル”は社員にとってだけでなく、採用という意味でも強みになると考えています。というのも、物理的な距離の問題で、これまで一緒に働くことができなかった方に出会えるチャンスになるからです。現在は週3日までを想定している日数も、将来的に状況に応じて変わっていく可能性も大いにありますし、そうすれば、国内に限らず海外採用だって視野にいれることができますよね。新しい人材を迎えることで多様性のある組織になり、新しい意見やアイデアもたくさん生まれることになるでしょう。結果として、ミクシィの成長へとつながっていくと思うんです。

この“マーブルワークスタイル”をミクシィの新たな働き方として定着させていくためにも、このトライアル期間中の振り返りがとても重要だと考えています。社員のみなさんにも、ご協力いただきながらしっかり準備を進めていきたいと思います。

 

最後に

“リモートワーク”という言葉だけを聞くと、週何回出社するのか、自宅で仕事をするのか…と回数だけに話がいってしまいがち。西が言っているように何のためのリモートワークなのか、がとても大事ということです。

コロナが拡大する中で取られた「緊急措置としてのリモートワーク」と、その後の「生産性向上を目的としたリモートワーク」の2つ。社員一人ひとりが導入の目的を正しく理解することで、大きな成果へとつなげていけるはず。より良い制度として新しい働き方が定着していければと思います。

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