スポーツベッティングに取り組むのはなぜ?地方創生にもチャレンジする、その使命の全て 執行役員 石井公二〈後編〉

スポーツベッティングに取り組むのはなぜ?地方創生にもチャレンジする、その使命の全て 執行役員 石井公二〈後編〉

ミクシィグループの役員・執行役員陣に迫るこのシリーズでは、キャリア、仕事観、事業ビジョン、組織体制など赤裸々に語るコンテンツとしてシリーズでお伝えしていきます。

前編では、ミクシィ執行役員の石井公二にミクシィ入社からこれまでのキャリアについて詳しく聞きました。後編となる今回は、次世代エンターテインメント事業本部の本部長に就任した石井の、これからのビジョンを紹介していきます。

※前編はこちら

次世代エンターテインメント事業本部とは

今は「次世代エンターテインメント事業本部」で本部長を務めていて、ミクシィ社の未来の注力事業を創り成長させることをミッションとしています。次世代エンターテインメント事業本部の代表的なプロダクトが、スポーツ領域に位置する『TIPSTAR』ですね。さらにまだ話せない部分も大いにあるのですが、今までと異なる新しいスポーツベッティング体験ができる取り組みも着々と進めてます。

我々は『TIPSTAR』の事を”共遊型スポーツベッティング”と呼んでいますが、競輪やオートレースなどの公営競技をベースに、無料で遊ぶことが出来ますし、予想をしなくても公式のタレントグループや友達の予想にのっかって遊べるサービスになっています。自分の予想を共有してのっかってもらう事もできるので、仲間内でわいわいと遊べるサービスとなっています。

そういう「予想にのっかったりのっかられたり」するサービスという事で、英語で「予想屋」を意味するTipsterからインスパイアされて”TIPSTAR”というサービス名をつけています。

リリース当初は、競輪のみに対応していたのですが、ver.2.0でオートレースが加わり、一般ユーザーが“TIPSTAR”として自身の予想を公開したり、友人の予想にのっかれるようになりました。この機能によって一般のユーザーの中から、予想的中率の高い“TIPSTAR”というヒーローが生まれるわけです。さらに、ver.3.0では「マルチプレイ」機能をアップデートし、近くにいる友人だけに限らず、LINE上にいる友人や集まっている友人と一緒に予想やレースの中継を楽しめるようになるなど、遊び方の可能性はどんどん拡大しています。こうした、いわゆる”ベッティングサービス”は競合も多いですが『TIPSTAR』の特長は、その遊び方にあります。ベッティングというと「予想して賭けて、お金を増やす」遊びだと捉えられることも多いですが、『TIPSTAR』の面白さはそこだけではなく、縁日の射的のように「一緒に狙って、当たった当たってないで盛り上がる」この点にあります。みんなでああだこうだと意見を交わしながら予想を立て、当たったら仲間と喜ぶ、外れたら悔しがるというイメージでしょうか。こうした、遊び場としてのサービスを提供することが、『TIPSTAR』の目的であり、『TIPSTAR』を“共遊型スポーツベッティングサービス”と呼んでいるのはこうした理由があります。

 

なぜミクシィがベッティングサービスを?

そもそもの話にはなりますが、よく聞かれるのが「なぜミクシィがベッティングサービスを?」という点ですね。例えば、SNS『mixi』や『モンスターストライク(以下モンスト)』だけご存知の方であれば、不思議に思われるかもしれません。ですが、ミクシィ社のミッションは「フォー・コミュニケーション」。対人同士のコミュニケーションを生み、ワイワイと過ごす楽しい時間や空間を生み出すことに重きを置いて事業を展開しており、『TIPSTAR』も漏れなくそのミッションを達成するために生まれたサービスです。

ご存じの方もいると思いますが、近年ミクシィはスポーツ領域へ挑戦を行っています。これは、スポーツが一度に多くの人に共感・感動を提供できるコンテンツであり、友人や家族でスタジアムやスポーツバーに足を運び、その試合の起伏にともに一喜一憂している。そこで得られる熱量はすさまじく、オンラインのサービスが発達した今でも、なかなか代えのきくものではありません。こうしたスポーツの持つ根源的な熱量をコミュニケーションに繋げていくことに可能性を見出しており、スポーツ領域への挑戦を引き続き行っているというわけです。そして、スポーツ領域の中でもまだまだ可能性を秘めているスポーツベッティングをどうにかアップデートできないかと試行錯誤しているのが『TIPSTAR』です。

 

『TIPSTAR』で成し遂げるべきミッションは何か

少し大局の話になるのですが、昔と変わらず今の社会のにおいてもミクシィがなせる役割があると考えています。

テクノロジーの進化により極度にコンテンツのパーソナライズ化が実現した結果、「独り消費」が 一気に進みました。家族と一緒に過ごすリビングルームでも、友だちと一緒に過ごすカフェでも、 それぞれがスマートフォンに一人で向き合う姿は、誰にとっても当たり前の光景となりました。「独り消費」の時間が増えるのと反比例する形で、私たちの社会におけるコミュニケーション量がどんどん失われていっています。そんな時代背景がありながらも、逆説的な表現にはなりますが、一つ間違えば「独り消費」を加速しかねないインターネットやスマートフォンのサービスを活用し、ミクシィはこれまで、社会におけるコミュニケーションを活性化させてきました。 「モンスト」をスマホゲームと見る人もいますが、ミクシィではコミュニケーションを創出する「コミュニケーションサービス」と定義し、サービス開発を行ってきました。

流行り廃りが激しく、飽きとの戦いを強いられるレッドオーシャンのスマホゲーム市場においても、モンストが今なお国内で最も遊ばれるゲームのひとつであるのは、家族や友達のコミュニケーションを活性化するサービスであるからだと思います。そしてそんなモンストが、コミュニケーションサービスとしてミクシィ社で誕生したのは、 SNS『mixi』 というコミュニケーションの元祖サービスがあったからこその必然といえます。 TIPSTAR 事業においても、SNS『mixi』や「モンスト」のDNAを引き継ぎ、コミュニケーションを通じて活力のある社会を実現していく。これが『TIPSTAR』で成し遂げるミッションです。

そして、ベッティングサービスをコミュニケーションサービスに昇華させる事は、孤独に賭け事をすると依存性が高まりやすいという側面を防ぐ効果もあると思っています。こうした意味でも“一人で賭けて、一人で楽しむ”という従来のベッティングサービスを、無料で遊べ、みんなでワイワイ楽しめる「共遊型の新たな遊び」に昇華させ、より多くのコミュニケーションを創出するというのは、TIPSTARの大切な目標となります。

 

地方都市さえも盛り上げる。その理由

私たちが今取り組んでいる公営競技について更にお話すると、地方においてもとても重要な役割を担っています。それは、車券販売売上による税収です。車券販売総売上の25%近くが一度各自治体に税収として入るわけですから、販売高が伸びれば伸びるほど、自治体の税収は高まっていきます。都市部よりも、過疎化が進んでいる地方都市のほうが、この期待度は高いです。

また、地方都市を活性化することにもチャレンジしたいと思っています。『TIPSTAR』のサービス開始以降、競輪場や地方自治体の方々から「スマホで『TIPSTAR』の画面を見ながら、若い人が競輪場に来てくれたんだよ。若い人も競輪やってくれてるんだね」と喜ばれることがあります。まだまだ人数規模は小さくとも、やはり若い世代にワイワイしてもらうことで地方に元気になって貰えたらな、と思っています。実際に、『TIPSTAR』のユーザーは20〜40代のユーザーが8割を超え、35%のユーザーが女性なんです。50代以上の層が厚く、男性比率が9割を超えていた従来のベッティングサービスと比べると、『TIPSTAR』は若年層との親和性は高いといえるのではないでしょうか。こうして、なんとか思い描いていたサービスへと着々と進行している真っ只中です。

最後に、アメリカでもスポーツベッティング解禁の流れが起きていますし、既にスポーツベッティングが認められている国もたくさんあります。この環境下において、スポーツベッティングを共遊型の新たなコミュニケーションエンターテインメントとして世界にも提供していくことは、“世界に先行してSNSを始めたものの世界に展開できなかった”我々として、是非チャレンジしたいことにもなっています。

これからも、そんな我々の挑戦を応援していただけると嬉しいです。

 

石井 公二 執行役員 / 次世代エンターテインメント事業本部長
富士通株式会社、Wipro Technologies Limited(本社:インド バンガロール)等を経て、2010年12月株式会社ミクシィに入社。海外拠点の立ち上げや新規事業のプロジェクトマネージャー、M&AおよびPMIを担当したのち、モンスト海外事業やXFLAGの戦略策定に従事。2018年4月、当社執行役員(社長補佐担当)就任。2020年4月、株式会社ミクシィ執行役員就任 次世代エンターテインメント事業本部長就任。

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