キャリアを築いていく上で見過ごせないのは、ライフイベントの存在。
中でも、育児や子育てとの両立に頭を悩ませる方も少なくないのではないでしょうか?
「育児休業制度」は本来法律で定められた制度ではありますが、厚生労働省の調査*によると、育休取得率は女性で約8割、男性で約1割程度に留まっています。
*「令和2年度雇用均等基本調査」(令和3年7月公表)
一般的に育休取得をためらう理由には「キャリアの断絶」「復帰後の仕事への影響」「家計への影響」「職場の理解・サポートへの不安」などが挙げられますが、ミクシィ社員は、どのような育休を体験し、子育てと向き合っているのでしょうか。
今回は2018年7月~2020年6月まで産前産後休業・育児休業を取得した内藤に話を聞きました。
━━育休取得前の内藤さんの業務について教えてください
いわゆる総務の業務をメインで担当しつつ、役員のアシスタント業務を担当していました。
━━業務の引継ぎは順調に行えましたか?
もともと、せいかつ環境グループでは誰がいつ休暇を取得しても大丈夫なように、皆でフォローしあえる運用体制が築けていましたし、育休取得に対する周囲の理解もあったので、引継ぎ自体は特に問題なく順調にできたと思います。私の出産予定が突然早まったことで少し迷惑をおかけすることはありましたが、特に大きなトラブルはありませんでした。
また私が育休を取得したタイミングは、偶然なのですが、役員交代の時期とちょうど重なっていたこともあり、役員アシスタント業務の引継ぎも比較的スムーズに進みました。
━━育休の期間は?
当初は子どもが1歳半をむかえる頃には復帰予定だったのですが、コロナ禍で世の中の保育園がことごとく休園となってしまって。在宅で子どもを見ざるを得なくなってしまったので、会社と相談して「それは仕方ないよね」ということで、育休期間を数ヶ月延長することになりました。
━━育休中の生活はどのような感じでしたか?
夫がサービス業に従事している都合上、夫が家にいられる時間が少ないので育児に関しては育休中も現在も私のほぼワンオペ状態。夫は出産時には立ち会ってくれましたし、出産後の約1週間は休暇をとって私のケアをしてくれましたが、その後は近くに住んでいる私の両親にサポートしてもらいながら育児にあたる日々でした。
━━育児のペースがつかめてきたのは、どれくらいからですか?
私の場合は、丸2年間ずっと慌ただしい感じで、今もまだ落ち着いたとは言えないですね(苦笑)。最近になってようやく夫と2人でも数時間なら外に遊びにいけるようになったくらいです。
━━まだまだやんちゃなんですね。職場復帰にむけて不安なことはありましたか?
ワンオペ育児が育休後も続くことは見えていたので「ちゃんと毎日遅刻せずに働けるかな…」という基本的なところからプレッシャーはありました。職場の皆に迷惑をかけたくないという気持ちもある一方、子どもは毎日笑顔で保育園へ送り出してあげたいという気持ちもあり、仕事と家庭とのバランスを上手にとれるのか不安はありましたね。
━━そうした不安を解消するために、個人としての取り組みは何かありますか?
復帰したら自分の時間をとれなくなることが想定できたので、できることはなるべくやっておこうと思い、携帯電話の機種変更や各種手続き関係などを済ませておきました。また少しでも家事の時短ができるように、ロボット掃除機やドラム式洗濯乾燥機をしっかり吟味して購入しました。全自動で家事を助けてくれる存在があると、心理的な負担がいくらか楽になる感じはあります(笑)
▲育休中の様子
━━自分の時間を意識的に作るのは大事ですよね。
またメンタル的にありがたかったのは、夫が「無理して復帰を急がなくてもいいんじゃない?」と言ってくれたことですね。私としてはママとして育児も頑張りたいし、社会人として仕事の達成感も味わいたい。どちらも両立することで気分転換も図りたいと思っていたのですが、その一言で少し気持ちに余裕ができました。
━━とはいえ、ワンオペ育児は続きますよね…
お互いの働き方のスタイルがあるので、それは致し方ないですね。とはいえ、夫は普段私がワンオペ育児していることを申し訳なく思っている様子で、できる限りのフォローをしてくれますし、「趣味は家族」みたいな感じで休日にできることは精一杯してくれるので、それはありがたいです。
━━上司や同僚からのサポートはいかがでしたか?
せいかつ環境グループでは、子どもの体調不良などで誰かが急に抜けることがあっても、他の誰かがフォローできるように、お互いの持っている案件の概要を普段から把握するような体制ができていますし、普段から「誰にいつ何があるのかわからないのだから、気兼ねなく休暇とっていいよ!」と言ってくれるチームなので、それは非常にありがたいですね。
━━休みやすい体制と雰囲気づくりができているんですね。
そうですね。私も他の人がどんな案件を持っているのか、どのような取り組みをしているのか網羅的にウォッチするようにしています。業務に関する連絡は普段から「Cc」にメンバーを含めておいたり、SlackでパっとDMしたようなことでも1日のおわりにはサマリーをまとめておいたりして、他のメンバーが状況を理解できるように共有しています。
━━普段から少しずつ引継ぎをしているような感じなんですね!
何か発生した時にゼロから説明するよりも、大まかな概要だけでも広くチェックできている方が、いざという時にスムーズに対応できますからね。社内には私が時短勤務をしていることを知らない人もいます。私の時短退勤後に用件を依頼されることもあるのですが、そうした時に「時短だからできない・わからない」ではなく、他のメンバーがスムーズに代行できて、私も後できちんとキャッチアップできる仕組みを普段から心がけています。
━━復帰後の働き方には、どのような変化がありましたか?
そもそも私が育休を取得した2年前には、オンラインでリモートワークする仕組み自体がほぼなかったので、そこは非常に大きなパラダイムシフトですよね。また育休期間中には社長交代やオフィス移転、組織変更といった大きな変化がありましたし、社内ツールも色々と新しくなっていて、復帰時は完全に浦島太郎な状態(笑)。
━━育休中に大きな変化がいくつもあったんですね。
ほぼ新入社員のような気持ちで新たに業務を覚えなおしていく感じでした。一方でコロナ禍の影響でリモートワーク勤務の制度や新しい働き方としての「マーブルワークスタイル」が社内に浸透していたり、フレックスタイム制度のコアタイムが10時~15時から12時~15時に変更となって、通勤時の混雑を避けやすくなったり、保育園の送り迎えがしやすいように時短勤務の時間を柔軟に調整できるなど、育児をする人にとって働きやすくなる変化もあったので、そこは助かっていますね。
また自分自身の変化としては、以前なら「いざとなったら残業すればいいや」と思っていたような状況でも、今はなるべく退勤時間までに片づけられるよう、効率的に業務を組立てるように意識が変わったと思います。
━━業務効率化を実現するために、具体的に何を工夫していますか?
「今日できることは、今日する」のが基本なのですが、「できないことは、仕方ない」と割り切ってメンバーにお願いするようになりました。また、その分自分も他メンバーのフォローを心がけるようになりましたね。他には片道1時間の通勤移動中にチームのSlackやメールのチェックをするなど、スキマ時間を活用するようにしています。
━━チームを信頼するということですね。週5日のリモートワークを相談してもいいんじゃないですか?
私の場合は、通勤日とリモートワーク日の両方ある方がバランス良いですね。家にいるとプライベートでゆっくりできる時間が少ないので、通勤時間は個人的な調べものとかをする貴重な時間でもあるんです。一方リモートワークの日は「通勤時間が節約できた」と考えて、その空いた1時間にできることをやる感じです。
━━その働き方が内藤さんには合っているわけですね。最後に、今後育休取得を考えている人へのアドバイスなどありますか?
私の場合、育休期間の2年間は子どもの「立っち・あんよ」の瞬間を見られた非常に貴重な時間でした。育休取得を気まずく思う人はいるかもしれませんが、制度はけっこう整ってるのでなんとかなります。「そんなに心配しなくて大丈夫」と伝えたいですね。あと妊婦さんの場合は産前産後休業のタイミングが急遽早まるケースもあり得るので、引継ぎや準備などは、なるべく早めに取組むことをおすすめしたいです。
普段から引き継ぎを意識していた内藤でしたが、実際のところ、上長はどう感じていたのでしょうか?上長の宮本に話を聞きました。
ご本人が復帰されてすぐは、時短で働いている背景から、何度も「申し訳ない…」と仰ってくれていましたが、私からすれば、内藤さんの人柄、メンバーへの気遣い、仕事の進め方など、その申し訳なさの何倍も受け取っているものが多いと感じています。戻ってきてくれたことで安心している部分もすごく大きいので、私が出来ることはサポートしながら、今後も一緒に頑張っていただきたいと思っています。
内藤のパートナーにも、育休をどのように感じたか聞いてみました。
━━育休を取る前に、事前にどのような会話を行いましたか?
私の仕事がなかなか融通がきく状況ではなかったので、妻も理解していたと思います。そのような中で、妻は一人で育児を引き受ける覚悟があったのだと思います。本来パートナーである私も同じように受け持つべき事ですが、任せっきりになってしまったと改めて振り返っています。その点、ミクシィにおける育休制度は家族の絆を繋ぐ、素晴らしい制度であると感じていました。
━━復職に際して、どのような会話がありましたか?
復職させてもらえる事はありがたいと思っていました。一方で、中々やんちゃな子供でしたので、育児と仕事の両立を考える時に、さらにストレスや体力の限界を迎えてしまうのではないか…と、心底心配しました。だからこそ、妻の身体と精神維持を第一に、復職するのか転職するのか仕事しないのか、どれでもいいよという話はしていました。
━━育休を取得したことで、生活にどのような変化があったか教えてください
もし育休がなくて実家に預けるなどの場合、子供との接触時間は物理的に減ってしまうので、この育休期間は家族にとって、そして子供にとって、有意義な時間になったと思います。近所の公園に行くだけでも楽しかったですし!
役所へ手続きに行ったり、病院に通ったり、子育て以外にもやることは数多くあるので、「育休があるから妻は休暇」というわけではありません。育休中も妻は24時間稼働しています。なので、私自身も家のこと、家族のこと、子供のこと、に比重を大きく時間を使うようになりました。
━━最後に、育休を明け復職されたパートナーの方に一言メッセージをお願いします!
復職して1年が経ちました。仕事の出勤前が、24時間の中で1番忙しい時間ですよね。
そこで1日の体力を半分以上使っているのを知っています。普段からワンオペさせてしまってホント申し訳ない…いつもいつも本当にありがとう。無理させないようにっていつも思うけど、思うだけじゃなくて、楽しく素直な家庭をみんなで作っていけるように、休みの日は全力で遊びます!
最後に
育休の前後で、驚くほどの変化に見舞われた内藤。働き方も、働く時間も、場所も変わった中で変わらないのは、内藤の人柄でした。マネージャー自ら「心の支え」とまで語るその人柄は、グループにはなくてはならないものだったそう。
グループ全体で周囲のメンバーの仕事をいつでも引き継げるようにスタンバイしているからこそ、自分も急な予定が出来た時に引き継ぎやすい。日常的にお互いの業務を把握することで復職後も穏やかに働ける、そんなエピソードを語ってくれました。
「ミクシル」では、今後も引き続き子育てにも仕事にも奮闘するメンバーの様子を紹介していきます。